テクミラホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

テクミラホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所(スタンダード市場)に上場し、知育・教育等のライフデザイン事業、AI・クラウド関連のSaaS事業、IoTデバイス開発事業を展開しています。2025年2月期の連結業績は、売上高が112億円で前期比大幅増収、営業利益は黒字転換を果たしたものの、最終損益は減損等により減益となりました。


※本記事は、テクミラホールディングス株式会社 の有価証券報告書(第21期、自 2024年3月1日 至 2025年2月28日、2025年5月29日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. テクミラホールディングスってどんな会社?


同社グループは、デジタル技術とクリエイティブを融合させた「ライフデザイン」「AI&クラウド」「IoT&デバイス」の3事業を展開する企業です。

(1) 会社概要


2004年にプライムワークスとして設立され、2008年に東証マザーズへ上場しました。2012年には東証一部へ市場変更し、商号をネオスに変更しました。その後、2020年に持株会社体制へ移行しJNSホールディングスとなり、2023年には現在のテクミラホールディングスへ商号変更しています。

2025年2月期末時点の連結従業員数は546名(単体35名)です。筆頭株主は代表取締役社長の池田昌史氏で、第2位は太陽生命保険、第3位は創業メンバーと思われる個人株主の水元公仁氏となっています。

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性1名の計7名で構成され、女性役員比率は14.0%です。代表取締役社長は池田昌史氏が務めています。社外取締役比率は42.9%です。

氏名 役職 主な経歴
池田 昌史 取締役社長(代表取締役) 1982年新日本電気入社。2004年同社代表取締役社長就任。ネオス代表取締役社長等を歴任し現職。
中野 隆司 取締役 1987年東海銀行入行。2005年同社入社。常務執行役員、専務取締役等を経て2024年5月より現職。
内井 大輔 取締役 1993年日本電気入社。2004年同社入社。取締役執行役員等を経て2020年9月より現職。
黒尾 哲雄 取締役(監査等委員) 1978年日本電気入社。2006年同社入社。執行役員管理部長等を経て2019年12月より現職。


社外取締役は、今野敏博(元SME常勤顧問)、矢野孝明(元東京海上日動火災保険専務)、照沼景子(照沼公認会計士事務所代表)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ライフデザイン事業」、「AI&クラウド事業」および「IoT&デバイス事業」を展開しています。

ライフデザイン事業


知育・教育、健康、FinTech、キャラクターを活用したデジタルコンテンツやソリューションを提供しています。Nintendo Switch向けゲームソフトの開発・販売や、健康管理アプリ「カロママプラス」、店舗向け電子マネー発行システムなどのサービスを展開しています。主な顧客は一般消費者および法人です。

収益は、アプリ利用者からの課金収入、ゲームソフト販売収益、法人顧客からのシステム利用料や開発受託費などから得ています。運営は主に連結子会社のネオス、Wellmira、スタジオプラスコなどが担っています。

AI&クラウド事業


AIチャットボット「OfficeBot」やクラウドアドレス帳サービスなどのSaaSプロダクト、およびAWS等を活用した技術ソリューションを提供しています。企業のDX推進や業務効率化を支援するサービスが中心で、主な顧客は民間企業や自治体です。

収益は、SaaSサービスのサブスクリプション利用料や、システム開発・導入に伴う受託費などから得ています。運営は主に連結子会社のネオスなどが担っています。

IoT&デバイス事業


通信デバイスの企画・開発・製造や、デバイスを活用するためのプラットフォーム・アプリケーション開発を行っています。「aiwa」ブランドのデジタル製品の企画・販売も手掛けています。深センのサプライチェーンを活用した製造受託(ODM)も行っています。

収益は、デバイスの開発・製造受託費、自社ブランド製品の販売収入などから得ています。運営は主に連結子会社のJENESIS、アイワマーケティングジャパンなどが担っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は80億円台から90億円台で推移してきましたが、当期は110億円を超え過去最高を更新しました。利益面では、経常利益率が低下傾向にあり、当期は0.9%となっています。当期純利益は、当期において赤字に転落しています。

項目 2021年2月期 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期
売上高 85億円 96億円 87億円 87億円 112億円
経常利益 2.2億円 4.3億円 3.9億円 1.3億円 1.0億円
利益率(%) 2.6% 4.5% 4.5% 1.5% 0.9%
当期利益(親会社所有者帰属) 1.3億円 2.0億円 2.3億円 2.3億円 -0.7億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で大きく増加し、売上総利益率も改善しました。営業利益は前期の赤字から黒字に転換しています。これは増収効果に加え、生産効率の向上やコスト管理が進んだことによるものと考えられます。

項目 2024年2月期 2025年2月期
売上高 87億円 112億円
売上総利益 29億円 38億円
売上総利益率(%) 32.9% 33.9%
営業利益 -1.2億円 0.9億円
営業利益率(%) -1.4% 0.8%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当が9.4億円(構成比25%)、営業支援費が5.3億円(同14%)、支払報酬が3.4億円(同9%)を占めています。

(3) セグメント収益


全セグメントで増収となりました。特にライフデザイン事業とIoT&デバイス事業の伸びが顕著です。利益面でも全セグメントで黒字を確保しており、特にIoT&デバイス事業は大幅な増益を達成しました。

区分 売上(2024年2月期) 売上(2025年2月期) 利益(2024年2月期) 利益(2025年2月期) 利益率
ライフデザイン事業 21億円 31億円 -0.1億円 0.8億円 2.5%
AI&クラウド事業 23億円 26億円 1.5億円 1.9億円 7.3%
IoT&デバイス事業 43億円 55億円 0.2億円 2.3億円 4.2%
調整額 -1億円 -2億円 -2.8億円 -4.0億円 -
連結(合計) 87億円 112億円 -1.2億円 0.9億円 0.8%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

テクミラホールディングスは、事業運営に必要な資金の流動性と源泉を安定的に確保することを基本方針としています。

営業活動によるキャッシュ・フローは、事業活動から生み出される資金の流れを示しています。投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資やM&Aなど、将来の成長に向けた資金の動きを表しています。財務活動によるキャッシュ・フローは、借入や返済、株式の発行など、資金調達や返済に関する動きを示しています。

同社は、短期運転資金を自己資金と短期借入で、設備投資やM&A等の資金を自己資金に加え、必要に応じて長期借入や新株予約権発行等で多様な資金調達を行っています。

項目 2024年2月期 2025年2月期
営業CF 0.6億円 13.7億円
投資CF -12.6億円 -11.8億円
財務CF 8.1億円 0.8億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、TechnologyとCreativeの融合によりmiracle(驚き)を与えるサービス、プロダクト、ソリューションを提供することを通じて、豊かで新しい未来を創造していくことを標榜しています。

(2) 企業文化


同社は、グループ各社および各事業セグメントが有する技術力やノウハウ、顧客基盤を有機的に結合することを重視しています。また、サステナビリティに関する方針において、気候変動などの地球環境問題や人権の尊重、従業員の健康、多様性の確保などに配慮する姿勢を示しています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、中長期的な事業規模拡大と利益の増大、および効率的な株主資本の運用による継続的な企業価値向上を目指しています。重視する経営指標として以下の目標を設定し、その達成に向けて取り組んでいます。
* 調整後EBITDA
* 経常利益
* 純利益
* 自己資本利益率(ROE)

(4) 成長戦略と重点施策


同社は「グループ経営の強化」「自社プロダクト&サービス事業の拡大」などを優先課題としています。特に、自社プロダクト&サービスへの積極投資による成長を目指し、ゲームやヘルスケアアプリ、SaaS、aiwaブランド製品などの拡充を図ります。また、グローバル化を推進し、アジア地域での事業拡大や欧米地域での展開を目指すとともに、AI技術の活用やセキュリティ体制の強化にも注力します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、事業拡大に向けて優秀な人材の確保と育成を重要視しています。人材採用においては専門性の高い人材の確保に努め、育成面では年齢・国籍・性別を区別しない評価制度や各種研修制度を用意しています。また、多様な人材が活躍できるよう、外国人や女性の管理職登用を推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年2月期 38.0歳 6.3年 5,914,984円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 11.1%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全) -
男女賃金差異(正規) -
男女賃金差異(非正規) -


※表の数値(女性管理職比率)は主要な連結子会社であるネオス株式会社のものです。同社および連結子会社は、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律および育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の規定による公表義務の対象ではないため、一部項目の記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、管理職に占める外国人の比率(15%)、管理職に占める女性の比率(22%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 市場動向について


同社グループが属する情報通信市場は技術革新が急速で参入障壁が低いため、競争が激化しています。予期せぬ技術進歩や新規プラットフォームの出現、海外ベンダーとの競争などにより競争優位性を維持できなくなった場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 新規事業開発について


生成AI等の技術革新に対応した新規事業開発に取り組んでいますが、市場環境の変化や開発遅延、競合激化などにより計画通りに進まない可能性があります。事業の中止や計画変更が生じた場合、多額の費用計上や減損処理が必要となり、業績や財務状況に影響を与えるリスクがあります。

(3) 事業提携先への出資について


事業展開のスピードアップのために事業提携や出資を行うことがありますが、提携先の経営状況が悪化したり、保有株式の価値が下落したりした場合、同社グループの経営成績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(4) 大手取引先について


特定の大手取引先との取引が将来的に減少または中断した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。すべての取引先と永続的な取引が確約されているわけではないため、取引継続性に関するリスクが存在します。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。