チヨダ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

チヨダ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

チヨダは東京証券取引所プライム市場に上場し、主に靴の小売および卸売事業を展開しています。直近の業績では、マックハウスの株式譲渡に伴う連結除外などの影響もあり減収減益となっていますが、プライベートブランドの拡販や不採算店舗の整理などを通じて収益構造の改善と持続的な企業価値の向上に取り組んでいます。


※本記事は、株式会社チヨダの有価証券報告書(第79期、自 2025年3月1日 至 2026年2月28日、2026年5月20日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. チヨダってどんな会社?

(1) 会社概要


チヨダは1936年に東京の高円寺で靴店として創業しました。1962年より多店舗化を開始し、1977年に「東京靴流通センター」、1994年に大型専門店「シュープラザ」を出店して事業を拡大しました。1980年に店頭登録し、現在は東京証券取引所プライム市場に上場しています。直近では2024年に衣料品事業を譲渡して靴事業に専念し、M&Aにより卸売機能を強化しています。

現在の従業員数は連結で1,231名、単体で1,102名となっています。大株主については、筆頭株主が資産運用等を行う外国法人で、第2位は創業家の個人、第3位は創業家に関連する事業会社となっています。

氏名 持株比率
いちごトラスト・ピーティーイー・リミテッド(常任代理人 香港上海銀行東京支店) 19.40%
舟橋政男 9.53%
中央商事 8.83%

(2) 経営陣


同社の役員は男性12名、女性1名の計13名で構成され、女性役員比率は7.7%です。代表取締役社長は町野雅俊氏が務めています。社外取締役は13名中5名で、比率は約38.5%です。

氏名 役職 主な経歴
町野雅俊 取締役社長(代表取締役) 1991年入社。中部地区本部長、関東営業本部長などを経て、2021年5月より現職。
井上裕一郎 常務取締役管理本部長兼経営企画部管掌グループ事業推進担当 2014年入社。広報・IR室長、経営企画室長、経理部長等を経て、2025年5月より現職。
小関国男 取締役営業統括本部長 1986年入社。九州地区本部長、ディストリビューター部長などを経て、2025年2月より現職。
舟橋浩司 取締役ビジネスインキュベーション&アライアンスアドバイザー 1990年入社。同社社長やマックハウス社長・会長等を歴任し、2025年5月より現職。
安立邦広 取締役マーケティング統括本部長兼中部地区店舗運営部アドバイザー 2013年入社。マーケティング部長兼EC事業室長等を経て、2025年5月より現職。


社外取締役は、佐藤紀雄(SBI新生銀行ディレクター)、井脇修(クライマー取締役)、堀之内慎太郎(いちごアセットマネジメント・インターナショナル執行役員パートナー)、山本貴英(フロンティア・マネジメントマネージング・ディレクター)、中山尚美(TMTパートナーズ代表取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「靴事業」の単一セグメントとして事業を展開しています。

(1) 小売事業


同社は、「東京靴流通センター」や「シュープラザ」などの靴専門店を全国にチェーン展開しています。紳士靴、婦人靴、子供靴からスニーカーまで幅広いラインナップを揃え、地域のお客様の生活に密着した商品を安価で高品質に提供しています。実店舗に加えてECサイトも運営し、オムニチャネル化を推進しています。

収益は、一般消費者への靴の販売代金から得ています。主力ブランド「セダークレスト」や「ハイドロテック」、低価格商品群などのプライベートブランド商品を強化し、販売促進を図っています。運営は主にチヨダが行っています。

(2) 卸売事業


小売店舗向けの商材調達や、外部企業に向けた靴の卸売を行っています。市場や顧客のニーズの変化に対応し、独自の視点と発想に基づく商品開発を行うことで、グループ全体の競争力向上を支えています。

収益は、グループ内企業や外部の小売業者に対する商品の販売代金から得ています。卸売事業の運営は、主にチヨダの子会社であるチヨダ物産とトモエ商事が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績は、感染症等の影響により赤字を計上した時期もありましたが、その後は回復し、黒字転換を果たしました。直近の当期では、衣料品事業の連結除外による影響などで売上高は減少したものの、プライベートブランド商品の拡販などにより経常利益を確保し、黒字を維持しています。

項目 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期 2026年2月期
売上高 887億円 921億円 933億円 918億円 814億円
経常利益 -38億円 -19億円 15億円 26億円 15億円
利益率(%) -4.3% -2.1% 1.6% 2.8% 1.9%
当期利益(親会社所有者帰属) -32億円 -19億円 17億円 28億円 0.1億円

(2) 損益計算書


衣料品事業の売却による連結除外の影響もあり、売上高は100億円以上減少しています。一方で、プライベートブランドの強化等により売上総利益率はほぼ同水準を維持していますが、販売計画とのギャップ等による影響で営業利益率は低下しました。

項目 2025年2月期 2026年2月期
売上高 918億円 814億円
売上総利益 437億円 383億円
売上総利益率(%) 47.6% 47.1%
営業利益 22億円 11億円
営業利益率(%) 2.4% 1.3%


販売費及び一般管理費のうち、役員報酬及び給料手当が114億円(構成比31%)、地代家賃が84億円(同23%)を占めています。

(3) セグメント収益


同社は当期より衣料品事業を譲渡し「靴事業」のみの単一セグメントとなったため、連結業績そのものが靴事業の業績となっています。売上高は前年を下回りましたが、低価格商品群の強化やテレビCM等の販促施策を通じ、収益力の改善に取り組んでいます。

区分 売上(2025年2月期) 売上(2026年2月期)
靴事業 - 814億円
連結(合計) 918億円 814億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社のキャッシュ・フローは、本業・投資・財務いずれもマイナスとなっており、資金繰りが危機的な状況を示す末期型となっています。

項目 2025年2月期 2026年2月期
営業CF 28億円 -41億円
投資CF -32億円 -3億円
財務CF -14億円 -33億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は0.5%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は70.3%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「企業を通して社会に貢献します」「和の経営で豊かな生活を築こう」「若さと進取の精神で企業規模の拡大をはかります」を経営理念に掲げています。靴専門店を全国にチェーン展開し、地域のニーズにあった商品を提供することで地域社会に貢献し、持続的な企業価値の向上を目指しています。

(2) 企業文化


同社は、常にお客様に感謝の念をもち、顧客の満足を通して地域社会に貢献する姿勢を重視しています。適切な人材開発による「一本化経営」を通じて生きがいのある環境を築き、若さと進取の精神をもって社会の動向を素早く探知し、商機に敏感であり続けるチャレンジの姿勢を大切にしています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、地域にあった品揃えとサービスの拡充により、店舗の利便性を高め、収益力を向上させることを目標としています。また、連結株主資本利益率(ROE)を重要な指標として位置付けており、中期的な目標として以下を掲げています。

* ROE 8%の達成

(4) 成長戦略と重点施策


中期経営戦略として、市場や顧客ニーズの変化に対応し、経営基盤の強化と業務効率化を進めます。具体的には、プライベートブランド商品の開発力強化と価値向上、デジタル販促強化とOMO(オンラインとオフラインの融合)の推進、EC事業や法人向け販売など実店舗以外の販売チャネル拡大に注力し、収益基盤の改善を図ります。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


働きやすいやりがいのある会社を目指し、全ての従業員の活躍を推進しています。女性の時短労働者や母子合同ミーティングの開催、男性の育休取得推進による働きやすさの改善を図るとともに、階層別研修や社内資格「シューズアドバイザー」制度等の自己研鑽補助を通じて、従業員の知識・技能を成長させ個の価値を高める方針です。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年2月期 48.7歳 23.9年 5,354,359円


※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 5.1%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 48.1%
男女賃金差異(正規雇用) 81.4%
男女賃金差異(非正規雇用) 97.3%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、障がい者雇用率(2.5%)、温室効果ガス削減率(57%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 減損会計の影響


同社グループが所有する固定資産について「固定資産の減損に係る会計基準」を適用していますが、事業環境の変化等により一部の事業用資産等についてさらなる減損損失が発生し、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 原油価格・天候等による商品リスク


取り扱う商品は石油由来の材料を使用したものが多く、原油価格の高騰により生産・販売価格が変動するリスクがあります。また、天候の影響やファッションの流行、他社との価格競争により過剰在庫や商品評価損が発生する可能性があります。

(3) 海外生産地域への依存リスク


同社グループの商品の大半は中国をはじめとするアジア各国で生産されています。そのため、生産国の政治・経済情勢や法制度の変動、急激な為替変動、自然災害の発生などが商品調達や仕入れ価格に悪影響を及ぼすリスクがあります。

(4) パートタイム従業員に係る人件費上昇リスク


同社グループは多数のパートタイム従業員を雇用しており、従業者全体に占める割合が高くなっています。同一労働同一賃金に関する法改正やインフレによる賃金の上昇に伴い、人件費が増加し業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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