ソーバル 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ソーバル 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ソーバルは、東京証券取引所スタンダード市場に上場するエンジニアリング企業です。アプリやWEB、クラウド環境の構築から組込み開発まで、ワンストップサービスを強みに事業を展開しています。直近の業績は、売上高が約90億円、経常利益が約6.8億円の増収増益となっており、堅調な成長を続けています。


※本記事は、ソーバル株式会社の有価証券報告書(第44期、自 2025年3月1日 至 2026年2月28日、2026年5月22日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ソーバルってどんな会社?


アプリ、WEB、クラウドから組込み開発まで、多彩なITソリューションを提供するエンジニアリング企業です。

(1) 会社概要


1983年に電子計算機販売およびソフトウエア開発を目的として設立され、2006年に現在のソーバルに商号変更しました。2008年にジャスダック証券取引所に上場しています。近年はAI事業の拡大を目指し、2024年にパロニムと資本業務提携したほか、2025年に理創、2026年にプリサイスを子会社化し、対応領域を拡大しています。

現在の従業員数は連結で978名、単体で790名です。筆頭株主はエバーコアで、第2位に同社の従業員持株会、第3位に個人投資家の川下氏が名を連ねています。

氏名 持株比率
エバーコア 44.23%
ソーバル従業員持株会 9.08%
川下 奈々 5.05%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性0名の計8名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は推津敦氏が務めており、取締役における社外取締役の比率は20.0%です。

氏名 役職 主な経歴
推津 敦 代表取締役社長 2005年同社入社。常務執行役員、取締役副社長などを歴任し、2018年に代表取締役社長兼最高経営責任者に就任。2024年より現職。
東谷 正雄 取締役 2006年同社入社。執行役員などを経て、2020年より取締役。2022年より営業部長、2023年よりコアード代表取締役社長として現職。
山林 敬 取締役 2001年同社入社。システムソリューション部長などを経て、2017年より取締役。2019年よりシステム本部長などとして現職。
島谷 裕一 取締役 2001年同社入社。人事部長や専務執行役員などを経て、2020年より経営企画部長。2024年に取締役および人事部長として現職。


社外取締役は、高木友博(明治大学理工学部教授等)です。

2. 事業内容


同社グループは、「エンジニアリング事業」の単一セグメントで事業を展開しています。

(1) アプリケーション・WEB・クラウド開発


Win、Mac、Linux向けのアプリケーションやスマートデバイス向けアプリの設計・開発に加え、WEBアプリケーションの開発、クラウド環境の設計・構築などを提供しています。さらに、開発に付随するコンサルティング業務にも対応しており、幅広い顧客のニーズに応えるITサービスを展開しています。

これらのサービスは、顧客からの業務請負および技術者の派遣という形態で提供され、労働力やサービス提供の対価として収益を得ています。事業の運営は主に同社および子会社のコアード、アンドールシステムサポートが行っています。

(2) 組込み開発およびその他の開発支援


コンサルティングから量産対応までをワンストップで支援する組込み開発を主力としています。映像機器やオーディオ、自動運転システム、産業機器などの高度な製品開発を支えるほか、統計解析やマニュアル制作など、多岐にわたる開発支援サービスを提供しています。

収益は、メーカー等の顧客企業に向けた業務委託契約や労働者派遣契約に基づき、エンジニアの技術提供やプロジェクト遂行の対価として得ています。AIを成長の柱に据えており、同社や各グループ会社が連携して先端技術の実装を推進しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は82億円台から段階的に増加し、直近では90億円に到達しました。経常利益も6億円台で安定して推移しており、堅実な事業成長と安定した収益基盤の維持が見られます。

項目 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期 2026年2月期
売上高 82億円 82億円 82億円 87億円 90億円
経常利益 6.4億円 6.6億円 6.9億円 6.5億円 6.8億円
利益率(%) 7.8% 8.1% 8.5% 7.4% 7.6%
当期利益(親会社所有者帰属) 3.6億円 6.3億円 4.1億円 1.7億円 3.4億円

(2) 損益計算書


売上高、売上総利益ともに増加傾向にあり、営業利益率も7%台で安定しています。原価の最適化や業務効率化の取り組みが利益の創出に寄与しています。

項目 2025年2月期 2026年2月期
売上高 87億円 90億円
売上総利益 17億円 17億円
売上総利益率(%) 19.0% 19.1%
営業利益 6.1億円 6.6億円
営業利益率(%) 7.1% 7.4%


販売費及び一般管理費のうち、給与が3.4億円(構成比32%)、役員報酬が0.8億円(同8%)を占めています。

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFがプラス、投資CFおよび財務CFがマイナスとなっており、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業の状態(健全型)を示しています。

項目 2025年2月期 2026年2月期
営業CF 8.4億円 3.7億円
投資CF 2.7億円 -1.2億円
財務CF -2.6億円 -2.6億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は10.4%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は76.8%で、いずれも市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「技術で社会に貢献する」を基本理念に掲げています。また、「企業にとって、最大の資源は人材である」という考えを根幹に据えており、高い意識と技術を持つ人材が充実した環境で働くことが、価値あるテクノロジーを生み出す近道であると位置づけています。

(2) 企業文化


顧客の求める「高(高信頼・高技術等)」「守(守納期・守法令等)」「即(即対応)」を実践する文化を重視しています。また、従業員のパフォーマンスを最大化するため、仕事とプライベートのバランスを大切にする社風の構築に力を注ぎ、イノベーションを促進する環境づくりに努めています。

(3) 経営計画・目標


継続的な成長を実現するため、既存事業でより高い成長性を確保しつつ、人材の採用や教育、さらにはM&Aや新規事業への投資を積極的に行うことを目指しています。これらを通じて売上高を増加させるとともに、適正な利益を安定して確保することを重要な経営目標として掲げています。

(4) 成長戦略と重点施策


今後の成長に向けた重点課題として、3つの施策を推進しています。第一に、生成AIの活用などを通じた「新事業領域の開拓」、第二に、人間性を重視した採用やDX人材の育成による「優秀な人材の確保および育成」、第三に、プロジェクト管理スキルを持つリーダーの育成による「業務効率化による利益体質強化」です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「人」を最重視した方針を掲げ、年齢や性別、国籍を問わない採用活動と積極的な人材投資を進めています。半期ごとの評価制度を通じたスキル向上やキャリアパス支援を行うほか、フレックスタイム制や在宅勤務などの柔軟な勤務制度を導入し、従業員一人ひとりのライフステージに応じた働き方を支援しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年2月期 37.2歳 12.4年 5,805,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 -
男性育児休業取得率 66.6%
男女賃金差異(全労働者) 83.0%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 83.5%
男女賃金差異(非正規雇用労働者) 90.7%


※女性管理職比率は、公表義務の対象ではないため記載が省略されています。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 優秀な人材の確保と育成

エンジニアリング事業において顧客のニーズに的確に対応するため、関連する技術・技能を有した多くの優秀な人材を常時確保する必要があります。必要な人材を適切に確保・育成できない場合、同社の業績や財政状態に影響を与える可能性があります。

(2) エンジニアリング事業の変動要因

同社が締結する契約金額は、景気動向や同業他社との競争、技術革新のスピードなどに左右されます。競争力のあるサービスを維持できず顧客ニーズに対応できなくなった場合、契約金額が下落し、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 情報セキュリティと漏洩リスク

業務上で多数の顧客情報や製品開発情報等を取り扱っています。生成AIの活用を含め情報セキュリティ管理に継続的に取り組んでいますが、万一情報システムの停止や秘密情報の外部への漏洩が発生した場合、企業イメージの低下や損害賠償を招くリスクがあります。

(4) 法的規制および訴訟対応

エンジニアリング事業の一部は労働者派遣法に基づく労働者派遣事業に該当します。関連法令の遵守に努めていますが、法令違反等により事業停止を命じられたり、法規制の変更が行われた場合、事業運営に支障をきたす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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