ジェーソン 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ジェーソン 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ジェーソンは東京証券取引所(スタンダード市場)に上場し、生活必需商品を安価で提供するバラエティ・ストアを運営する企業です。直近の業績では、子会社化による新規店舗の寄与等により増収となったものの、各種コストの増加や新規子会社等の固定資産に係る減損損失を計上した結果、当期純損失となりました。


※本記事は、株式会社ジェーソンの有価証券報告書(第41期、自 2025年3月1日 至 2026年2月28日、2026年5月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ジェーソンってどんな会社?


バラエティ・ストア事業を中核とし、生活必需品を安価で提供する企業です。

(1) 会社概要


1984年に埼玉県和光市にディスカウント・ストア1号店を開店し、1985年にジェーソンへ商号変更しました。1998年の形式上の合併を経て、1999年には現在のモデルとなるバラエティ・ストアの展開を開始しています。2007年の上場後、2020年に飲料水製造事業を、2025年には食品スーパー事業を子会社化しました。

従業員数は連結で181名、単体で147名です。筆頭株主は不動産賃貸業を営み役員の兼任がある関係会社の太田興産で、第2位は創業者の太田万三彦氏、第3位は太田磨草子氏です。

氏名 持株比率
太田興産 33.40%
太田万三彦 25.46%
太田磨草子 6.24%

(2) 経営陣


同社の役員は男性5名、女性0名の計5名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長兼会長は太田万三彦氏が務めており、社外取締役の比率は60.0%です。

氏名 役職 主な経歴
太田万三彦 取締役社長兼会長兼営業本部長 (代表取締役) 1985年同社代表取締役専務、1988年太田興産代表取締役、1989年同社代表取締役社長、2020年尚仁沢ビバレッジ取締役、2023年同社代表取締役社長兼会長兼営業本部長、2025年サンモール取締役より現職。
山田仁夫 専務取締役管理本部長 1985年富士銀行入行、2016年同社入社、2017年スパイラル代表取締役、2020年尚仁沢ビバレッジ代表取締役、2024年同社代表取締役会長、2025年サンモール代表取締役会長、同社専務取締役管理本部長より現職。


社外取締役は、宮本啓一郎(宮本公認会計士事務所所長)、勢能志彦(コーラルブルー代表取締役)、岡本直也(弁護士法人岡本代表弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、小売事業の単一セグメントで事業を展開しています。

(1) 小売事業(バラエティ・ストア等の運営)


衣料服飾、日用品、食料品、酒類などの生活必需品を徹底した低価格で提供するバラエティ・ストア等を運営し、一般消費者を顧客としています。一部でフランチャイズ展開も行っており、独自開発のオリジナル商品や特別な集荷努力によるバリュー商品を中心に幅広いラインナップを展開しています。

収益源は、店舗での商品販売による代金やテナントからの賃料等です。運営はジェーソンが主力店舗を担い、子会社のサンモールが群馬県を中心に食品スーパーを展開しています。また、スパイラルが商品調達を補完し、尚仁沢ビバレッジが飲料水の製造を行う体制をとっています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は概ね安定して推移していますが、利益面は直近数期で減少傾向にあります。特に当期は各種コストの増加や新規子会社等の固定資産に関する減損損失を計上した影響を受け、最終的な当期利益がマイナスへと転じました。

項目 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期 2026年2月期
売上高 263億円 272億円 287億円 283億円 286億円
経常利益 9億円 8億円 9億円 6億円 2億円
利益率(%) 3.5% 3.1% 3.2% 2.0% 0.9%
当期利益(親会社所有者帰属) 6億円 6億円 5億円 3億円 -3億円

(2) 損益計算書


売上高と売上総利益は前期比で微増となりましたが、営業利益は大きく減少しました。積極的な投資や新規子会社の経費負担増による影響が表れています。

項目 2025年2月期 2026年2月期
売上高 283億円 286億円
売上総利益 73億円 74億円
売上総利益率(%) 25.8% 25.9%
営業利益 5億円 2億円
営業利益率(%) 1.9% 0.7%


販売費及び一般管理費のうち、雑給が20億円(構成比28%)、地代家賃が20億円(同28%)を占めています。

(3) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFがプラス、投資CF・財務CFがマイナスの「健全型」です。本業で稼いだ資金で事業のための投資を行い、借入金の返済も進めている安定した状態を示しています。

項目 2025年2月期 2026年2月期
営業CF 6億円 3億円
投資CF -5億円 -7億円
財務CF -3億円 -4億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は-3.3%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は54.5%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「人々の生活を支えるインフラ(社会基盤)となる」ことを企業理念として掲げています。日常の暮らしに必要な実用品を徹底した安さで提供し、地域密着経営でお客様に喜ばれる店舗づくりを継続することで、持続可能な社会の実現に向けて行動していくことを目指しています。

(2) 企業文化


常に「使う立場」「買う立場」に立ち、手軽に気軽に安心して購入できる売り場づくりと、短い時間で多くの商品を購入できるような店舗づくりを重視しています。「科学的、合理的な視点でビジネスを進めること」を基本戦略とし、「ムリ・ムラ・ムダ」を徹底的に排除したローコスト経営を実践する文化が根付いています。

(3) 経営計画・目標


経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標として、「売上高営業利益率」を重視しています。安定的な成長を大前提に大きなリスクを控えつつ慎重な投資を行い、足元の次期計画では数値を設定しつつも、中長期的には以下の目標を掲げています。

* 中長期的目標:売上高営業利益率5%

(4) 成長戦略と重点施策


出店にあたっては居抜き物件を活用したローコスト出店戦略を徹底し、店舗ごとの収益管理を行いながらスクラップ&ビルドを進めます。また、オリジナル商品やバリュー商品の開発による粗利益の改善や、ITデジタルテクノロジーを活用した業務の自動化・効率化を通じた適正な人件費の統制と経営効率の向上に注力します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


今後の事業拡大を図るため、パート社員を含めた優秀な人材の確保と育成が不可欠であると認識しています。多様な人材が活躍できる環境の整備を進め、育児休業制度や育児短時間勤務を通じて柔軟な就業を実現するほか、女性の活躍推進やパートタイム従業員の処遇改善、昇給などを通じた人材定着に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年2月期 41.7歳 12.2年 4,776,287円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 21.4%
男性育児休業取得率 50.0%
男女賃金差異(全労働者) 83.2%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 85.7%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 97.9%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 商品調達と価格変動


一般消費者に対して価格訴求力のある商品を低価格でスポット仕入することで売上総利益を確保しています。しかし、物価高等による流通量の減少や仕入価格の高騰が発生した場合、ロープライス戦略の変更を余儀なくされ、経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(2) 業種業態の垣根を越えた競争激化


コンビニエンスストアやドラッグストア、100円ショップなど異なる業態と取扱商品が重複し、競合が激化しています。経費コントロールやオリジナル商品の投入で対策を講じていますが、販売価格競争で優位性を失った場合、売上の減少と収益悪化につながる可能性があります。

(3) 自社ITシステムへの依存


適正在庫の維持や発注作業短縮のため、自社開発のシステム(JIOS等)に依存しています。サイバー攻撃や不正アクセス、ネットワーク障害等でシステムが停止した場合、多額のIT投資やメンテナンス費用が発生し、店舗運営に重大な支障をきたすリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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