※本記事は、株式会社オプトラン の有価証券報告書(2025年12月期、2025年1月1日 ~ 2025年12月31日、2026年3月25日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
オプトランは、光学薄膜装置の製造・販売を主要事業とする企業グループです。スマートフォンや車載カメラ、生体認証センサーなど、多岐にわたる最終製品に用いられる光学薄膜の成膜装置を提供し、成膜ソリューションも手掛けています。
単体従業員数は87名、連結従業員数は620名です。同社グループの事業は成膜装置事業の単一セグメントとなっています。
主な国内グループ会社は、ナノリソティックスなどです。
直近では、AIメカテック株式会社の株式取得により投資有価証券が増加しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
株式会社オプトランは、成膜装置事業を展開するプライム市場上場企業として、専門性の高い技術領域で事業を推進しています。従業員の平均年齢や勤続年数から、経験豊富な人材が長く活躍できる環境がうかがえます。同社グループは、人材育成や多様性の推進にも積極的に取り組んでおり、安定したキャリア形成と成長が期待できるでしょう。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、平均年齢が40代前半、平均勤続年数が9年となっており、一定の経験を積んだ従業員が長く在籍している傾向が見られます。これは、専門性の高い事業領域において、従業員が腰を据えてキャリアを築ける環境があることを示唆しています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 7,939,477円 |
| 平均勤続年数 | 9.0年 |
| 平均年齢 | 41.8歳 |
| 単体従業員数 | 87人 |
| 連結従業員数 | 620人 |
| 単体のグループ内比率 | 14.0% |
同社は、従業員の退職給付に充てるため、退職一時金制度を採用しています。
ただし支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、薄膜技術を通じて高度情報化社会に貢献することを目指し、事業を展開しています。継続的な成長のため、専門性の高い人材の確保と人的資本への投資を重視しています。創業以来、グローバルな経営陣のもと、性別や国籍を問わず能力ある人材を適材適所で配置し、成長を続けてきました。
具体的な取り組みとして、会社費用負担による社員研修の実施、従業員の安全・健康の確保、株式報酬の付与といったフリンジベネフィットの拡充、大学博士課程への派遣など、多様な施策を展開しています。また、国内外各拠点では現地化を基本とし、現地の法制度や文化、人員構成に適した組織運営を行っており、今後も多様な社員構成を最大限に生かした能力向上を目指しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。管理職に占める女性労働者の割合は、課長代理以上の職位にある者を管理職と定めた場合、6.1%となります。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 0.0% |
| 男性育児休業取得率 | 75.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 56.3% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 55.2% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 145.5% |
人材育成・エンゲージメント
研修時間は、会社主催又は会社が承認した研修の時間に限り算出しています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 1人当たり研修時間 | 6時間 |
健康・安全
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 健康診断受診率 | 85% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
株式会社オプトランは、光学薄膜装置の製造・販売を主軸とする企業です。スマートフォンや自動車、光通信といった幅広い分野で活用される光学薄膜技術を支え、顧客の多様なニーズに応えるソリューションを提供しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、光学薄膜装置の製造・販売を主要な事業としています。光学薄膜は、スマートフォンやタブレットのタッチパネル、生体認証センサー、カメラモジュール、車載カメラなど、多岐にわたる最終製品に利用されています。同社グループは装置の販売だけでなく、成膜プロセスに関するアドバイスや、光学薄膜成膜技術のノウハウを活用したソリューション提供を特徴としています。
収益は、光学薄膜装置の販売と保守サービスから得ています。顧客は光学薄膜成膜メーカーや、光学薄膜を用いる最終製品メーカーです。同社グループの事業は成膜装置事業の単一セグメントであり、特定の製品・サービス区分に収益が集中する傾向があります。
地域別に見ると、中国市場からの売上高が大部分を占めており、次いで台湾、ベトナム、日本と続きます。前連結会計年度には特定の顧客への売上高集中が見られましたが、当連結会計年度においては、総販売高の10%以上を占める特定の相手先はいなくなりました。世界経済の動向や米国の関税政策、中国経済の低迷、地政学リスクの高まりは、同社グループの事業環境に影響を与える要因となっています。また、円高による為替差損の計上も、経常利益に影響を与えています。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの直近5期間の業績を見ると、売上高は概ね増加傾向にありましたが、直近の連結会計年度では前期比で増収となりました。一方で、経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益は、直近の連結会計年度において前期から大きく減少しています。これは、利益率の高いALD装置販売の減少や棚卸資産評価損の計上、円高による為替差損などが影響したためです。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 309億円 | 343億円 | 368億円 | 324億円 | 339億円 |
| 経常利益 | 79.0億円 | 87.6億円 | 60.5億円 | 81.9億円 | 32.0億円 |
| 経常利益率 | 25.6% | 25.5% | 16.4% | 25.3% | 9.5% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 63.3億円 | 68.9億円 | 46.3億円 | 63.5億円 | 29.6億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 146.83 | 159.01 | 106.14 | 145.31 | 73.30 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高は、前期からわずかに増加しました。しかし、従業員1人あたりの営業利益は前期から大きく減少しており、収益性の低下がうかがえます。これは、売上高は増加したものの、利益率の高い製品の販売減少やコスト増が影響し、全体の利益が減少したことによるものと考えられます。
| 指標 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 54.4百万円 | 54.6百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 11.0百万円 | 5.4百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
オプトランの経営の安定性について、財務基盤、キャッシュフロー、そして事業リスクの観点から見ていきます。同社グループの財務状況や資金の流れ、事業を取り巻くリスクを把握することは、安心して働くための重要な情報となります。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
オプトランの財務基盤は、高い自己資本比率と潤沢な手元資金によって特徴づけられています。当期の自己資本比率は66.6%となっており、プライム市場の製造業平均と比較して高い水準を示しています。これは、外部からの借入に過度に依存しない安定した経営基盤があることを示しています。
ROE(自己資本利益率)は当期で5.1%となり、前期の11.0%から減少しています。プライム市場平均の9.4%と比較すると、当期は下回る水準となっています。
手元資金である現金及び預金は、当期末で314億円を確保しています。この潤沢な資金は、不測の事態への耐性や将来の事業展開に向けた柔軟性をもたらし、入社後の雇用や給与の安定性にもつながる要素となります。
| 指標 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 590億円 | 576億円 |
| 自己資本比率 | 72.1% | 66.6% |
| ROE(自己資本利益率) | 11.0% | 5.1% |
| 現金及び預金 | 325億円 | 314億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
オプトランのキャッシュフローを見ると、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローは、当期に85.3億円の収入となりました。これは仕入債務や契約負債の増加などが主な要因となっています。前期と比較して営業キャッシュフローは増加しています。
投資活動によるキャッシュフローは、当期に2.6億円の収入となりました。投資有価証券の取得による支出があったものの、定期預金の払戻による収入がこれを上回ったためです。前期は投資活動による支出が大きかったことから、当期は投資活動の方向性が変化しています。
財務活動によるキャッシュフローは、当期に62.6億円の支出となりました。自己株式の取得や配当金の支払いが主な要因です。
結果として、本業で得た資金が投資を上回り、自由に使える資金であるフリーキャッシュフローは当期に87.9億円のプラスとなっています。この状況は、同社グループが安定した資金創出力を持つとともに、財務的な健全性を維持していることを示しており、入社後の雇用や給与の安定性につながる基盤があると言えます。
| 項目 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 50.5億円 | 85.3億円 |
| 投資CF | △77.0億円 | 2.6億円 |
| 財務CF | △38.1億円 | △62.6億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △26.5億円 | 87.9億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、連結売上高の多くを中国向けが占めており、生産活動も中国・台湾に集中しています。そのため、中国の経済、政治、法律、社会情勢等の変化が同社グループの事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
また、米ドル建ての取引が多く、仕入れや賃金の支払いは人民元建てで行われているため、外国為替相場の変動が業績に影響を与えるリスクがあります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、事業拡大のために専門スキルの高い優秀な人材の確保を重要視しています。しかし、人材獲得競争が激しいことや、有能な人材が流出する可能性があり、これが事業展開に影響を及ぼすリスクがあります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
オプトランは、薄膜技術の限界に挑戦し、高度情報化社会への貢献を目指す企業です。国際性豊かな経営陣と社員が知識創造型企業を目指し、オプトナノテクノロジーを核としたトータルソリューションを提供しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
オプトランは、「薄膜技術の限界にチャレンジすることを通じ、高度情報化社会への貢献を実現する」ことを使命としています。同社グループは「国際性ある経営陣・社員が知識創造型企業を目指す」ことを信条とし、「オプトナノテクノロジーをコア技術とし、お客様にトータルソリューションを提供する」というビジョンを掲げています。光学薄膜装置のリーディングカンパニーとしてグローバルに事業を展開しており、今後は半導体光学および電子デバイスを光学に次ぐ事業成長の柱と位置づけています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
オプトランは、「国際性ある経営陣・社員が知識創造型企業を目指す」ことを信条としています。同社グループは創業以来、グローバルなバックグラウンドを持つ経営陣による事業運営のもと、性別や人種、国籍を問わず能力ある人材を採用し、適材適所の要員配置により成長を続けてきました。人的資本投資においては、自らチャレンジするテーマとプロフェッショナル同士の協働をコンセプトに、優秀な人材の抜擢と公平な評価を実現しています。2026年からはジョブ型人事制度を導入し、報酬制度の改善を通じて社員のエンゲージメント向上を図る方針です。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
オプトランは、対処すべき課題として、事業領域別グローバル事業運営体制の構築を挙げています。光学・半導体光学・電子デバイスの3つのコア事業領域において、各機能が相互横断的に連携するグローバル運営体制を構築し、経営基盤の拡充を図っています。
また、持続可能なサプライチェーン構築も重点テーマです。中華圏市場への依存度が高いことから、各地域が独立して事業運営可能な体制構築を進め、グローバルサプライチェーンのリスク分散を図っています。
さらに、サステナブル経営の推進も重要な課題です。SDGs・ESGへの取り組みを重視し、環境負荷を低減する製品開発や地域貢献活動に積極的に取り組んでいます。ガバナンスの透明性・公正性を高め、ステークホルダーとの対話を通じて持続的成長に向けた強固なガバナンスを目指しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
オプトランは監査役制度を採用しており、取締役会と監査役会を中心にコーポレート・ガバナンス体制を構築しています。執行役員制度により、迅速な意思決定と経営責任の明確化を図っています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
オプトランの筆頭株主は浙江水晶光電科技股份有限公司です。同社は事業会社であり、オプトランの経営を支える主要な存在となっています。その他、日本マスタートラスト信託銀行などの機関投資家や個人株主が上位に名を連ねています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 浙江水晶光電科技股份有限公司 | 16.33% |
| 日本マスタートラスト信託銀行 | 13.73% |
| 孫 大雄 | 6.22% |
なお、シュローダー・インベストメント・マネジメントは2025年11月28日に2,305千株を保有している旨が大量保有報告書に記載されていますが、2025年12月31日現在の実質所有株式数は確認できていません。
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
オプトランの役員は9名(男性8名・女性1名)で構成され、女性役員比率は11.0%です。代表取締役社長執行役員は範賓氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 範 賓 | 代表取締役社長執行役員 | 1994年中国科学院上海技術物理研究所入所後、2000年に同社入社。技術開発部長、執行役員、取締役を経て、2022年3月より同社代表取締役社長執行役員に就任し、現在に至ります。光馳科技(上海)有限公司董事長なども兼任しています。 |
| 林 為平 | 取締役会長 | 1981年中国上海半導体デバイス研究所入所後、2000年に同社入社。執行役員、取締役、代表取締役社長執行役員を経て、2022年3月より同社取締役会長に就任し、現在に至ります。光馳科技(上海)有限公司董事なども兼任しています。 |
| 近藤 宏治 | 取締役 | 1997年監査法人トーマツ入所後、Deloitte Italy S.p.A駐在を経て、2023年に同社執行役員経理財務部長に就任。2024年3月より同社取締役執行役員経営管理部長、2026年1月より同社取締役に就任し、現在に至ります。 |
社外取締役は、林敏氏(浙江水晶光電科技股份有限公司董事)、瀧口匡氏(ウエルインベストメント代表取締役社長・指名委員会委員長・報酬委員会委員長)、島岡未来子氏(神奈川県立保健福祉大学教授・指名委員会委員・報酬委員会委員)です。
オプトランは監査役会設置会社です。社外取締役は、内部監査室、監査役、会計監査人と連携し、経営の監督と助言を行っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
オプトランの常勤取締役の報酬は、基本報酬、賞与、退任型譲渡制限付株式付与、業績連動型譲渡制限付株式付与で構成されています。基本報酬は固定報酬部分と業績連動賞与から成り、賞与は連結経常利益の事業計画と実績に基づいて決定されます。譲渡制限付株式付与制度は、退任型と業績連動型の2種類があります。監査役の報酬は固定報酬のみです。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 3名 | 6.1億円 | 2.02億円 |
| 監査役(社外除く) | 2名 | 6百万円 | 3.0百万円 |
| 社外取締役 | 4名 | 25百万円 | 6.2百万円 |
| 社外監査役 | 2名 | 8百万円 | 4.0百万円 |
同社役員報酬等の総額は6.46億円で、対象となる役員の合計は11名です。
なお、報酬等の総額には、使用人兼務取締役の使用人分給与及び賞与として取締役1名に対し23百万円が別途支給されています。また、監査役(社外監査役を除く。)及び社外取締役それぞれの報酬等の額には、期中に退任した役員の在任中の報酬が含まれます。
個人別報酬が開示されている役員は、林為平氏(2.90億円)、範賓氏(2.96億円)です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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