エニグモ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

エニグモ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

エニグモは東京証券取引所プライム市場に上場し、特化型マーケットプレイス「BUYMA」や「BUYMA TRAVEL」の運営を主力事業としています。直近の業績トレンドでは、取扱商品・サービスの拡充等により売上高が増加し増収となった一方、各事業への積極投資等により減益となる増収減益の傾向となっています。


※本記事は、エニグモの有価証券報告書(第22期、自 2025年2月1日 至 2026年1月31日、2026年4月27日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準はJapan GAAPです。

1. エニグモってどんな会社?


同社は、世界中のアイテムや旅行体験を個人間で取引できる特化型のマーケットプレイスを運営しています。

(1) 会社概要


2004年に設立され、2005年に世界中のファッションアイテムを購入できる「BUYMA」のサービスを開始しました。2012年には東京証券取引所マザーズ市場へ上場を果たしています。2018年には「BUYMA TRAVEL」をリリースし、2024年に関連会社を連結子会社化するなど事業領域を拡大しています。

現在の従業員数はグループ全体で157名、単体で119名です。筆頭株主は事業提携先でもあるソニーグループで、第2位および第3位は創業者の須田将啓氏と安藤英男氏となっています。

氏名 持株比率
ソニーグループ 25.20%
須田将啓 13.00%
安藤英男 8.60%

(2) 経営陣


同社の役員は男性5名、女性2名の計7名で構成され、女性役員比率は28.6%です。代表取締役最高経営責任者は須田将啓氏が務めており、社外取締役比率は57.1%となっています。

氏名 役職 主な経歴
須田将啓 代表取締役最高経営責任者 博報堂を経て、2004年に同社を設立し代表取締役に就任。2013年より現職。
安藤英男 取締役最高執行責任者 電通国際情報サービスを経て、2004年の同社設立時に監査役へ就任。2010年より現職。
金田洋一 取締役コーポレートオペレーション本部長 ビーワンフーズ事業部長等を経て、2010年に同社へ入社。2014年より現職。


社外取締役は、小田島伸至(ソニーグループ部門長)、髙原明子(リブ・コンサルティング社外取締役)、江戸川泰路(EDiX Professional Group代表パートナー)、志村直子(西村あさひ法律事務所パートナー弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「Fashion Platform事業」「Travel Platform事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) Fashion Platform事業


世界各国のパーソナルショッパーと呼ばれる出品者から、ファッションや美容などのライフスタイルアイテムを購入できるマーケットプレイス「BUYMA」の運営を行っています。在庫を持たずに現地価格に近い水準で商品を提供する仕組みにより、日本の消費者に世界中の最新トレンドや多様な商品との出会いを提供しています。

商品の取引が成立した際に、購入者からの決済システム利用料やオプション加入料、出品者からの成約手数料を受け取る仕組みで収益を得ています。この事業の運営は主にエニグモが担っており、マーケティングやシステム開発の自社運用を通じて高い収益性とスケーラビリティを実現しています。

(2) Travel Platform事業


海外在住の日本人が現地のプライベートツアーやユニークな体験を提供するCtoC型の旅行プラットフォーム「BUYMA TRAVEL」を展開しています。また、ハワイやグアムを拠点として、マリンスポーツなどの現地アクティビティサービスを提供する事業も行い、旅行者の多様なニーズに応えています。

旅行プラットフォームでは、プラン取引価格に応じた決済システム利用料や成約手数料を収益源としています。アクティビティサービスでは利用者の体験費用が収益となります。プラットフォームはBUYMA TRAVELが、現地サービスはMMS Guam Corporationなどがそれぞれ運営を行っています。

(3) その他


主力プラットフォーム事業以外の新規開発事業や関連サービスを展開しています。報告セグメントに含まれない分野における新たな収益源の構築を目指しており、人材関連事業として有料職業紹介や転職支援プラットフォームの開発と運営支援などを実施しています。

新規事業として立ち上げた転職支援関連のサービス利用料や仲介手数料などを主な収益源としています。この事業は主にエニグモと、2025年に完全子会社化されたゲツラクが両社一体となって運営を行っており、20代などの若手層に向けた転職支援を通じて事業成長を加速させています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近2期間の業績をみると、主要事業のプラットフォーム取引拡大や新規子会社の連結化などが寄与し、売上高は安定して増加傾向にあります。一方で、利益面については広告宣伝やシステム強化など成長領域への積極的な投資負担が先行しており、経常利益は大きく減少する結果となっています。

項目 2025年1月期 2026年1月期
売上高 59億円 63億円
経常利益 7億円 0.4億円
利益率(%) 11.7% 0.7%
当期利益(親会社所有者帰属) 6億円 7億円

(2) 損益計算書


売上高は増加しているものの、売上原価の増加等により売上総利益は横ばいにとどまっています。さらに、成長領域への投資や人材確保に伴う費用増加が響き、営業利益は前期から大きく減少し、利益率も低下する結果となりました。

項目 2025年1月期 2026年1月期
売上高 59億円 63億円
売上総利益 45億円 45億円
売上総利益率(%) 76.3% 71.9%
営業利益 7億円 0.5億円
営業利益率(%) 12.5% 0.7%


販売費及び一般管理費のうち、広告宣伝費が10億円(構成比22%)、給料及び手当が9億円(同20%)、システム関連費が5億円(同11%)を占めています。

(3) セグメント収益


セグメント別の売上高をみると、中核となるファッション関連のプラットフォーム事業は、消費者の購買行動の変化などから減収となりました。一方、旅行関連のプラットフォーム事業は、海外旅行需要の回復や関連企業の連結子会社化などが寄与し、大幅な増収を達成しています。

区分 売上(2025年1月期) 売上(2026年1月期)
Fashion Platform事業 56億円 54億円
Travel Platform事業 3億円 9億円
その他 - 0.2億円
連結(合計) 59億円 63億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は2.8%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は76.6%で市場平均を上回っています。

項目 2025年1月期 2026年1月期
営業CF 3億円 2億円
投資CF -14億円 -13億円
財務CF -3億円 -6億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「世界を変える、新しい流れを。」というミッションを掲げています。インターネットを通じて法人と個人の垣根を取り払い、誰もが多様な専門性を生かすことで今まで存在しなかった新しい価値を創造することを経営の基本方針としています。この取り組みを通じて世界をよりよく変え、継続的な企業価値および株主価値の増大を図ることを使命として事業活動を展開しています。

(2) 企業文化


同社はミッション実現に向けた行動指針として、3つのVALUE(価値基準)を重視しています。他人や環境に左右されず自ら目標に向かう「Self-Starter」、自分の強みを鍛えて期待値を超えていく「Out-Performer」、日頃からチームのパフォーマンスに貢献する「Team-Builder」です。従業員一人ひとりがこの価値基準に基づいて行動する組織文化を醸成しています。

(3) 経営計画・目標


同社は継続的な事業拡大と企業価値の向上を図るため、「売上高」と「調整後EPS(1株当たり利益)」を重要な経営指標として設定しています。また、既存事業以外からの安定的な収益基盤を確立するため、中長期的な目標として以下の具体的な数値目標を掲げて事業を展開しています。

- 2027年1月期までに「BUYMA」事業以外の売上高30億円以上
- 2028年1月期までに海外向け売上高10億円の達成

(4) 成長戦略と重点施策


同社は、主力事業で培ってきたノウハウや出品者ネットワークの基盤に、オウンドメディアやリセールなどを加え、ファッション領域の出会いから処分までを一気通貫で提供する「経済圏」の確立・拡大を成長戦略の軸としています。今後はM&Aやアライアンスも積極的に活用し、新たな収益の柱となる特化型マーケットプレイスを複数構築することを目指します。事業と財務の両面から積極的な投資とプラットフォームの安全性強化に取り組みます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、新たなサービス開発に不可欠な技術的スキルやビジネススキルの習得など、従業員一人ひとりの自律的なキャリア開発を後押しする人材育成方針を掲げています。また、年齢や性別、国籍などにとらわれず、すべての従業員に成長機会を提供し、リモートワークの推進や1on1ミーティングによるメンタリング制度を充実させることで、多様な人材が柔軟に活躍できる環境整備に努めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年1月期 37.8歳 6.1年 6,807,923円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 45.8%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) -
男女賃金差異(正規雇用) -
男女賃金差異(非正規雇用) -


同社および連結子会社は法定の規定による公表義務の対象ではないため、有報には男性労働者の育児休業取得率および労働者の男女の賃金の差異の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) サイトユーザー間のトラブル発生


同社が提供するプラットフォーム上でユーザー間にトラブルが発生した場合、担当者が事実確認や改善要求、加盟契約の解除などの対応を行っています。しかし、すべての当事者が納得するとは限らず、サービスに対する評判の低下や風評被害が生じた場合、同社のブランドイメージや業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) クレジットカード等の不正利用


プラットフォーム上の取引においては、クレジットカード等による決済手段を提供しています。担当部署による人的監視やシステム監視によって第三者の不正利用防止に努めていますが、万が一不正利用を完全に防げなかった場合、ユーザーへの補填対応や信用下落による損害が発生し、今後の事業展開に影響を及ぼすリスクがあります。

(3) 投融資・新規事業展開の不確実性


事業拡大に向け、子会社設立や買収などの投融資、海外を含む新規事業の展開を積極的に行っています。これらの投融資は多額に上る可能性があり、計画通りに事業が進捗しない場合や予期せぬ市場変動が生じた場合、投資資金の回収が困難となり、同社グループの財政状態および経営成績に重要な影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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