日本テレビホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

日本テレビホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所プライム市場に上場する日本テレビホールディングスは、地上波テレビ放送を中核とするコンテンツ・メディア事業のほか、スポーツクラブ等のウェルネス事業、不動産関連事業を展開しています。直近の業績は、スポット収入やデジタル広告収入の好調により増収となり、営業利益も増益を達成しています。


※本記事は、日本テレビホールディングス株式会社の有価証券報告書(第93期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 日本テレビホールディングスってどんな会社?


地上波テレビ放送を中核とし、スポーツクラブの運営や不動産事業など多角的な事業を展開しています。

(1) 会社概要


1952年に設立し、翌年日本初のテレビ本放送を開始しました。1959年に東京証券取引所へ上場し、2012年に認定放送持株会社体制へ移行して現在の社名に変更しました。その後、2014年にティップネスを子会社化してウェルネス事業に本格参入し、動画配信等の各種事業も傘下に収め事業領域を拡大しています。

従業員数は連結で5,933名、単体で235名です。筆頭株主は読売新聞グループ本社で、第2位および第3位は資産管理業務を行う信託銀行です。

氏名 持株比率
読売新聞グループ本社 14.76%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 9.04%
STATE STREET BANK AND TRUSTCOMPANY 505001(常任代理人 みずほ銀行決済営業部) 8.45%

(2) 経営陣


同社の役員は男性13名、女性1名の計14名で構成され、女性役員比率は7.1%です。代表取締役社長執行役員は福田博之が務めています。社外取締役比率は42.9%です。

氏名 役職 主な経歴
福田博之 代表取締役社長執行役員 1985年入社。日本テレビ放送網取締役常務執行役員、スタジオジブリ代表取締役社長等を経て、2025年1月より現職。
山口寿一 代表取締役取締役会議長 読売新聞グループ本社代表取締役社長等を経て、2022年6月より現職。
杉山美邦 代表取締役会長執行役員 よみうりランド代表取締役社長等を経て、2022年6月より現職。
石澤顕 取締役副会長 1980年入社。同社代表取締役社長執行役員等を経て、2025年1月より現職。


社外取締役は、佐藤謙(元防衛事務次官)、垣添忠生(元国立がんセンター総長)、真砂靖(弁護士)、勝栄二郎(元財務事務次官)、菰田正信(三井不動産代表取締役会長)、諏訪貴子(ダイヤ精機代表取締役社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「コンテンツ・メディア事業」、「ウェルネス事業」、「不動産関連事業」および「その他」事業を展開しています。

コンテンツ・メディア事業


テレビ番組の企画制作や無料・有料放送、動画配信、映画・イベントの企画運営、キャラクターグッズの販売など幅広いメディア関連事業を展開しています。広告主である企業や、コンテンツを楽しむ一般視聴者が主な顧客となります。

広告主からのテレビ広告枠の販売収入や、事業者および会員からのコンテンツ利用料、イベントのチケット販売などを主な収益源としています。事業の運営は主に日本テレビ放送網やBS日本などの子会社が行っています。

ウェルネス事業


スポーツクラブの運営やウェルネスイベントの企画などを通じて、健康増進サービスを提供しています。主に健康志向を持つ一般消費者が顧客となります。

スポーツクラブの会員から得られる施設利用料や月会費を主な収益源としています。事業の運営は主に子会社のティップネスが行っています。

不動産関連事業


保有するオフィスビルや商業施設などの不動産を活用した賃貸事業やビルマネジメント業務を提供しています。テナントとして入居する法人が主な顧客となります。

テナント企業からのオフィス・商業テナント賃貸料や土地の賃貸料を主な収益源としています。運営は同社や日本テレビ放送網などのグループ会社が行っています。

その他


人材派遣や人材教育事業などを展開しています。主にグループ内外の企業が顧客となります。

企業からの人材派遣料や教育サービス提供の対価を収益源としています。運営は非連結子会社や関連会社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の売上高は4,064億円から4,844億円へと拡大を続けています。経常利益は2024年3月期まで減少傾向にありましたが、その後回復し、2026年3月期には821億円へと大幅に増加しました。利益率も16.9%と高水準を記録しており、収益力の向上が見られます。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 4,064億円 4,140億円 4,235億円 4,619億円 4,844億円
経常利益 648億円 518億円 495億円 657億円 821億円
利益率(%) 16.0% 12.5% 11.7% 14.2% 16.9%
当期利益(親会社所有者帰属) 40億円 78億円 5億円 71億円 69億円

(2) 損益計算書


売上高は前年比で約225億円増加し、売上総利益も拡大しています。売上総利益率および営業利益率ともに改善しており、本業の収益性が高まっていることがわかります。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 4,619億円 4,844億円
売上総利益 1,630億円 1,809億円
売上総利益率(%) 35.3% 37.3%
営業利益 549億円 693億円
営業利益率(%) 11.9% 14.3%


販売費及び一般管理費のうち、代理店手数料が450億円(構成比40.4%)、人件費が232億円(同20.8%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力のコンテンツ・メディア事業が売上高の大部分を占め、前年比で堅調に成長しています。ウェルネス事業も微増で推移しており、不動産関連事業は安定した売上を維持しています。主力事業の拡大が全体の増収を牽引しました。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
コンテンツ・メディア事業 4,309億円 4,527億円
ウェルネス事業 264億円 272億円
不動産関連事業 46億円 46億円
連結(合計) 4,619億円 4,844億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は5.8%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は77.6%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「正確で速やかな報道、良質なコンテンツの提供と、多彩な文化の創造により、人々の生活を豊かなものにする。」という経営理念を掲げています。また、「コンテンツの力で、“世界”を変える。(Change the 'World' Through the Power of Content)」という経営ビジョンのもと、よりよい未来が拡がる世界に向けてコンテンツを創造し届けることを目指しています。

(2) 企業文化


同社グループは、「感動×信頼のNo.1企業」を目指し、多様なバックグラウンドを持つ人材が心身ともに健康かつクリエイティブに活動できる職場環境を重視しています。「サステナビリティポリシー」を策定し、地球環境への貢献や多様な人材の活躍と共生といった価値観を全社で共有し、持続可能な社会の実現に取り組む文化が醸成されています。

(3) 経営計画・目標


同社は長期目標として、2033年度に連結売上高7,000億円(うち海外売上高1,000億円)、連結営業利益700億円を目指しています。また、中期経営計画2025-2027の最終年度である2027年度の目標として以下の数値を設定しています。

* 連結売上高 5,400億円
* 連結営業利益 580億円
* コンテンツビジネス 1,870億円
* ウェルネス事業 400億円

(4) 成長戦略と重点施策


今後の成長戦略として、「日テレ、開国! Gear up, go global」をスローガンに、海外市場を強く意識したグローバルコンテンツ企業への変革を推進します。IP(知的財産)創出にこだわったコンテンツビジネスの展開や、AIを活用した企画開発の効率化に注力します。また、1,000億円の成長投資枠を設定し、ウェルネス事業の拡大や新規事業開発を加速させて収益基盤の強化を図ります。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は「感動×信頼のNo.1企業」を目指し、多様な人材の確保と育成に注力しています。キャリア自律を促す修学サポート制度や社内留学制度を導入し、個人のスキルアップを支援しています。また、デジタル系人材やコーポレート人材の採用を強化する一方、法定を上回る休業制度やテレワークの活用により、誰もが働きやすい職場環境の整備を進めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 48.6歳 17.0年 13,983,167円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 18.8%
男性育児休業取得率 93.0%
男女賃金差異(全労働者) 83.2%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 81.9%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 108.9%


また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、産休・育休復帰率(100%)、総合職社員の有給休暇取得率(45.4%)、定期健診受診率(100%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) コンテンツの視聴動向と制作コストの高騰


人口減少やインターネットメディアの普及によりテレビ視聴環境が変化しており、地上波の視聴率低下が広告収入の減少につながるリスクがあります。また、スポーツイベントの放映権料や配信許諾ライセンスの高騰、さらに新技術の導入や人材確保に伴う制作コストの増加が、同社グループの収益性や財務状況に影響を与える可能性があります。

(2) 地上波テレビ放送の媒体価値と収益性


主力のコンテンツ・メディア事業は地上波テレビ広告収入に大きく依存しています。メディアの多様化やデジタル広告へのシフトが進む中、マスメディアとしての優位性や広告価値を維持・向上させることが課題です。マクロ経済の動向や広告市場の縮小により広告収入が大幅に減少し、新たな収益源を確保できない場合、経営に重大な影響を及ぼす恐れがあります。

(3) ウェルネス事業の競争環境


ウェルネス事業においては、総合型スポーツクラブから特化型ジムへの利用者ニーズの移行や、小規模事業者の新規参入により競争が激化しています。同業他社との競合や価格競争により会員数を計画通り確保できない場合や、コロナ禍以降の会員数回復が遅れる場合には、不採算店舗の閉鎖や減損損失が発生し、同社グループの業績に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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