#記事タイトル:フジ転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態
※本記事は、株式会社フジ の有価証券報告書(第58期、自 2024年3月1日 至 2025年2月28日、2025年9月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. フジってどんな会社?
中四国・兵庫エリアを中心に、スーパーマーケットやショッピングセンターを展開するイオングループの企業です。
■(1) 会社概要
1967年に愛媛県松山市で設立され、同年10月に宇和島店を開設しました。1997年に東京証券取引所市場第一部に上場し、2018年にはイオンと資本業務提携契約を締結しています。2022年3月、マックスバリュ西日本との経営統合により持株会社体制へ移行し、2024年3月には同社およびフジ・リテイリング等を吸収合併して事業会社となりました。
2025年2月28日時点の連結従業員数は8,011名、単体従業員数は6,903名です。筆頭株主は親会社であるイオンで、第2位はその他の法人のアスティ、第3位は資産管理業務を行う信託銀行です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| イオン | 50.60% |
| アスティ | 4.10% |
| 日本マスタートラスト信託銀行 株式会社(信託口) | 3.90% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性11名、女性2名の計13名で構成され、女性役員比率は15.0%です。代表取締役社長は山口普氏です。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 尾 﨑 英 雄 | 代表取締役会長 | 1976年同社入社。店舗運営事業本部長等を経て2006年社長就任。2018年より会長兼CEOを務め、2024年3月より現職。 |
| 山 口 普 | 代表取締役社長 | 1981年同社入社。管理本部長、財務部長等を歴任。2018年社長兼COOに就任し、2022年の副社長を経て2024年3月より現職。 |
| 平 尾 健 一 | 代表取締役副社長 | 1984年ジャスコ(現イオン)入社。マルナカ社長、マックスバリュ西日本社長等を歴任し、2022年3月より現職。 |
| 豊 田 靖 彦 | 取締役上席執行役員企画・開発担当 | 1988年ウエルマート(現フジ)入社。イオンリテール等を経て2023年常務取締役経営企画・開発本部長。2024年3月より現職。 |
| 豊 田 洋 介 | 取締役上席執行役員店舗運営担当 | 1997年同社入社。店舗開発部長、人事総務部長、管理・システム本部長等を歴任。2025年3月より現職。 |
| 井 出 武 美 | 取締役 | 1985年ジャスコ(現イオン)入社。イオンリテール社長、イオン執行役GMS担当等を歴任。2025年5月より現職。 |
社外取締役は、北福縫子(株式会社エス・ピー・シー常務取締役)、大塚ひろみ(株式会社アーレア代表取締役)、石橋三千男(公認会計士・税理士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「総合小売事業」および「その他関連事業」を展開しています。
■総合小売事業
食料品や衣料品、日用雑貨品などを取り扱うスーパーマーケットやショッピングセンターの運営を行っています。地域の生活インフラとして、フジ、マックスバリュ、マルナカなどの店舗ブランドを展開し、一般消費者を主な顧客として商品を販売しています。
商品の販売による収益が主な収益源です。運営は主に同社が行っていますが、一部の店舗運営等はフジマート、フジマート四国、ニチエーなどの連結子会社も担っています。
■その他関連事業
小売事業を補完する多様なサービスを展開しています。具体的には、飲食業、クレジットカード事業、総合フィットネスクラブ運営、旅行代理店業、ビルメンテナンス業などが含まれます。
各サービスの利用者や加盟店からの利用料、手数料などが収益源となります。運営は、フジファミリーフーズ(飲食)、フジ・スポーツ&フィットネス(フィットネス)、フジ・トラベル・サービス(旅行)、フジセキュリティ(ビルメンテナンス)などの連結子会社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
2022年2月期以降、経営統合の影響により事業規模が大きく拡大しています。直近の2025年2月期は、売上高は増加しましたが、各種コストの増加等により利益面では減少傾向となりました。当期純利益も減益となっています。
| 項目 | 2021年2月期 | 2022年2月期 | 2023年2月期 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 3,000億円 | 3,048億円 | 7,554億円 | 7,711億円 | 7,782億円 |
| 経常利益 | 80億円 | 99億円 | 134億円 | 174億円 | 143億円 |
| 利益率(%) | 2.7% | 3.3% | 1.8% | 2.3% | 1.8% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 33億円 | 21億円 | 9億円 | 38億円 | 162億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は増加しましたが、売上原価および販売費及び一般管理費も増加傾向にあり、各段階利益は減少しました。売上総利益率は前年から改善が見られますが、営業利益率は低下しています。
| 項目 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 7,711億円 | 7,782億円 |
| 売上総利益 | 2,072億円 | 2,188億円 |
| 売上総利益率(%) | 26.9% | 28.1% |
| 営業利益 | 151億円 | 130億円 |
| 営業利益率(%) | 2.0% | 1.7% |
販売費及び一般管理費のうち、従業員給料及び手当が926億円(構成比39.2%)、その他経費が682億円(同28.8%)を占めています。売上原価は商品仕入が主要な構成要素です。
■(3) セグメント収益
総合小売事業は堅調に推移し増収となりましたが、その他関連事業は減収となりました。全体としては増収を確保しています。
| 区分 | 売上(2024年2月期) | 売上(2025年2月期) |
|---|---|---|
| 総合小売事業 | 7,112億円 | 7,392億円 |
| その他関連事業 | 601億円 | 390億円 |
| 連結(合計) | 7,711億円 | 7,782億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社は、本業で稼いだ資金で借入金の返済や株主還元を行いつつ、投資も実施している「健全型」のキャッシュ・フロー状態にあります。
| 項目 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 306億円 | 167億円 |
| 投資CF | -146億円 | -130億円 |
| 財務CF | -106億円 | -147億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は1.8%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は52.9%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社および同社グループは、「お客さまと従業員の『圧倒的な安心とワクワク』を実現する」を経営ビジョンに掲げています。最も地域に貢献する企業集団を目指し、変化する顧客行動に対して柔軟かつ迅速に対応することを重視しています。
■(2) 企業文化
「現場重視」「従業員満足」「シナジー創出」を経営方針としています。顧客および従業員の安全・安心の確保に注力しつつ、これらの方針に基づいた企業活動を推進しています。
■(3) 経営計画・目標
2024年度から2026年度までの中期経営計画を策定しています。基本戦略に基づく施策を実行するために3カ年で860億円の投資を計画しています。
* 2026年度営業収益:8,450億円
* 営業利益率:2%超
* 2030年度営業収益:1兆円
■(4) 成長戦略と重点施策
「企業文化の確立」「既存事業の改革」「事業インフラの統合とシナジー創出」の3つを基本戦略とし、土台となるESG経営を推進します。物価上昇に対応した「安さ」の訴求、PB商品「トップバリュ」の拡販、DXによる省人化・省力化、サプライチェーン統合による効率化を進めます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「人事ビジョン」に基づき、現場と会社を支える人材の獲得と定着を目指しています。多様な価値観や働き方を尊重する風土づくりを進め、OJTなどの現場教育に重点を置きつつ、キャリアに応じた各種研修を実施して社員の能力開発を支援しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年2月期 | 44.9歳 | 19.3年 | 4,888,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 15.2% |
| 男性育児休業取得率 | 35.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 53.1% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 71.2% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 109.9% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 原材料・エネルギー等の価格高騰
為替や原油等の市況変動、景気動向により、商品・原材料・店舗資材等の調達価格が高騰するリスクがあります。これにより商品仕入れや店舗設備に要する費用が増加し、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 人材の確保及び育成
顧客への継続的なサービス提供には人材の確保と育成が不可欠ですが、人口減少や少子高齢化により計画通りに進まないリスクがあります。また、労働関連法令の改正等による人件費負担の増加も、経営成績に影響を与える可能性があります。
■(3) 食品表示及び食品の安全性
プロセスセンターや店内で生鮮食品等の製造を行っており、適切な食品表示や衛生管理が求められます。予期せぬ事故等が発生した場合、社会的信用の低下を招き、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(4) 情報システム
店舗や事務所の運営はコンピュータシステムに依存しており、自然災害や事故、サイバー攻撃等によりネットワークが遮断された場合、物流や商品供給等の機能が低下し、事業活動に支障をきたす可能性があります。



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