※本記事は、ベースの有価証券報告書(第29期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ベースってどんな会社?
金融・流通分野のシステム受託開発とERPソリューション導入を主力とする独立系IT企業です。
■(1) 会社概要
ベースは1997年1月にコンピュータソフトウェアの開発を目的として設立されました。その後、中国に子会社を設立してグローバルな開発体制を構築し、2019年に東京証券取引所第二部へ上場しました。大手システムインテグレータとの取引を拡大し、金融・流通・製造分野等のシステム開発で安定した成長を続けています。
同社グループの従業員数は連結で1332名、単体で1246名です。大株主の構成を見ると、筆頭株主は中山アセットで、第2位は伊藤商事、第3位は信託業務を行う日本マスタートラスト信託銀行となっています。事業会社や資産管理会社を中心とする安定した株主基盤のもと、持続的な企業価値の向上を図っています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 中山アセット | 37.11% |
| 伊藤商事 | 7.42% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 6.11% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性1名の計7名で構成され、女性役員比率は14.0%です。代表取締役社長は中山克成氏が務めています。また、社外取締役が5名在籍しており、経営の透明性を高めています。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 中山克成 | 取締役社長(代表取締役) | 1989年バイトルヒクマ入社。1997年同社設立、代表取締役社長に就任。貝斯(無錫)信息系統董事長、bbc代表取締役社長CEO等を経て現職。 |
| 髙野哲行 | 常務取締役管理本部長兼財務部長 | 山田&パートナーズ会計事務所入所、税理士登録を経て2007年同社入社。執行役員財務部長、取締役管理本部長兼総務部長等を歴任し現職。 |
社外取締役は、和田成史(オービックビジネスコンサルタント代表取締役社長)、上野亨(うえる代表取締役)、木脇秀己(元富士通執行役員専務)、栗原章(栗原公認会計士事務所代表)、島田知子(弁護士法人瓜生・糸賀法律事務所パートナー)です。
2. 事業内容
同社グループは、「ソフトウェア受託開発」の単一セグメントにおいて、システム開発とソリューションの2つのサービスラインを展開しています。
■(1) システム開発
主に金融、流通、製造分野におけるオープン系システムの受託開発を提供しています。証券会社や銀行などの金融系システムに強みを持ち、要件定義から設計、プログラミング、運用保守までトータルで支援します。また、システム開発に付随して顧客企業への技術者派遣を行う社員支援サービスも手掛けています。
収益源は、顧客企業からのシステム開発の請負代金や、運用保守および技術者派遣に伴う役務提供の対価です。事業の運営はベースが主体となって行い、中国の子会社である貝斯(無錫)信息系統と連携して、日本人技術者と中国人技術者がそれぞれの長所を活かしながら協働で開発を行う体制を構築しています。
■(2) ソリューション
主にERP(統合基幹業務システム)関連のソリューションを提供しています。世界的に高いシェアを持つSAP社の製品を中心に、ERP、CRM、BASISの3つの領域で導入コンサルティングから開発、運用保守まで幅広く対応しており、新規導入だけでなくシステムのアップグレードやデータ移行も支援します。
収益源は、顧客企業からのソリューション導入支援やシステム開発、運用保守に係る請負代金および役務提供の対価です。事業運営はベースが中心となり、これまでのERP関連サービスで蓄積した豊富な業務知識とノウハウを活用することで、企業の経営効率化やデジタルトランスフォーメーションを推進しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5年間の業績を見ると、売上高は一貫して拡大を続けており、企業の旺盛なIT投資需要を背景に成長軌道を描いています。利益面においても毎期着実な増益を達成しており、利益率も20%台後半の高い水準を維持しながら収益性を継続的に向上させていることが分かります。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 133億円 | 170億円 | 187億円 | 202億円 | 218億円 |
| 経常利益 | 30億円 | 39億円 | 47億円 | 52億円 | 58億円 |
| 利益率(%) | 22.6% | 23.1% | 25.1% | 25.9% | 26.6% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 21億円 | 27億円 | 34億円 | 39億円 | 42億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の順調な伸びに伴い、売上総利益および営業利益ともに前期を上回る結果となりました。売上総利益率は32%台と高水準で推移しており、営業活動や採用体制の強化を進めながらも、システム開発プロジェクトの適切な採算管理と高付加価値化によって優れた収益構造を確保しています。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 202億円 | 218億円 |
| 売上総利益 | 65億円 | 70億円 |
| 売上総利益率(%) | 31.9% | 32.3% |
| 営業利益 | 52億円 | 57億円 |
| 営業利益率(%) | 25.8% | 26.4% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が3.1億円(構成比24%)、採用関係費が2.6億円(同20%)を占めています。また、売上原価においては、労務費が84億円(構成比59%)、外注費が54億円(同38%)となっています。
■(3) セグメント収益
同社はソフトウェア受託開発事業の単一セグメントですが、大手システムインテグレーターなど主要顧客との取引が堅調に推移し、ERPソリューション関連の需要も取り込んだことで、売上高は前期比で着実な増収を達成しています。
| 区分 | 売上(2024年12月期) | 売上(2025年12月期) |
|---|---|---|
| ソフトウェア受託開発 | 202億円 | 218億円 |
| 連結(合計) | 202億円 | 218億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業CFと投資CFがプラス、財務CFがマイナスとなる「改善型」です。本業の利益創出により獲得した潤沢な資金を背景に、自己株式の取得や配当金の支払いといった株主還元を積極的に行っている健全な財務状況を示しています。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 39億円 | 45億円 |
| 投資CF | 0.5億円 | 0.5億円 |
| 財務CF | -29億円 | -32億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は30.7%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は75.3%であり、いずれも市場平均を大きく上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「相互尊重」「誠心誠意」「ベストを尽くす」という3つの経営理念を掲げています。先進のIT技術を駆使し、「お客様に対して常に新しい価値を提供し続ける」ことを使命としており、顧客にとってシステム提供のベースとなり、社員にとって生活や人生のベースとなる企業を目指して社会課題の解消に貢献しています。
■(2) 企業文化
「社員を大事に」というスローガンのもと、働きやすい環境づくりと従業員主体のキャリア構築を推進する文化があります。外国籍社員が全体の4割以上を占めるなど多様性を尊重しており、国籍や性別、年齢に関係なく平等な機会を提供し、互いの長所を活かしてシナジー効果を発揮するダイバーシティ経営を実践しています。
■(3) 経営計画・目標
同社は持続的な成長と企業価値の向上を目指し、中期経営計画「BASE 2030」を策定しています。利益成長を最重要指標と位置づけ、客観的な経営目標として当面は「営業利益100億円」の早期達成を掲げています。既存事業の強化とAIなどの先進技術の活用により、さらなる収益基盤の拡大を図る計画です。
* 当面の目標:営業利益100億円
■(4) 成長戦略と重点施策
従来の労働集約型ビジネスから、AIを活用した知識集約型の高付加価値ITサービス企業への転換を経営戦略の中核に据えています。大手システムインテグレータとの取引拡大による安定した顧客基盤の構築や、ERPを中心とするソリューション事業の拡大、AI推進体制の整備を通じた生産性向上に注力する方針です。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
優秀なIT人材を安定的かつ機動的に確保するため、日本と中国での新卒・中途採用などターゲット別の採用戦略を展開しています。また、全社員を対象とした「ベースアカデミー」や外部のオンライン学習プログラムを導入し、継続的なスキルアップを支援するとともに、将来の幹部候補を育成する仕組みを構築しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年12月期 | 34.7歳 | 5.1年 | 6,038,927円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 11.8% |
| 男性育児休業取得率 | 58.3% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 85.1% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 87.7% |
| 男女賃金差異(パート・有期) | 44.9% |
また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、外国籍社員比率(44.3%)、女性社員比率(23.0%)、中途採用者比率(30.7%)、労働者1人当たりの平均残業時間(13.3時間)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 経済・市場環境の変化と顧客のIT投資動向
同社は一般企業のシステム受託開発を主要事業としており、顧客のIT投資意欲は経済情勢に影響を受けます。景気悪化等によりIT投資が減少した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。これに対し、金融や製造、流通など幅広い業種の案件を受注することでリスクの分散と低減を図っています。
■(2) 情報漏洩等の情報セキュリティリスク
業務遂行において顧客の機密情報を取り扱うため、情報漏洩が発生した場合は損害賠償や信用の失墜につながるリスクがあります。同社はプライバシーマークを取得し、情報セキュリティルールの周知徹底や定期的な社員教育を実施するとともに、サイバー攻撃への対策を強化してリスク低減に努めています。
■(3) 優秀なIT人材の確保と育成
労働人口の減少により、IT業界全体で優秀な技術者の確保が困難になっています。人材の確保や育成が計画通りに進まない場合、事業成長に影響を及ぼすリスクがあります。同社は日本と中国の双方で優秀な人材を安定的に採用する仕組みを構築し、社内研修の充実によって技術力の底上げと定着を図っています。



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