※本記事は、DAIWA CYCLE株式会社 の有価証券報告書(2026年1月期、2025年2月1日 ~ 2026年1月31日、2026年4月23日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
DAIWA CYCLEは、「自転車の〔新しいアタリマエ〕を創る」という経営理念のもと、主に店舗で自転車やパーツの販売、整備・修理サービスを提供する企業です。環境負荷の低さや健康志向の高まりで自転車の価値が高まる中、同社は顧客の利便性向上と出店拡大を進めています。
単体従業員数は758名です。同社は「自転車関連販売事業」の単一セグメントで事業を展開しています。
DAIWA CYCLEは、2026年1月末時点で国内に直営150店舗、FC4店舗の計154店舗を展開し、ECサイトも運営しています。ECサイトでは店舗受取りサービスも提供しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
DAIWA CYCLEは、自転車関連販売事業を展開する企業です。比較的若い世代が中心となって活躍しており、働きがいのある環境が期待できます。
同社は人的資本に関する取り組みも積極的に行っており、多様な人材の確保と育成に注力していることがうかがえます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
平均勤続年数と平均年齢から、比較的若い世代が中心となって活躍している傾向が見られます。長く働く従業員もおり、安定したキャリア形成が可能な環境であると言えるでしょう。人材の定着と成長を重視する姿勢がうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 4,335,000円 |
| 平均勤続年数 | 5年3ヶ月 |
| 平均年齢 | 29歳10ヶ月 |
| 単体従業員数 | 758人 |
同社は確定給付型の制度(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる制度)を設けています。この制度は同社単体を対象としています。
退職一時金制度があります。ただし支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。なお、退職給付債務は75百万円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
DAIWA CYCLEは、経営理念「自転車の〔新しいアタリマエ〕を創る」のもとに、自転車でより良い人々の暮らしに貢献することを目指しています。社会全体との共栄が同社の持続的な成長にとって不可欠であると考えています。
同社は、サステナビリティに関する重要課題(マテリアリティ)の一つとして「多様な人材の確保と育成」を特定しています。サステナビリティ活動を重要な経営課題と捉え、取締役会の直属機関としてサステナビリティ委員会を設置し、積極的かつ着実に推進しています。
人的資本に関する具体的な取り組みとして、「自転車安全整備士及び自転車技士の保有者数」「年間女性採用数」「男性育児休業取得率」「正規雇用者離職率」といった指標を設定し、目標を掲げています。これらは多様な人材の確保と育成、働きやすい環境整備への具体的な取り組みを示しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。各指標は、女性活躍推進法および育児介護休業法に基づき算出されています。男性労働者の育児休業取得率は、過年度に配偶者が出産した男性労働者が当事業年度に育児休業等を取得することがあるため、取得率が100%を超えることがあります。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 4.9% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 85.7% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 55.7% |
| 労働者の男女の賃金の差異(うち正規雇用労働者) | 88.8% |
| 労働者の男女の賃金の差異(うちパート・有期労働者) | 85.2% |
人的資本に関する戦略及び取り組みに関する指標及び目標、実績
男性育児休業取得率は、育児休業取得者数を配偶者が出産した社員数で除して算出されています。正規雇用者離職率は、厚生労働省の雇用動向調査に準じて算出されています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 自転車安全整備士及び自転車技士の保有者数 | 430名 |
| 年間女性採用数 | 28名 |
| 男性育児休業取得率 | 85.7% |
| 正規雇用者離職率 | 11.9% |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
ダイワサイクルは、自転車の販売と関連サービスの提供を通じて、人々のより良い暮らしに貢献することを目指しています。顧客の自転車生活を多角的にサポートする事業構造が特徴です。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社は「自転車関連販売事業」を単一のセグメントとして展開しています。主に店舗において自転車本体やパーツ・アクセサリーの販売、そして整備や修理サービスの提供を行っています。近年、環境負荷の低い移動手段としての自転車の再評価や、健康志向の高まりによるサイクリング利用の増加など、自転車の価値が高まる市場環境にあります。
収益は、直営店、フランチャイズ(FC)店、およびECサイトを通じた最終消費者への直接販売から得ています。国内外のナショナルブランド商品に加え、同社が企画・開発したプライベートブランド商品も取り扱っており、豊富な品揃えで顧客ニーズに応えています。特に、パンクや鍵の紛失といったトラブルに対応する「出張修理」サービスや、購入後の定期点検・盗難補償を含む「ダイワサポートパック」の提供を通じて、購入後の顧客との関係構築を重視しています。また、対面での丁寧な接客を重視し、顧客一人ひとりの利用環境やニーズに合わせた最適な自転車と快適な自転車生活を提案しています。店舗は関西・関東・中部の郊外ロードサイドを中心に大型専門店を展開し、顧客が来店しやすい立地を意識したドミナント戦略を進めています。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社の直近の業績は、売上高、営業利益、経常利益、当期純利益のいずれも増加傾向を示しています。特に売上高は堅調な伸びを見せていますが、売上高成長率は前期からやや鈍化しています。また、売上高営業利益率は前期から下降しており、新規出店に伴う費用増加や人員増による人件費の増加などが影響していると考えられます。
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社は、事業活動で得た資金を将来の成長に向けた投資に充てている状況です。財務基盤や資金の流れから、同社の安定性と今後の方向性を確認できます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社の財務基盤は、自己資本比率が65.8%と、非製造業のプライム市場平均と比較して高い水準にあります。これは、安定した経営基盤を示しており、事業継続の安定性につながります。
手元資金である現金及び現金同等物は15.2億円となっていますが、前期からは減少しています。財務の安定性は、従業員の雇用や給与の安定性にも影響を与える要素です。
| 指標 | 2025年1月期(前期) | 2026年1月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 55.3億円 | 63.1億円 |
| 自己資本比率 | 64.4% | 65.8% |
| ROE(自己資本利益率) | - | - |
| 現金及び現金同等物 | 22.2億円 | 15.2億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社のキャッシュフローを見ると、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローは7.3億円の増加となりました。これは主に税引前当期純利益の計上や減価償却費、契約負債の増加によるものです。一方で、法人税等の支払いや棚卸資産、売上債権の増加が減少要因となっています。
投資活動によるキャッシュフローは△12.7億円の減少となり、有価証券の取得や有形固定資産の取得、差入保証金の差入による支出が主な要因です。財務活動によるキャッシュフローは△1.7億円の減少で、配当金の支払いが主な減少要因となっています。
これらの結果、フリーキャッシュフローはマイナスとなっており、本業で得た資金を将来の成長に向けた投資に積極的に充てている状況がうかがえます。このような資金の流れは、事業の拡大を目指す同社の成長性を示す一方で、手元資金を投資に回しているため、今後の事業展開が雇用や給与の安定性に影響を与える可能性があります。
| 項目 | 2025年1月期(前期) | 2026年1月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 11.5億円 | 7.3億円 |
| 投資CF | △4.9億円 | △12.7億円 |
| 財務CF | △1.2億円 | △1.7億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 6.6億円 | △5.3億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社は、PB商品を主に中国から輸入しており、NB商品の多くも中国で組み立てられ日本に輸入されています。そのため、為替の変動幅が予想以上に大きくなった場合、同社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
また、自転車関連販売事業においては、専門店やホームセンター、家電量販店、インターネット販売など、多様なチャネルとの厳しい競争にさらされています。
③ 人材・組織に関するリスク
同社は、自転車の整備や修理ができる人材の育成に時間がかかるため、新規出店を見越した人材の確保と育成が重要です。人材の採用数低下や離職率の上昇により、店舗数拡大ペースに対応した人材の確保・育成に支障をきたす場合、出店ペースの減速や顧客サービスの質の低下が、同社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
DAIWA CYCLEは、「自転車の〔新しいアタリマエ〕を創る」という経営理念のもと、人々の暮らしに貢献することを目指しています。ステークホルダーとの共栄と持続的な成長、企業価値の最大化を経営の基本方針としています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社は「自転車の〔新しいアタリマエ〕を創る」を経営理念に掲げています。この理念を実現するため、3つのビジョンを定めています。
一つ目は「私たちの想いは、自転車が宝物になること」として、新しい自転車の関わり方を提案し、顧客との絆を深め、自転車の価値向上を目指しています。二つ目は「私たちの誇りは、記憶に残る仕事の追求」として、ものづくりから販売、メンテナンスまで妥協せず、期待を超える仕事で応えることを目指しています。三つ目は「私たちの約束は、今までにない満足の提供」として、顧客が思ってもみなかったモノやサービスを見出し、最良の形で提供することを目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社は経営理念を実現するために、7つの行動指針を定めています。これらは「チャレンジ」「思いやり」「地域密着」「誠実」「1%の努力」です。
また、「NHK」として「いつもニコニコ(N)・ハキハキ(H)・キビキビ(K)行動します」という指針があります。さらに、「1人の100歩より100人の1歩」として、共に働く仲間一人ひとりの力を生かし、チーム一丸となることを大切にしています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社は、持続的な成長のために「ダイワサイクル」ブランドの認知度向上を重要な課題としています。ドミナント型での出店拡大や積極的なPR活動、商品品質とサービス品質の向上を通じて、ブランド認知度を高める方針です。
また、リピート顧客の獲得も重視しており、販売後のメンテナンスや修理、出張修理サービス、ダイワサポートパックの提供を通じて、顧客との良好な関係構築を目指しています。出店拡大の中でサービス品質を維持・向上させるため、人材育成も不可欠な課題と認識しており、「商品知識」「接客」「技術」の3分野で定期的な研修と試験を実施しています。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
DAIWA CYCLEの経営体制は、取締役会と監査役会が中心となって意思決定と監督を行う体制です。取締役会は経営の意思決定機関および監督機関として機能し、監査役会が取締役の職務執行を監査しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
DAIWA CYCLEの株主構成を見ると、筆頭株主は株式会社WAKUMOTOであり、代表取締役社長である涌本宜央氏も上位株主として名を連ねています。これにより、創業家が関連会社を通じて上位に並び、経営に強い影響力を持つ資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 株式会社WAKUMOTO | 50.76% |
| 涌本 宜央 | 14.50% |
| 田中 幸夫 | 2.15% |
| 野村證券 | 1.96% |
| ヨシダ トモヒロ | 1.82% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は8名(男性8名・女性0名)で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は涌本宜央氏が務めています。社外取締役比率は20.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 涌本 宜央 | 代表取締役社長 | 1994年6月株式会社ナニワ(現 株式会社サイクルランドナニワ)入社。1997年10月同社入社。1998年10月同社取締役。2006年2月同社代表取締役社長より現職。 |
| 齋藤 勇治 | 取締役管理本部長 | 2001年4月株式会社富士総合研究所(現 株式会社みずほ銀行)入社。2010年2月あずさ監査法人(現 有限責任 あずさ監査法人)入所。2014年8月同社総務部長。2020年10月同社取締役管理本部長より現職。 |
| 金子 陽一 | 取締役商品・マーケティング本部長 | 2009年4月小林製薬株式会社入社。2016年1月同社営業統括部長。2020年10月同社取締役営業本部長。2024年2月同社取締役商品・マーケティング本部長より現職。 |
| 伊藤 亮太 | 取締役営業本部長 | 2010年3月同社入社。2021年2月同社営業本部営業部長。2024年4月同社取締役営業本部長より現職。 |
社外取締役は、大久保修三氏(日本総合研究所在籍・指名・報酬委員会委員長)です。
社外監査役は、永井康氏(魁力屋社外取締役・指名・報酬委員会委員)、若山満教氏(若山綜合法律事務所設立者・指名・報酬委員会委員)、山口雅之氏(税理士法人良知代表)です。
同社は監査役会設置会社であり、取締役会による監督と監査役による監査を通じて、経営の透明性確保と迅速な意思決定を図っています。社外取締役1名と社外監査役3名は独立役員として、客観的かつ中立的な立場から経営への助言・提言を行い、監視・監査体制の強化に貢献しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
DAIWA CYCLEの役員報酬は、優秀な人材の獲得・保持、企業価値・株主価値向上を重視した報酬体系を基本方針としています。業務執行取締役、社外取締役、監査役ともに、基本報酬のみで構成されており、業績連動報酬や退職慰労金は設定されていません。報酬の決定は、社外役員が過半数を占める任意の指名・報酬委員会での審議を経て行われ、客観性と透明性の確保に努めています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 4名 | 90百万円 | 22.6百万円 |
| 社外役員 | 4名 | 22百万円 | 5.6百万円 |
なお、同社は上記以外に職務執行の対価として、取締役に対して非金銭報酬として新株予約権を付与しています。
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