ロココ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ロココ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ロココは東京証券取引所スタンダード市場に上場し、ITサービスマネジメント等のITO&BPO事業や、ServiceNow導入支援などのクラウドソリューション事業を展開しています。直近の業績は売上高が約92億円、経常利益が約5億円と増収増益のトレンドにあり、企業のDX推進需要を背景に順調に成長しています。


※本記事は、株式会社ロココの有価証券報告書(第32期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ロココってどんな会社?


企業のDXを推進するITO&BPO事業やクラウドソリューション事業を主力としています。

(1) 会社概要


1994年6月にロココを設立し、1997年に24時間サポートデスク事業を開始しました。2005年には中国上海市に子会社を設立して海外展開を本格化し、その後フィリピンやポーランドにも拠点を設けるなど事業を拡大しました。そして、2023年12月に東京証券取引所スタンダード市場へ上場を果たしています。

同社グループの従業員数は連結で712名、単体で633名です。筆頭株主は創業者の資産管理会社であるイッシンで、第2位は創業者の長谷川一彦氏、第3位はロココ社員持株会となっています。

氏名 持株比率
イッシン 28.84%
長谷川 一彦 11.13%
ロココ社員持株会 3.97%

(2) 経営陣


同社の役員は男性14名、女性1名の計15名で構成され、女性役員比率は6.7%です。代表取締役社長は長谷川一彦氏が務めています。

氏名 役職 主な経歴
長谷川 一彦 代表取締役社長 1971年コンピュータサービス入社。1994年同社設立。同年より現職。
吉原 美智代 専務取締役管理本部長 1985年西尾レントオール入社。1995年同社入社。2015年より現職。
長谷川 正人 専務取締役事業統括本部長 2001年三井物産入社。2013年同社入社。2020年より現職。
水野 賢仁 常務取締役管理副本部長 1994年エム・アイ・ディ観光入社。2015年同社入社。2024年より現職。
関口 晃 取締役事業統括本部第2事業本部長 1988年群馬総合電算入社。1990年同社転籍。2020年より現職。
河村 博文 取締役新製品開発本部長兼ポーランド担当 1996年同社入社。2015年同社入社社長室長。2022年より現職。
諏訪 貴之 取締役事業統括本部第1事業本部長 2007年華龍東光科技有限公司入社。2011年同社入社。2025年より現職。
福田 勝志 取締役営業統括本部副本部長 1996年小浦石油入社。2002年同社入社。2025年より現職。
浅野 眞吾 取締役営業統括本部長 1985年富士銀行入社。2023年同社入社。2025年より現職。


社外取締役は、中前公志(元関西みらいフィナンシャルグループ代表取締役)、野村新平(弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ITO&BPO事業」「クラウドソリューション事業」および「その他」事業を展開しています。

ITO&BPO事業


IT人材の常駐によるアウトソース、コールセンター・BPOサービス、イベント向けのチケッティングサービス、自社製品の顔認証システムの開発や保守などを提供しています。製造業や金融機関をはじめ多岐にわたる企業が顧客です。

顧客企業のオペレーションの一部を担い、契約の長期継続を基本とする収益モデルを構築しています。技術提供や業務請負による対価を受け取っており、事業の運営は主に同社が行っています。

クラウドソリューション事業


米国ServiceNow社のプラットフォームシステムの導入支援や運用保守、自社製品の勤怠管理システムなどの開発・販売、システムの受託開発やエンジニア常駐・保守を提供しています。

システム導入支援や保守、自社ライセンスの供与などによる収益を基盤としています。多様な業種における豊富な導入実績を有しており、事業の運営は主に同社が担当しています。

その他(海外事業)


中国の寧波、フィリピンのセブ、ポーランドのウッチなどを拠点として、システム開発の一部や研究開発業務の受託を行っています。

システム開発のオフショア委託によるコスト面およびスピード面の優位性向上から収益を獲得しています。運営は寧波楽科科信息技術有限公司やRococo Global Technologies Corporationなどが担当しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績推移を見ると、売上高は安定して成長を続けており、足元では92億円まで拡大しています。経常利益も4億円から7億円の範囲で推移し、着実な利益水準を維持しています。利益率は一時的に上昇した時期を経て、近年は安定的な推移を見せています。

項目 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期
売上高 63億円 69億円 72億円 78億円 92億円
経常利益 4億円 7億円 5億円 4億円 5億円
利益率(%) 6.5% 10.1% 6.3% 5.7% 5.5%
当期利益(親会社所有者帰属) 3億円 5億円 3億円 3億円 3億円

(2) 損益計算書


直近2期間の損益構成を比較します。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上高 78億円 92億円
売上総利益 28億円 31億円
売上総利益率(%) 36.4% 34.2%
営業利益 4億円 5億円
営業利益率(%) 5.5% 5.7%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が6億円(構成比24%)、役員報酬が3億円(同13%)を占めています。売上原価については、労務費が34億円(構成比56%)、外注費が14億円(同23%)を占めています。

(3) セグメント収益


セグメント別の収益を見ると、ITO&BPO事業は新規顧客の獲得や既存取引先の増員などにより増収増益を達成しました。クラウドソリューション事業もServiceNow事業などにおける新規契約の獲得により好調に推移し、増収増益を記録しています。

区分 売上(2024年12月期) 売上(2025年12月期) 利益(2024年12月期) 利益(2025年12月期) 利益率
ITO&BPO事業 51億円 62億円 3億円 3億円 5.5%
クラウドソリューション事業 25億円 29億円 1億円 2億円 5.9%
その他 1億円 1億円 0.3億円 0.2億円 12.4%
連結(合計) 78億円 92億円 4億円 5億円 5.7%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

同社は、事業活動に必要な流動性を安定的に確保するため、銀行との間でコミットメントライン枠を設定しています。

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の計上や売上債権の減少、未払金・未払費用の増加などにより増加しました。投資活動では、子会社株式の取得や投資有価証券の取得、定期預金の預入、無形固定資産の取得により資金を使用しました。財務活動では、長期借入れによる収入があったものの、長期借入金の返済や社債の償還、リース債務の返済、配当金の支払いにより資金を使用しました。

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業CF 3億円 7億円
投資CF -0.8億円 -6億円
財務CF -5億円 -0.7億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「人を大切にするココロのこもったサービスを提供すること」「最先端技術による創造的なソリューションサービスを提供すること」「事業の安定化に向けた基盤構築を提供すること」の3つを基本方針とし、情報と通信と人材を効果的にマネジメントして新しい価値を提供することで、信頼されるパートナーとなることを信条としています。

(2) 企業文化


一人ひとりの個性を尊重し絆を作り上げ、より大きなパフォーマンスを発揮することで築いていく強い信頼こそが課題解決に必要な心構えであると考えています。多様な特性を持つ自然の石を組み上げることで揺るぎない石垣を築き上げる「礎」が信頼の原点であり、すべての従業員の行動指針となる「社心」として根付いています。

(3) 経営計画・目標


企業価値を継続的に拡大することが重要であると考え、売上高および営業利益を重要な経営指標として定めています。高収益事業の開発とビジネスモデルの確立により、これらの指標の継続的な向上を図っています。

* 売上高:86億円
* 営業利益:5億円

(4) 成長戦略と重点施策


各事業のシナジーを生み出し、選択と集中により既存事業の強化を図ります。また、AIなどの先端技術を用いた創造的なソリューションを開発し、新たな領域における新サービスを生み出して主力事業へと育成する方針です。継続的な成長の原資である人材の育成にも注力し、事業成長との両立を目指しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


人材は最も重要な経営資源の1つであり、今後の事業拡大には優秀な人材の確保および育成が重要な課題であると認識しています。性別や国籍、職歴などの属性に関わらず、同社で活躍できる社員を幅広くフラットに採用することを基本方針とし、職能・階層別の体系的な研修制度の充実や働きやすい環境づくりに取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 38.7歳 7.7年 5,651,000円

※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 10.1%
男性育児休業取得率 66.7%
男女賃金差異(全労働者) 80.3%
男女賃金差異(正規雇用) 85.2%
男女賃金差異(非正規雇用) 40.6%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性の割合(38%程度)、外国人の割合(14%程度)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 競合の増加による競争激化


ITO&BPO業界やクラウド市場での参入企業の増加に伴い、明確な競争優位戦略を確立できなかった場合、事業および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。同社は継続的なサービス向上とクロスセルの創出で対応しています。

(2) イベントサービス事業における需要変動


コンサートや舞台などのイベントに関するチケッティングサービスを提供しているため、ウイルス感染症の蔓延やイベントの自粛などにより取扱件数が減少した場合、収益に影響を及ぼす可能性があります。他事業の強化等でリスク分散を図っています。

(3) 情報セキュリティと個人情報管理


事業の特性上、顧客の個人情報や機密情報を取り扱っているため、サイバー攻撃などにより情報流出が発生した場合、社会的信用の低下や損害賠償責任が生じ、業績に影響を及ぼす可能性があります。同社はISO27001等の取得により厳格な管理体制を整備しています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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