※本記事は、株式会社瑞光の有価証券報告書(第63期、自 2025年2月21日 至 2026年2月20日、2026年5月14日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 瑞光ってどんな会社?
主力である紙おむつ・生理用ナプキン製造機械の製造と、新規事業を展開しています。
■(1) 会社概要
1963年に瑞光鉄工として設立され、1986年に現在の瑞光へ商号を変更しました。1989年に大阪証券取引所第二部に上場し、現在は東証プライム市場に上場しています。紙おむつ・生理用ナプキン製造機械などの一般産業用機械を主力としており、近年はスパンレース不織布事業の譲受や海外展開を推進しています。
同社グループの従業員数は連結で641名、単体で330名です。大株主の構成を見ると、筆頭株主はTHE SFP VALUE REALIZATION MASTER FUND LIMITEDで、第2位はみちかけ、第3位は資産管理業務を行う信託銀行となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| THE SFP VALUE REALIZATION MASTER FUND LIMITED | 27.16% |
| みちかけ | 11.33% |
| JP MORGAN CHASE BANK | 7.58% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性5名、女性1名の計6名で構成され、女性役員比率は16.6%です。代表取締役社長CEOは梅林豊志氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 梅林豊志 | 代表取締役社長CEO | 1990年同社入社。設計部長や上海子会社の董事などを歴任し、2011年取締役に就任。代表取締役副社長執行役員COO等を経て、2020年5月より現職。 |
| 徐毅 | 常務取締役 | 1998年同社入社。上海子会社へ出向し、同社総経理や董事長を歴任。執行役員、アジアエリア統括部長、グローバル統括部長を経て、2025年5月より現職。 |
| 奥野文彦 | 取締役 | 1985年住友銀行入行。法人営業部長等を歴任後、パロマ常務取締役や銀泉常務執行役員、大手町建物管理代表取締役社長を経て2024年同社入社。2025年9月より現職。 |
社外取締役は、竹内隆夫(竹内総合法律事務所所長)、石原美保(石原公認会計士・税理士事務所所長)、坂本淳(元不二越代表取締役社長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「一般産業用機械・装置製造業」および「その他」の事業を展開しています。
■(1) 一般産業用機械・装置製造業
生理用ナプキン製造機械や紙おむつ製造機械を中心とした一般産業用機械・装置の製造、販売、サービス提供を行っています。国内のみならず、中国、東南アジア、インド、北米、中南米、欧州などグローバルに市場を開拓し、衛生用品メーカーを主要顧客としてビジネスを展開しています。
収益源は、顧客である国内外の衛生用品メーカーに対する機械本体の販売や、改造案件、部品・ユニット販売、サービス提供等から得る代金です。事業の運営は同社を中心に、瑞光(上海)電気設備有限公司やZUIKO DELTA S.R.L.などの海外子会社が各地域の製造・販売・サービスを担っています。
■(2) その他
医療向け手術用被覆・保護材などの医療用品の製造販売や、コットン製品の製造販売、防護服等の製造販売、使用済み紙おむつリサイクル装置や自動排泄処理装置の製造販売、スパンレース不織布事業など、幅広い新規事業の研究開発や技術支援を展開しています。
これらの事業は、製品やリサイクル設備等の販売から収益を得るモデルです。運営は同社をはじめ、瑞光メディカル、ZUIKO INNOVATION CENTER、COTEXなどのグループ子会社が各専門分野を担当し、事業ポートフォリオの拡充を推進しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は200億円前後で安定して推移しており、当期は212億円の増収となりました。経常利益は前期に赤字を計上したものの、当期は4億円と黒字転換を果たしており、当期利益も大幅な増益となるなど、着実な収益性の回復が見られます。
| 項目 | 2022年2月期 | 2023年2月期 | 2024年2月期 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 236億円 | 265億円 | 217億円 | 200億円 | 212億円 |
| 経常利益 | 24億円 | 22億円 | 14億円 | -1億円 | 4億円 |
| 利益率(%) | 10.3% | 8.4% | 6.6% | -0.7% | 1.7% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 17億円 | 8億円 | 7億円 | 17億円 | 55億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期比で増収となり、原価率の改善等により売上総利益も増加しました。販売費及び一般管理費は増加したものの、増収と粗利改善の効果が上回り、営業利益は前期の赤字から黒字へと転換し、本業の収益性が回復傾向にあります。
| 項目 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 200億円 | 212億円 |
| 売上総利益 | 26億円 | 32億円 |
| 売上総利益率(%) | 13.2% | 15.1% |
| 営業利益 | -3億円 | 2億円 |
| 営業利益率(%) | -1.5% | 0.8% |
販売費及び一般管理費のうち、給与及び手当が8億円(構成比25%)、支払報酬料が3億円(同8%)を占めています。
■(3) キャッシュ・フローと財務指標
| 項目 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 11億円 | 11億円 |
| 投資CF | 11億円 | 3億円 |
| 財務CF | -8億円 | -17億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は5.6%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は69.1%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは「Make the Impossible Possible」をコーポレートメッセージとして掲げています。また、「ものづくりのグローバルメーカーとして新しい価値を創造し、ヘルスケア産業の発展と人々の健康・福祉に貢献する」ことを使命(MISSION)とし、社会への貢献を目指して経営を行っています。
■(2) 企業文化
従来の企業風土から脱却して変革を進めるため、多様な技術・知識・視点を融合させてイノベーションを生み出すことを重視しています。多様性を尊重した組織文化の醸成に取り組み、挑戦する風土や働きがいのある環境づくりを推進することで、従業員一人ひとりのキャリア実現と企業の持続的な成長を目指しています。
■(3) 経営計画・目標
「第4次中期経営計画」(2026年2月期~2028年2月期)を策定し、持続的な成長と中長期的な企業価値向上の実現を目指しています。最終年度である2028年2月期に向けて、以下の経営目標を掲げています。
* 売上高:300億円
* 新規事業の売上高:80億円
* 営業利益率:8.0%
■(4) 成長戦略と重点施策
衛生用品製造機械の高付加価値化やターンキーソリューションの提供により、収益基盤の安定化を図ります。また、新興国でのブルーオーシャン戦略の展開やモジュール設計によるコスト競争力の向上を推進します。さらに、スパンレース不織布事業などの新しい素材・製品開発を加速し、事業ポートフォリオの拡充に取り組みます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
多様な人材の活躍が成長の源泉であるとの考えから、国籍や性別にとらわれない人材活用とグローバル人材の育成を推進しています。ジョブローテーションによるキャリア形成支援やメリハリのある人事異動を実施し、成果に基づく公正な評価・処遇を通じて、組織の活性化と従業員のエンゲージメント向上を図っています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与は東証プライム市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年2月期 | 41.1歳 | 10.8年 | 6,243,024円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 7.7% |
| 男性育児休業取得率 | 83.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 76.0% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 78.0% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | 97.5% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 衛生用品製造機械市場の動向と需要変動
主力製品である紙おむつ等の衛生用品製造機械は、需要減少や顧客の設備投資抑制により、大きな需要増加が見込みにくい環境にあります。同社グループは、グローバル市場のニーズを捉えた新コンセプト機の開発や新規事業への取り組みを進め、製造機械以外の収益確保や新たな成長領域の獲得を図っています。
■(2) 外貨取引に伴う為替変動リスク
同社グループは海外顧客への販売や海外からの部品調達において外貨支払いによる取引を行っているため、為替変動リスクが一定程度発生します。これに対し、為替予約等を活用することでリスクの緩和と業績への影響の平準化を図り、安定した収益基盤の維持に努めています。
■(3) 海外展開および子会社管理にかかるリスク
複数国にまたがる事業活動を展開しており、各国での法的規制や法律・規制の変更、政治・経済の混乱などのリスクが内在しています。これに対し、各国におけるカントリーリスクを慎重に検討し、定期的な報告体制を設けるとともに、内部監査による管理状況の確認と是正指導を実施しています。



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