しまむら 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

しまむら 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

しまむらは、東京証券取引所プライム市場に上場し、「ファッションセンターしまむら」を中心に衣料品等のソフトグッズを販売する総合衣料品チェーンを展開しています。直近の業績は、機能性商品の拡充やプライベートブランドの強化により客単価が上昇し、増収増益を達成するなど、安定した成長を続けています。


※本記事は、株式会社しまむらの有価証券報告書(第73期、自 2025年2月21日 至 2026年2月20日、2026年5月12日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. しまむらってどんな会社?


主力の「ファッションセンターしまむら」をはじめ、複数の衣料・雑貨専門店を全国展開する小売企業です。

(1) 会社概要


同社は1953年に島村呉服店として設立され、1961年にチェーン化理論を取り入れた事業展開を開始しました。1988年に東京証券取引所市場第二部に上場し、1991年に同市場第一部へ指定されています。1997年には台湾に子会社を設立して海外進出を果たし、2020年には直営ECサイトを開設してオムニチャネル化を推進しています。

現在の従業員数はグループ全体で3,393名、単体で2,914名です。筆頭株主は島村企画で、第2位は島村興産、第3位は資産管理業務を行う信託銀行です。

氏名 持株比率
島村企画 16.65%
島村興産 9.74%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 9.49%

(2) 経営陣


同社の役員は男性11名、女性1名の計12名で構成され、女性役員比率は8.3%です。代表取締役社長執行役員は高橋維一郎氏が務めています。社外取締役は3名(25%)選任されています。

氏名 役職 主な経歴
鈴木 誠 代表取締役 会長執行役員 1989年入社。物流部・システム開発部統括などを経て2020年に代表取締役社長執行役員に就任。2025年2月より現職。
高橋 維一郎 代表取締役 社長執行役員 1999年入社。販売企画部長などを経て2020年に取締役、2022年に取締役上席執行役員。2025年2月より現職。
中平 貴士 取締役 上席執行役員 1994年入社。商品部長やアベイル事業担当などを経て2022年に取締役執行役員。2025年2月より現職。
辻口 芳輝 取締役 執行役員 1994年入社。商品部長やシャンブル事業担当などを経て2023年に取締役執行役員。2025年2月より現職。
上田 肇 取締役 執行役員 1995年入社。商品部長やバースデイ事業担当などを経て2023年に取締役執行役員。2026年2月より現職。


社外取締役は、松井珠江(松井オフィス取締役副社長)、鈴木豊(元キユーピー社長)、室久保貞一(大栄不動産顧問)です。

2. 事業内容


同社グループは、「日本」および「海外」事業を展開しています。

日本


「ファッションセンターしまむら」を中核とし、ヤングカジュアルの「アベイル」、ベビー・子供用品の「バースデイ」、雑貨と婦人ファッションの「シャンブル」、靴とファッショングッズの「ディバロ」を展開しています。幅広い世代の顧客に対し、最新トレンドから実用衣料までを良質低価で提供しています。

衣料品や服飾雑貨の販売による収益が主な収入源です。これら日本国内の各店舗および事業の運営は、親会社であるしまむらが直接行っています。

海外


台湾全域において、「ファッションセンターしまむら」と同様の総合衣料の専門店事業を展開しています。20代から60代の女性とその家族をターゲットに、「高感度・高品質・低価格×日本」というブランドの認知度向上を図っています。

衣料品などの販売代金が主な収益源となります。同事業の運営は、台湾の連結子会社である思夢樂股份有限公司が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は順調に拡大を続けており、利益面でも着実な成長を維持しています。主力事業の好調な販売やプライベートブランドの拡充が寄与し、高い利益水準を保ちながら安定した推移を見せています。

項目 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期 2026年2月期
売上高 5,836億円 6,161億円 6,351億円 6,654億円 7,000億円
経常利益 506億円 544億円 567億円 606億円 637億円
利益率(%) 8.7% 8.8% 8.9% 9.1% 9.1%
当期利益(親会社所有者帰属) 353億円 378億円 414億円 421億円 444億円

(2) 損益計算書


売上高の成長に伴い、売上総利益および営業利益も増加しています。売上総利益率はほぼ横ばいで推移しており、安定した収益構造を確立していることが伺えます。

項目 2025年2月期 2026年2月期
売上高 6,654億円 7,000億円
売上総利益 2,309億円 2,439億円
売上総利益率(%) 34.7% 34.8%
営業利益 592億円 615億円
営業利益率(%) 8.9% 8.8%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が759億円(構成比41%)、賃借料が334億円(同18%)、広告宣伝費が118億円(同6%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力の日本事業が堅調に推移し、全社的な増収増益を牽引しました。海外事業も台湾でのインフルエンサー活用や新規出店によるブランド認知度の向上が奏功し、売上・利益ともに増加傾向にあります。

区分 売上(2025年2月期) 売上(2026年2月期) 利益(2025年2月期) 利益(2026年2月期) 利益率
日本 6,565億円 6,897億円 588億円 608億円 8.8%
海外 88億円 103億円 5億円 7億円 6.5%
連結(合計) 6,654億円 7,000億円 592億円 615億円 8.8%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業です。

項目 2025年2月期 2026年2月期
営業CF 528億円 481億円
投資CF 5億円 -663億円
財務CF -125億円 -608億円


企業の収益力を測るROEは9.0%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は88.1%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「商業を通じ消費生活と生活文化の向上に貢献することを基本とする。常に最先端の商業、流通技術の運用によって高い生産性と適正な企業業績を維持する。世界的視野と人間尊重の経営を基本とし、普遍的な信用、信頼性をもつ誠実な企業運営を続ける」ことを理念とし、信頼性の高い企業運営を基本方針としています。

(2) 企業文化


社員、お客様、取引先、株主、社会の全てのステークホルダーにとって「いい会社」を造ることを長期にわたる経営ミッションとしています。人間尊重の経営を基本とし、本業を通じて環境や人権に配慮する「しまむら流ESG」を推進することで、持続可能な社会の実現と企業価値の向上を目指しています。

(3) 経営計画・目標


「長期経営計画2030」および「中期経営計画2027」を策定し、既存店事業の伸長と積極的な出店による商圏シェア拡大を目指しています。小売業として適切な営業利益率を10%と設定し、物流・情報システムの高度化を進めています。

・2027年2月期:売上高7,291億円、営業利益率9.2%
・2030年2月期:売上高8,000億円以上、営業利益率10%、ROE9.0%以上

(4) 成長戦略と重点施策


商品力の強化、販売力の強化、基礎と基盤の強化を重点課題としています。自社ブランド(PB)の進化やデータ分析による商品構成の最適化、革新的な販促手法の導入を進めます。また、デジタル技術を活用したオペレーション効率化やECサイトの進化、都市部への出店強化を通じて競争優位性を高める方針です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


社員一人ひとりが仕事を通じて自己実現を図り、充実した社会生活を送れるよう労働条件や職場環境の整備を推進しています。パート社員を対象とした独自の「M社員制度」や店長昇進制度に加え、ジョブローテーションによるスペシャリスト育成を実施し、人的資本への投資を通じた会社の持続的な成長を目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年2月期 43.4歳 17.0年 7,224,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 20.2%
男性育児休業取得率 105.6%
男女賃金差異(全労働者) 43.2%
男女賃金差異(正規雇用) 80.8%
男女賃金差異(パート・有期) 76.8%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、社員全体に占める女性比率(94.5%)、障がい者雇用率(5.36%)、平均有給休暇取得率(72.8%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 気候変動・異常気象による影響


記録的な猛暑の長期化や暖冬など、天候や気温の変動が季節商品(夏物・冬物等)の販売動向に大きく影響し、販売機会を喪失するリスクがあります。同社は、天候に左右されにくい商品企画の強化や機動的な販促の実施により、気象リスクへの対応を図っています。

(2) 商品調達コストや物流費の上昇


原材料価格やエネルギー価格の高騰、および急激な為替変動による円安などが、仕入原価や店舗運営のコストを押し上げるリスクがあります。これに対し、ASEAN地域での生産拡大や直接物流の活用など、サプライチェーンの効率化とリスク分散を進めています。

(3) 国内の人口減少と市場の変化


少子高齢化による国内市場の縮小や、生活必需品に対する消費者の節約志向の高まりが業績に影響する可能性があります。同社は、ラインロビング(品揃えの拡大)やリロケーション、都市部への出店強化などを通じて商圏シェアの拡大と新たな顧客層の獲得に努めています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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