テクミラホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

テクミラホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

テクミラホールディングスは東京証券取引所スタンダード市場に上場するIT企業です。ゲームや知育アプリのライフデザイン事業、SaaSなどのAI&クラウド事業、タブレットPCなどを展開するIoT&デバイス事業を推進しています。直近は受託事業の減収減益等により売上高・利益ともに減少しています。


※本記事は、テクミラホールディングスの有価証券報告書(第22期、自 2025年3月1日 至 2026年2月28日、2026年5月28日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. テクミラホールディングスってどんな会社?


同社は、コンシューマ向けアプリからSaaS、IoTデバイスまで幅広いITソリューションを展開する企業です。

(1) 会社概要


2004年に設立し、2008年に上場しました。2012年にネオスへ商号変更しています。2018年にJENESISを連結子会社化してIoTデバイス事業を強化し、2020年に持株会社体制へ移行しました。2023年に現在のテクミラホールディングスへ商号変更し、2024年にRetoolを子会社化しています。

従業員数は連結で501名、単体で31名です。筆頭株主は代表取締役社長の池田昌史氏であり、第2位は太陽生命保険、第3位は水元公仁氏となっています。創業メンバーや役員等の個人株主が上位を占めるほか、事業会社等の法人も資本参加しています。

氏名 持株比率
池田 昌史 15.55%
太陽生命保険 4.72%
水元 公仁 3.00%

(2) 経営陣


同社の役員は男性5名、女性1名の計6名で構成され、女性役員比率は17.0%です。代表取締役社長は池田昌史氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
池田 昌史 取締役社長(代表取締役) 新日本電気入社、2004年当社代表取締役社長、2020年ネオス代表取締役社長執行役員、2024年Wellmira取締役会長等を経て現職。
藤岡 淳一 取締役 メイテック、エグゼモード代表取締役社長等を経て、JENESIS代表取締役社長、創世訊聯科技董事總經理などに就任し現職。
藤代 哲 取締役 朝日生命保険、NTTドコモ等を経て当社入社。ネオス取締役執行役員や当社事業推進部長等を歴任し、経営管理本部長兼経営企画部長より現職。
黒尾 哲雄 取締役(監査等委員) 日本電気入社、当社経営管理部ゼネラルマネージャ、執行役員経理部長、執行役員経理財務担当などを経て現職。


社外取締役は、今野敏博(元ソニー・ミュージックエンタテインメントCFO)、照沼景子(元新日本監査法人・公認会計士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ライフデザイン事業」「AI&クラウド事業」「IoT&デバイス事業」を展開しています。

ライフデザイン事業


ゲームの開発・販売やキッズ向け知育サービスなどのコンシューマ向けビジネスと、健康・金融・教育・人事領域における法人向けTechサービスを展開しています。一般消費者と法人顧客の双方を対象にデジタルコンテンツを提供しています。

収益源は、ゲームソフトの販売収入、知育・ヘルスケアアプリの利用料、法人向けサービスの提供対価などです。事業の運営は主にネオス、スタジオプラスコ、Wellmira、Retoolが行っています。

AI&クラウド事業


AIチャットサービス「OfficeBot」やクラウドアドレス帳サービス「SMARTアドレス帳」などのSaaS提供、およびDXやAI領域のソリューションを提供しています。企業の業務効率化やデジタルトランスフォーメーションを支援しています。

主な収益源は、SaaSのサブスクリプション利用料や、システム開発・ソリューション提供に伴う開発受託費などです。事業の運営は主にネオスと、ベトナム法人のNEOS VIETNAM INTERNATIONALが行っています。

IoT&デバイス事業


モノとインターネットを融合した価値を提供するEdge IoTや、タブレットPC・デジタルカメラ等のデバイスを「aiwa」ブランドの自社製品として展開しています。企画設計から製造、サポートまでをトータルで提供しています。

主な収益源は、IoTデバイスの受託製造費やカスタマーサポート受託費、および自社ブランド製品の販売収入などです。運営はJENESIS、創世訊聯科技(深圳)、アイワマーケティングジャパンが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績は、売上高が87億円から112億円の幅で推移しています。利益面では、先行投資の負担や受託事業の減益などの影響により経常利益率が低下傾向にあり、直近2期間は最終赤字を計上しています。

項目 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期 2026年2月期
売上高 96億円 87億円 87億円 112億円 104億円
経常利益 4億円 4億円 1億円 1億円 0.9億円
利益率(%) 4.5% 4.5% 1.5% 0.9% 0.9%
当期純利益(親会社株主に帰属) 4億円 3億円 0.7億円 -1億円 -0.6億円

(2) 損益計算書


売上高は減少したものの、売上総利益の金額はほぼ横ばいを保ち、売上総利益率は上昇して改善傾向にあります。一方で、営業利益率は低水準での推移が続いています。

項目 2025年2月期 2026年2月期
売上高 112億円 104億円
売上総利益 38億円 38億円
売上総利益率(%) 33.9% 36.6%
営業利益 0.9億円 0.7億円
営業利益率(%) 0.8% 0.7%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当が10億円(構成比26%)、営業支援費が5億円(同14%)を占めています。売上原価は66億円で、売上高に対する原価率は63%です。

(3) セグメント収益


全セグメントにおいて減収となりました。ライフデザイン事業は旧作ゲーム中心の販売となったこと、IoT&デバイス事業は前期の前倒し出荷の反動が生じたことなどが影響し、全体として売上が減少しています。

区分 売上(2025年2月期) 売上(2026年2月期)
ライフデザイン事業 31億円 26億円
AI&クラウド事業 26億円 25億円
IoT&デバイス事業 55億円 53億円
連結(合計) 112億円 104億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFがプラス、投資CFがマイナス、財務CFがプラスとなっており、営業で利益を出し、借入によって積極投資を行う「積極型」の状況です。

項目 2025年2月期 2026年2月期
営業CF 14億円 4億円
投資CF -12億円 -6億円
財務CF 0.8億円 2億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は-1.0%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は56.9%でスタンダード市場の非製造業平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「TechnologyとCreativeで未来を創る」という経営理念を掲げています。高い専門性を有するIT企業グループとして、コンテンツからソフトウェア、ハードウェアまで網羅した幅広い事業を展開し、テクノロジーとクリエイティブの融合によって驚きを与えるサービスやプロダクトを提供することで、豊かで新しい未来の創造を目指しています。

(2) 企業文化


年齢、国籍、性別等による区別を行わず、多様な人材が平等に機会を得られる環境づくりを重視しています。従業員の主体性を重んじるマネジメントを遂行し、各人が能力を十分に発揮できるよう柔軟な働き方を推進しています。また、専門性を高めるための各種研修制度を用意し、従業員の継続的な成長を支援する文化を形成しています。

(3) 経営計画・目標


中長期的な事業規模拡大と利益の増大、および効率的な株主資本の運用による継続的な企業価値向上を経営の目標としています。これらの目標を達成するための重視する経営指標として、調整後EBITDA(営業利益と減価償却費および為替差損益の合計額)、経常利益、純利益、自己資本利益率(ROE)を掲げています。

(4) 成長戦略と重点施策


3つの事業分野が補完し合いシナジーを生み出すポートフォリオ経営を推進し、継続的な企業価値の向上を図っています。重点施策として、グループ各社が有する技術力やノウハウを有機的に結合するグループ経営の強化、自社プロダクトおよびSaaSサービスの事業拡大、ハードとソフトを組み合わせたトータルソリューションの提供を掲げています。また、生産体制のグローバル化も推進しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


将来の事業成長を支える専門性の高い人材の継続的な確保と育成を重視しています。子会社を活用した多面的な採用活動を進めるとともに、入社後も専門性を高めるための各種研修制度を整備しています。また、従業員が能力を十分に発揮できるよう、時差出勤やリモートワークの導入、コミュニティスペースの設置など快適なオフィス環境の提供に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年2月期 39.8歳 7.3年 5,353,477円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 12.1%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) -
男女賃金差異(正規雇用) -
男女賃金差異(非正規雇用) -


※上記は連結子会社であるネオスにおける女性管理職比率の数値です。男性育児休業取得率および男女賃金差異については、公表義務の対象ではないため、有報には記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、外国人管理職比率(14%)、女性管理職比率(20%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) IT市場の技術革新と競争激化

情報通信市場は技術革新や新ビジネスモデルの出現が急速であり、常に市場環境が変化しています。新たなプラットフォームの出現や、高い開発力を持つ企業の新規参入、グローバル化の進展に伴う海外ベンダーとの競争激化などにより、同社グループの競争力や優位性を維持できなくなった場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 新規事業開発・投資に伴うリスク

生成AIの技術革新などドラスティックな変化に対応するため、同社グループは新技術やサービス開発、新規事業への参入に積極的に取り組んでいます。しかし、市場環境の変化や競争の熾烈化、開発の遅延などにより事業計画を変更・中止せざるを得ない場合、多額の費用計上や減損処理が発生する可能性があります。

(3) 事業提携先・出資先に関するリスク

スピーディーな事業展開のため、同社グループは他社との事業提携やM&A、政策出資などを積極的に実施しています。これらの提携先企業の経営状況が悪化した場合や、保有する株式価値が下落するなどの事象が発生した場合、同社グループの経営成績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(4) 専門人材の確保・定着リスク

IT事業の運営においては、専門スキルを持った優秀な人材を十分に確保し、育成していくことが重要な課題です。子会社化などを通じて人材獲得に向けた取り組みを強化していますが、市場や環境の変化により必要な人材が確保できない場合や、既存の人材流出が生じた場合、事業運営や業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


関連記事

テクミラホールディングスの転職研究 2026年2月期決算に見るキャリア機会

テクミラホールディングスの2026年2月期決算は、SaaSとaiwa事業が黒字化を達成。拠点集約による構造改革を終え、次期は人気ゲーム新作投入とAIエージェント拡大による「再成長期」へ移行します。「なぜ今テクミラなのか?」転職希望者がどの事業で、どんな役割を担えるのかを整理します。