※本記事は、株式会社ジェーソンの有価証券報告書(第40期、自 2024年3月1日 至 2025年2月28日、2025年5月29日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ジェーソンってどんな会社?
首都圏を中心にバラエティ・ストア「ジェーソン」を展開し、生活必需品を低価格で提供する企業です。
■(1) 会社概要
1984年に埼玉県和光市で1号店を開店し、2007年に大阪証券取引所ヘラクレス市場へ上場しました。その後、2017年に守谷共配センターを開設して自社物流を本格化させ、2020年には子会社の尚仁沢ビバレッジを設立して飲料水製造を開始しました。2022年の市場区分見直しにより、現在は東証スタンダード市場に上場しています。
連結従業員数は165名(単体154名)です。筆頭株主は関係会社の太田興産で、第2位は代表取締役の太田万三彦氏です。
■(2) 経営陣
同社の役員は男性5名、女性0名の計5名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長兼会長兼営業本部長は太田万三彦氏です。監査等委員である取締役3名全員が社外取締役であり、社外取締役比率は60.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 太田 万三彦 | 取締役社長兼会長兼営業本部長(代表取締役) | 1985年5月同社代表取締役専務、1989年5月代表取締役社長。2023年4月より代表取締役社長兼会長兼営業本部長。太田興産代表取締役、尚仁沢ビバレッジ取締役等を兼務。 |
| 山田 仁夫 | 専務取締役管理本部長 | 1985年4月富士銀行(現みずほ銀行)入行。2016年同社入社。企画本部長、スパイラル代表取締役等を経て、2025年5月より専務取締役管理本部長。 |
社外取締役は、宮本啓一郎(公認会計士)、勢能志彦(元セノー代表取締役)、岡本直也(弁護士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「小売事業」および「飲料水製造事業」等を展開しています。
(1) バラエティ・ストア事業
「ジェーソン」の屋号で、衣料、日用品、食料品、飲料等の生活必需品を販売しています。首都圏を中心にドミナント出店を行い、地域密着型の店舗運営を特徴としています。一般消費者です。
収益は、店舗における商品販売に伴い顧客から受け取る代金です。運営は主にジェーソンが行っています。徹底したローコスト経営により、低価格での商品提供を実現しています。
(2) 飲料水製造・商品調達事業
グループ内での商品供給を目的として、飲料水の製造や商品の調達機能を持っています。具体的には、オリジナル商品「尚仁沢の天然水」の製造や、スポット商品の仕入を行っています。
収益は、グループ会社間の商品取引によるものですが、連結ベースでは外部顧客への販売益に含まれます。商品調達はスパイラル、飲料水製造は尚仁沢ビバレッジが担っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は260億円台から280億円台で推移していますが、2025年2月期は微減収となりました。経常利益は9億円前後で安定していましたが、直近ではコスト増等の影響により5億円台へと大きく減少しています。利益率は低下傾向にあります。
| 項目 | 2021年2月期 | 2022年2月期 | 2023年2月期 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 265億円 | 263億円 | 272億円 | 287億円 | 283億円 |
| 経常利益 | 13億円 | 9億円 | 8億円 | 9億円 | 6億円 |
| 利益率(%) | 4.9% | 3.5% | 3.1% | 3.2% | 2.0% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 8億円 | 6億円 | 6億円 | 5億円 | 3億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は減少しましたが、売上原価も減少したため売上総利益率はほぼ横ばいです。一方、販売費及び一般管理費が増加したことで営業利益は大きく減少しました。営業利益率は前年の3.0%から1.9%へと低下しています。
| 項目 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 287億円 | 283億円 |
| 売上総利益 | 74億円 | 73億円 |
| 売上総利益率(%) | 25.7% | 25.8% |
| 営業利益 | 9億円 | 5億円 |
| 営業利益率(%) | 3.0% | 1.9% |
販売費及び一般管理費のうち、地代家賃が20億円(構成比29%)、雑給が18億円(同27%)を占めています。売上原価は商品仕入が主要因です。
■(3) セグメント収益
同社グループは小売事業の単一セグメントであるため、商品部門別の売上状況を分析します。食料品が売上の大部分を占めますが、全部門で前期を下回る結果となりました。特に衣料服飾・インテリアやその他の営業収入の減少が見られます。
| 区分 | 売上(2024年2月期) | 売上(2025年2月期) |
|---|---|---|
| 衣料服飾・インテリア | 7億円 | 6億円 |
| 日用品・家庭用品 | 65億円 | 64億円 |
| 食料品 | 192億円 | 191億円 |
| 酒類 | 13億円 | 12億円 |
| その他 | 11億円 | 10億円 |
| 連結(合計) | 287億円 | 283億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
ジェーソン社の当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ減少しました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の計上や棚卸資産の減少等により収入となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得や定期預金の預入等により支出となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済や配当金の支払い等により支出となりました。
| 項目 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 6億円 | 6億円 |
| 投資CF | -1億円 | -5億円 |
| 財務CF | -2億円 | -3億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「人々の生活を支えるインフラ(社会基盤)となる」ことを企業理念として掲げています。日常の暮らしに必要な実用品を徹底した安さで提供するバラエティ・ストアを中核事業として展開し、将来的には日本全国でのチェーン展開を目指しています。
■(2) 企業文化
「科学的、合理的な視点でビジネスを進めること」「ビジネスをサイエンスし、未来へと進化し続けること」を基本戦略としています。「ムリ・ムラ・ムダ」を省いたローコスト経営を徹底し、常に「使う立場」「買う立場」に立って、顧客にとって手軽で便利な売り場づくりを心がけています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、経営上の目標達成状況を判断する客観的な指標として、売上高営業利益率を重視しています。足元の状況を踏まえ、次期の計画は2.4%としていますが、中長期的には以下の水準を目指しています。
* 売上高営業利益率:5%
■(4) 成長戦略と重点施策
持続可能な成長のために、「新規PB商品の開発等」「店舗のスクラップ&ビルド」「経営効率の向上」に取り組む方針です。特にオリジナル商品の増産や、効率の良い居抜き物件への出店、プロジェクト管理システムの活用によるマネジメントの高度化を推進します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
多様な人材が活躍できる環境整備を進めており、特に女性の活躍推進やパートタイム従業員の処遇改善に注力しています。職務に応じた等級審査を通じた昇給など、それぞれの立場で活躍できる体制を構築し、意欲的に仕事に取り組める雇用環境を目指しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年2月期 | 40.1歳 | 12.0年 | 4,675,689円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 20.0% |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 男女賃金差異(全労働者) | 79.1% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 74.3% |
| 男女賃金差異(非正規) | 95.1% |
※男性育児休業取得率については、育児休業事由に該当する労働者がいなかったため記載されていません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 商品調達と価格変動
メーカーの生産調整や物価高等の影響により、低価格でのスポット仕入の機会が減少するリスクがあります。仕入価格の高騰により販売価格が上昇した場合、ロープライス戦略の維持が困難となり、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 競合の激化
コンビニエンスストアやドラッグストア、100円ショップ、EC市場など、業種業態を超えた競合リスクがあります。価格競争等で優位性を失った場合、売上の減少や収益の悪化を招く可能性があります。
■(3) 出店計画
店舗展開において居抜き物件を中心に検討していますが、不動産市場の状況により適切な物件が確保できないリスクがあります。条件に合う物件が減少した場合、出店計画の変更を余儀なくされ、将来の成長が見込めなくなる可能性があります。
■(4) 固定資産の減損
競合激化や立上直後の店舗が計画通りに進捗しない場合、店舗資産の減損損失を計上するリスクがあります。特に土地等の時価が下落した場合や、収益性が著しく低下した店舗については、経営成績に悪影響を与える可能性があります。



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