チヨダ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

チヨダ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム上場。「東京靴流通センター」「シュープラザ」等を展開する靴小売大手。2025年2月期は衣料品事業譲渡の影響で減収となるも、靴事業の粗利率改善や販管費抑制により、営業利益は前期比約2倍の大幅増益を達成しました。(114文字)


※本記事は、株式会社チヨダ の有価証券報告書(第78期、自 2024年3月1日 至 2025年2月28日、2025年5月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. チヨダってどんな会社?


靴専門店「東京靴流通センター」「シュープラザ」などを全国展開し、靴の小売・卸売を行う企業です。

(1) 会社概要


1936年に「チヨダ靴店」として創業し、1948年に設立されました。1977年に「東京靴卸売センター(現・東京靴流通センター)」1号店を開店し、1980年に店頭登録、1985年に東証二部、2003年に東証一部へ上場しました。1994年には大型専門店「シュープラザ」を展開開始。2024年11月には衣料品事業の子会社マックハウスを譲渡しました。

同グループの従業員数は連結1,171名、単体1,065名です。筆頭株主は香港上海銀行東京支店が常任代理人を務めるいちごトラスト・ピーティーイー・リミテッドで、第2位は創業家出身の舟橋政男氏、第3位は資産管理会社の中央商事です。

氏名 持株比率
いちごトラスト・ピーティーイー・リミテッド 18.72%
舟橋政男 9.20%
中央商事 8.52%

(2) 経営陣


同社の役員は男性12名、女性1名の計13名で構成され、女性役員比率は7.7%です。代表取締役社長は町野雅俊氏が務めています。社外取締役比率は38.5%です。

氏名 役職 主な経歴
町野 雅俊 取締役社長(代表取締役) 1991年入社。中部地区本部長、関東営業本部長、執行役員関東地区店舗運営本部長などを歴任。2021年5月より現職。
井上 裕一郎 常務取締役管理本部長兼経営企画部管掌グループ事業推進担当 2014年入社。広報・IR室長、財務本部経理部長、執行役員経営企画室長などを経て、2025年5月より現職。
小関 国男 取締役営業統括本部長 1986年入社。九州地区本部長、執行役員店舗運営統括本部長などを歴任。2025年2月より現職。
舟橋 浩司 取締役ビジネスインキュベーション&アライアンスアドバイザー 博報堂を経て1990年入社。マックハウス社長、チヨダ社長等を歴任。2025年5月より現職。
安立 邦広 取締役 マックハウスを経て2013年入社。執行役員マーケティング統括本部長などを経て、2025年5月より現職。


社外取締役は、佐藤紀雄(イーテクノロジー顧問)、井脇修(アイサーパス社長)、堀之内慎太郎(いちごアセットマネジメント・インターナショナル執行役員)、山本貴英(フロンティア・マネジメント マネージング・ディレクター)、中山尚美(三菱UFJリサーチ&コンサルティング プリンシパル)です。

2. 事業内容


同社グループは、「靴事業」および「衣料品事業」を展開しています。

(1) 靴事業


紳士靴、婦人靴、スポーツシューズ、子供靴などの小売および卸売を行っています。全国に展開する「東京靴流通センター」「シュープラザ」などの店舗やECサイトを通じて、一般消費者に商品を販売しています。プライベートブランド商品の開発も行っています。

収益は主に一般消費者への商品販売代金です。また、卸売による収益も含まれます。運営は小売事業を同社が、卸売事業を子会社のチヨダ物産およびトモエ商事が行っています。

(2) 衣料品事業


ジーンズを中心としたカジュアル衣料の専門店チェーンを展開していました。「マックハウス」などの店舗で、一般消費者向けにボトムス、トップス、アウター、服飾雑貨などを販売していました。

収益は主に一般消費者への商品販売代金です。運営は子会社のマックハウスが行っていましたが、2024年11月に全株式を譲渡したため、現在は連結範囲から除外されています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は900億円前後で推移しています。利益面では、過去の赤字から回復基調にあり、直近では営業黒字が定着しています。2025年2月期は衣料品事業の譲渡もあり減収となりましたが、利益率は改善し、親会社株主に帰属する当期純利益は大幅な増益となりました。

項目 2021年2月期 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期
売上高 942億円 887億円 921億円 933億円 918億円
経常利益 -42億円 -38億円 -19億円 15億円 26億円
利益率(%) -4.4% -4.3% -2.1% 1.6% 2.8%
当期利益(親会社所有者帰属) -50億円 -40億円 -26億円 19億円 29億円

(2) 損益計算書


売上高は微減となりましたが、売上総利益率は改善傾向にあります。販管費の抑制が進んだことで営業利益率は上昇しており、収益性が高まっています。

項目 2024年2月期 2025年2月期
売上高 933億円 918億円
売上総利益 439億円 437億円
売上総利益率(%) 47.1% 47.6%
営業利益 11億円 22億円
営業利益率(%) 1.1% 2.4%


販売費及び一般管理費のうち、その他経費が137億円(構成比33%)、給料手当が127億円(同30%)を占めています。売上原価については、商品仕入高が主な構成要素となっています。

(3) セグメント収益


靴事業は、プライベートブランド商品の拡大やデジタル販促の強化などが奏功し、増収増益となりました。一方、衣料品事業は店舗数の減少等により大幅な減収となり、営業損失を計上しています。なお、衣料品事業は期中に譲渡されました。

区分 売上(2024年2月期) 売上(2025年2月期) 利益(2024年2月期) 利益(2025年2月期) 利益率
靴事業 779億円 821億円 20億円 30億円 3.6%
衣料品事業 154億円 98億円 -9億円 -8億円 -8.2%
連結(合計) 933億円 918億円 11億円 22億円 2.4%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFはプラス、投資CFはマイナス、財務CFはマイナスとなっており、本業で得た現金を投資や借入返済、配当に回している「健全型」のキャッシュ・フローと言えます。

項目 2024年2月期 2025年2月期
営業CF 30億円 28億円
投資CF -7億円 -32億円
財務CF -13億円 -14億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は5.7%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は65.8%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、靴専門店を全国にチェーン展開し、地域のニーズに合った商品を提供することで地域社会に貢献することを経営理念としています。顧客、株主、取引先など全てのステークホルダーに満足してもらい、持続的に企業価値を向上させていくことを目指しています。

(2) 企業文化


社会に必要とされるサービスを提供するための行動指針として、「企業行動指針」を定めています。これは「基本方針」と「行動基準」に分かれており、公正な取引、地域社会との連携、人権・多様性の尊重、環境問題への取り組みなどを重視する文化があります。

(3) 経営計画・目標


地域に合った品揃えとサービスの拡充により、店舗の利便性を高め、収益力を向上させることを目標としています。中期経営戦略として、PB開発強化やオムニチャネル展開、デジタルマーケティング強化などを掲げ、経営基盤の強化と業務効率化を進めています。

(4) 成長戦略と重点施策


消費者の購買行動の変化に対応するため、機能性商品の開発強化や、自社アプリ・ECサイトと実店舗の連携による顧客体験の向上に注力しています。また、実店舗以外の販売チャネル拡大のため、EC事業や法人事業に注力し、新たなビジネス基盤の構築に取り組んでいます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


従業員の個の価値を高めるため、階層別研修や専門資格(シューフィッター)取得支援などの教育を実施しています。また、多様な人材が活躍できるよう、女性管理職の登用や男性育休取得の推進、障がい者雇用の拡大など、ダイバーシティ推進と働きやすい環境整備に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年2月期 48.2歳 23.7年 5,263,226円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
管理職に占める女性労働者の割合 10.7%
男性労働者の育児休業取得率 50.0%
労働者の男女の賃金の差異(全労働者) 47.2%
労働者の男女の賃金の差異(正規雇用) 80.0%
労働者の男女の賃金の差異(非正規雇用) 97.8%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 商品に関するリスク


同社グループの商品は、天候不順やファッションの流行、顧客の嗜好変化の影響を受けやすい性質があります。販売計画と実績に乖離が生じた場合、過剰在庫による商品価値の毀損や評価損が発生し、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 生産地域に関するリスク


商品の大半は中国などアジア各国で生産されています。生産国の政治情勢や法制度の変動、急激な為替変動、大規模な自然災害、感染症の拡大などが発生した場合、商品調達や仕入価格に影響が生じる可能性があります。

(3) 自然災害によるリスク


全国に店舗を展開しているため、地震や津波、水害などの大規模な自然災害が発生した場合、店舗の損壊や商品の汚損、インフラ機能の低下により、店舗運営に支障をきたし、業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。