ベルク 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ベルク 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ベルクは東京証券取引所プライム市場に上場し、埼玉県等を中心とした首都圏でスーパーマーケットを展開しています。標準化された店舗フォーマットによる計画出店や自社物流網の効率化により、直近5年間で継続的な増収増益を達成しており、地域密着の安定した成長と財務体質の強化を両立させているのが特徴です。


※本記事は、ベルクの有価証券報告書(第67期、自 2025年3月1日 至 2026年2月28日、2026年5月20日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準はJapan GAAPです。

1. ベルクってどんな会社?


同社は、埼玉県を中心とする首都圏で生鮮食品等のスーパーマーケットをチェーン展開する小売企業です。

(1) 会社概要


同社は1959年に埼玉県秩父市で設立され、宮側店を出店して営業を開始しました。1994年に株式を店頭登録し、2006年にはイオンと業務・資本提携を締結して成長を加速させました。2022年に東京証券取引所プライム市場へ移行し、2025年にはナカムラ米販を完全子会社化するなど事業領域を広げています。

現在の従業員数は連結で2,914名、単体で2,808名体制となっています。大株主の状況を見ると、筆頭株主は業務・資本提携先である事業会社のイオンで、第2位および第3位は資産管理会社と推測される法人が名を連ねており、安定した株主構成のもとで事業基盤の拡大を進めています。

氏名 持株比率
イオン 15.00%
IH 8.93%
TH 6.72%

(2) 経営陣


同社の役員は男性13名、女性4名の計17名で構成され、女性役員比率は23.5%です。代表取締役社長は原島一誠氏が務めています。社外取締役比率は約35.3%です。

氏名 役職 主な経歴
原島一誠 代表取締役社長 2005年同社入社。菓子部長、専務取締役営業本部長などを経て、2020年5月より現職。ホームデリカ等の代表取締役社長も兼務。
原島保 取締役会長 1979年同社入社。東京青果を経て同社に戻り、専務取締役商品本部長などを歴任。2015年4月より現職。
上田英雄 専務取締役コンプライアンス室長兼財務経理部・業務サポート部・サステナビリティ広報室管掌兼法務担当 1986年同社入社。情報システム部長、経営企画部長、常務取締役管理本部長などを経て、2023年3月より現職。
原島陽一郎 専務取締役ロジスティクス統括部長兼グロサリー商品開発MD 1990年同社入社。ロジスティック部長、商品部統括部長、常務取締役グロサリー統括部長などを経て、2021年3月より現職。
大杉佳弘 常務取締役人事教育部長 1997年同社入社。人事教育部長、執行役員人事教育部長などを経て、2020年5月より現職。
上田寛治 取締役開発統括部長兼店舗企画部長 島忠を経て2002年同社入社。店舗開発部長、取締役開発本部長などを歴任し、2025年7月より現職。
原田裕幸 取締役システム改革部長 1998年同社入社。一般食品部長、青果部長、執行役員青果部長などを経て、2020年5月より現職。
大作幹夫 取締役販売運営部長 キユーピー、イオン等を経て2003年同社入社。ジョイテック取締役、同社青果部長等を経て、2024年5月より現職。


社外取締役は、柴田祐司(イオン顧問)、井澤京子(日本包装機械元社長)、梅國智子(人間総合科学大学学科長)、齊藤修一(八三財団代表理事)、大西千晶(日本農業代表理事)、王玲(ひなたライフ取締役CSO)です。

2. 事業内容


同社グループは、小売業の単一セグメントで事業を展開しています。

(1) スーパーマーケット事業

埼玉県を中心とする首都圏において、生鮮食品、加工食品、日用品などを提供するスーパーマーケットをチェーン展開しています。「Better Quality & Lower Price」を掲げ、標準化された店舗フォーマットと自社開発商品の拡充により、地域住民の生活を支えるインフラとして機能しています。

収益は、店舗やネットスーパーにおける一般消費者への商品販売による代金から得ています。事業の運営は、親会社である同社が主体となって行っています。

(2) 自社製造・物流等の関連事業

スーパーマーケット事業の競争力を高めるため、グループ内で商品の製造から物流、資材供給までを一貫して担う垂直統合型のサプライチェーンを構築しています。加工食品の製造や鮮魚・米穀の加工、販売用資材の供給などを多角的に行っています。

収益は、同社各店舗への商品・資材の供給や清掃業務等のサービス提供により得ています。惣菜製造をホームデリカ、資材供給や清掃をジョイテック、水産加工をマルイチ水産LTD、米穀加工をナカムラ米販といった各子会社が運営しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の業績を見ると、店舗網の拡大や販売促進活動の奏功により、売上高は一貫して右肩上がりで成長しています。経常利益も売上成長に伴って順調に拡大しており、増収増益のトレンドを維持しながら安定した収益力を示しています。

項目 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期 2026年2月期
売上高 2,970億円 3,056億円 3,461億円 3,814億円 4,165億円
経常利益 139億円 143億円 150億円 174億円 182億円
利益率(%) 4.7% 4.7% 4.3% 4.6% 4.4%
当期利益(親会社所有者帰属) 90億円 91億円 101億円 118億円 124億円

(2) 損益計算書


売上高の拡大に伴い売上総利益が増加していますが、利益率は前年とほぼ同水準を維持しています。商品仕入価格の高騰などの影響を受けつつも、適正な価格政策や経費コントロールの徹底により、営業利益額を着実に伸ばしています。

項目 2025年2月期 2026年2月期
売上高 3,814億円 4,165億円
売上総利益 1,031億円 1,120億円
売上総利益率(%) 27.0% 26.9%
営業利益 170億円 179億円
営業利益率(%) 4.5% 4.3%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が356億円(構成比約35%)、地代家賃が99億円(同約10%)、減価償却費が81億円(同約8%)を占めています。

(3) セグメント収益


同社は小売業の単一セグメントであるため、事業全体が連結業績と一致しています。商品価格の強化や独自の販売促進活動の継続、および新規出店効果により、事業全体として堅調に売上を伸ばしています。

区分 売上(2025年2月期) 売上(2026年2月期)
小売業 3,814億円 4,165億円
連結(合計) 3,814億円 4,165億円


営業活動で稼いだ資金を元手に、借入も活用しながら設備投資(新規出店など)を積極的に行っている積極型の状態です。

項目 2025年2月期 2026年2月期
営業CF 227億円 209億円
投資CF -217億円 -228億円
財務CF -2億円 38億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は11.0%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は54.5%でこちらも市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「Better Life with Community(地域社会の人々に、より充実した生活を)」を経営理念に掲げています。食料品を中心に販売するスーパーマーケットの経営を通じ、顧客に支持され信頼される店作りを進めることで、地域におけるスーパーマーケットとしての社会的役割を果たすことを基本方針としています。

(2) 企業文化


役員・従業員が守るべき行動規範「ベルク行動基準」や倫理規範「商売六訓」を定め、安全かつ衛生的な職場環境の維持や従業員の健康重視を明文化しています。また、「Better Quality & Lower Price」を掲げ、独自の企業体制のもとでチェーンオペレーションの効率化を日々追求しています。

(3) 経営計画・目標


厳しい外部環境の中で安定成長と財務体質の強化を図るため、企業価値を最大化する体制作りに注力しています。そのための重要な経営指標として連結売上高経常利益率を捉えており、今後の事業戦略に反映させる計画です。

・連結売上高経常利益率:4.5%以上

(4) 成長戦略と重点施策


標準化したフォーマットでの計画出店による新たな商圏開発や、既存店の改装等による店舗活性化を進め、一層のドミナント化を図ります。優先すべき課題として、新規優良立地の確保、労働生産性の向上、経費コントロールの徹底、自社物流の効率化推進などを掲げています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「様々な課題を解決し、新しい価値を創り出す人間力のある人材」の育成を目指しています。一人ひとりのレベルや立場に応じた教育プログラム、技術・知識を習得するトレーニングセンターの設置、デジタルツールの活用などを通じて、従業員エンゲージメントの向上を図っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年2月期 33.6歳 9.6年 5,570,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 4.4%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 51.2%
男女賃金差異(正規雇用) 72.4%
男女賃金差異(パート・有期) 99.0%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、正社員の平均勤続年数における男女の差(4.4年)や、食品リサイクル率(79.8%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 出店政策と店舗開発リスク

埼玉県を中心とする首都圏へのドミナント出店(集中出店)を推進していますが、優良な出店立地が十分に確保できない場合や、競合他社との価格競争が激化した場合、想定通りの投資成果が得られず、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 自社物流センターへの依存リスク

全店舗への定時一括納品を行うため、自社物流センターを中心とした高効率な物流体制を構築しています。そのため、自然災害や不測の事故等によって物流センターの機能に重大な支障が生じた場合、店舗への商品配送が滞るリスクがあります。

(3) 法的規制と品質管理に関するリスク

食品を扱うスーパーマーケット事業の性質上、「食品衛生法」等の厳格な規制を受けています。食中毒の発生や商品の品質・表示偽装といった問題が生じた場合、顧客からの信頼が低下し、業績や企業ブランドに悪影響を及ぼす恐れがあります。

(4) 人材確保と労働環境に関するリスク

事業拡大にはパートタイマーを含めた優秀な人材の確保が不可欠です。必要とされる人材の採用や教育が計画通りに進まない場合、出店計画の遅延や店舗オペレーションの品質低下を招き、企業の持続的な成長に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


関連記事

ベルクの転職研究 2026年2月期決算に見るキャリア機会

ベルクの2026年2月期決算は、営業収益4,234億円と過去最高を更新。35期連続増収を達成し、ホームデリカ第三工場の新設など製造小売への深化を加速させています。「なぜ今ベルクなのか?」「転職希望者がどの事業で、どんな役割を担えるのか」を整理します。


ベルクの転職研究 2026年2月期3Q決算に見るキャリア機会

ベルクの2026年2月期3Q決算は、営業収益が過去最高の3,157億円と極めて好調。物価高の中でも既存店売上高105.8%増を記録する集客力と、賃金上昇下で販管費率を維持する高い生産性が魅力です。2030年の売上高5,000億円目標に向けた積極的な成長戦略の中での、求職者のチャンスを整理します。