フジ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

フジ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

フジは東京証券取引所プライム市場に上場し、総合小売業を中心に生活提案型の事業を展開する企業です。スーパーマーケットを主力にディスカウントストアなどを運営しています。直近の業績トレンドは、営業収益が微増となった一方で各種コストの増加などにより営業利益は減益となっています。


※本記事は、株式会社フジの有価証券報告書(第59期、自 2025年3月1日 至 2026年2月28日、2026年5月18日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. フジってどんな会社?


フジは総合小売業を中心に、スーパーマーケットやディスカウントストアを中国・四国・兵庫エリアで展開しています。

(1) 会社概要


1967年に設立され、愛媛県宇和島市に第1号店を開設しました。1987年に広島証券取引所へ上場し、その後大阪・東京証券取引所にも上場しています。2022年にマックスバリュ西日本との株式交換により持株会社体制へ移行し、2024年には同社等を吸収合併しました。

現在の連結従業員数は7,757名、単体では6,681名です。筆頭株主は親会社のイオンで50.60%を保有し、第2位はアスティで3.90%、第3位は資産管理業務を行う日本マスタートラスト信託銀行(信託口)で3.00%を保有しています。

氏名 持株比率
イオン 50.60%
アスティ 3.90%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 3.00%

(2) 経営陣


同社の役員は男性11名、女性2名の計13名で構成され、女性役員比率は15.0%です。代表取締役会長は尾﨑英雄、代表取締役社長は山口普が務めています。社外取締役比率は約23.1%です。

氏名 役職 主な経歴
尾﨑英雄 代表取締役会長 1976年入社。四国開発部長、店舗運営事業本部長などを歴任。2006年代表取締役社長、2018年代表取締役会長に就任。マックスバリュ西日本の社外取締役などを経て2024年より現職。
山口普 代表取締役社長 1981年入社。人事部長、管理本部長、商品事業本部長などを歴任。2018年代表取締役社長に就任。フジ・リテイリングの代表取締役社長などを経て2024年より現職。
豊田靖彦 取締役上席執行役員企画・開発担当 1988年ウエルマート入社。イオンマーケット代表取締役社長などを歴任。2022年取締役経営企画担当に就任し2024年より現職。
平尾健一 取締役 1984年ジャスコ入社。イオンベーカリー代表取締役社長などを歴任。2019年マックスバリュ西日本代表取締役社長などを経て2026年より現職。
豊田洋介 取締役 1997年入社。店舗開発部長、人事総務部長などを歴任。サニーTSUBAKI代表取締役社長などを経て2026年より現職。
井出武美 取締役 1985年ジャスコ入社。山陽マルナカ代表取締役社長などを歴任。ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス代表取締役社長などを経て2025年より現職。


社外取締役は、北福縫子(エス・ピー・シー常務取締役)、大塚ひろみ(アーレア代表取締役)、石橋三千男(公認会計士・税理士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「総合小売事業」および「その他関連事業」を展開しています。

(1) 総合小売事業


中国・四国エリアおよび兵庫県を地盤とし、スーパーマーケットやディスカウントストアなどを展開して、食品や日用品などを販売しています。移動スーパーも運営し、買い物に不便を感じる顧客へ商品を届けています。

収益源は、店舗での商品販売に伴う顧客からの代金や、テナントからの賃貸収入です。主にフジや、フジマート、ニチエーなどの子会社が店舗運営を行っています。

(2) その他関連事業


総合小売業を補完する周辺事業として、クレジットカードや電子マネーなどの金融サービス、フィットネスクラブの運営、飲食業、旅行業などを展開しています。

収益源は、各サービスの提供による顧客からの利用料や手数料などです。主にフジ・カードサービス、フジ・スポーツ&フィットネス、フジファミリーフーズなどの子会社が運営を担っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の売上高は、経営統合の影響もあり2023年2月期に大きく拡大した後、緩やかな増加傾向が続いています。一方で各種コストの増加などにより、経常利益や利益率は直近で低下傾向にあります。

項目 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期 2026年2月期
売上高 3,048億円 7,554億円 7,711億円 7,782億円 7,843億円
経常利益 99億円 134億円 174億円 143億円 125億円
利益率(%) 3.3% 1.8% 2.3% 1.8% 1.6%
当期利益(親会社所有者帰属) 39億円 90億円 74億円 38億円 82億円

(2) 損益計算書


売上高は堅調に推移し売上総利益も増加していますが、コスト上昇の影響により営業利益は減少しています。

項目 2025年2月期 2026年2月期
売上高 7,782億円 7,843億円
売上総利益 2,188億円 2,198億円
売上総利益率(%) 28.1% 28.0%
営業利益 130億円 112億円
営業利益率(%) 1.7% 1.4%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給料及び手当が948億円(構成比40%)、借地借家料が190億円(同8%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力の総合小売事業は、スーパーマーケットやディスカウントストアでの価格訴求や店舗活性化策が寄与し増収となりました。その他関連事業は微減で推移しています。

区分 売上(2025年2月期) 売上(2026年2月期)
総合小売事業 - 7,456億円
その他関連事業 - 387億円
連結(合計) 7,782億円 7,843億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社のキャッシュ・フローは、営業利益と資産売却等で借入返済を進める改善型の傾向を示しています。

項目 2025年2月期 2026年2月期
営業CF 167億円 377億円
投資CF -130億円 39億円
財務CF -147億円 -290億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は3.7%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は54.7%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


経営理念は「豊かなくらしづくりを提案し、地域社会の発展に貢献し、人々を大切にする」ことです。また、経営ビジョンとして「お客さまと従業員の『圧倒的な安心とワクワク』を実現する」を掲げ、生活提案型の事業活動を展開しています。最も地域に貢献する企業集団を目指して経営を行っています。

(2) 企業文化


経営方針として「現場重視」「従業員満足」「シナジー創出」を掲げています。従業員一人ひとりが自律的に行動する風土や組織づくりを目指し、経営理念やビジョンの浸透を図っています。店舗が主体となって、顧客に満足してもらえるサービスを提供する取り組みを推進し、多様な価値観や働き方を尊重する企業風土づくりに取り組んでいます。

(3) 経営計画・目標


2024〜2026年度の中期経営計画において、以下の数値目標を掲げています。

* 2026年度営業収益:8,250億円
* 2026年度営業利益率:2%超
* 2030年度営業収益:1兆円規模

(4) 成長戦略と重点施策


「中期経営計画の実行推進」「コスト構造改革」「営業力の強化」を重点方針として掲げています。既存店の活性化や成長投資を推進し、持続的な成長と収益力の向上を目指しています。また、システム統合によりデータの一元管理を行い、需要予測の高度化や販促施策の精度向上を図るほか、重複業務の削減や経費見直し等によりコスト構造改革を進めます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


現場を支え、会社を支える人材の獲得と定着に向け、多様な価値観や働き方を尊重する企業風土づくりを目指しています。従業員の働きがい向上に取り組むとともに、一人ひとりの潜在能力を引き出すため、現場教育に重点を置きながらキャリアに応じた幅広い教育を実施し、変化に対応できる人材育成を推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年2月期 45.6歳 19.1年 5,151,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 15.3%
男性育児休業取得率 51.5%
男女賃金差異(全労働者) 56.0%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 72.9%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 105.9%


また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取り組み」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、基本理念への共感度スコア(3.80)、障がい者雇用率(2.76%)、特定技能雇用者(245名)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 需要動向による業績への影響


人口減少や少子高齢化による市場の縮小、景気や個人消費の動向、物価変動などの経済状態、異常気象などが業績に影響を及ぼす可能性があります。市場環境の変化や消費動向を注視し、計画の精度向上と安定的な収益体質の維持・向上を図っています。

(2) 小売市場における競争激化


中国・四国エリアおよび兵庫県において、同業や異業種も含めた出店および販売の競争が激化しています。エリア戦略に基づくドミナントの強化や商品力・販売力の強化、店舗の建て替えや改装などにより、競争力の向上に努めています。

(3) システム障害と情報漏洩


通信ネットワークを利用した業務管理を行っているため、サイバー攻撃や自然災害等によるシステム停止が物流や商品供給に支障を来すリスクがあります。また、機密情報の漏洩リスクに対しても、バックアップシステムの構築やセキュリティの多層防御などの対策を講じています。

(4) 食品表示と安全性


生鮮・デリカ部門での製造・加工において、異物混入や不適正な表示等の事件・事故が発生した場合、社会的信用の低下を招くリスクがあります。品質管理室を中心にマニュアル整備や教育を実施し、食品安全管理の向上と安全性の担保に努めています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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