※本記事は、株式会社ボードルア の有価証券報告書(第18期、自 2024年3月1日 至 2025年2月28日、2025年5月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は IFRS です。
1. ボードルアってどんな会社?
ITインフラストラクチャ分野に特化し、コンサルティングから設計・構築、運用保守までを一貫して提供する企業です。
■(1) 会社概要
2007年に設立され、ITインフラストラクチャ事業を開始しました。2021年に東京証券取引所マザーズへ上場し、2022年の市場区分見直しによりグロース市場へ移行しました。その後、2022年に株式会社ZOSTEC、2024年に株式会社FunClockや株式会社アクティアスを連結子会社化するなど規模を拡大しています。
同社グループの従業員数は連結で2,238名、単体で1,087名です。大株主構成については、筆頭株主は同社代表取締役社長の冨永重寛氏で、第2位は同じく代表取締役の藤井和也氏となっており、経営陣が主要株主となっています。第3位は個人株主です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 冨永重寛 | 39.34% |
| 藤井和也 | 14.67% |
| 小林剛士 | 4.24% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性4名、女性2名の計6名で構成され、女性役員比率は33.0%です。代表取締役社長は冨永重寛氏です。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 冨永 重寛 | 代表取締役社長 | 2006年9月ニキティス代表取締役就任。2007年4月同社入社。2007年11月より現職。 |
| 藤井 和也 | 代表取締役 | 2006年9月ニキティス取締役就任。2007年4月同社入社。2018年2月代表取締役就任。2020年2月代表取締役経営管理本部長を経て、2022年11月より現職。 |
| 程島 義明 | 取締役営業統括本部長 | 2006年9月ニキティス取締役就任。2007年4月同社入社。2019年2月取締役就任。2020年2月取締役営業統括本部長兼技術統括本部長を経て、2022年11月より現職。 |
社外取締役は、岡本俊夫(元エムシー・ファーティコム監査役)、矢上浄子(アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー)、瀬尾安奈(公認会計士瀬尾安奈事務所代表)です。
2. 事業内容
同社グループは、「ITインフラストラクチャ事業」を展開しています。
■ITインフラストラクチャ事業
サーバー、ネットワーク、セキュリティ等のITインフラストラクチャにおいて、コンサルティング、設計・構築を行う「マルチベンダー構築支援」や、運用保守を行う「マネージドサービス」、クラウド基盤導入支援等を提供しています。主な顧客は通信、金融、流通等の事業会社や通信事業者です。
収益は、プロジェクト単位で設計・構築等を行い納品検収ベースで報酬を受け取る「フロー型売上」と、システムの保守運用維持費用として月額報酬を受け取る「ストック型売上」から構成されます。運営は主に同社が行うほか、株式会社ZOSTEC、ALJOY株式会社等の連結子会社も同分野の事業を展開しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
2024年2月期から2025年2月期にかけて、売上収益と各段階利益は大幅な増加傾向にあります。特に売上収益は前期比で約1.6倍に成長しており、事業規模が急速に拡大しています。利益面でも営業利益、税引前利益ともに大きく伸長しており、高い成長性を維持しています。
| 項目 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|
| 売上収益 | 73億円 | 116億円 |
| 税引前利益 | 16億円 | 25億円 |
| 利益率(%) | 21.5% | 21.1% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 12億円 | 18億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間において、売上収益の大幅な増加に伴い、売上総利益および営業利益も順調に拡大しています。売上総利益率は30%台後半で推移し、営業利益率も20%を超える高い水準を維持しています。事業規模の拡大と高収益体質の両立が図られていることが読み取れます。
| 項目 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|
| 売上収益 | 73億円 | 116億円 |
| 売上総利益 | 27億円 | 43億円 |
| 売上総利益率(%) | 36.9% | 36.6% |
| 営業利益 | 16億円 | 25億円 |
| 営業利益率(%) | 21.6% | 21.1% |
販売費及び一般管理費のうち、従業員給付費用が4.1億円(構成比23%)、求人採用費が4.1億円(同23%)を占めています。積極的な採用活動と人員体制の強化にコストを投じていることがわかります。
■(3) セグメント収益
同社はITインフラストラクチャ事業の単一セグメントであるため、セグメント別の詳細な増減分析はありませんが、事業全体としてエンタープライズ顧客との取引拡大や先端技術分野への注力が奏功し、大幅な増収増益を達成しています。
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
子会社の取得による収入や保険積立金の解約により投資CFがプラスに、自己株式の取得等により財務CFが大きくマイナスになっています。
| 項目 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 13億円 | 19億円 |
| 投資CF | -3.3億円 | 3.5億円 |
| 財務CF | -6.0億円 | -30.2億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は40.8%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は57.4%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は、「ネットワークインフラ技術分野におけるフロントランナーとして、弛まぬ技術革新を推し進め、急速に進化している情報化社会の発展に貢献する」という経営理念を掲げています。また、「新たなITサービスの誕生と成長をネットワークインフラの側面から支え、社会の発展へ寄与します。」をミッションとしています。
■(2) 企業文化
同社は、効率的な人材育成と継続的な教育を重視しており、「ボードルアカレッジ」や「資格取得マラソン」といった独自の教育プログラムを通じて、社員の技術向上を奨励する文化があります。また、若手社員が多く、マンツーマンでの指導やコミュニケーションを通じてモチベーションを維持する風土が根付いています。
■(3) 経営計画・目標
同社グループは、企業価値と株主価値の向上を目指し、事業規模の拡大と収益性の向上を図っています。そのための客観的な経営指標として、「営業利益成長率」を重視しています。直近では55.2%の営業利益成長率を達成しており、継続的な成長を目指しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は、蓄積した技術ナレッジを活かし、エンタープライズ顧客への展開を強化することで売上・収益性の向上を目指しています。また、ワイヤレス、ロードバランサー、SDN、クラウド、セキュリティなどの「先端技術分野」に注力し、技術力の強化と積極的な受注活動を推進しています。
* 先端技術売上成長率:29.9%(2025年2月期)
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、人材の育成と継続的な教育を重要な経営戦略と位置づけています。独自の採用基準で親和性の高い人材を採用し、「ボードルアカレッジ」等のプログラムで早期に専門技術を習得させます。また、グループ会社間でナレッジを共有し、専門人材・高度専門人材の比率を高めることで競争力を強化する方針です。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年2月期 | 28.0歳 | 3.5年 | 4,090,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 男性育児休業取得率 | 69.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 91.0% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 91.0% |
| 男女賃金差異(非正規) | - |
※管理職に占める女性労働者の割合は、公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、CCNA資格(882名)、CCNP資格(388名)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 経営環境の変化
同社は日々進化するIT技術に迅速に対応し事業を拡大していますが、今後の技術革新への対応遅れや、景気低迷による顧客企業のIT投資減少が発生した場合、受注が減少し、グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。そのため、先端IT技術の取り込みに努めています。
■(2) IT投資環境リスク
顧客のIT投資動向は経済情勢の影響を受けやすく、日本経済が悪化した場合には投資が減少し、業績に悪影響を与える可能性があります。このリスクに対し、同社は先端技術分野の強化や、安定収益基盤となるストック型売上の確保を進めることで対応しています。
■(3) 競合他社による影響
同社は人材力強化や高付加価値サービスの提供により競争優位性を確保していますが、競合他社のサービス力向上や価格競争の激化により競争力が相対的に低下した場合、収益性の低下等を招き、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。品質および価格の維持向上に継続して取り組んでいます。



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