※本記事は、東宝株式会社 の有価証券報告書(2026年2月期、2025年3月1日 ~ 2026年2月28日、2026年5月25日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
東宝は、映画、IP・アニメ、演劇、不動産など多岐にわたる事業を展開する総合エンターテイメント企業です。同社グループは、子会社55社、関連会社9社で構成され、幅広い分野で事業活動を行っています。
単体従業員数は529名、連結従業員数は4,088名です。セグメントは映画事業、IP・アニメ事業、演劇事業、不動産事業、その他の事業の5つです。
主な国内グループ会社は、TOHOスタジオ(映画事業)、国際放映(不動産・事業)、TOHO アーカイブ(〃)、TOHO Global(IP・アニメ・事業)、東宝芸能(演劇事業)などです。
なお、同社グループは当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
東宝は、エンタテインメントと不動産事業を主軸とする同社グループの中核企業です。従業員の平均年齢や勤続年数から、安定した環境でキャリアを築いている社員が多い傾向が見られます。
同社グループは、多様な人材の活躍を推進し、従業員一人ひとりが心身ともに健康で、能力を最大限に発揮できる職場環境の実現を目指しています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社の平均勤続年数と平均年齢からは、比較的長く勤める従業員が多く、安定したキャリア形成が可能な環境であることがうかがえます。従業員数は連結ベースで4,000人を超え、同社単体でも500人以上の規模となっています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 9,522,132円 |
| 平均勤続年数 | 9.2年 |
| 平均年齢 | 37.9歳 |
| 単体従業員数 | 529人 |
| 連結従業員数 | 4,088人 |
| 単体のグループ内比率 | 12.9% |
退職給付制度として、同社および一部の連結子会社は確定給付型と確定拠出型の両制度を採用しています。確定給付型は給与や勤続年数に応じて給付額が決まる制度、確定拠出型は会社が拠出した資金を従業員が運用する制度です。
退職一時金制度があり、ポイント制に基づいた一時金または年金が支給されます。退職給付債務は117億円、年金資産は123億円となっており、確定拠出制度への要拠出額は285百万円です。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは「TOHO VISION 2032 東宝グループ 経営戦略」において、多様で優秀な外部人材の採用強化と、人材育成・働く環境整備を「人材と組織の戦略」の基本方針として掲げています。また、「中期経営計画 2028」では「人への投資とエンゲージメント向上」を重点ポイントとし、「心が動き、心を動かす仕事を通じて幸福を得られる会社へ」という「人材と組織のビジョン」を策定しました。
このビジョンを実現するためのキーワードとして「少数精鋭から精鋭多数へ」「成長・自律・安心」の2つを掲げ、多様な人材獲得、精鋭人材育成強化、社員の強みを活かす人事施策、自律・裁量・安心の組織・環境追求の4つの方針で推進しています。2025年6月からは新人事制度を本格運用し、役割基準の等級制度導入や報酬体系の刷新により、年次や性別を問わない自律的なキャリア形成と市場競争力の強化を目指しています。評価制度では組織目標に連動した目標管理制度を導入し、透明性・公正性を高めることで従業員の納得感・安心感を高める設計としています。
人材活用においては、人事部との直接対話や社内公募制度の活性化を通じて、個人の志向と組織ニーズを統合する双方向型のキャリア形成を推進しています。自己啓発プログラムの受講を昇格要件に組み込むなど、社員の主体的な学びを積極的に支援し、組織力の最大化を追求しています。従業員エンゲージメントの向上にも注力しており、「TOHO CHALLENGE AWARD」や「タウンホールミーティング」を実施するほか、企業内大学「東宝大学」を通じて部門やグループの垣根を越えたコミュニケーションと自律的な成長を後押ししています。
ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン(DEI)を人材戦略の重要な要素と位置づけ、キャリア採用の戦略的拡大や女性管理職比率の向上、男性育児休業取得率の維持・向上に取り組んでいます。また、「ウェルネス休暇」やベビーシッター利用支援制度、テレワーク制度、フレックスタイム制度、シェアオフィス利用など、柔軟な働き方をサポートする環境整備も進めています。健康経営にも力を入れ、「朗らか健康経営」を推進し、心身両面からの健康支援を通じて、従業員が情熱を傾けて働ける組織基盤を構築しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。労働者の男女の賃金の額の差異については、計算期間を2025年3月1日~2026年2月28日までとしており、賃金において男女間の差異が生じている理由は、管理職に占める男性労働者が多いことが起因しています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 19.4% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 87.5% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 77.3% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(うち正規雇用労働者) | 81.6% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(うちパート・有期労働者) | 52.0% |
連結子会社の法定開示
主要事業会社3社の数値のみ掲載します。
▼ TOHOシネマズ
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 9.8% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 87.5% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 63.0% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(うち正規雇用労働者) | 80.1% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(うちパート・有期労働者) | 101.3% |
▼ 東宝ファシリティーズ
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 7.1% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 66.7% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 72.9% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(うち正規雇用労働者) | 81.0% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(うちパート・有期労働者) | 64.0% |
▼ 東宝ビル管理
労働者の男女の賃金の額の差異については、「パート・有期労働者」の多くが時間給制での短時間労働に従事している女性であることも主な要因となっています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 14.8% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 0.0% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 49.8% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(うち正規雇用労働者) | 85.0% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(うちパート・有期労働者) | 58.9% |
ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン
当社における女性管理職比率は2026年2月末時点で19.4%となり、2026年3月には「2031年3月31日までに女性管理職比率30%以上」という新たな目標を掲げました。男性従業員の育児休業取得率は87.5%と高く、2028年2月29日までに70%以上の維持と取得日数の確保を目標としています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にあたる労働者に占める女性労働者の割合(2031年2月28日まで) | 30.0%以上 |
| 従業員のひと月あたりの平均残業時間(2031年2月28日まで) | 10時間未満 |
| 男性社員の育児休業等取得率(2028年2月29日まで) | 70.0%以上 |
| 育児関連休暇のみ取得者(2028年2月29日まで) | 3日以上取得 |
| 従業員のひと月あたりの平均残業時間(2028年2月29日まで) | 12時間未満 |
健康経営
「朗らか健康経営」推進計画のもと、2025年度の目標達成に向けた実績が示されています。エンゲージメント調査の「健康スコア」は順調に推移していますが、メンタルヘルス不調者の発生や時間外勤務の目標未達といった課題も認識し、改善に取り組んでいます。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| エンゲージメント調査「健康スコア」で全職場のスコア50以上(最高スコア100) | 86.5% |
| メンタル不調での1カ月以上の欠勤者0% | 目標未達成 |
| 1人あたりの時間外勤務:月平均22.2時間以下(2019年比5%減) | 23.5時間 |
| 年次有給休暇取得日数:全員が12日以上 | 10.1日 |
人材育成・エンゲージメント
当社は「中期経営計画 2028」において、3年間で約200名(新卒・キャリア採用合計)の採用を目標としています。当連結会計年度は新卒採用21名、キャリア採用98名、合計119名の採用を実施しました。1人あたりの教育研修費を2025年2月期対比で300%増加させる目標を掲げ、企業内大学「東宝大学」では当連結会計年度に4回の講座を開催し、のべ215名以上の従業員が参加しました。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| キャリア採用者の占める割合 | 45.9% |
| 課長職以上の地位に占めるキャリア採用者の割合 | 29.4% |
| 東宝大学講座参加者数 | 215名以上 |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
東宝は、映画、IP・アニメ、演劇、不動産といった多岐にわたる事業を展開しています。同社グループは、これらの事業を通じて、エンターテイメントと生活基盤の両面から収益を上げています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、映画の製作・配給・興行を核としつつ、アニメ作品のIP活用や演劇の製作・上演、さらには不動産の賃貸・管理・道路事業まで幅広く手掛けています。各事業が独立した収益源を持ち、多様なポートフォリオを形成していることが特徴です。
映画事業
映画事業は、同社グループの主要な収益源の一つです。映画の製作や配給、映画館の経営、そして映画やイベントの美術製作などを行っています。
収益は、映画館への国内配給、映像の利用・許諾、映画館の経営、映像作品等に係る美術製作から得ています。運営は、東宝、東宝東和、TOHOシネマズ、東宝映像美術、東宝舞台などが行っています。当連結会計年度においては、前連結会計年度と比較して収益が大きく増加しました。
IP・アニメ事業
IP・アニメ事業は、テレビアニメ作品の映像利用・許諾、商品化権の利用・許諾、商品の販売などを手掛けています。国内外でのIP展開に注力しており、成長領域として位置づけられています。
収益は、映像の利用・許諾、商品化権等の利用・許諾、商品の販売から得ています。運営は、東宝、TOHO Globalなどが行っています。当連結会計年度においては、前連結会計年度と比較して収益が増加しました。
演劇事業
演劇事業では、演劇の製作・興行を行っています。自社劇場での上演に加え、外部劇場も活用して公演数の確保に努めています。
収益は、演劇の製作・興行から得ています。運営は、東宝、東宝エージェンシー、東宝芸能などが行っています。当連結会計年度においては、前連結会計年度と比較して収益がわずかに減少しました。
不動産事業
不動産事業は、不動産の賃貸、道路の維持管理・清掃、不動産の保守・管理などを行っています。安定的な収益基盤を支える事業です。
収益は、不動産賃貸、道路の維持管理・清掃等、不動産の保守・管理から得ています。運営は、東宝、スバル興業、東宝ファシリティーズ、東宝ビル管理などが行っています。当連結会計年度においては、前連結会計年度と比較して収益がわずかに減少しました。
その他の事業セグメント
その他の事業セグメントでは、スポーツ施設の経営、物販業、会計業務のコンサルティングなどを行っています。
収益は、スポーツ施設等の経営、物販業から得ています。運営は、東宝共榮企業、TOHOリテール、東宝ビジネスサポートなどが行っています。当連結会計年度においては、前連結会計年度と比較して収益が減少しました。
同社グループの売上高に占める海外の割合は約10.1%であり、日本国内が主要な市場となっています。特定の顧客への収益集中は見られません。
| セグメント | 売上高(2025年2月期) | 売上高(2026年2月期) |
|---|---|---|
| 映画事業 | 1,399億円 | 1,826億円 |
| 不動産事業 | 797億円 | 792億円 |
| IP・アニメ事業 | 694億円 | 753億円 |
| 演劇事業 | 229億円 | 223億円 |
| その他の事業セグメント | 13.7億円 | 12.9億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの過去5期間の業績を見ると、売上高、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益のいずれも継続的に増加傾向を示しています。特に当連結会計年度は、売上高と営業利益が過去最高値を更新しました。
| 項目 | 2022年2月期 | 2023年2月期 | 2024年2月期 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 2,284億円 | 2,443億円 | 2,833億円 | 3,132億円 | 3,607億円 |
| 経常利益 | 428億円 | 478億円 | 630億円 | 645億円 | 701億円 |
| 経常利益率 | 18.7% | 19.6% | 22.2% | 20.6% | 19.4% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 296億円 | 334億円 | 453億円 | 434億円 | 518億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 33.45 | 38.07 | 51.91 | 50.95 | 61.20 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高(連結)は、前期から増加しており、組織全体の収益創出力が向上していることを示しています。一方で、従業員1人あたり営業利益(連結)は前期からわずかに減少しました。これは、売上高の増加に対して営業利益の伸びが緩やかであったことを示唆しています。
| 指標 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 80.9百万円 | 88.2百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 16.7百万円 | 16.6百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
東宝グループは、安定した財務基盤を維持しています。本業で得た資金を元手に、将来に向けた投資も行っている状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、高い自己資本比率と潤沢な手元資金によって安定しています。自己資本比率は当期で73.3%となっており、プライム市場の非製造業平均(24.2%)を大きく上回る水準です。ROE(自己資本利益率)は当期で10.4%となり、プライム市場平均(9.4%)を上回っています。手元資金である現金及び預金も510億円と厚みがあり、事業運営における安定性を示しています。これらの財務状況は、事業の継続性や将来の成長投資の余力につながるものです。
| 指標 | 2025年2月期(前期) | 2026年2月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 4,948億円 | 5,330億円 |
| 自己資本比率 | 73.3% | 73.3% |
| ROE(自己資本利益率) | 9.3% | 10.4% |
| 現金及び預金 | 429億円 | 510億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローは、本業で安定的に資金を生み出し、将来に向けた投資を積極的に行っている状況を示しています。営業活動によるキャッシュフローは当期に653億円の増加となり、前期から増加しています。これは主に税金等調整前当期純利益の計上や減価償却費があったことによるものです。
投資活動によるキャッシュフローは当期に249億円の減少となり、前期から減少幅が拡大しています。これは有価証券の取得や有形固定資産の取得による支出があったことなどによるものです。フリーキャッシュフローは当期に404億円のプラスとなっており、本業で得た資金で投資を賄い、なお余剰資金を生み出している優良な状態です。
財務活動によるキャッシュフローは当期に313億円の減少となり、前期から減少幅が縮小しています。これは自己株式の取得による支出や配当金の支払額があったことなどによるものです。これらのキャッシュフローの状況は、同社グループが安定した事業運営を基盤としつつ、成長に向けた投資を継続していることを示しており、雇用や給与の安定性につながる傾向にあると言えます。
| 項目 | 2025年2月期(前期) | 2026年2月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 516億円 | 653億円 |
| 投資CF | △185億円 | △249億円 |
| 財務CF | △393億円 | △313億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 332億円 | 404億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループの事業構造・収益性に関するリスクとして、映画、アニメ、演劇各事業における作品の不確実性が挙げられています。作品によっては収入が見込みを大きく下回る可能性や、製作遅延、公開延期、公演中止等により収入が見込めないリスクが存在します。また、物価や人件費の高騰による収益構造悪化のリスクも認識されています。エネルギー費や原材料費、人件費の上昇が、映画館のランニングコスト増や公演製作費の増加につながる可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
人材・組織に関するリスクとして、人権問題に係るリスクが挙げられています。芸能業界、メディア業界、エンタテインメント業界において、性的暴力やハラスメントなどの人権に関わる事案が発生・発覚するリスクが潜在的にあると認識されています。これらの事案に対する対応を誤った場合、企業の社会的信用が大きく毀損し、営業取引の停止に至る可能性も懸念されています。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
東宝は、創業以来「健全な娯楽を広く大衆に提供すること」を企業の存在意義とし、映画・演劇を中心に夢や感動を届けてきた企業です。2025年には「Moments for Life その時間が、人生の力になる。」という新たなグループ・スローガンを掲げ、未来を見据えた経営を推進しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
東宝グループは、創業以来「健全な娯楽を広く大衆に提供すること」を企業の存在意義とし、「朗らかに、清く正しく美しく」を行動理念としています。同社グループのパーパスは「心を揺り動かし、人生の力となる時間を届け、人々の幸福に貢献する」ことです。
2025年には新グループ・スローガン「Moments for Life その時間が、人生の力になる。」を掲げ、理念体系をアップデートしました。創立100周年を見据えた長期ビジョン「TOHO VISION 2032 東宝グループ 経営戦略」では、成長に向けた「投資」の促進、「人材」の確保・育成への注力、アニメ事業を「第4の柱」とすることの3つを重要ポイントとしています。
成長戦略のキーワードとして「企画&IP」「アニメーション」「デジタル」「海外」の4つを掲げ、既存事業に加えアニメ事業を第4の柱と位置づけています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
東宝グループは、「朗らかに、清く正しく美しく」を行動理念とし、「我々の享くる幸福はお客様の賜ものなり」を価値観としています。中期経営計画2028では、“人”、“企画”、“世界”、そして、お客様ともっと“つながる”ことを指針としています。
人材と組織のビジョンとして「心が動き、心を動かす仕事を通じて、幸福を得られる会社へ」を掲げ、「少数精鋭から精鋭多数へ」「成長・自律・安心」をキーワードとしています。
サステナビリティの基本方針は、「エンタテインメントの提供を通じて誰もが幸福で心豊かになれる社会の実現に向けて“朗らかに、清く正しく美しく”貢献します」です。この方針のもと、職場環境、地球環境、人権尊重、文化継承の4つの重要課題に取り組んでいます。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
東宝グループは、長期ビジョン「TOHO VISION 2032 東宝グループ 経営戦略」に基づき、持続的な成長と中長期的な企業価値向上に取り組んでいます。重要ポイントとして、成長に向けた「投資」の推進、「人材」の確保・育成への注力、アニメ事業を「第4の柱」とすることの3つを掲げています。
「中期経営計画 2028」は“成長投資と変革を継続する期間”と位置付けられ、成長戦略のキーワードである「企画&IP」「アニメーション」「デジタル」「海外」を中心に、積極的な事業展開を継続しています。
同社グループは「心が動き、心を動かす仕事を通じて幸福を得られる会社へ」という「人材と組織のビジョン」を掲げています。また、人的資本、気候変動、人権、文化継承の4つの重要課題を軸に、サステナビリティ経営を推進しています。
2026年3月には会員サービスを統合した「TOHO-ONE」を開始し、お客様との「つながる」を推進しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
東宝は監査等委員会設置会社であり、取締役会における迅速かつ適正な意思決定と、独立社外取締役による監督・監査機能の強化を通じて、経営の透明性・公正性の確保に努めています。経営の監督機能と業務執行機能の分離を明確にすることで、迅速な意思決定と柔軟な業務執行の実現を図ることを目的として執行役員制度を導入しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社の株主構成を見ると、筆頭株主は阪急阪神ホールディングスであり、事業会社が主要な株主となっています。また、阪急阪神不動産も上位株主として名を連ねており、阪急阪神グループが同社の資本構成において重要な位置を占めていることが特徴です。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 阪急阪神ホールディングス | 13.58% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 10.03% |
| 阪急阪神不動産 | 9.02% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は9名(男性7名・女性2名)で構成され、女性役員比率は22.2%です。代表取締役社長社長執行役員は松岡宏泰氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 松岡 宏泰 | 代表取締役社長社長執行役員 | 1994年1月東宝東和入社、2008年4月同社代表取締役社長、2014年5月同社取締役、2022年5月同社代表取締役社長社長執行役員より現職。 |
| 島谷 能成 | 代表取締役会長 | 1975年4月同社入社、2011年5月同社代表取締役社長、2015年6月阪急阪神ホールディングス取締役、2022年5月同社代表取締役会長より現職。 |
| 太古 伸幸 | 取締役副社長執行役員 | 1988年4月同社入社、2008年5月同社取締役、2014年4月スバル興業取締役、2021年5月同社取締役副社長執行役員より現職。 |
| 市川 南 | 取締役専務執行役員 | 1989年4月同社入社、2011年5月同社取締役、2022年5月同社取締役専務執行役員より現職。 |
| 嶋田 泰夫 | 取締役 | 1988年4月阪急電鉄入社、2022年4月同社代表取締役社長、2024年12月阪急阪神ホールディングス代表取締役社長グループCEO、2025年5月同社取締役より現職。 |
社外取締役は、安藤知史氏(大西昭一郎法律事務所代表社員・取締役監査等委員)、折井雅子氏(公益財団法人サントリー芸術財団サントリーホール総支配人・取締役監査等委員)、大越いづみ氏(チェンジホールディングス執行役員・取締役監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、取締役会は監査等委員である取締役4名と監査等委員でない取締役5名の計9名で構成されています。このうち3名が独立社外取締役であり、取締役会における社外取締役の比率は3分の1以上となっています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の取締役の報酬は、役位・職責に相応しい水準を確保しつつ、企業価値及び業績向上へのインセンティブを付与することを基本方針としています。報酬体系は、役位・職責に応じた「基本報酬」(金銭)、長期の企業価値向上を目的とした「譲渡制限付株式報酬」(非金銭)、単年度の業績目標達成を目的とした「業績達成賞与」(金銭)、中期経営計画の数値目標達成率に連動した「業績連動型株式報酬」(非金銭)から構成されています。非業務執行取締役及び監査等委員である取締役については、金銭による固定報酬のみが支給されます。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 5名 | 4.3億円 | 86.0百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 1名 | 24百万円 | 24.0百万円 |
| 社外役員 | 3名 | 29百万円 | 9.7百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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