しまむら 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

しまむら 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム上場のしまむらは、「ファッションセンターしまむら」等の衣料品チェーンを展開する企業です。2025年2月期の連結業績は、売上高6,654億円(前期比4.8%増)、経常利益606億円(同6.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益419億円(同4.5%増)と増収増益を達成しました。


※本記事は、株式会社しまむらの有価証券報告書(第72期、自 2024年2月21日 至 2025年2月20日、2025年5月19日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. しまむらってどんな会社?


総合衣料品店「ファッションセンターしまむら」を主軸に、ベビー・子供用品「バースデイ」などを展開するチェーンストア群です。

(1) 会社概要


1953年に埼玉県小川町で島村呉服店として設立され、1972年にしまむらへ社名変更しました。1988年に東証二部へ上場し、1997年には台湾へ進出して子会社を設立しました。2020年には直営ECサイト「しまむらオンラインストア」を開設するなど、デジタル化も推進しています。

従業員数は連結3,253名、単体2,802名です。筆頭株主と第3位株主は創業者一族の資産管理会社であり、第2位は資産管理業務を行う信託銀行です。

氏名 持株比率
島村企画 15.68%
日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) 9.96%
島村興産 9.17%

(2) 経営陣


同社の役員は男性11名、女性1名、計12名で構成され、女性役員比率は8.3%です。代表者は代表取締役社長執行役員 高橋 維一郎氏です。社外取締役比率は25.0%です。

氏名 役職 主な経歴
鈴木 誠 代表取締役会長執行役員 1989年入社。物流部長、システム開発部統括、企画室長などを経て、2020年社長就任。2025年2月より現職。
高橋 維一郎 代表取締役社長執行役員 1999年入社。商品部、販売企画部などを統括し、物流・貿易・システム担当執行役員を経て2025年2月より現職。
中平 貴士 取締役上席執行役員 1994年入社。商品部長、開発部長などを歴任し、アベイル事業担当を経て、現在は商品・販売企画等を統括。2025年2月より現職。
辻口 芳輝 取締役執行役員 1994年入社。バースデイ商品部長、シャンブル運営部長などを経て、現在は広報室・経営企画室を統括。2025年2月より現職。
上田 肇 取締役執行役員 1995年入社。店舗部長、商品部長、バースデイ事業担当などを経て、現在はアベイル事業を担当。2025年2月より現職。


社外取締役は、松井 珠江(元西友執行役SVP)、鈴木 豊(元キユーピー代表取締役社長)、室久保 貞一(元埼玉りそな銀行公共法人部長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「日本」および「海外」事業を展開しています。

(1) 日本


基幹事業「ファッションセンターしまむら」を中心に、「アベイル」「バースデイ」「シャンブル」「ディバロ」等の専門店を全国展開しています。主力のしまむら事業は20代から60代の女性とその家族をターゲットとし、実用衣料からトレンドファッションまで幅広く取り扱っています。

国内の消費者に対する衣料品・雑貨等の販売が収益源です。運営は同社が行っています。

(2) 海外


台湾全域において、「ファッションセンターしまむら」と同様の総合衣料品店「思夢樂」を展開しています。20代から60代の女性とその家族をターゲットとし、日常で必要なソフトグッズを提供しています。

現地の消費者に対する衣料品等の販売が収益源です。運営は子会社の思夢樂股份有限公司が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間において、売上高は一貫して増加傾向にあります。経常利益も順調に伸長しており、利益率は9%前後と高い水準を維持しています。当期純利益も増益基調が続いており、安定した成長と収益性を実現しています。

項目 2021年2月期 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期
売上高 5,426億円 5,836億円 6,161億円 6,351億円 6,654億円
経常利益 394億円 506億円 544億円 567億円 606億円
利益率(%) 7.3% 8.7% 8.8% 8.9% 9.1%
当期利益(親会社所有者帰属) 257億円 353億円 378億円 401億円 419億円

(2) 損益計算書


売上高の増加に伴い、売上総利益も増加しています。売上総利益率は34%台で安定的に推移しており、営業利益率も向上しています。コストコントロールが機能し、増収効果がしっかりと利益に結びついていることが読み取れます。

項目 2024年2月期 2025年2月期
売上高 6,351億円 6,654億円
売上総利益 2,186億円 2,309億円
売上総利益率(%) 34.4% 34.7%
営業利益 553億円 592億円
営業利益率(%) 8.7% 8.9%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が703億円(構成比41%)、賃借料が330億円(同19%)を占めています。売上原価は4,345億円で、売上高に対する構成比は65%です。

(3) セグメント収益


日本事業、海外事業ともに増収増益となりました。主力の日本事業が堅調に推移し全体の業績を牽引しています。海外事業も売上高、利益ともに増加しており、順調に成長しています。

区分 売上(2024年2月期) 売上(2025年2月期) 利益(2024年2月期) 利益(2025年2月期) 利益率
日本 6,270億円 6,565億円 550億円 588億円 9.0%
海外 81億円 88億円 4億円 5億円 5.4%
連結(合計) 6,351億円 6,654億円 553億円 592億円 8.9%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

項目 2024年2月期 2025年2月期
営業CF 412億円 528億円
投資CF -872億円 46億円
財務CF -99億円 -125億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は8.6%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は88.3%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


商業を通じて消費生活と生活文化の向上に貢献することを基本としています。常に最先端の商業・流通技術の運用によって高い生産性と適正な企業業績を維持し、世界的視野と人間尊重の経営を基本として、普遍的な信用と信頼性をもつ誠実な企業運営を続けることを経営の基本方針としています。

(2) 企業文化


「社員」「お客様」「取引先」「株主」「社会」にとって「いい会社」を造ることを長期の経営ミッションとしています。また、本業を通じてESG課題にも取り組み、全てのステークホルダーに対して価値を創造することで、持続可能な社会の実現と企業価値の向上を目指しています。

(3) 経営計画・目標


2030年2月期に向けた「長期経営計画2030」および2027年2月期までの中期経営計画を策定しています。「日々の暮らしにワクワクを」をテーマに、既存店の伸長と積極的な出店で商圏シェアを拡大し、以下の数値目標の達成を目指しています。

* 2027年2月期:売上高7,250億円、営業利益率9.2%
* 2030年2月期:売上高8,000億円以上、営業利益率10%、ROE9.0%以上

(4) 成長戦略と重点施策


商品力の強化としてPB商品の開発や自社ブランドの進化を進めるとともに、販売力の強化としてデジタル販促や地域対応を推進しています。また、デジタル化による業務効率向上や物流網の再構築、EC事業の拡大、新規海外事業の研究など、基礎と基盤の強化にも取り組んでいます。

* 店舗開発:都市部への出店強化、既存店の改装とファッションモール化
* 商品調達:リスクヘッジ可能で優位性のあるサプライチェーンの再構築
* EC事業:オンラインサイトの統合(モール化)と実店舗との相互送客強化

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


人的資本への投資を通じて社員の成長を促し、生産性向上を目指しています。パート社員(M社員)の正社員登用や店長への昇進制度、ジョブローテーションによる多能工化、公平な人事考課制度を導入し、多様な人材が活躍できる環境整備を進めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年2月期 43.4歳 17.0年 7,070,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 19.3%
男性育児休業取得率 104.9%
男女賃金差異(全労働者) 43.1%
男女賃金差異(正規) 81.5%
男女賃金差異(非正規) 72.3%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、障がい者雇用率(5.03%)、女性新卒採用比率(58.9%)、社員全体に占める女性比率(94.7%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 気候変動と自然災害


異常気象や自然災害は、店舗の営業休止やサプライチェーンの寸断を引き起こし、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。同社は天候に左右されにくい商品政策や地域別対応を進めるとともに、BCP(事業継続計画)の運用により被害の最小化と早期復旧に努めています。

(2) サプライチェーンと調達コスト


エネルギーや原材料価格の高騰、急激な為替変動、生産国の政情不安は調達コストの上昇や商品供給の不安定化を招くリスクがあります。同社は生産国やサプライヤーの分散化、貿易部による直接輸入の拡大、為替予約の活用などにより、安定的な商品調達とコスト管理を図っています。

(3) 人口減少と国内市場の変化


国内の少子高齢化や人口減少は、市場規模の縮小や人手不足をもたらすリスクがあります。これに対し、同社は商品ラインナップの拡充によるターゲット層の拡大(ラインロビング)や都市部への出店強化を進めるほか、人事制度の改善やDXによる業務効率化で労働生産性の向上に取り組んでいます。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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