アークランズ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

アークランズ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

アークランズは東京証券取引所プライム市場に上場し、小売事業、卸売事業、外食事業などを展開する企業です。直近の業績では、小売事業の好調や店舗拡大により増収を達成しましたが、コスト増加等の影響で経常利益は減益となりました。店舗体験を重視し、住と食の領域でさらなる成長を目指しています。


※本記事は、アークランズの有価証券報告書(第57期、自 2025年3月1日 至 2026年2月28日、2026年5月21日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. アークランズってどんな会社?


同社はホームセンターやとんかつ専門店などの小売・外食事業を幅広く展開し、消費者の生活を豊かにする住と食のサービスを提供する企業です。

(1) 会社概要


1970年7月に金物類の卸売を目的として設立されました。1978年5月にホームセンター1号店を開店し、1993年3月には外食事業部を分社独立して後のアークランドサービスホールディングスを設立しました。2020年7月にLIXILビバ(現ビバホーム)の株式を公開買付けにより取得して関連会社化し、2022年9月に同社を吸収合併して現社名へと変更しました。さらに、2023年9月にはアークランドサービスホールディングスを完全子会社化し、現在のグループ体制を構築しています。

同社グループの従業員数は連結で4,678名、単体で2,643名です。筆頭株主は資産管理業務を行う信託銀行で、第2位は関連会社の武蔵、第3位も資産管理業務を行う信託銀行となっています。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 9.00%
武蔵 6.14%
日本カストディ銀行(信託口) 3.90%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役会長CEOには坂本晴彦氏が、代表取締役社長COO兼営業本部長には佐藤好文氏が就任しています。社外取締役は3名選任されており、取締役会における社外取締役の比率は33.3%となっています。

氏名 役職 主な経歴
坂本晴彦 代表取締役会長CEO 2003年同社入社。ホームセンター本部商品部長等を経て、2021年ビバホーム代表取締役社長CEOに就任。2025年3月より現職。
佐藤好文 代表取締役社長COO兼営業本部長 2001年スマイル本田入社。アークスタイル代表取締役社長等を経て、2023年同社取締役ホームセンター事業部長に就任。2026年3月より現職。
星野宏之 専務取締役店舗開発本部長兼食品事業本部長 1994年同社入社。開発部長等を経て、2021年ビバホーム常務取締役に就任。2024年11月より現職。
須藤敏之 常務取締役商品本部長 1995年同社入社。アークスタイル代表取締役社長、同社取締役営業本部長兼商品統括部長等を経て、2026年3月より現職。
伊野公敏 取締役管理本部長 1995年ダイエー入社。俺の取締役等を経て、2017年LIXILビバ入社。同社執行役員管理本部長兼経営企画部長等を経て、2025年11月より現職。
坂本守孝 取締役 2007年岡三証券入社。アークランドサービス入社後、エバーアクション代表取締役社長等を経て、2021年アークランドサービスホールディングス代表取締役社長。2025年5月より現職。


社外取締役は、渥美雅之氏(三浦法律事務所弁護士)、岩﨑玲子氏(For SDGs代表取締役)、奥谷雄太氏(オフィスOKY代表)です。

2. 事業内容


同社グループは、「小売事業」「卸売事業」「外食事業」「不動産事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) 小売事業

「ホームセンタームサシ」「ビバホーム」などのホームセンターや、アート&クラフト専門店「アークオアシス」、ペット専門店などの運営を通じ、一般消費者やプロ向けに住生活関連用品、家庭用品、食品等を販売しています。
収益源は、顧客への商品の販売代金です。店舗運営は、アークランズ、ジョイフルエーケーなどがそれぞれのブランドを展開し担当しています。

(2) 卸売事業

DIY関連用品や園芸用品などを主力として、全国およびグループ内のホームセンター向けに商品を供給・販売しています。
収益源は、各ホームセンターや販売先への商品卸売代金です。事業の運営は、子会社であるアークランドサカモトが中心となって行っています。

(3) 外食事業

とんかつ専門店「かつや」や、からあげ専門店「からやま」を主力ブランドとして、国内および海外で飲食店を直営およびフランチャイズ展開しています。
収益源は、直営店での飲食サービスの提供対価のほか、加盟店からのFC加盟金やロイヤリティ、食材等の販売代金です。運営はアークランドサービスホールディングスおよびその子会社が行っています。

(4) 不動産事業

同社グループが開発・保有する商業施設などの不動産において、テナントの誘致や物件の管理・賃貸を行っています。
収益源は、入居する家電量販店やスーパーマーケットなどのテナントから受け取る賃貸収入です。事業の運営はアークランズが行っています。

(5) その他

報告セグメントに含まれないその他の事業として、スポーツクラブ「JOYFIT」やフィットネスジム「FIT365」の経営を行っています。
収益源は、施設の利用者から得られる利用料や会費収入などです。運営はアークランズが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は店舗網の拡大や専門店事業の成長などにより安定的に増加傾向を示しています。一方で、経常利益はコストの増加や新規出店投資などの影響により直近で減益となっており、利益率もやや低下傾向にあります。

項目 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期 2026年2月期
売上高 3572億円 3135億円 3107億円 3157億円 3411億円
経常利益 233億円 192億円 166億円 192億円 138億円
利益率(%) 6.5% 6.1% 5.3% 6.1% 4.1%
当期利益(親会社所有者帰属) 64億円 188億円 70億円 77億円 63億円

(2) 損益計算書


売上高の成長に伴い売上総利益も順調に増加しており、売上総利益率は改善しています。しかし、販売費及び一般管理費がそれ以上に増加したため、営業利益および営業利益率は前年から低下する結果となりました。

項目 2025年2月期 2026年2月期
売上高 3157億円 3411億円
売上総利益 1184億円 1300億円
売上総利益率(%) 37.5% 38.1%
営業利益 162億円 142億円
営業利益率(%) 5.1% 4.2%


販売費及び一般管理費のうち、給与・賞与・雑給が447億円(構成比34%)、賃借料が268億円(同20%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力の小売事業が全体売上を牽引しており、リフォームサービスやペット事業の完全子会社化の効果もあり増収となっています。外食事業や不動産事業も堅調に推移し増収に貢献していますが、卸売事業は微減となりました。

区分 売上(2025年2月期) 売上(2026年2月期)
小売事業 2553億円 2767億円
卸売事業 44億円 39億円
外食事業 561億円 608億円
不動産事業 141億円 146億円
その他 10億円 11億円
連結(合計) 3310億円 3572億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFがプラス、投資CFおよび財務CFがマイナスとなっており、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業の状態である健全型と判定できます。

項目 2025年2月期 2026年2月期
営業CF 310億円 232億円
投資CF 51億円 -72億円
財務CF -364億円 -137億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は6.5%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は36.9%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「くらし、満たす。こころ、満たす。」をスローガンとして経営理念に掲げています。グループ経営戦略である「新たな価値の創造」を目指し、小売事業や外食事業を核として、ミッションおよびビジョンの実現に向けて取り組んでいます。

(2) 企業文化


店舗規模や地域特性を生かした品揃えと顧客サービスにより、「お客様に圧倒的に支持される店舗づくり」を第一としています。「楽しくなければ売場ではない」という考えのもとに、お客様が「わくわく」するような店舗づくりを重視する文化を持っています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、中長期的な会社の経営戦略として中期経営計画を策定しています。「グループ経営基盤構築」「事業戦略」「財務戦略」を基本戦略としたグループシナジーの追求により事業拡大を進めています。

* 売上高:5,000億円
* 経常利益:400億円

(4) 成長戦略と重点施策


小売事業では「ベスト1品戦略」や専門性の深耕、新規出店に注力し、ローコストの仕組み構築を進めています。外食事業では商品供給網の強化と利便性の向上を図り、「かつや」ブランド価値の最大化や「からやま」の出店加速、さらに海外展開を重点施策として推進しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、従業員一人ひとりの幸福(ハピネス)を重要な経営資源の一つと位置づけています。働きやすさと働きがいを両立する人事・評価制度の構築・運用に取り組んでおり、「アークハピネスプロジェクトの推進」や「働きたい会社・制度づくり」を通じて、優秀な人材の確保と育成を目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年2月期 41.1歳 13.3年 5,929,575円


※平均年間給与は基準外賃金及び賞与を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 1.5%
男性育児休業取得率 11.1%
男女賃金差異(全労働者) 60.4%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 73.6%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 94.0%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、目標とする女性管理職比率(3%)、男性育児休業取得率目標(50%)、平均残業時間目標(5時間)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 競合と経済状況の変化

ホームセンター業界では、ドラッグストアやディスカウントストア等との異業態を含めた競争が激化しています。景気変動や人口減少による消費の減少、EC市場拡大等による来店頻度の低下が、同社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 新規出店等の法的規制

店舗の出店や増床に際しては、「大規模小売店舗立地法」等のさまざまな法的規制を受けます。これら法令の改正や規制変更により、計画通りの新規出店ができない場合や開発期間が長期化した場合、事業展開および業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(3) 外食事業の食の安全

運営する各飲食店は「食品衛生法」の規制を受けており、自社や専門業者による衛生管理を徹底しています。しかし万一、食中毒等の事故が発生した場合、営業停止や営業許可の取消しを命じられるリスクがあり、業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


関連記事

アークランズの転職研究 2026年2月期決算に見るキャリア機会

アークランズの2026年2月期決算は、売上高が過去最高の3,411億円に到達。ジョイフル本田との歴史的な経営統合合意やペット最大手の完全子会社化など、業界再編を主導する「攻め」の姿勢を鮮明にしています。日本一のホームセンター連合を目指す変革の真っ只中で、専門人材に期待される役割を整理します。


アークランズの転職研究 2026年2月期3Q決算に見るキャリア機会

アークランズの2026年2月期3Q決算は、ペッツファースト等のM&A効果で増収を確保。一方で米価高騰やコスト増で利益面は下方修正となりましたが、共通会員制度「ACPO」開始などDXを急加速させています。「なぜ今アークランズなのか?」転職希望者がどの事業で、どんな役割を担えるのかを整理します。