※本記事は、株式会社システムインテグレータ の有価証券報告書(2026年2月期、2025年3月1日 ~ 2026年2月28日、2026年5月29日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
システムインテグレータは、自社開発ソフトウェアの企画・開発・販売を主軸に、他社製品の販売も手掛けるソフトウェア企業です。Object Browser事業、ERP事業、AI事業の3つの事業を展開し、顧客の業務課題に合わせた最適な製品を提供しています。
単体従業員数は256名、連結従業員数は338名です。セグメントはObject Browser事業、ERP事業、AI事業の3つです。
主な国内グループ会社は、(連結子会社)システム開発研究所(ソフトウエア・受託開発)などです。
同社グループは、事業ポートフォリオ拡充のため、2025年3月に製造業向け生産管理システム開発の株式会社システム開発研究所を完全子会社化しました。また、同年5月には株式会社BizSaaSを設立し、AIエージェント事業を開始しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
システムインテグレータは、ソフトウェア開発を通じて社会の生産性向上に貢献する企業です。IT業界の専門性を活かし、従業員の成長と働きやすさを重視する環境が特徴です。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は比較的若い年齢層の従業員が多く、平均勤続年数も業界の特性を反映した傾向が見られます。事業拡大に伴う積極的な採用も行われており、組織の活性化がうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,720,000円 |
| 平均勤続年数 | 6.4年 |
| 平均年齢 | 35.3歳 |
| 単体従業員数 | 256人 |
| 連結従業員数 | 338人 |
| 単体のグループ内比率 | 75.7% |
同社グループは、確定給付型と確定拠出型の両方の退職給付制度を採用しています。確定給付型は給与や勤続年数に応じて給付額が決まる制度、確定拠出型は会社が拠出した資金を従業員が運用する制度です。
退職給付制度は国内のグループ会社に適用されています。
なお、退職一時金制度はありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
システムインテグレータグループは、「時間を奪うのではなく、時間を与えるソフトウエアを創り続ける」というコーポレートスローガンのもと、持続可能でより良い社会の実現に貢献することを目指しています。この目標達成のため、人的資本を重要な経営資源と位置付け、多様な人材の採用と活躍支援、働きやすい環境づくり、教育制度の充実に注力しています。
具体的には、地方在住の人材のリモート勤務採用や、日本のIT業界で働きたい外国籍人材の積極的な採用を推進しています。女性が仕事と育児を両立できるよう育児支援制度を充実させ、男性も育児に参加しやすい環境整備を進めています。
働きやすい環境づくりの一環として、労働時間短縮や年次有給休暇取得率の向上、従業員定着率の維持に取り組んでいます。また、教育制度の充実にも力を入れており、全社向けの定期的な勉強会や有志による専門的な勉強会、階層教育と専門教育の各プログラムを実施しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。パート・有期労働者の男女賃金差異は開示されていません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 10.7% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 84.0% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 84.0% |
多様な人材の採用と活躍支援
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 遠隔地勤務制度利用者数 | 累計16名 |
| 外国籍採用人数 | 累計24名 |
| 女性育児休業取得率 | 100.0% |
| 女性復職率 | 100.0% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男性復職率 | 100.0% |
働きやすい環境づくり
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 法定外労働平均時間 | 4時間/月 |
| 年次有給休暇取得率 | 80.9% |
| 従業員定着率 | 93.5% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
株式会社システムインテグレータは、自社開発のパッケージソフトウェアを中心に、顧客の業務課題解決を支援するソリューションを提供しています。同社グループは「Object Browser事業」「ERP事業」「AI事業」の3つの事業を展開し、高収益事業、売上牽引事業、新規事業という特性をバランスさせています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、独創的なパッケージソフトウェアの企画・開発、導入コンサルティング、カスタマイズ開発、保守運用を一貫して手掛けています。自社製品は高い利益率を確保できる特徴があります。顧客への直接販売と販売代理店を経由した間接販売を併用しています。
同社グループの事業は国内市場が中心であり、特定の販売先への収益集中は見られません。
Object Browser事業
データベース開発支援ツール「SI Object Browser」シリーズや統合型プロジェクト管理ツール「OBPM Neo」といった自社製品を提供しています。ソフトウェア開発の生産性向上やプロジェクト管理の合理化を支援するツールとして、IT業界を中心に利用されています。
収益は、製品の販売やクラウドサービスの提供、導入支援、研修サービスから得ています。前期と比較して売上高は増加しましたが、開発投資に伴いセグメント利益は減少しました。
ERP事業
Web-ERP「GRANDIT」を中核に、製造・建設・IT・卸売など主要産業向けの基幹業務システムを提供しています。クラウド型「SAP Cloud ERP」や生産管理システム「mcframe」も取り扱い、顧客のニーズに合わせた最適なソリューションを提供しています。
収益は、ERPパッケージの導入、カスタマイズ開発、周辺インフラの同時導入から得ています。運営は、KEYSTONE SOLUTIONS COMPANY LIMITEDとシステム開発研究所を含む連結子会社が行っています。DX推進や自動化のニーズを受けて好調に推移し、売上高、セグメント利益ともに前期から大きく増加しました。
AI事業
ディープラーニング異常検知システム「AISIA Anomaly Detection」をベースに、AIの画像認識技術を活用した外観検査作業の自動化ビジネスを展開してきました。現在は生成AIを用いたサービス提供に事業リソースをシフトしており、検図AI「KENZ」などを提供しています。
収益は、AIを活用した自動化・属人知継承サービスの提供から得ています。売上高は前期から減少しましたが、セグメント損失は縮小する傾向にあります。
| セグメント | 売上高(2025年2月期) | 売上高(2026年2月期) |
|---|---|---|
| ERP事業 | 38.5億円 | 46.5億円 |
| Object Browser事業 | 7.9億円 | 8.3億円 |
| AI事業 | 92百万円 | 77百万円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループは第30期より連結財務諸表を作成しており、直近2期間の業績推移が示されています。売上高は増加傾向にあり、経常利益も大きく伸びています。
一方で、親会社株主に帰属する当期純利益は前期から減少しています。これは、前期に計上された関係会社株式売却益が当期には減少したことが主な要因となっています。
| 項目 | 2022年2月期 | 2023年2月期 | 2024年2月期 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | - | - | - | 47.7億円 | 55.6億円 |
| 経常利益 | - | - | - | 3.0億円 | 5.7億円 |
| 経常利益率 | - | - | - | 6.3% | 10.2% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | - | - | - | 5.8億円 | 4.6億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | - | - | - | 53.44 | 41.99 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高は前期から減少する傾向にありますが、従業員1人あたり営業利益は前期から増加する傾向にあります。これは、売上高の伸び以上に営業利益が大きく増加したことを示しています。
| 指標 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 17.0百万円 | 16.4百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 1.0百万円 | 1.8百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
株式会社システムインテグレータは、当連結会計年度において、本業で資金を創出しつつ、将来に向けた投資を積極的に行っています。財務基盤は安定しており、手元資金も厚い状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、自己資本比率がプライム市場平均と比較して高い水準にあり、安定性がうかがえます。ROE(自己資本利益率)はプライム市場平均を上回っており、効率的な資本活用ができている状況です。手元資金も潤沢に確保されており、不測の事態や成長投資への対応力があることを示しています。これらの財務状況は、入社後の雇用や給与の安定性につながる要素であると考えられます。
| 指標 | 2025年2月期(前期) | 2026年2月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 41.2億円 | 44.7億円 |
| 自己資本比率 | 82.5% | 78.5% |
| ROE(自己資本利益率) | 14.1% | 10.7% |
| 現金及び預金 | 29.7億円 | 32.3億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の計上や減価償却費の計上などによりプラスに転じました。これは本業で安定的に資金を創出できていることを示しています。投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の預入による支出や連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出などにより、引き続きマイナスとなっています。これは将来の成長に向けた積極的な投資が行われている状況です。財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払額などによりマイナスで推移しています。
当連結会計年度のフリーキャッシュ・フローはプラスとなっており、本業で得た資金で投資を賄い、なお余剰資金がある状態です。同社グループは自己資金を投資資金の財源とし、手元資金も潤沢であることから、財務的な無理なく成長投資を進めている状況がうかがえます。これは、入社後の雇用や給与の安定性、そして会社の成長性にとって良い兆候であると考えられます。
| 項目 | 2025年2月期(前期) | 2026年2月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | △3.6億円 | 6.9億円 |
| 投資CF | △0.7億円 | △6.9億円 |
| 財務CF | △1.3億円 | △1.1億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △4.3億円 | 0.0億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、AIの急速な進化により、提供する製品・サービスが競争力を失うリスクや、競合他社がAI活用でより高い提供価値を実現するリスクを認識しています。また、売上の相当部分を特定のERP製品(GRANDIT)に依存する構造にあり、市場動向の変化や競合製品の台頭が収益に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、エンジニアをはじめとする人材の質と量に事業競争力が直接依存していると認識しています。AI時代において必要な人材像が急速に変化しており、高度なAIスキルと業務知識を兼ね備えた人材の採用競争激化や、既存人材の社外流出が生じた場合には、開発力・提案力の低下を招き、成長計画に支障をきたすリスクがあります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
システムインテグレータは、「時間を与えるソフトウエアを創り続ける」ことをミッションに掲げ、社会に価値を提供し続けることを目指しています。社員一人ひとりの創造力と技術力を重視し、働きやすい環境作りを追求する企業風土があります。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
システムインテグレータグループは、「時間を与えるソフトウエアを創り続ける」ことをミッションに掲げています。社会の変化や顧客ニーズを捉え、最新技術と社員の自由な発想を活かしたオリジナルパッケージソフトウエアやサービスを開発・販売しています。
長期ビジョンとして「ものつくり企業のビジネスプロセスをITの力で本質的に変革する」ことを掲げています。このビジョンを実現するため、「プロダクト指向からの脱皮、課題解決のためのシステムインテグレーション」を目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
システムインテグレータグループは、「風通しの良い相互尊重の精神あふれる職場環境をみんなで作り、みんなが働きやすい雰囲気の中で創造力、技術力を常に磨き、品質の高いソリューションを提供し続ける」ことを経営方針としています。同社グループが位置する業界では「人」が唯一の資産であると考え、人材育成と早期戦力化を最も重要な成功要因と位置付けています。
ヒトやコトに高い関心を持ち、良いものを評価し、相互に尊重し、自身の創造力や技術力をさらに磨くことで、優れた発想やアイデアを生むことができると考えています。自律・自立した社員一人ひとりが働きやすい職場環境を創り出すことを理想とし、その仕組み作りを会社の責務と認識しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
システムインテグレータグループは、2032年度に向けた長期ビジョン達成のため、エンタープライズ領域をターゲットに「業務系システム」「AI」「開発ツール」の3つの事業ドメインに経営資源を集中しています。優先的に対処すべき課題として、「AIネイティブ経営への転換」を最重要課題と位置付けています。
全従業員がAIを自らの武器として使いこなし、提案・設計・開発・品質管理・顧客対応のあらゆる領域で業務を再設計し、生産性と付加価値を飛躍的に高めることを目指しています。また、「人材の採用・育成と早期戦力化」も重要課題であり、「一流の技術者」を育て続けること、挑戦して失敗した人を評価する文化の醸成、女性活躍をはじめとする人材の多様性の向上、働きやすい環境づくりを推進しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
システムインテグレータは、迅速な意思決定と客観的な監視・監査を実現するため、取締役会と監査役会を設置しています。また、執行役員制度を導入し、任意の指名・報酬諮問委員会を設けることで、経営の透明性と客観性の確保に努めています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
システムインテグレータの株主構成を見ると、同社の経営陣である碓井満氏と梅田弘之氏が上位株主として名を連ねています。また、梅田和江氏も上位に位置しており、創業家が同社の資本構成において重要な位置を占めていることがうかがえます。従業員持株会も上位株主の一角を占めています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 碓井 満 | 19.80% |
| 梅田 弘之 | 11.94% |
| 梅田 和江 | 9.93% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
システムインテグレータの役員は8名(男性7名・女性1名)で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長CEOは引屋敷智氏が務めています。社外取締役比率は20.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 引屋敷 智 | 代表取締役社長CEO(Chief Executive Officer) インキュベーション事業部長 | 1989年住商コンピューターサービス(株)入社、2002年同社入社 取締役。2016年常務取締役、2022年代表取締役社長CEO、2023年インキュベーション事業部長より現職。 |
| 梅田 弘之 | 代表取締役会長 | 1980年東京芝浦電気(株)入社、1995年同社設立 代表取締役社長。2022年代表取締役会長より現職。製品企画室担当、KEYSTONE SOLUTIONS Co.,Ltd.会長兼法定代表者、SMHC(株)顧問、(株)BizSaaS代表取締役社長も務める。 |
| 碓井 満 | 専務取締役CPMO(Chief Project Management Officer) PMO部長 | 1985年トーメン情報システムズ(株)入社、1995年同社設立 専務取締役。2016年専務取締役CPMO、2026年PMO部長より現職。(株)DGビジネステクノロジー取締役も務める。 |
| 小泉 智之 | 取締役CDO(Chief Development Officer) | 2001年京セラコミュニケーションシステム(株)入社、2003年同社入社。2022年執行役員ERP事業部長、2025年取締役CDOより現職。エンタープライズ開発本部長、SAPソリューション部長、Object Browser部長も務める。 |
社外取締役は、平林亮子氏(平林公認会計士事務所代表)です。
同社は監査役会設置会社であり、取締役会による業務執行の意思決定と監査役会による経営監視の体制をとっています。社外取締役1名と社外監査役2名が独立役員として選任されており、客観的かつ中立的な視点からの監督・監査を担っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
システムインテグレータの役員報酬は、企業価値向上と株主利益の実現に資するインセンティブ付与を目的として設計されています。基本報酬は固定報酬と変動報酬で構成され、役員評価係数や売上高成長率、当期純利益達成率が反映される仕組みです。また、業績連動型株式報酬制度を導入しており、2年経営計画の目標達成度に応じて株式と金銭が支給されます。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 4名 | 94百万円 | 23.4百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 8百万円 | 7.9百万円 |
| 社外役員 | 4名 | 17百万円 | 4.3百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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