※本記事は、株式会社エニグモ の有価証券報告書(第21期、自 2024年2月1日 至 2025年1月31日、2025年4月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. エニグモってどんな会社?
ソーシャルショッピングサイト「BUYMA(バイマ)」を中核に、ファッションや旅行領域でCtoCプラットフォーム事業を展開する企業です。
■(1) 会社概要
2004年に設立され、翌2005年にソーシャルショッピングサイト「BuyMa(現BUYMA)」のサービスを開始しました。2012年に東証マザーズへ上場し、2019年には東証一部(現プライム市場)へ市場変更を行っています。2024年5月には株式会社BUYMA TRAVEL等を連結子会社化し、第21期より連結決算へ移行しました。
同グループの従業員数は連結149名、単体114名です。筆頭株主はソニーグループ(事業会社)で、第2位は創業者である須田将啓氏、第3位は取締役の安藤英男氏となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| ソニーグループ | 25.22% |
| 須田 将啓 | 13.01% |
| 安藤 英男 | 8.70% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性1名の計7名で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役最高経営責任者は須田将啓氏が務めています。社外取締役比率は57.1%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 須田 将啓 | 代表取締役最高経営責任者 | 博報堂を経て、2004年に同社を設立し代表取締役に就任。2005年より共同最高経営責任者を務め、2013年より現職。 |
| 安藤 英男 | 取締役最高執行責任者 | 電通国際情報サービス(現:電通総研)を経て、2004年の同社設立時に監査役就任。2005年に取締役となり、2010年より現職。 |
| 金田 洋一 | 取締役コーポレートオペレーション本部長 | シートゥーネットワーク、ビーワンフーズ(現:エグザクト)を経て、2010年に同社入社。2012年に執行役員となり、2014年より現職。 |
社外取締役は、小田島伸至(ソニーグループ Business Acceleration and Collaboration部門 部門長)、髙原明子(元ウォンテッドリー常勤監査役)、西本強(日比谷パーク法律事務所パートナー弁護士)、江戸川泰路(EDiX Professional Group江戸川公認会計士事務所 代表パートナー)です。
2. 事業内容
同社グループは、「Fashion Platform事業」および「Travel Platform事業」を展開しています。
■(1) Fashion Platform事業
世界各国の出品者(パーソナルショッパー)からファッションアイテムを購入できるマーケットプレイス「BUYMA」を提供しています。日本にいながら世界中のトレンドアイテムや未上陸ブランドを購入できる点が特徴で、会員数は約1,152万人に達しています。
主な収益源は、商品の売買成立時にパーソナルショッパーおよび購入者から受け取る成約手数料や決済システム利用料、オプション料(あんしんプラス加入料)です。運営は主にエニグモが行っています。
■(2) Travel Platform事業
海外在住の日本人が現地でのプライベートツアーを提供する「BUYMA TRAVEL」および、グアム・ハワイでの「現地アクティビティサービス」を展開しています。現地ならではの体験や、日本語によるサポートを提供することで、新しい旅のスタイルを提案しています。
収益は、旅行プランの取引に応じてパーソナルガイドおよび購入者から受け取る成約手数料や決済システム利用料などが柱です。運営は、連結子会社のBUYMA TRAVEL(旧MEGURU)およびその子会社であるMMS Guam Corporation等が担っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
第21期より連結財務諸表を作成しているため、2025年1月期の連結実績のみを記載します。連結初年度の売上高は約59億円、経常利益率は11.7%となりました。
| 項目 | 2025年1月期 |
|---|---|
| 売上高 | 59.3億円 |
| 経常利益 | 6.9億円 |
| 利益率(%) | 11.7% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 4.3億円 |
■(2) 損益計算書
第21期より連結決算へ移行したため、2025年1月期の単年実績を記載します。高い売上総利益率(76.3%)を維持しており、営業利益率は12.5%となっています。
| 項目 | 2025年1月期 |
|---|---|
| 売上高 | 59.3億円 |
| 売上総利益 | 45.2億円 |
| 売上総利益率(%) | 76.3% |
| 営業利益 | 7.4億円 |
| 営業利益率(%) | 12.5% |
販売費及び一般管理費のうち、広告宣伝費が8.4億円(構成比22%)、給料及び手当が8.4億円(同22%)を占めています。売上原価に関しては、データが開示されていません。
■(3) セグメント収益
主力のFashion Platform事業が売上の大半を占めていますが、Travel Platform事業も新たに連結化され収益寄与が始まりました。Fashion Platform事業は高い利益率を確保している一方、Travel Platform事業は先行投資等の影響もあり損失を計上しています。
| 区分 | 売上(2025年1月期) | 利益(2025年1月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|
| Fashion Platform事業 | 56.4億円 | 15.8億円 | 28.0% |
| Travel Platform事業 | 2.9億円 | -1.8億円 | -61.2% |
| 調整額 | - | -6.6億円 | - |
| 連結(合計) | 59.3億円 | 7.4億円 | 12.5% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
投資CFのマイナスは、投資有価証券の取得や子会社持分取得のための前払金の支出等によるものです。財務CFのマイナスは、配当金の支払額による支出が多くを占めています。
| 項目 | 2025年1月期 |
|---|---|
| 営業CF | 2.7億円 |
| 投資CF | -14.1億円 |
| 財務CF | -3.0億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は3.8%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は78.9%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは「世界を変える、新しい流れを。」というミッションを掲げています。インターネットを通じて法人・個人の垣根を壊し、誰もが多様な専門性を生かすことで新しい価値を創造することを目指しています。このミッションの下、Specialty Marketplaceを中核とした事業を展開し、企業価値および株主価値の増大を図る方針です。
■(2) 企業文化
同社は行動指針として「VALUE」を定めており、以下の3つの要素で構成されています。「Self-Starter(自ら目標を見つけ突き進める人)」、「Out-Performer(常識や限界を超えていく人)」、「Team-Builder(チーム作りとパフォーマンスに貢献できる人)」です。これらを体現することで、ミッションの実現に挑戦する文化を醸成しています。
■(3) 経営計画・目標
同社グループは継続的な事業拡大と企業価値向上のため、売上高および営業利益を重要な経営指標として位置づけています。具体的な数値目標として以下を掲げています。
* 2028年1月期までに海外向け売上高10億円
* 2025年1月期までに「BUYMA」事業以外で売上高10億円以上(KPIとして設定)
■(4) 成長戦略と重点施策
「BUYMA」および「BUYMA TRAVEL」を中心とした事業基盤の強化と、積極的な投資による事業拡大を戦略として掲げています。具体的には、サービスの知名度向上、プラットフォームの安全性強化、取扱サービス・商品の拡充、グローバル展開などを推進します。また、M&Aやアライアンスも活用し、Specialty Marketplaceの複数構築を目指しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「世界を変える、新しい流れを。」というミッション達成のため、多様な人材の活躍を推進しています。人材育成においては、技術的スキルやビジネススキルの習得支援、自己啓発サポートを行い、従業員のキャリア開発を後押ししています。また、公正な賃金、リモートワーク推進、1on1ミーティングの充実など、働きがいのある職場環境の整備に努めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年1月期 | 36.9歳 | 5.6年 | 7,009,825円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 38.1% |
なお同社は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」の規定による公表義務の対象ではないため、男性労働者の育児休業取得率、労働者の男女の賃金の差異の記載を省略しております。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) ユーザー間のトラブルによる影響
同社グループのサービスはユーザー間で取引が行われるCtoCモデルであるため、トラブルが発生した場合、サイトの評判低下や風評被害により業績に影響を与える可能性があります。トラブル原因の改善や啓蒙活動、カスタマーサポートによる解決支援に努めています。
■(2) 不正利用に関するリスク
クレジットカード決済を提供しているため、第三者による不正利用のリスクがあります。人的監視やシステム監視による対策を行っていますが、不正利用を防止できなかった場合、補填費用の発生や信用の低下により、業績や事業展開に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 投融資・新規事業展開のリスク
事業拡大のために子会社設立やM&A、新規事業への投資を行っていますが、計画通りに進捗しない場合や予期せぬ要因が発生した場合、投資回収ができず業績に影響を与える可能性があります。定期的な情報連携や状況把握によりリスク低減に努めています。
■(4) 海外事業展開におけるリスク
国内だけでなく海外でもサービスを展開しており、今後さらに事業を拡大していく方針です。しかし、海外事業計画が予定通りに進捗しなかった場合、業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。進捗や課題を定期的に管理することで対応しています。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。