マネジメントソリューションズ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

マネジメントソリューションズ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

マネジメントソリューションズは東京証券取引所プライム市場に上場し、企業のプロジェクトマネジメント支援サービス(PMO)を主力展開する企業です。決算期変更により前期は14ヶ月の変則決算でしたが、当期は12ヶ月間で売上高231億円、経常利益27億円を計上し、事業規模の拡大を背景に堅調な業績推移を見せています。


※本記事は、マネジメントソリューションズの有価証券報告書(第21期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. マネジメントソリューションズってどんな会社?


同社はプロジェクトマネジメント実行支援サービスを主力とし、コンサルティングやソフトウェアの提供を通じて企業の課題解決を支援しています。

(1) 会社概要


同社は2005年7月にプロジェクトマネジメントコンサルティングを目的として設立されました。2017年にはナレッジ&タレントマネジメントシステム「ProEver」の販売を開始し、2018年7月に東京証券取引所マザーズ市場へ上場を果たしました。その後、2024年1月にMSOL Digitalを新設分割により設立し、デジタル変革支援などの新たな領域へ事業を拡大しています。

現在の従業員数はグループ全体で1,621名、単体では1,369名規模の体制となっています。筆頭株主は資産管理会社とみられるユナイテッドトラストで、第2位は信託業務を行う日本カストディ銀行、第3位は創業者の髙橋信也氏です。

氏名 持株比率
ユナイテッドトラスト 23.86%
日本カストディ銀行(信託口) 10.75%
髙橋 信也 8.61%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性0名の計8名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役会長兼社長は髙橋信也氏が務めています。取締役5名のうち2名が社外取締役であり、社外取締役比率は40.0%です。

氏名 役職 主な経歴
髙橋 信也 代表取締役会長兼社長 アンダーセン・コンサルティング等を経て、2005年7月同社設立、代表取締役就任。2024年1月より取締役会長、2026年2月より代表取締役社長。MSOL Digital取締役等も兼務
玉井 邦昌 専務取締役 住友銀行入行後、ゴルフダイジェスト・オンライン取締役CFO等を歴任。2020年1月同社社外取締役就任。2023年1月より専務取締役。テトラ・コミュニケーションズ取締役等も兼務
金子 啓 取締役 FFCシステムズ入社後、2007年9月同社入社。2014年11月執行役員、2023年1月取締役就任。2024年1月より代表取締役社長。麦嵩隆管理咨詢(上海)有限公司董事等を兼務


社外取締役は、赤羽具永(元三菱総研DCS代表取締役副社長)、田矢徹司(元経営共創基盤代表取締役CFO)です。

2. 事業内容


同社グループは、コンサルティング事業の単一セグメントで事業を展開しています。

(1) プロジェクトマネジメント実行支援


全社や部門、プロジェクトの各階層に対し、主にPMO(Project Management Office)の役割でプロジェクトマネジメントの実行支援サービスを提供しています。システムの要件定義や開発工程などにおいて、進捗状況や課題を可視化し、プロジェクト成功率を高める支援を行います。

顧客企業からのコンサルティングフィーを主な収益源としています。社内に不足しがちなプロジェクトマネージャの負担を軽減し、専門的な知見による管理プロセスを提供します。運営は主にマネジメントソリューションズが行い、中華人民共和国では子会社が事業展開しています。

(2) デジタル変革の支援(MSOL Digital)


AIやIoTなどの革新的な技術を活用し、顧客企業のデジタル変革(DX)やITモダナイゼーションなどのビジネス課題解決を支援しています。専門パートナーと連携し、ソリューション提案やデジタルサービス構築を提供するDSIer(デジタルソリューションインテグレータ)として機能します。

デジタルソリューションの提供を通じたコンサルティング収益やサービス構築費用が主な収益源となります。DX推進と社会的な課題でもあるデジタル人財育成と成長の場を併せて提供し、運営はMSOL Digitalが担っています。

(3) マネジメントコンサルティングおよびソフトウェア「PROEVER」


企業全体のマネジメントフレームワークを用いて組織の目標達成を段階的に支援するコンサルティングのほか、プロジェクトの課題管理やナレッジ共有を手軽に行える自社開発ソフトウェア「PROEVER」を提供しています。

コンサルティングフィーのほか、PROEVERの導入企業からのライセンス利用料等を収益源としています。また、プロジェクトマネジメントの実践的な研修プログラムやeラーニングなども展開しており、運営はマネジメントソリューションズが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


同社の業績は、企業のプロジェクトマネジメント需要の高まりを背景に、売上高が順調な拡大基調にあります。直近の2024年12月期は決算期変更に伴う14ヶ月の変則決算であったものの、12ヶ月決算となった2025年12月期においても売上高231億円、経常利益27億円と高水準を維持しており、着実な事業成長と安定した利益率を示しています。

項目 2021年10月期 2022年10月期 2023年10月期 2024年12月期 2025年12月期
売上高 74億円 120億円 169億円 233億円 231億円
経常利益 9億円 7億円 22億円 28億円 27億円
利益率(%) 12.7% 6.2% 13.3% 12.1% 11.9%
当期利益(親会社所有者帰属) 6億円 5億円 17億円 21億円 17億円

(2) 損益計算書


売上高は前年同期(14ヶ月決算)に迫る231億円を計上し、売上総利益も同水準の96億円を確保しています。売上総利益率は40%台で安定推移しており、稼働率の向上や単価の上昇が利益水準を支え、営業利益率も約12%と良好な推移を見せています。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上高 233億円 231億円
売上総利益 96億円 96億円
売上総利益率(%) 41.2% 41.5%
営業利益 28億円 27億円
営業利益率(%) 12.1% 11.9%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が20億円(構成比29%)、採用教育費が12億円(同18%)を占めています。売上原価は135億円であり、その大部分をコンサルタントの人件費や外注費などの労務関連費用が占める構造となっています。

(3) キャッシュ・フローと財務指標


営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業です。

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業CF 13億円 23億円
投資CF -3億円 -4億円
財務CF -10億円 -16億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は31.5%で、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は67.7%であり、いずれも市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「Managementを通じ、社会のHappinessに貢献する」をミッションに掲げ、「人とTechnologyを融合したManagementにおける社会のPlatformとなり、組織の変革・価値創造、および自律的な個人の成長を促す」ことをビジョンとして定めています。プロジェクトマネジメントの成否という企業の重要課題に対して実行支援サービスを提供し、社会全体の持続的な発展に寄与することを目指しています。

(2) 企業文化


持続的な社会への貢献と企業価値の向上という2つのサステナビリティを追求する文化が根付いています。最も重要な経営資源である「人財」を活かすべく「人的資本の拡充」を重視しており、多様な個性や働き方を尊重する風土を有しています。心理的安全性の確保や健康経営への取り組みを通じて、社員のウェルビーイング(Well-being)の実現を推進しています。

(3) 経営計画・目標


連結売上高1,000億円を目指す中期経営計画「Beyond1000」を掲げています。国内で拡大を続ける1.6兆円規模のプロジェクトマネジメント市場の潜在的ニーズを顕在化させ、事業領域の拡大を図ることで飛躍的な成長を目標としています。

* 売上高 1,000億円

(4) 成長戦略と重点施策


目標達成に向けた注力領域として、専門性の高いコンサルティング人材の継続的な確保と育成強化を掲げています。既存顧客の深耕とともに新規顧客の開拓を進め、営業体制を強化します。また、アライアンスを活用した海外事業の推進や、次世代の成長戦略に位置付けるソフトウェア「PROEVER」の普及を通じて、労働集約型からAI主導型ビジネスへの変革を推進し、継続的な企業価値向上を図ります。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


最も重要な経営資源を「人財」と位置づけ、人的資本への投資を重視した経営を推進しています。採用コストの低減を図りつつ堅実な新規採用を進めると同時に、生涯育成エコシステムの構築を通じて社内研修を充実させ、社員の自律的なキャリア形成を支援しています。また、多様性を尊重し、ダイバーシティの推進にも注力しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与は東京証券取引所プライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 37.4歳 2.7年 7,023,000円

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 21.0%
男性育児休業取得率 85.2%
男女賃金差異(全労働者) 75.0%
男女賃金差異(正規雇用) 75.2%
男女賃金差異(非正規雇用) 119.2%


また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、育児休業復帰率(96.8%)、研修講座開催数(240回)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) コンサルティング市場における競合リスク


同社はプロジェクトマネジメント支援を専門に事業を展開し先行優位性を築いていますが、他のコンサルティング企業が同種サービスを拡充し、市場での競合が激化する可能性があります。価格競争や顧客獲得の競争により、同社の事業展開や業績に影響を及ぼすリスクがあるため、幅広いニーズに対応した差別化を図っています。

(2) プロフェッショナルサービスの品質リスク


顧客の価値創造や課題解決を支援するコンサルティングサービスにおいて、顧客が期待する品質のサービスを提供できない場合、契約の継続に支障を来し業績に悪影響を及ぼす可能性があります。同社は提供サービスの品質向上・維持のため、顧客満足度調査の実施や社内研修の充実、外部委託先の定期的な審査を行っています。

(3) 専門人材の採用・確保および育成に関するリスク


事業拡大のためには、高度なプロジェクトマネジメントサービスを提供できる専門人材の継続的な確保と育成が不可欠です。人材の採用や育成が計画通りに進まない場合や、人材の社外流出が生じた場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。同社は採用活動の継続や研修体制の強化、業務環境の改善に努めています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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