※本記事は、ミニストップ株式会社の有価証券報告書(第47期、自 2025年3月1日 至 2026年2月28日、2026年5月20日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ミニストップってどんな会社?
コンビニエンスストア事業を国内外で展開するイオングループの企業です。
■(1) 会社概要
1980年にジャスコ(現イオン)の100%子会社として設立され、神奈川県に第1号店を開店しました。1981年にフランチャイズ事業を開始し、1993年には東京証券取引所市場第二部へ上場を果たしました。2000年代以降はフィリピンや韓国など海外にも進出し、現在はベトナムを中心に海外展開を推進しています。
現在の従業員数は連結で1,492名、単体で692名です。筆頭株主は親会社のイオンで48.71%を保有しており、第2位は資産管理業務を行う日本マスタートラスト信託銀行、第3位はイオングループでアパレル事業を展開するコックスとなっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| イオン | 48.71% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 4.06% |
| コックス | 2.36% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性9名、女性2名の計11名で構成され、女性役員比率は18.2%です。代表取締役社長は堀田昌嗣氏です。社外取締役比率は約27%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 堀田昌嗣 | 代表取締役社長 | 1989年同社入社。青島ミニストップ総経理、管理担当などを経て、2020年管理本部長兼人事総務本部長。2025年代表取締役社長兼構造改革担当に就任し、2026年より現職。 |
| 藤本明裕 | 取締役会長 | 1985年同社入社。商品本部長、青島ミニストップ総経理などを歴任。2017年代表取締役社長に就任し、2025年取締役会長兼新規事業推進担当を経て、2026年より現職。 |
| 仲澤光晴 | 取締役営業担当 | 1995年同社入社。フィリピン法人の下級副社長、海外事業本部長、商品本部長などを経て、2020年取締役に就任。商品・デジタル担当などを歴任し、2026年より現職。 |
| 西松正人 | 取締役 | 1978年ジャスコ(現イオン)入社。同社常務執行役、イオンリテール代表取締役執行役員副社長などを歴任。ダイエー取締役専務執行役員などを経て、2025年より現職。 |
社外取締役は、香川進吾(元富士通総研代表取締役社長)、池側千絵(ストラットコンサルティング代表取締役)、榊枝誠(元ユーシーシーフードサービスシステムズ代表取締役社長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「国内事業」および「海外事業」を展開しています。
■国内事業
フランチャイズチェーン方式の加盟店と直営店によるコンビニエンスストア事業を展開しています。また、オフィス等の施設内に設置する無人コンビニや、Eコマースなどの職域・新規事業も手掛けています。
加盟店からのロイヤルティや直営店での商品販売が主な収益源です。コンビニエンスストアの運営と事業展開は同社が行い、店舗への物流業務は子会社のネットワークサービスが担っています。
■海外事業
成長著しいベトナム市場において、フランチャイズチェーン方式の加盟店および直営店によるコンビニエンスストア事業を展開しています。現地のニーズに合わせた商品開発やファストフードの提供を行っています。
加盟店からのロイヤルティ収入および直営店での販売収益が主な収益源です。運営は、持株会社であるVINH KHANH CONSULTANCY CORPORATIONを通じ、MINISTOP VIETNAM COMPANY LIMITEDが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績推移を見ると、売上高は一時減少したものの近年は回復傾向にあります。一方で経常利益は赤字が続いており、事業構造改革や既存店の収益性改善が急務となっています。最終利益についても赤字が常態化しており、厳しい経営環境が伺えます。
| 項目 | 2022年2月期 | 2023年2月期 | 2024年2月期 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 282億円 | 306億円 | 264億円 | 355億円 | 431億円 |
| 経常利益 | -28億円 | -1億円 | 0億円 | -29億円 | -31億円 |
| 利益率(%) | -9.8% | -0.5% | 0.0% | -8.1% | -7.1% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -32億円 | 98億円 | -2億円 | -71億円 | -55億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期から増加しており、それに伴い売上総利益も拡大しています。しかし、販売費及び一般管理費の負担が大きく、営業利益は依然として赤字の状態が続いています。
| 項目 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 355億円 | 431億円 |
| 売上総利益 | 81億円 | 104億円 |
| 売上総利益率(%) | 22.8% | 24.2% |
| 営業利益 | -35億円 | -36億円 |
| 営業利益率(%) | -9.8% | -8.4% |
■(3) セグメント収益
国内事業は、既存店の収益性改善や職域事業の拡大などにより、前期と比較して増収となりました。一方の海外事業は、ベトナムでの不採算店舗の計画的閉店や為替の影響などもあり、売上は前期と同水準で推移しています。
| 区分 | 売上(2025年2月期) | 売上(2026年2月期) |
|---|---|---|
| 国内事業 | 780億円 | 823億円 |
| 海外事業 | 95億円 | 94億円 |
| 連結(合計) | 875億円 | 918億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業型のキャッシュ・フローとなっています。
| 項目 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 19億円 | 18億円 |
| 投資CF | -5億円 | -15億円 |
| 財務CF | -8億円 | -2億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は-19.1%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は38.3%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社が属するイオングループの基本理念である「お客さまを原点に平和を追求し、人間を尊重し、地域社会に貢献する」を踏まえ、「私たちは、『おいしさ』と『便利さ』で、笑顔あふれる社会を実現します。」というミッションを掲げています。新たなビジネスモデルを創造し、企業の社会的責任を果たしていくことを目指しています。
■(2) 企業文化
加盟店と本部が「お客さま第一」を実践し、共に繁栄を目指す「事業の共同体」であるという価値観を大切にしています。また、「人こそが会社の中核、会社の源泉であり、企業理念を実現する原動力である」と考え、従業員一人ひとりの情熱や可能性を引き出し、多様な人材がいきいきと躍動する組織づくりを重視しています。
■(3) 経営計画・目標
最優先すべき経営目標として「各加盟店の収益向上」を掲げており、重要な経営指標として「1店当たりの売上総利益高」を設定しています。また、企業価値の向上を図るため、店舗投資の効率化を進めるとともに、ROE(自己資本利益率)の改善に努める方針を示しています。具体的な数値目標は公表されていません。
■(4) 成長戦略と重点施策
「構造改革の完遂」と「成長戦略の推進」を中期的な経営戦略として掲げています。構造改革では事業・収益構造の変革による業績改善を進め、成長戦略では新たな価値を提供する「Newコンボストアモデル」への転換を推進します。また、新たな事業の柱として職域事業の拡大や、ベトナム事業での個店モデル確立と出店拡大に注力する方針です。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
人を会社の中核と捉えた企業経営を推進しており、「従業員が誇りを持てる会社」「いきいきと働き続けられる職場」「人が成長している会社」「生産性の高い組織」の4つを人的資本のありたき姿として掲げています。従業員一人ひとりの夢と企業理念を結びつけ、エンゲージメントの高い人材を育成・定着させる方針です。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年2月期 | 45.8歳 | 14.1年 | 6,108,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 11.2% |
| 男性育児休業取得率 | 70.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 69.8% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 80.7% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | 94.4% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、1人当たり教育費(63,466円)、障がい者雇用率(2.34%)、エンゲージメントスコア(53.8)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 人材確保と労務問題に関するリスク
少子高齢化等による人材不足や人材流出が進むと、生産性向上の遅れや長時間労働などの労務問題が発生する恐れがあります。これが企業イメージの低下やさらなる離職を招き、フランチャイズチェーン全体の運営や事業展開に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 食品の安全性と品質管理に関するリスク
ファストフード等の店内加工商品における食中毒や異物混入、アレルゲンや消費期限の表示違反などが発生した場合、顧客の健康を害するだけでなく、食の安全・安心に対する信頼を大きく損ねます。行政指導や社名公表等により、ブランド価値が著しく低下するリスクがあります。
■(3) フランチャイズ加盟店の経営指導に関するリスク
フランチャイズ契約からパートナーシップ契約へのビジネスモデル変革において、本部による加盟店への経営指導体制の構築や継続的な改善が遅れた場合、本部と加盟店との連携が不十分となります。その結果、出店地域での競争力や売上の低下を招く恐れがあります。



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