ベルク 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ベルク 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム上場のスーパーマーケットチェーン。埼玉県を中心とする首都圏で、標準化された店舗フォーマットと自社物流網を活かした高効率経営を展開しています。直近の業績は、売上高3,814億円、経常利益174億円で増収増益を達成しました。


※本記事は、株式会社ベルク の有価証券報告書(第66期、自 2024年3月1日 至 2025年2月28日、2025年5月22日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ベルクってどんな会社?


埼玉県を地盤に首都圏で食品スーパーマーケットを展開する企業です。標準化されたオペレーションと自社物流による効率経営を強みとしています。

(1) 会社概要


1959年に株式会社主婦の店秩父店として設立され、営業を開始しました。1992年に現社名の株式会社ベルクへ商号変更し、2006年にはイオン株式会社と業務・資本提携契約を締結しました。2015年に埼玉県鶴ヶ島市へ本社を移転し、2024年には水産加工会社の株式会社マルイチ水産LTDを完全子会社化するなど、事業基盤の強化を進めています。

連結従業員数は2,752名、単体では2,685名です。筆頭株主は業務・資本提携先である大手流通グループの事業会社で、第2位および第3位は資産管理会社と推測される法人です。強固な提携関係と安定した株主構成のもと、地域密着型の事業を展開しています。

氏名 持株比率
イオン 15.00%
IH 8.93%
TH 6.72%

(2) 経営陣


同社の役員は男性13名、女性4名の計17名で構成され、女性役員比率は23.5%です。代表取締役社長は原島一誠氏が務めています。社外取締役比率は42.9%です。

氏名 役職 主な経歴
原島 一 誠 代表取締役社長 2005年入社。菓子部長、営業本部長等を歴任し、ホームデリカおよびジョイテックの社長を兼務。2020年5月より現職。
原 島  保 取締役会長 1979年入社。販売部長、商品本部長、管理本部長等を歴任し、2015年4月より現職。
上 田 英 雄 専務取締役 1986年入社。情報システム部長、経営企画部長、管理本部長等を歴任し、2023年3月より現職。
原島 陽一郎 専務取締役 1990年入社。ロジスティック部長、商品統括部長等を歴任し、2021年3月より現職。
大 杉 佳 弘 常務取締役 1997年入社。2013年人事教育部長、2014年執行役員を経て、2020年5月より現職。
上 田 寛 治 取締役 2002年入社。第一店舗開発部長、開発本部長等を歴任し、2020年10月より開発統括部長。
原 田 裕 幸 取締役 1998年入社。一般食品部長、青果部長等を歴任し、2020年5月よりシステム改革部長。
大 作 幹 夫 取締役 2003年入社。ジョイテック事業部長、青果部長等を歴任し、2024年5月より販売運営部長。


社外取締役は、柴田祐司(現イオン顧問)、井澤京子(元日本包装機械代表取締役社長)、梅國智子(現人間総合科学大学人間科学部健康栄養学科学科長)、齊藤修一(現一般財団法人八三財団代表理事)、大西千晶(現株式会社プリローダ代表取締役社長)、王玲(現株式会社MBSイノベーションドライブ入社)です。

2. 事業内容


同社グループは、「小売」事業および「その他」事業を展開しています。

(1) 小売事業


同社グループの主力事業であり、埼玉県を中心とする首都圏において、生鮮食料品、加工食品、日用品等を販売するスーパーマーケット「ベルク」および「クルベ」をチェーン展開しています。地域密着型の店舗運営を通じて、一般消費者の日々の生活に必要な商品を提供しています。

主な収益は、各店舗における一般顧客への商品販売による代金です。スーパーマーケットの運営は主にベルクが担い、連結子会社のホームデリカが惣菜を中心とした加工食品の製造・供給を行っています。また、ジョイテックが店舗の清掃業務や販売用資材の供給を行うことで、グループ全体での効率的な運営体制を構築しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は一貫して増加傾向にあり、堅調な成長を続けています。利益面でも、経常利益および当期純利益ともに増加基調を維持しており、収益性も安定しています。特に直近では売上高3,800億円規模に達し、過去最高の利益水準を更新するなど、事業拡大と収益力向上が両立しています。

項目 2021年2月期 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期
売上高 2,817億円 2,970億円 3,056億円 3,461億円 3,814億円
経常利益 127億円 139億円 143億円 150億円 174億円
利益率(%) 4.5% 4.7% 4.7% 4.3% 4.6%
当期利益(親会社所有者帰属) 88億円 92億円 96億円 107億円 124億円

(2) 損益計算書


直近2期間を比較すると、売上高の伸長に伴い売上総利益も増加しています。売上総利益率は約27%の水準を維持しており、安定した収益構造が見て取れます。営業利益率は4%台で推移しており、コストコントロールを行いながら利益を確保するビジネスモデルが機能しています。

項目 2024年2月期 2025年2月期
売上高 3,461億円 3,814億円
売上総利益 942億円 1,031億円
売上総利益率(%) 27.2% 27.0%
営業利益 145億円 170億円
営業利益率(%) 4.2% 4.5%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が322億円(構成比35%)、地代家賃が89億円(同10%)、減価償却費が73億円(同8%)を占めています。

(4) キャッシュ・フローと財務指標

ベルクのキャッシュ・フローの状況についてご説明します。

同社は、営業活動により潤沢な資金を得ており、これは主に利益の増加によるものです。一方、投資活動では、有形固定資産の売却収入の減少などにより、使用した資金が増加しました。財務活動では、長期借入金の増加などにより、使用した資金は減少しています。

項目 2024年2月期 2025年2月期
営業CF 211億円 227億円
投資CF -162億円 -217億円
財務CF -34億円 -2億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、食料品を中心に販売するスーパーマーケット経営を通じ、「Better Life with Community(地域社会の人々に、より充実した生活を)」を経営理念に掲げています。お客様に支持され信頼される店作りを進め、スーパーマーケットとしての社会的役割を果たすことを経営の基本としています。

(2) 企業文化


同社は「Better Quality & Lower Price」を掲げ、おいしく鮮度の良い商品の販売と価格訴求を推進しています。また、標準化された企業体制を基盤とし、本部主導型経営による効率化やチェーンオペレーションの徹底を図る文化があります。従業員に対しては「商売六訓」等の行動規範を通じて価値観を共有しています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、厳しい外部環境の中で安定成長と財務体質の強化を図り、企業価値を最大化することを目指しています。そのために、重要な経営指標として以下の数値を目標に掲げ、事業戦略に反映させています。

* 連結売上高経常利益率:4.5%以上

(4) 成長戦略と重点施策


中長期的な経営戦略として、標準化したフォーマットでの計画出店による新たな商圏開発と、既存店の改装等による店舗活性化を進め、ドミナント化を推進します。また、高収益体質維持のため、効率経営によるローコストオペレーションに取り組みます。優先課題として、新規優良立地の確保、高い労働生産性の実現、経費コントロールの徹底、自社物流による効率化、連結子会社の収益性向上を挙げています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「様々な課題を解決し、新しい価値を創り出す人間力のある人材」の育成を目指し、階層別・職種別研修やトレーニングセンターでの技術習得等を推進しています。社内環境整備では、従業員エンゲージメントの向上、ワークライフバランスの実現、ダイバーシティの推進、健康経営を掲げ、多様な人材が活躍できる職場づくりに取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年2月期 33.5歳 9.4年 5,517,000円


※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 3.6%
男性育児休業取得率 107.8%
男女賃金差異(全労働者) 49.5%
男女賃金差異(正規雇用) 70.1%
男女賃金差異(非正規) 99.7%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、正社員に占める女性の割合(26.5%)、正社員平均勤続年数における女性の男性に対する割合(60.0%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 「大規模小売店舗立地法」について


店舗の新規出店や既存店の売場面積変更は「大規模小売店舗立地法」の規制対象となり、周辺環境への配慮等について都道府県等の審査を受けます。この法規制により、計画通りの新規出店や増床が制限されたり、調整に時間を要したりする場合があり、同社の出店計画や業績に影響を与える可能性があります。

(2) 物流センターについて


同社は自社物流センターを運営し、全店舗への定時一括納品による効率的な物流体制を構築しています。しかし、物流センターにおいて事故や災害等の不測の事態が発生した場合、店舗への商品配送に遅延や停止などの支障が生じ、営業活動や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(3) 人材の確保と育成について


事業拡大には既存従業員に加え、パートタイマーを含む優秀な人材の確保が不可欠です。しかし、労働市場の競争激化等により必要な人材の採用や教育が計画通り進まない場合、出店計画の見直しや店舗運営レベルの低下、商品力の低下などを招き、業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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