グンゼ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

グンゼ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム上場。アパレル、機能ソリューション、メディカル事業等を展開。直近の連結業績は売上高1,371億円(前期比3.2%増)、営業利益79億円(同16.9%増)、経常利益82億円(同20.8%増)と増収増益を達成。主力のアパレル事業に加え、機能ソリューションやメディカル事業が収益を牽引しています。


※本記事は、グンゼ株式会社 の有価証券報告書(第129期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. グンゼってどんな会社?


創業1896年の老舗メーカー。祖業の製糸業から発展し、現在はプラスチック、医療、アパレル等の多角化経営を行っています。

(1) 会社概要


1896年に郡是製絲として設立し、製糸業から出発しました。1949年に株式上場を果たし、1967年に現社名へ変更。現在は祖業で培った技術を応用し、プラスチックフィルム等の機能ソリューション事業やメディカル事業、アパレル事業等へ多角化しています。近年では医療機器分野のグローバル展開やサステナブル経営を推進しています。

連結従業員数は4,339名、単体では1,401名体制です。筆頭株主は資産管理業務を行う信託銀行で、第3位には地元の地方銀行が名を連ねています。機関投資家や金融機関が主要株主となっており、安定的な株主構成といえます。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行 16.04%
日本カストディ銀行 10.48%
京都銀行 3.08%

(2) 経営陣


同社の役員は男性11名、女性2名の計13名で構成され、女性役員比率は15.0%です。代表者は代表取締役社長社長執行役員の佐口 敏康氏です。取締役会における社外取締役の比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
佐口 敏康 代表取締役社長社長執行役員 1984年入社。プラスチックカンパニー長、経営戦略部長等を歴任。2018年代表取締役常務執行役員を経て、2021年6月より現職。
岡 高広 取締役専務執行役員経営戦略部長 1987年入社。プラスチックカンパニー営業統括部長、同カンパニー長等を歴任。2024年6月より現職。
熊田 誠 取締役常務執行役員グンゼ開発代表取締役社長 1984年入社。アパレルカンパニー経営管理部長、財務経理部長等を歴任。2023年4月より現職。
河西 亮二 取締役執行役員アパレルカンパニー長 1986年入社。アパレルカンパニー経営管理部長を経て、2021年4月より現職。
澤田 博和 取締役執行役員財務経理部長 1988年入社。プラスチックカンパニー経営管理部長等を経て、2023年6月より現職。
奥田 智久 取締役執行役員技術開発部長 1989年入社。プラスチックカンパニー技術部長等を経て、2024年6月より現職。


社外取締役は、中井 洋恵(弁護士)、鯨岡 修(元日経メディカル開発社長)、木田 理恵(女ゴコロマーケティング研究所代表)です。

2. 事業内容


同社グループは、「機能ソリューション事業」「メディカル事業」「アパレル事業」「ライフクリエイト事業」の4つの報告セグメントで事業を展開しています。

機能ソリューション事業


プラスチックフィルム、エンジニアリングプラスチックス、電子部品、機械類等の製造販売を行っています。食品包装用フィルムやOA機器向け機能性樹脂部品などが主力製品であり、産業資材としての需要に対応しています。

収益は製品の販売代金です。運営は主に同社が行い、製造加工を福島プラスチックス等の連結子会社に委託しています。また、海外ではGunze Plastics & Engineering Corporation of America等の海外関係会社が製造・販売を行っています。

メディカル事業


生体吸収性材料を中心とした医療機器の開発・製造・販売を行っています。人工皮膚、組織補強材、癒着防止材などの製品を提供しており、医療機関や患者のQOL向上に寄与しています。

収益は医療機関や代理店への製品販売代金です。運営は同社が行い、製造は同社および海外子会社である郡是医療器材(深圳)有限公司等が担当し、販売は連結子会社のグンゼメディカル等が担っています。

アパレル事業


インナーウエア、レッグウエア、アウターウエア等の衣料品および各種ミシン糸などの繊維資材の製造・販売を行っています。「YG」や「ボディワイルド」などのブランドを展開し、一般消費者を主な顧客としています。

収益は量販店や専門店、ECサイトを通じた製品販売代金です。運営は同社が行い、製造は東北グンゼ等の関係会社に委託しています。また、ジーンズ・カジュアルダン等が小売販売を行っています。

ライフクリエイト事業


商業施設の開発・運営、スポーツクラブの運営、緑化樹木の販売、太陽光発電事業等を行っています。工場跡地の再開発によるショッピングセンター「グンゼタウンセンターつかしん」などが代表例です。

収益は商業施設のテナント賃料やスポーツクラブの会費、樹木の販売代金等です。運営は連結子会社のグンゼ開発、グンゼスポーツ、グンゼグリーン等がそれぞれの事業を行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は1,200億円台から1,300億円台で推移しており、緩やかな増加傾向にあります。経常利益も増加基調にあり、特に直近の2025年3月期は売上高、経常利益ともに過去5期間で最高水準となっています。利益率も改善傾向が見られます。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 1,236億円 1,243億円 1,360億円 1,329億円 1,371億円
経常利益 51億円 54億円 60億円 68億円 82億円
利益率(%) 4.1% 4.3% 4.4% 5.1% 6.0%
当期利益(親会社所有者帰属) 21億円 29億円 45億円 51億円 63億円

(2) 損益計算書


2期間を比較すると、売上高は増加し、売上総利益率も改善しています。営業利益および営業利益率も向上しており、本業の収益性が高まっていることがうかがえます。増収効果に加え、コストコントロールや高付加価値製品へのシフトが奏功していると考えられます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 1,329億円 1,371億円
売上総利益 417億円 432億円
売上総利益率(%) 31.4% 31.5%
営業利益 68億円 79億円
営業利益率(%) 5.1% 5.8%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が87億円(構成比25%)、物流費が85億円(同24%)を占めています。

(3) セグメント収益


機能ソリューション事業とメディカル事業が増収増益となり、全社の業績を牽引しました。アパレル事業は売上高が微増したものの、原材料価格の高騰や円安の影響等により減益となりました。ライフクリエイト事業は不動産関連の減収等により減収となりましたが、増益を確保しています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
機能ソリューション事業 485億円 516億円 60億円 72億円 14.0%
メディカル事業 117億円 129億円 20億円 24億円 18.8%
アパレル事業 599億円 606億円 15億円 8億円 1.2%
ライフクリエイト事業 128億円 120億円 8億円 10億円 8.3%
調整額 - - -35億円 -35億円 -
連結(合計) 1,329億円 1,371億円 68億円 79億円 5.8%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


本業の営業活動でキャッシュを稼ぎ出し、それを投資活動や財務活動(借入返済や株主還元)に充てている「健全型」のキャッシュ・フロー状態です。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 104億円 116億円
投資CF -2億円 -75億円
財務CF -113億円 -52億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は5.3%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は74.6%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「人間尊重と優良品の生産を基礎として、会社をめぐるすべての関係者との共存共栄をはかる」という創業の精神を経糸(たていと)、社会からの期待に誠意をもって柔軟に応えることを緯糸(よこいと)とし、社会課題の解決と企業価値の持続的向上を目指しています。

(2) 企業文化


2030年ビジョンとして「新しい価値を創造し『ここちよさ』を提供することで持続可能な社会の実現に貢献します」を掲げ、「変革と挑戦」をキーワードとしています。経済的利益と社会的利益を両立させるサステナブル経営を通じて、社会貢献とグループの持続的成長の実現を目指す文化があります。

(3) 経営計画・目標


2025年度から2027年度までの3ヵ年を期間とする「VISION 2030 stage2」を推進しています。最終年度となる2027年度の数値目標として以下を掲げています。
* グループ売上高:1,400億円
* 営業利益:125億円
* ROE(自己資本利益率):8%以上
* ROIC(投下資本収益率):6.6%以上

(4) 成長戦略と重点施策


コア事業の成長と聖域なき構造改革により、2030年のありたい姿の実現を目指します。機能ソリューション事業では資源循環モデルの確立、メディカル事業ではグローバル展開の加速、アパレル事業では構造改革による再生を進めます。また、財務戦略として資本コスト経営を深化させ、PBR1.0倍超の早期実現を図ります。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「持続的企業価値・競争力の向上に繋がる経営戦略を実行できる人財と組織風土を創る」ことを目指しています。多様性、自律・自走、チャレンジをキーワードに、期待に適う人財が長く活躍し続けることができるよう、2026年より人事制度改革を計画しています。また、女性活躍推進やキャリア自律支援にも注力しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 43.5歳 19.9年 6,372,566円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 5.9%
男性育児休業取得率 77.7%
男女賃金差異(全労働者) 57.1%
男女賃金差異(正規雇用) 61.5%
男女賃金差異(非正規雇用) 65.9%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、エンゲージメントスコア(62点)、年休取得率(14.5日)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 経営戦略的リスク


M&Aや新規事業創出において期待した成果が得られない場合や、不採算事業の構造改革に伴う損失が発生する可能性があります。これらの施策が計画通りに進捗しない場合、グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。

(2) ライセンス契約に関連するリスク


アパレル事業において、国内外企業が所有する商標の使用許諾を得て製造・販売している製品があります。不測の事由によりライセンス契約が継続できない状況が発生した場合、売上高の減少等により業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) レピュテーションリスク


SNS等での不適切な書き込みや広告表現、または製品や事業活動に関する誤った投稿が拡散した場合、ブランドイメージや社会的信用の低下につながり、経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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