ボードルア 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ボードルア 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ボードルアは、東京証券取引所プライム市場に上場し、ITインフラストラクチャ分野に特化した事業を展開する企業です。ネットワークやサーバーの設計・構築から運用保守まで手掛け、専門性の高いサービスを提供しています。業績面では、需要拡大と事業規模の拡大により、順調な増収増益トレンドを維持しています。


※本記事は、株式会社ボードルア の有価証券報告書(第19期、自 2025年3月1日 至 2026年2月28日、2026年5月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は IFRS です。

1. ボードルアってどんな会社?


ITインフラストラクチャ分野に特化し、ネットワークやサーバーの設計・構築・保守運用を行う企業です。

(1) 会社概要


2007年の設立以来、ITインフラストラクチャ事業を中心に成長を続けています。2021年にマザーズ市場(現グロース市場)へ上場し、その後プライム市場へ移行しました。近年は複数のM&Aを積極的に実施し、ネットワークやテスト領域等の専門性を有する企業を子会社化することで、事業基盤の拡大を図っています。

従業員数は連結で3,704名、単体で1,315名です。筆頭株主は創業者であり代表取締役社長の冨永重寛氏で、第2位は同じく代表取締役の藤井和也氏です。第3位には資産管理業務を行う信託銀行が名を連ねており、経営陣が主要な株主として安定した事業運営を牽引する体制となっています。

氏名 持株比率
冨永重寛 39.03%
藤井和也 14.55%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 5.57%

(2) 経営陣


同社の役員は男性4名、女性2名の計6名で構成され、女性役員比率は33.0%です。代表取締役社長は冨永重寛氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
冨永重寛 代表取締役社長 2007年同社に入社し、同年より代表取締役社長。ウリドキの社外取締役を兼任し、現職。
藤井和也 代表取締役 2007年同社入社。2018年に代表取締役に就任し、経営管理本部長などを歴任して現職。
程島義明 取締役営業統括本部長 2007年同社入社。2019年に取締役就任。第一営業統括本部長として現職。


社外取締役は、岡本俊夫(元エムシー・ファーティコム専務執行役員)、矢上浄子(アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー)、瀬尾安奈(公認会計士瀬尾安奈事務所設立)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ITインフラストラクチャ」事業を展開しています。

ITインフラストラクチャ事業


同社は、企業がITシステムを利用するために不可欠なサーバー、ネットワーク、セキュリティなどのITインフラ環境を構築・支援しています。主に事業会社や通信事業者、官公庁などの幅広い顧客に対し、課題のヒアリングから要件定義、設計、仮想化やクラウド環境での構築、その後の保守運用までを一貫して提供しています。

収益源は、マルチベンダー環境下での構築支援やマネージドサービス等の役務提供に対する対価です。近年は専門性の高いエンタープライズ顧客との取引を拡大しています。運営は主にボードルアが行い、テスト検証のFunClock、ネットワーク分野のアクティアスなどの子会社とともにグループ全体で事業を展開しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近3期の連結業績は、売上収益が73億円から174億円へと大きく成長しています。また、税引前利益も16億円から34億円へと増加し、順調な増収増益トレンドを描いています。利益率は約20%前後と高い水準を維持しており、専門性の高い技術提供とエンタープライズ顧客の深耕が奏功していることが窺えます。

項目 2024年2月期 2025年2月期 2026年2月期
売上収益 73億円 116億円 174億円
税引前利益 16億円 25億円 34億円
利益率(%) 21.5% 21.1% 19.4%
当期利益(親会社所有者帰属) 12億円 18億円 25億円

(2) 損益計算書


売上高が順調に拡大する中で、売上総利益および営業利益も着実に増加しています。積極的な人材採用などの投資を行いつつも、利益率は安定した水準で推移しており、成長と収益性の両立が図られています。

項目 2025年2月期 2026年2月期
売上高 116億円 174億円
売上総利益 29億円 35億円
売上総利益率(%) 25.3% 19.9%
営業利益 25億円 34億円
営業利益率(%) 21.1% 19.5%


販売費及び一般管理費のうち、求人採用費が3億円(構成比11.9%)、給料手当が2億円(同8.7%)を占めています。

(3) セグメント収益


同社はITインフラストラクチャ事業の単一セグメントであるため、全体の収益状況を記載します。既存顧客の案件規模の拡大や新規顧客の獲得が進んだことに加え、積極的なM&Aによる連結子会社の増加が寄与し、大幅な増収増益を達成しました。

区分 売上(2025年2月期) 売上(2026年2月期) 利益(2025年2月期) 利益(2026年2月期) 利益率
ITインフラストラクチャ事業 116億円 174億円 25億円 34億円 19.5%
連結(合計) 116億円 174億円 25億円 34億円 19.5%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFがプラス、投資CFがマイナス、財務CFがマイナスとなっており、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業である健全型を示しています。

項目 2025年2月期 2026年2月期
営業CF 19億円 29億円
投資CF 3億円 -14億円
財務CF -30億円 -6億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は40.0%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は66.3%であり、いずれも市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「ネットワークインフラ技術分野におけるフロントランナーとして、弛まぬ技術革新を推し進め、急速に進化している情報化社会の発展に貢献する」という経営理念を掲げています。また、「新たなITサービスの誕生と成長をネットワークインフラの側面から支え、社会の発展へ寄与します。」をミッションとし、ステークホルダーへの社会的責任を果たしつつ社会貢献を目指すことを基本方針としています。

(2) 企業文化


同社は「個のチカラの向上」に加え、「チームワークの向上」と「カルチャー共感」を網羅的に実感し、「ボードルアDNA」を持つ人材を創出することを重視しています。社員一人ひとりが自己研鑽に自主的に取り組むよう、イベントやきめ細かなコミュニケーションを通じたフォローアップを行い、モチベーションを維持する仕組みを構築しています。

(3) 経営計画・目標


同社は、企業価値を向上させ株主価値を高めることを重要課題と位置づけています。そのため、専門性を高めることによる事業規模の拡大と収益性の向上を通じて、継続的な成長を目指しています。客観的な経営指標としては「営業利益成長率」を重視し、激しく変化するIT市場においても持続的な業績拡大を実現することを目標としています。

(4) 成長戦略と重点施策


技術ナレッジをエンタープライズ顧客へ大きく展開し、技術力だけでなく営業力の強化に努める方針です。また、強固な内部管理体制の構築によるコーポレート・ガバナンス体制の強化や、若手社員に向けた効率的な人材育成を進め、専門人材の比率拡大を通じた競争力強化を重点施策としています。さらに、M&A戦略による子会社へのナレッジ共有を通じてグループ一体となった事業基盤の強化を目指しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は創業以来、一貫して未経験者の採用および育成に注力しており、ITインフラストラクチャ分野に特化した独自の教育ナレッジを蓄積しています。効率的な人材育成と継続的な教育を重要な経営戦略と位置づけ、「資格取得マラソン」や「ボードルアカレッジ」などの研修プログラムを充実させています。これにより、経験者採用に依存せず、未経験者の早期戦力化を通じて安定的な人材確保を実現しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年2月期 28.0歳 3.3年 4,132,000円


※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
男性労働者の育児休業取得率 78.3%
労働者の男女の賃金の差異(全労働者) 92.6%
労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) 92.6%


※同社は管理職に占める女性労働者の割合について、公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、育休取得者人数(女性)(17人)、育休取得者人数(男性)(20人)、IT教育プログラム受講者数(562人)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 経営環境の変化やIT投資の減少


日々進化するIT技術に迅速に対応することで事業を拡大していますが、技術革新への対応が遅れた場合や、景気低迷により顧客のIT投資が減少した場合には、受注の減少を通じて業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 競合他社との競争激化


同社グループは専門性の高いサービスの提供により競争優位性の確保に努めています。しかし、競合他社のサービス向上や価格競争が激化し、相対的な競争力が低下した場合には、収益性の低下につながり、事業活動に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 優秀な人材の確保と育成


事業規模の拡大には優秀なITエンジニアの確保・育成が不可欠であり、未経験者採用と独自の教育体制により人材の定着を進めています。しかし、採用計画が想定通りに進まない場合や大量離職が発生した場合には、事業成長に制約が生じるリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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