※本記事は、株式会社コックス の有価証券報告書(2026年2月期、2025年3月1日 ~ 2026年2月28日、2026年5月19日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
コックスグループは、衣料品小売業を営んでいます。親会社であるイオンを中心とするイオングループの専門店事業に属し、ショッピングセンター等に店舗を展開しています。
同社の単体従業員数は286名、連結従業員数は288名です。同社グループは衣料品小売業の単一セグメントで事業を展開しています。
コックスは、親会社であるイオンを中心とするイオングループの専門店事業に属し、イオンリテールやイオンモール等のショッピングセンターに店舗を展開しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
コックスは衣料品小売業として、お客様のファッションやライフスタイルを彩る本質的な豊かさを提供しています。同社グループは、従業員一人ひとりの成長を重視し、多様な人材が最大限に力を発揮できる働きやすい環境づくりに注力していることがうかがえます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、平均勤続年数が長く、平均年齢も高めであることから、従業員が長期的に安定して働き続ける傾向があると考えられます。これは、人材の定着性が高い職場環境を示唆しています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,112,000円 |
| 平均勤続年数 | 18.6年 |
| 平均年齢 | 48.3歳 |
| 単体従業員数 | 286人 |
| 連結従業員数 | 288人 |
| 単体のグループ内比率 | 99.3% |
同社は、親会社であるイオン株式会社および同社の主要国内関係会社で設立している確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の企業年金基金制度、および退職金前払制度を設けています。これらの制度は国内の従業員が対象です。
なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、多くの「人財」が集まった集合体であり、一人ひとりが学び成長することで、個人のみならず、会社の財産になると考えています。そのため、能力拡大に努め、「上司指導から得る学び」「自己啓発にて得る知識」を重視したさまざまな支援を行っています。
SDGs委員会を立ち上げ、「ちいきづくり」「ものづくり」「ひとづくり」の3つの目標を設定し、全社横断的に推進しています。特に「ひとづくり」においては、働きやすい環境を促進するため、女性管理職やイクボスの育成を進めるとともに、パートナー従業員の活躍を社内で評価し、表彰する制度を開始しました。
また、多様性を尊重し、LGBTQへの理解を深める啓蒙活動を継続的に実施するとともに、障がい者や外国人の雇用も積極的に行っています。年齢や性別、国籍に関わらず、多様な人財が最大限力を発揮できるよう、多様な雇用形態や仕事内容を提供することで、働きやすく、働きがいのある職場環境を整備していく方針です。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
女性管理職に占める女性労働者の割合および労働者の男女の賃金の差異は、女性活躍推進法に基づき算出されています。男性労働者の育児休業取得率は、育児介護休業法に基づき算出されています。なお、男女の賃金差異は、パートタイムや短時間勤務の女性比率が高いことが要因として挙げられています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 39.7% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 100.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 66.2% |
| 労働者の男女の賃金の差異(うち正規雇用労働者) | 83.8% |
| 労働者の男女の賃金の差異(うちパート・有期労働者) | 103.9% |
多様性・登用
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 39.7% |
| 障がい者雇用率 | 2.56% |
育児・介護支援
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 男性育休取得率 | 100.0% |
人材育成・エンゲージメント
基本理念への共感度は、全従業員を対象とした5段階評価アンケートの平均値です。エンゲージメントスコア・レーティングは、従業員と会社の信頼関係を数値化したものであり、総合満足度や期待度・満足度などを総合的に加味し、1万社以上のデータベースをもとにした偏差値として算出されます。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 基本理念への共感度 | 3.64 |
| エンゲージメントスコア・レーティング | 44.4 |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
コックスは、衣料品小売業を営む同社グループの中核企業です。イオングループの一員として、専門店事業を展開しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、衣料品小売業の単一セグメントで事業を展開しています。主に「ikka」「LBC」「EC限定ブランド」といったブランドを通じて、衣料品の販売を行っています。収益は、これらのブランドの店舗販売およびEC販売から得ています。
同社グループは、厳しい経営環境に対応するため、「店舗売上の拡大」「EC売上の拡大」「荒利率の維持・改善」を重点施策としています。店舗売上拡大では、人員体制の再整備や雑誌タイアップ企画を実施しました。EC売上拡大では、会員アプリの新規会員獲得強化やSNSを活用したPR活動に注力し、特にLBCブランドのEC売上高は前年比で大きく伸長しました。荒利率の維持・改善に向けては、プロパー販売の強化や値引き販売の抑制、仕入原価の低減に取り組んでいます。
地域別の売上高では、関東地域が最も大きな割合を占めています。海外(中国)地域からの売上高もわずかながら存在します。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの売上高は、直近の当連結会計年度において前期から微減となりました。一方で、営業利益および経常利益は前期から増加傾向を示しています。親会社株主に帰属する当期純利益は、直近で減少となりました。
過去5期を見ると、売上高は増減を繰り返しながらも、近年は140億円台から150億円台で推移しています。経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益は、過去に損失を計上した期もありましたが、近年は安定して利益を確保する傾向にあります。
| 項目 | 2022年2月期 | 2023年2月期 | 2024年2月期 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 133億円 | 149億円 | 149億円 | 153億円 | 150億円 |
| 経常利益 | △8.3億円 | 4.2億円 | 14.0億円 | 13.2億円 | 14.2億円 |
| 経常利益率 | △6.3% | 2.8% | 9.4% | 8.6% | 9.5% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | △13.7億円 | 2.1億円 | 11.4億円 | 12.0億円 | 10.7億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | △49.65 | 7.53 | 41.35 | 43.32 | 38.69 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高(連結)は、前期から減少しています。一方で、従業員1人あたり営業利益(連結)は前期から増加となりました。このことから、売上高は減少傾向にあるものの、利益効率は改善していることが示唆されます。
| 指標 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 53.1百万円 | 51.9百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 4.4百万円 | 4.6百万円 |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
コックスは、堅実な財務基盤とキャッシュフローの状況を示しています。本業で得た資金を適切に活用し、事業の安定性を維持していることがうかがえます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
コックスは、自己資本比率が前期から当期にかけて増加し、高い水準を維持しています。これは、財務の健全性が保たれていることを示しています。
ROE(自己資本利益率)は前期から減少していますが、プライム市場平均と比較すると高い水準にあります。現金及び預金も増加傾向にあり、手元資金の厚みがある状態です。
これらの財務状況は、事業運営の安定性につながる要素であると言えます。
| 指標 | 2025年2月期(前期) | 2026年2月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 89.1億円 | 105億円 |
| 自己資本比率 | 67.2% | 70.5% |
| ROE(自己資本利益率) | 14.5% | 11.0% |
| 現金及び預金 | 38.9億円 | 44.2億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
コックスの当期の営業活動によるキャッシュフローはプラスとなっています。これは、本業で安定的に資金を生み出している状況を示しています。前期と比較すると減少していますが、税金等調整前当期純利益や減価償却費が主な増加要因となっています。
投資活動によるキャッシュフローはマイナスであり、差入保証金の差入や有形固定資産の取得などへの支出が見られます。財務活動によるキャッシュフローは自己株式の取得により減少しています。
当期のフリーキャッシュフローはプラスであり、本業で得た資金が投資を上回っている状況です。これは、事業の安定的な運営と将来への投資余力を示しており、雇用や給与の安定性にもつながる傾向にあると言えます。
| 項目 | 2025年2月期(前期) | 2026年2月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 9.9億円 | 6.2億円 |
| 投資CF | △0.4億円 | △0.9億円 |
| 財務CF | △0百万円 | △0百万円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 9.5億円 | 5.3億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループが取り扱う衣料品やファッショングッズ類の販売は、お客さまの嗜好の変化や景気の変動、競合に伴う市場の変化の影響を受けやすい状況です。需要動向に合致しない商品仕入れや企画開発が行われなかった場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
同社グループはイオングループの一員であり、イオングループのショッピングセンター内店舗が多数を占めています。今後、イオングループを取り巻く環境の変化や業界再編等により、同グループの地位や集客力が変動した場合、同社グループの業績も影響を受ける可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、店舗売上拡大施策において、ベテラン人材の退職等による人員不足により、一部店舗で効果が限定的となる状況が見られます。採用単価の引き上げやリファラル等の採用方法を強化し、人員体制の再整備を推進していく方針です。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
コックスは、お客さまのファッションやライフスタイルを豊かにすることを目指し、持続的な成長を追求する企業です。すべてのスタッフが価値観を共有し、お客さま起点の行動規範に基づき事業活動を行っています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
コックスは、「お客さまのファッションやライフスタイルを彩る、本質的なゆたかさを提供し続ける」ことを経営理念に掲げています。この理念は「もっと、こころ動く日々へ。コックスは、お客さまのファッションやライフスタイルを彩る、本質的なゆたかさを提供し続けます。」と具体的に示されています。
同社グループは「Beautiful Life Innovator(新生活提案企業)への深化」を掲げ、この「新生活提案力」を武器として変化と進化を続ける企業へと生まれ変わることを目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
コックスは、すべてのスタッフが価値観を共有し、お客さま起点の行動規範に基づき事業活動を行うことを重視しています。同社グループは「私たちは、ファッションを通じてお客さまとともによりよい未来を創り、サステナブルな事業活動を行います」というビジョンを掲げ、SDGs委員会を通じて「ちいきづくり」「ものづくり」「ひとづくり」の3つの目標を推進しています。
「ひとづくり」においては、働きやすい環境を促進するため、女性管理職やイクボスの育成、パートナー従業員の活躍を評価・表彰する制度に取り組んでいます。
多様性を尊重し、LGBTQへの理解を深める啓蒙活動や、障がい者や外国人の積極的な雇用も行っています。人材育成では、一人ひとりが学び成長することで会社の財産になると考え、「上司指導から得る学び」「自己啓発にて得る知識」を重視した支援を行っています。年齢や性別、国籍に関わらず多様な人財が最大限力を発揮できるよう、働きやすく働きがいのある職場環境を整備する方針です。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
コックスは、経済状況の不透明感が続く環境に対応するため、『Beautiful Life Innovator(新生活提案企業)への深化』を掲げ、安定成長を目指しています。重点施策の一つである「店舗売上の拡大」においては、採用単価の見直し等の採用強化による人員確保に加え、販売トレーナーの増員や外部研修の導入を通じて販売力アップを図る方針です。また、「EC売上の拡大」においては、専門人材の確保・育成に継続して取り組むことを重視しています。
同社グループは、さまざまな社会情勢の変化に迅速に対応し、お客さまから支持されるブランド・会社へと成長させることで、事業構造を改革していくことを目指しています。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
コックスは監査役設置会社であり、監査役会による監査体制が経営監視機能を果たしています。取締役会が最高意思決定機関として経営の基本方針を決定し、業務執行を監督する体制です。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
コックスの筆頭株主はイオン株式会社であり、同社グループが主要な株主として名を連ねています。これにより、同社グループはイオン株式会社を中心とするグループ企業に支えられた資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| イオン | 67.78% |
| フジ | 1.94% |
| イオンフィナンシャルサービス | 1.76% |
| NOMURA PB NOMINEESLIMITED OMNIBUS-MARGIN (CASHPB) | 1.43% |
| コックス共栄会 | 1.11% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は10名(男性9名・女性1名)で構成され、女性役員比率は10.0%です。代表取締役社長兼デジタル推進本部長は三宅英木氏が務めています。社外取締役比率は25.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 三宅 英木 | 代表取締役社長 兼 デジタル推進本部長 | 1992年4月丸紅㈱入社、2018年2月イトキン㈱副社長執行役員、2021年5月同社代表取締役社長、2021年9月同社デジタル推進本部長より現職。 |
| 山岡 良司 | 取締役 販売・店舗開発管掌 | 1985年4月㈱タカキュー入社、2004年2月㈱ブルーグラス店舗開発課長、2020年5月同社取締役営業本部長兼店舗開発部長、2022年3月同社取締役販売・店舗開発管掌より現職。 |
| 福崎 晴康 | 取締役 商品・事業開発管掌 | 1986年3月同社入社、2011年10月同社ikka事業部長、2020年5月同社商品本部長、2022年3月同社取締役商品・事業開発管掌より現職。 |
| 小俣 雅之 | 取締役 | 1987年3月ジャスコ㈱(現イオン㈱)入社、2013年9月㈱ダイエー人事部長、2018年4月イオンアセアン本社人事総務本部長、2025年5月同社取締役より現職。 |
| 三浦 隆司 | 取締役 | 1985年3月ジャスコ㈱(現イオン㈱)入社、2003年5月タルボットジャパン㈱専務取締役営業本部長、2019年3月トップバリュコレクション㈱代表取締役社長、2023年5月同社取締役より現職。 |
社外取締役は、若林泰氏(㈱ヴィジオ代表取締役)、湯澤美和氏(㈱AWA代表取締役・ハンタージャパン㈱代表取締役)です。
同社は監査役設置会社です。社外取締役および社外監査役が取締役会に出席し、意思決定や業務執行の監視機能を果たしています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
コックスの業務執行取締役の報酬は、基本報酬、業績報酬、株式報酬型ストックオプションで構成されています。業績報酬は連結経常利益の達成水準を主な指標とし、連結当期純利益や連結営業利益の予算達成率も考慮されます。社外取締役の報酬は基本報酬のみです。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 4名 | 73百万円 | 18.3百万円 |
| 社外役員 | 4名 | 25百万円 | 6.3百万円 |
同社グループの役員報酬総額は99百万円であり、対象となる役員数は8名です。
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