※本記事は、DAIWA CYCLEの有価証券報告書(第36期、自 2025年2月1日 至 2026年1月31日、2026年4月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. DAIWA CYCLEってどんな会社?
自転車の販売から修理まで、顧客の自転車生活を総合的にサポートする専門店を展開しています。
■(1) 会社概要
1980年に大阪府で駐輪場経営と自転車小売業を開始し、1999年に自転車専門量販店のチェーン展開を目指す店舗をオープンしました。2001年にプライベートブランド商品の取扱を始め、その後は関東や中部などへ順次出店を拡大しました。2023年に東京証券取引所グロース市場への上場を果たしています。
現在の単体従業員数は758名です。筆頭株主は代表取締役社長の資産管理会社であるWAKUMOTOで、第2位は創業家出身で代表取締役社長を務める涌本宜央氏です。第3位には個人株主が名を連ねており、経営トップとその関連による保有比率が高い資本構成となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| WAKUMOTO | 50.76% |
| 涌本 宜央 | 14.50% |
| 田中 幸夫 | 2.15% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性0名の計8名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は涌本宜央氏が務めています。社外取締役比率は12.5%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 涌本 宜央 | 代表取締役社長 | 1994年ナニワ(現サイクルランドナニワ)入社。1997年同社入社。1998年取締役就任。2006年より現職。 |
| 齋藤 勇治 | 取締役管理本部長 | 2001年富士総合研究所入社。2010年あずさ監査法人入所。2014年同社総務部長。2020年より現職。 |
| 金子 陽一 | 取締役商品・マーケティング本部長 | 2009年小林製薬入社。2016年同社営業統括部長。2020年取締役営業本部長を経て、2024年より現職。 |
| 伊藤 亮太 | 取締役営業本部長 | 2010年同社入社。2021年営業本部営業部長。2023年営業本部西日本営業部長を経て、2024年より現職。 |
社外取締役は、大久保修三氏(元丸紅・日本総合研究所)です。
2. 事業内容
同社は、「自転車関連販売事業」を展開しています。
主に関西、関東、中部のロードサイドにおいて大型自転車専門店を展開し、一般車や電動アシスト車などの自転車、パーツ・アクセサリーの販売を行っています。また、顧客の要望に応じた出張修理サービスをはじめとする各種整備や修理サービスも提供し、販売後のアフターケアを重視しています。
店舗やECサイトを通じた顧客からの商品購入代金、修理代金、サポートパック加入料が主な収益源です。また、フランチャイズ加盟店からのロイヤリティ収入も得ています。運営はDAIWA CYCLEが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
新規店舗の出店や電動アシスト自転車の販売好調により、売上高は右肩上がりの成長を継続しています。利益面でも増益基調を維持しており、着実な事業規模の拡大と収益力の向上が見込まれます。
| 項目 | 2022年1月期 | 2023年1月期 | 2024年1月期 | 2025年1月期 | 2026年1月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 115億円 | 131億円 | 153億円 | 183億円 | 211億円 |
| 経常利益 | 3億円 | 6億円 | 8億円 | 14億円 | 14億円 |
| 利益率(%) | 2.4% | 4.7% | 5.2% | 7.6% | 6.8% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 1億円 | 4億円 | 5億円 | 9億円 | 9億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の増加に伴い売上総利益も順調に拡大していますが、新規出店や人員増強に伴う費用の増加により、営業利益率は前期からわずかに低下しています。
| 項目 | 2025年1月期 | 2026年1月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 183億円 | 211億円 |
| 売上総利益 | 81億円 | 92億円 |
| 売上総利益率(%) | 44.4% | 43.6% |
| 営業利益 | 14億円 | 14億円 |
| 営業利益率(%) | 7.5% | 6.7% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び賞与が28億円(構成比36%)、地代家賃が16億円(同20%)を占めています。
■(3) セグメント収益
同社は自転車関連販売事業の単一セグメントですが、直営店の出店加速やプライベートブランド商品の拡充が奏功し、売上規模の拡大が続いています。
| 区分 | 売上(2025年1月期) | 売上(2026年1月期) |
|---|---|---|
| 連結(合計) | 183億円 | 211億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業である健全型となっています。
| 項目 | 2025年1月期 | 2026年1月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 12億円 | 7億円 |
| 投資CF | -5億円 | -13億円 |
| 財務CF | -1億円 | -2億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は16.0%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は65.8%で、いずれも市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「自転車の〔新しいアタリマエ〕を創る」を経営理念に掲げ、自転車でより良い人々の暮らしに貢献することを目指しています。顧客、取引先、従業員などすべてのステークホルダーとの共栄を図り、企業の持続的な成長と企業価値の最大化を追求しています。
■(2) 企業文化
理念の実現に向けて「私たちの想い」「私たちの誇り」「私たちの約束」という3つのビジョンを掲げています。また、「チャレンジ」「思いやり」「地域密着」「誠実」「1%の努力」などの7つの行動指針を定め、従業員一人ひとりの能力向上とチームワークを重視する文化を根付かせています。
■(3) 経営計画・目標
出店拡大を通じた業界キープレイヤーとしての地位確立を目指しており、中期的には200店舗体制の構築を目標に掲げています。また、持続的な事業拡大の観点から以下の指標を重視しています。
* 毎期10%以上の売上高成長率
* 毎期15店舗以上の新規出店
■(4) 成長戦略と重点施策
「ヒト・ハコ・モノ」の3側面から事業基盤の強化を推進しています。都市圏を中心としたドミナント出店による利便性向上に加え、店舗受取サービスなどインターネットとのオムニチャネル戦略を展開します。また、顧客ニーズを反映したプライベートブランド商品や電動アシスト車の拡充を図り、人材育成を通じた接客品質の向上にも取り組みます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
出店拡大を支えるため、人材の確保と育成を最重要課題と位置付けています。女性の登用を含む多様な人材が活躍できる職場環境づくりを進めており、充実した研修制度や社内資格試験を通じたスキルアップを支援しています。また、従業員エンゲージメントの向上やワークライフバランスの拡充にも注力しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年1月期 | 29.8歳 | 5.3年 | 4,335,000円 |
※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 4.9% |
| 男性育児休業取得率 | 85.7% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 55.7% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 88.8% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | 85.2% |
また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、自転車安全整備士及び自転車技士の保有者数(430名)、年間女性採用数(28名)、正規雇用者離職率(11.9%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
(1) 為替変動リスク
同社はプライベートブランド商品の多くを中国から輸入しており、ナショナルブランド商品も海外で組み立てられたものが多く含まれます。決済通貨の多様化などで為替変動リスクのヘッジに努めていますが、予想を超える大幅な為替変動が発生した場合、仕入コストの上昇を通じて業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 原材料価格の高騰リスク
自転車の主要部材である鉄鋼素材、アルミ、カーボン樹脂や、タイヤに用いられる合成ゴムなどの原材料価格が高騰した場合、商品の仕入価格が上昇するリスクがあります。代替品の採用等でコスト抑制を図りますが、対応が追いつかない場合には収益性が悪化する恐れがあります。
(3) 知的財産権に係るリスク
自社開発のプライベートブランド商品について、商標権の取得など知的財産権の保護に努めるとともに、第三者の権利を侵害しないよう専門家の確認を経て商品展開を行っています。しかし、予期せぬ知的財産権侵害の訴訟や使用差止請求を受けた場合、事業活動が制限される可能性があります。



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