アークランズ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

アークランズ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

アークランズは東証プライムに上場し、ホームセンター「ムサシ」「ビバホーム」等の小売事業と、「かつや」等の外食事業を展開する企業です。直近の決算では、売上高は前期比で増収となり、経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益も増益を達成しています。


※本記事は、アークランズ株式会社 の有価証券報告書(第56期、自 2024年3月1日 至 2025年2月28日、2025年5月29日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. アークランズってどんな会社?


同社グループは、ホームセンター「ムサシ」や「ビバホーム」を展開する小売事業と、「かつや」等を運営する外食事業を柱とする企業です。

(1) 会社概要


同社は1970年に設立され、1978年にホームセンター1号店を開店しました。1993年には外食事業を分社化し、2020年にはLIXILビバ(現ビバホーム)を子会社化しました。その後、2022年にビバホームを吸収合併して現商号へ変更し、2023年にはアークランドサービスホールディングスを完全子会社化するなど、再編を進めています。

現在の連結従業員数は3,762名、単体では2,623名です。筆頭株主は資産管理業務を行う信託銀行で、第2位は創業家関連とみられる有限会社武蔵、第3位は取引先持株会となっています。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 9.09%
有限会社武蔵 6.20%
アークランズ取引先持株会 3.39%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役会長CEOは坂本晴彦氏、代表取締役社長COOは佐藤好文氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
坂本 晴彦 代表取締役会長CEO 2003年入社。商品部長等を経て、ビバホーム社長等を歴任し、2025年3月より現職。
佐藤 好文 代表取締役社長COO ジョイフル本田等を経て、アークホーム社長等を歴任。2025年3月より現職。
星野 宏之 専務取締役店舗開発本部長兼 食品事業本部長 1994年入社。開発部長、常務取締役店舗開発本部長等を歴任し、2024年11月より現職。
須藤 敏之 常務取締役営業本部長兼 ホームセンター事業部長兼 商品統括部長 1995年入社。アークホーム社長等を経て、2025年3月より現職。
伊野 公敏 取締役管理本部長兼 経営企画部長兼 経理部長 ダイエー、俺の株式会社常務等を経て、2017年LIXILビバ入社。2023年9月より現職。
坂本 守孝 取締役 岡三証券を経て、アークランドサービスHD社長等を歴任。2025年5月より現職。


社外取締役は、渥美雅之(弁護士)、岩﨑玲子(人材開発コンサルタント代表)、奥谷雄太(元DCM取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「小売事業」「卸売事業」「外食事業」「不動産事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) 小売事業


「ホームセンタームサシ」「ビバホーム」等のホームセンターや、アート&クラフト専門店「アークオアシス」、ペット専門店「NICO PET」等を運営し、一般消費者やプロ向けに住生活関連用品等を販売しています。

収益は主に顧客への商品販売による対価です。運営は主に同社が行っていますが、関連会社のジョイフルエーケーも一部事業を担っています。

(2) 卸売事業


DIY関連用品や園芸用品等を主力としており、全国およびグループのホームセンターに向けて商品を販売しています。

収益は取引先への商品販売代金です。運営は主に子会社のアークランドサカモトが行っています。

(3) 外食事業


とんかつ専門店「かつや」や、からあげ専門店「からやま」等を主力とした飲食店を経営しています。

収益は直営店での飲食代金のほか、フランチャイズ加盟店からのロイヤリティ収入等も含まれます。運営は主に子会社のアークランドサービスホールディングスが行っています。

(4) 不動産事業


同社グループが保有する商業施設等の不動産を活用し、テナントへの賃貸を行っています。

収益はテナントからの賃貸料収入です。運営は主に同社が行っています。

(5) その他


報告セグメントに含まれない事業として、スポーツクラブ「JOYFIT」およびフィットネスジム「FIT365」の経営を行っています。

収益は会員からの施設利用料等です。運営は主に同社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は第53期に大きく拡大した後、3,000億円台で安定的に推移しています。経常利益は一時的な減少も見られましたが、直近では回復傾向にあります。当期純利益については、第54期に高い水準を記録した後、第55期に減少しましたが、直近の第56期では再び増加しています。

項目 2021年2月期 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期
売上高 1,786億円 3,572億円 3,135億円 3,107億円 3,157億円
経常利益 170億円 233億円 192億円 166億円 192億円
利益率(%) 9.5% 6.5% 6.1% 5.3% 6.1%
当期利益(親会社所有者帰属) 61億円 64億円 188億円 70億円 77億円

(2) 損益計算書


直近2期間の損益状況を見ると、売上高は増加しており、これに伴い売上総利益も増加しています。営業利益についても微増となっており、安定した収益性を維持しています。売上総利益率は概ね横ばいで推移しています。

項目 2024年2月期 2025年2月期
売上高 3,107億円 3,157億円
売上総利益 1,155億円 1,184億円
売上総利益率(%) 37.2% 37.5%
営業利益 161億円 162億円
営業利益率(%) 5.2% 5.1%


販売費及び一般管理費のうち、給与・賞与・雑給が397億円(構成比34%)、賃借料が245億円(同21%)を占めています。

(3) セグメント収益


各セグメントの状況を見ると、主力の小売事業は売上高が増加したものの、利益面では減少しました。一方、外食事業は売上高、利益ともに増加し、好調に推移しています。卸売事業は売上高が減少しましたが、利益は増加しました。不動産事業は売上高が増加しましたが、利益は減少しています。

区分 売上(2024年2月期) 売上(2025年2月期) 利益(2024年2月期) 利益(2025年2月期) 利益率
小売事業 2,539億円 2,553億円 60億円 56億円 2.2%
卸売事業 49億円 44億円 3億円 6億円 13.3%
外食事業 518億円 561億円 57億円 60億円 10.6%
不動産事業 134億円 141億円 39億円 37億円 26.2%
その他 10億円 10億円 1億円 0億円 3.7%
調整額 -83億円 -81億円 1億円 4億円 -
連結(合計) 3,249億円 3,310億円 161億円 162億円 4.9%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

アークランズは、営業活動により潤沢な資金を生み出し、事業の成長を支えています。投資活動では、有価証券の売却益が資金獲得に貢献しました。一方で、財務活動では借入金の返済等により資金が使用されています。

項目 2024年2月期 2025年2月期
営業CF 168億円 310億円
投資CF -70億円 51億円
財務CF -154億円 -364億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは「くらし、満たす。こころ、満たす。」をスローガンに掲げています。グループ経営戦略である「新たな価値の創造」を目指し、小売事業と外食事業を核として、ミッションとビジョンの実現に向けて取り組んでいます。

(2) 企業文化


同社グループは、変化対応業としての姿勢を重視し、「一店舗巨大主義+変化対応業」を店舗戦略としています。ニーズの変化への対応と新たな需要の創造を重点方針とし、迅速な売場変更や商品変更に取り組むなど、顧客の期待に応えるために常に変化し続ける文化を持っています。

(3) 経営計画・目標


同社は、中期経営計画において以下の目標を掲げています。
* 売上高:5,000億円
* 経常利益:400億円

(4) 成長戦略と重点施策


小売事業では、専門性の深耕やロイヤルカスタマーの拡大、新規出店を推進するとともに、PB商品の強化による荒利益率の改善を図ります。外食事業では、かつやブランドの価値最大化やからやまの成長加速、海外展開の加速を進めています。
* スーパービバホーム茨木目垣店、ホームセンタームサシ須坂店の出店(2026年2月期)
* かつやアプリの全国展開
* 新からやまモデルの定着

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社グループは、「アークハピネスプロジェクト」を推進し、社員一人ひとりの個人の幸福(ハピネス)を経営の重要資源と捉えています。スキルや成果を適正に評価し、個々の成長を支援することで、働きやすさと働きがいを両立する仕組みを整備し、社員が充実感を持って働ける環境づくりを目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年2月期 40.5歳 13.3年 5,736,582円


※平均年間給与は基準外賃金及び賞与を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 1.2%
男性育児休業取得率 9.4%
男女賃金差異(全労働者) 60.0%
男女賃金差異(正規) 73.1%
男女賃金差異(非正規) 94.0%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 競合状況・経済状況


ホームセンター業界では、ドラッグストアやディスカウントストア等との競合が激化しています。また、人口減少や消費行動の変化、EC市場の拡大などが来店頻度の減少につながり、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 新規出店・増床規制


大規模小売店舗立地法等の法的規制により、計画通りの出店や増床が困難になる可能性があります。また、経済情勢の変動により用地確保に時間を要する場合や、競合の出店等の要因により、出店計画に影響が出るリスクがあります。

(3) 人材の確保


事業拡大には人材の採用・育成が不可欠ですが、少子高齢化や雇用情勢の変化により、必要な人材が確保できない可能性があります。また、賃金相場の上昇等により人件費が増加した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 天候要因


ホームセンターでは園芸用品や冷暖房用品など季節性の高い商品を多く扱っているため、冷夏や暖冬、長雨などの天候不順が発生した場合、販売動向に影響を与え、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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