瑞光 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

瑞光 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム市場に上場する、衛生用品製造機械のグローバルメーカー。生理用ナプキンや紙おむつの製造機械を主力とし、海外売上比率が高い点が特徴です。第62期は、主要市場である中国等の需要減少や原価率悪化により減収となり、親会社株主に帰属する当期純損失を計上する厳しい決算となりました。


※本記事は、瑞光 の有価証券報告書(第62期、自 2024年2月21日 至 2025年2月20日、2025年5月16日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 瑞光ってどんな会社?


生理用ナプキンや紙おむつ等の衛生用品製造機械を開発・製造する産業機械メーカーで、世界的なシェアを持ちます。

(1) 会社概要


1963年に設立され、1973年にはインドネシアへ製品を輸出するなど早期から海外展開を進めてきました。1989年に大阪証券取引所市場第二部へ上場し、2003年には中国・上海に現地法人を設立しています。その後も欧米やアジア各国へ拠点を拡大し、2023年には東京証券取引所プライム市場へ市場変更しました。2024年にはイタリアの企業を子会社化するなど、グローバル展開を加速させています。

連結従業員数は597名、単体では300名体制です。大株主構成を見ると、筆頭株主は投資ファンドであるTHE SFP VALUE REALIZATION MASTER FUND LIMITEDで、第2位は法人株主のみちかけ、第3位は銀行の決済関連口座(常任代理人みずほ銀行)となっています。

氏名 持株比率
THE SFP VALUE REALIZATION MASTER FUND LIMITED 25.75%
みちかけ 11.34%
THE CHASE MANHATTAN BANK,N.A. LONDON SPECIAL OMNIBUS SECS LENDING ACCOUNT 9.44%

(2) 経営陣


同社の役員は男性5名、女性1名の計6名で構成され、女性役員比率は16.6%です。代表取締役社長CEOは梅林豊志氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
梅林 豊志 代表取締役社長CEO 1990年同社入社。設計部長、瑞光(上海)電気設備有限公司董事などを経て、2018年代表取締役副社長COOに就任。2020年5月より現職。
徐 毅 常務取締役 1998年同社入社。瑞光(上海)電気設備有限公司総経理、同社執行役員、アジアエリア統括部長、グローバル統括部長などを歴任。2025年5月より現職。
奥野 文彦 取締役 住友銀行(現三井住友銀行)出身。パロマ取締役専務執行役員、大手町建物管理代表取締役社長などを経て、2024年7月同社入社。2025年5月より現職。


社外取締役は、竹内隆夫(弁護士・竹内総合法律事務所所長)、石原美保(公認会計士・石原公認会計士・税理士事務所所長)、坂本淳(元不二越代表取締役社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「衛生用品製造機械」および「その他」事業を展開しています。

(1) 衛生用品製造機械事業


生理用ナプキン製造機械や紙おむつ製造機械(小児用・大人用)の開発・製造・販売を行っています。顧客は国内外の衛生用品メーカーであり、個別のニーズに合わせた機械の設計・製造から据付、アフターサービスまでを提供しています。世界の衛生用品市場を支える産業機械分野です。

収益は、顧客である衛生用品メーカーからの機械装置の販売代金や、納入後の部品販売・改造工事・メンテナンス等のサービス料から得ています。運営は主に瑞光、瑞光(上海)電気設備有限公司、ZUIKO INDUSTRIA DE MAQUINAS LTDA.などの国内外のグループ会社が担っています。

(2) その他事業


上記以外の事業として、医療用被覆材やマスクの製造販売、コットン製品の製造販売などを行っています。また、使用済み紙おむつのリサイクル装置や自動排泄処理装置の研究開発・製造販売など、ヘルスケアや環境に関連する新規領域の開拓にも取り組んでいます。

収益は、医療機関や一般消費者等への製品販売代金や、リサイクル設備の販売等から得ています。運営は、医療関連を瑞光メディカル、コットン製品をCOTEX、研究開発等をZUIKO INNOVATION CENTER、リサイクル関連等を瑞光が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は200億円台で推移していますが、2023年2月期をピークに減少傾向にあります。利益面では、2023年2月期までは安定して黒字を確保していましたが、直近の2025年2月期においては経常損失および親会社株主に帰属する当期純損失を計上しており、収益性が低下しています。

項目 2021年2月期 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期
売上高 231億円 236億円 265億円 217億円 200億円
経常利益 21億円 24億円 22億円 14億円 -1.5億円
利益率(%) 9.1% 10.3% 8.4% 6.6% -0.7%
当期利益(親会社所有者帰属) 9億円 17億円 8億円 7億円 17億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で減収となり、200億円を割り込みました。利益面では、売上総利益が大幅に減少し、営業損益が赤字に転落しています。原価率の上昇や販売費及び一般管理費の負担が重くなり、収益構造が悪化していることが読み取れます。

項目 2024年2月期 2025年2月期
売上高 217億円 200億円
売上総利益 46億円 26億円
売上総利益率(%) 21.2% 13.3%
営業利益 10億円 -3億円
営業利益率(%) 4.7% -1.5%


販売費及び一般管理費のうち、給与及び手当が7億円(構成比23%)、支払報酬料が4億円(同12%)を占めています。売上原価は売上高に対して86.8%を占めており、前期の78.8%から上昇しました。

(3) セグメント収益


製品別に見ると、小児用紙おむつ製造機械や部品は増収となりましたが、大人用紙おむつ製造機械や生理用ナプキン製造機械が減収となり、全体として売上が減少しました。特に大人用紙おむつ製造機械の売上減少幅が大きく、全体の足を引っ張る形となりました。

区分 売上(2024年2月期) 売上(2025年2月期)
生理用ナプキン製造機械 38億円 31億円
紙おむつ製造機械 147億円 132億円
その他 32億円 36億円
連結(合計) 217億円 200億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFはプラスを維持し、投資CFも資産売却等によりプラスとなりました。一方で借入金返済や配当支払い等により財務CFはマイナスとなっています。これは営業活動と資産圧縮で得た資金で財務体質を調整する「改善型」のキャッシュ・フローと言えます。

項目 2024年2月期 2025年2月期
営業CF -3億円 11億円
投資CF 11億円 11億円
財務CF -11億円 -8億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は-2.3%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は65.3%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは『Make the Impossible Possible』をコーポレートメッセージとして掲げています。その上で、「ものづくりのグローバルメーカーとして新しい価値を創造し、ヘルスケア産業の発展と人々の健康・福祉に貢献する」ことをMISSION(使命)として経営を行っています。

(2) 企業文化


第4次中期経営計画において『SPEED & CHALLENGE』をテーマとして掲げており、スピード感を持って挑戦する姿勢を重視しています。また、人間尊重の精神と地球環境に配慮した製品・サービスの提供を通じ、持続的な経営に向け、透明性と健全性を確保しながら、事業成長と社会課題解決の両立に取り組む文化を持っています。

(3) 経営計画・目標


同社は、2026年2月期から2028年2月期までの「第4次中期経営計画」を策定しています。衛生用品製造機械の販売台数が必ずしも増加しない前提に立ち、持続的な成長と中長期的な企業価値向上を目指しています。2028年2月期の数値目標として以下を掲げています。

* ROE:6.0%以上
* 新規事業の売上高:8,000百万円以上
* 配当総額:2,000百万円以上(3ヶ年累計)

(4) 成長戦略と重点施策


「衛生用品製造機械事業の競争力再生」と「新規事業の加速による事業ポートフォリオ拡充」を重点施策としています。既存事業では付加価値向上とコスト競争力の強化を図り、新規事業ではM&Aも活用して第2・第3の収益の柱を構築し、収益の安定化を目指します。

* 衛生用品製造機械事業:機械本体以外(改造、部品等)の価値提供強化、モジュール設計推進、原価低減。
* 新規事業:研究開発・設備投資の積極化、M&A活用、選択と集中による収益性確保。
* 財務戦略:自己資本の適正化、有利子負債の活用、株主還元の強化。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


持続的成長と構造転換のため、多様な技術・視点の融合によるイノベーション創出を目指しています。グローバル事業を牽引する多様な人材(外国人含む)の採用を強化するとともに、キャリアヒアリングや社内公募を通じた自律的なキャリア形成を支援しています。また、対話機会の充実やメンター制度により、心理的安全性の高い職場づくりを推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年2月期 38.5歳 10.9年 6,113,572円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 8.0%
男性育児休業取得率 66.6%
男女賃金差異(全労働者) 74.7%
男女賃金差異(正規) 80.1%
男女賃金差異(非正規) 96.2%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 顧客企業の設備投資動向


連結売上高の大半を占める衛生用品製造機械は、紙おむつ等の最終製品の消費動向やメーカーの設備投資計画の影響を強く受けます。市場の需要減少や投資抑制が生じた場合、受注が減少し、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) カントリーリスク


海外売上比率が高く、中国や新興国など広範な地域で事業を展開しています。そのため、各国の予期せぬ法規制の変更、政治・経済の混乱、為替変動等の影響を受けるリスクがあります。特に新興国での事業展開においては、地政学的な不確実性が業績に影響を与える可能性があります。

(3) 材料の調達に関するリスク


原価に占める材料費や外注加工費の割合が高いため、市況変動による材料価格の高騰や調達難が発生した場合、収益性の低下や納期の遅延を招く恐れがあります。これは業績および財務状況に悪影響を与える要因となります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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