日本テレビホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

日本テレビホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

同社は東京証券取引所プライム市場に上場し、テレビ放送や動画配信等のメディア・コンテンツ事業を中核に、スポーツクラブ運営や不動産事業も展開する認定放送持株会社です。2025年3月期は、スポット広告収入やコンテンツ販売等の好調により、売上高4,619億円、経常利益657億円の増収増益となりました。


※本記事は、日本テレビホールディングス株式会社 の有価証券報告書(第92期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 日本テレビホールディングスってどんな会社?


放送事業を祖業とし、Huluやスタジオジブリを傘下に持つ総合コンテンツ企業グループです。

(1) 会社概要


1952年に日本初のテレビ放送免許を獲得し会社を設立、翌年に本放送を開始しました。2012年に認定放送持株会社体制へ移行し、現在の商号に変更しました。2014年にはHuluの日本事業承継やティップネスの子会社化を行い、事業領域を拡大しています。2023年にはスタジオジブリを子会社化し、コンテンツ力の強化を図っています。

2025年3月31日現在、グループ全体の従業員数は5,771名(単体227名)です。筆頭株主は株式会社読売新聞グループ本社で、第2位は資産管理業務を行う信託銀行、第3位は持分法適用関連会社でもある読売テレビ放送株式会社です。読売新聞グループとは人的・資本的に深い関係にあります。

氏名 持株比率
読売新聞グループ本社 14.61%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 9.19%
読売テレビ放送 6.65%

(2) 経営陣


同社の役員は男性13名、女性1名の計14名で構成され、女性役員比率は7.1%です。代表取締役会長執行役員は杉山美邦氏、代表取締役社長執行役員は福田博之氏です。社外取締役比率は60.0%です。

氏名 役職 主な経歴
福田 博之 代表取締役社長執行役員 1985年入社。日本テレビ放送網取締役副社長執行役員等を経て、2023年スタジオジブリ代表取締役社長に就任。2025年1月より現職。
杉山 美邦 代表取締役会長執行役員 2017年読売新聞グループ本社取締役、よみうりランド代表取締役社長。2020年同社代表取締役社長を経て、2022年6月より現職。
山口 寿一 代表取締役取締役会議長 2016年読売新聞グループ本社代表取締役社長。2018年読売巨人軍取締役オーナー。2022年6月より現職。
石澤 顕 取締役副会長 1980年入社。2022年同社代表取締役社長執行役員等を経て、2025年1月より現職。


社外取締役は、佐藤謙(元防衛事務次官)、垣添忠生(元国立がんセンター総長)、真砂靖(元財務事務次官)、勝栄二郎(元財務事務次官)、菰田正信(三井不動産代表取締役会長)、諏訪貴子(ダイヤ精機代表取締役社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「メディア・コンテンツ事業」、「生活・健康関連事業」、「不動産関連事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) メディア・コンテンツ事業


テレビ番組の企画制作・放送、動画配信(Hulu、TVer等)、映画製作、イベント開催、アニメ制作、グッズ販売等を行っています。スタジオジブリ作品やアンパンマンこどもミュージアムの運営も含まれます。

広告主からの広告料、視聴者からの有料動画配信視聴料、興行収入、商品販売収入等が主な収益源です。運営は日本テレビ放送網株式会社、株式会社BS日本、HJホールディングス株式会社、株式会社スタジオジブリ等が担っています。

(2) 生活・健康関連事業


総合スポーツクラブ「ティップネス」や24時間営業のトレーニングジム「FASTGYM24」等の運営を行っています。

収益源は、主にスポーツクラブ会員からの会費収入や法人会員利用料などです。運営は主に株式会社ティップネスが行っています。

(3) 不動産関連事業


オフィス・商業テナントおよび土地の賃貸、ビルマネジメント、太陽光発電事業等を行っています。

収益源は、テナントからの賃貸料や管理手数料、売電収入等です。運営は同社、日本テレビ放送網株式会社、株式会社日テレリアルエステート等が行っています。

(4) その他


人材派遣、エネルギー供給事業等を行っています。

各サービスの提供先からの利用料等が収益源となります。運営はグループ内の関連会社等が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


2021年3月期から2025年3月期までの5期間において、売上高は着実な増加傾向にあります。2025年3月期は過去最高の売上高を記録しました。利益面では、2021年3月期から2022年3月期にかけて大きく回復し、その後は安定的に推移していましたが、2025年3月期に大幅な増益を達成しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 3,913億円 4,064億円 4,140億円 4,235億円 4,619億円
経常利益 429億円 648億円 518億円 495億円 657億円
利益率(%) 11.0% 16.0% 12.5% 11.7% 14.2%
当期利益(親会社所有者帰属) 240億円 474億円 341億円 347億円 460億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で増加し、売上総利益率も改善しています。これに伴い、営業利益および営業利益率は大きく向上しました。コストコントロールや高収益事業の伸長が寄与していると考えられます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 4,235億円 4,619億円
売上総利益 1,419億円 1,630億円
売上総利益率(%) 33.5% 35.3%
営業利益 419億円 549億円
営業利益率(%) 9.9% 11.9%


販売費及び一般管理費のうち、代理店手数料が427億円(構成比40%)、その他費用が423億円(同39%)、人件費が226億円(同21%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力のメディア・コンテンツ事業は、スポット広告やデジタル広告、コンテンツ販売等の好調により増収増益となり、全社の業績を牽引しました。生活・健康関連事業は増収ながら減益となりました。不動産関連事業は安定的に推移し、増収増益を達成しました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
メディア・コンテンツ事業 3,927億円 4,309億円 385億円 522億円 12.1%
生活・健康関連事業 263億円 264億円 5億円 2億円 0.7%
不動産関連事業 44億円 46億円 43億円 44億円 97.2%
調整額 - - -15億円 -19億円 -
連結(合計) 4,235億円 4,619億円 419億円 549億円 11.9%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社のキャッシュ・フローは「健全型」です。本業で稼いだ資金で投資や借入返済を行っており、財務的に安定した状態と言えます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 447億円 479億円
投資CF 75億円 -264億円
財務CF -150億円 -161億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は4.9%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は77.9%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「正確で速やかな報道、良質なコンテンツの提供と、多彩な文化の創造により、人々の生活を豊かなものにする。」という経営理念を掲げています。また、10年後にありたい姿としての経営ビジョンとして「コンテンツの力で、“世界”を変える。」を定めています。

(2) 企業文化


同グループは「感動×信頼のNo.1企業」を目指しています。サステナビリティポリシーを策定し、「24時間テレビ」や「Good For the Planet」等の取り組みを通じて、グループの価値観を共有しながら社会的責任を果たすことを重視しています。

(3) 経営計画・目標


2025年度から2027年度を期間とする中期経営計画「中期経営計画2025-2027」を策定しています。2027年度の数値目標に加え、長期目標として2033年度の目標も設定しています。

* 2027年度連結売上高:5,400億円
* 2027年度連結営業利益:580億円
* 2033年度連結売上高:7,000億円(うち海外売上高1,000億円)
* 2033年度連結営業利益:700億円

(4) 成長戦略と重点施策


「日テレ、開国! Gear up, go global」をスローガンに、グローバルコンテンツ企業への変革を推進します。具体的には、海外市場を意識した制作体制の構築、オリジナルIP(知的財産)の創出強化、AI・テクノロジーの活用、ウェルネス事業の拡大に加え、1,000億円の成長投資枠を設定し戦略的な投資を行います。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「感動体験を創造する人財の獲得・育成」、「健康経営の推進」、「多様な人材の活躍・共生」を戦略の柱としています。クリエイター人材に加え、DX推進を担うデジタル人材やビジネスプロデューサーを積極的に採用・育成し、社員の自律的なキャリア形成や専門性向上を支援する人事制度を導入しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 48.7歳 17.4年 13,903,413円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 17.8%
男性育児休業取得率 82.0%
男女賃金差異(全労働者) 82.1%
男女賃金差異(正規雇用) 80.6%
男女賃金差異(非正規雇用) 111.3%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、定期健診受診率(100%)、総合職社員(管理職資格者含む)有給休暇取得率(44.4%)、職種別社員有給休暇取得率(58.9%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 地上波テレビ放送の媒体価値と収益性


メディアの多様化やデジタル広告市場の拡大により、地上波テレビ放送事業の環境は厳しさを増しています。視聴率や広告価値の維持・向上が課題であり、広告収入が大幅に縮小し、それを補う非放送収入を創出できない場合、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 放送権・配信許諾等ライセンスの高騰


オリンピック等の大型スポーツイベントの放映権料や、動画配信向けのコンテンツライセンス料が高騰しています。これに対し見合う収益を確保できない場合、採算が悪化し、経営成績に影響を与える可能性があります。

(3) コンテンツ制作とIP構築


メディア多様化に対応するためIP(知的財産)の構築が重要ですが、これには時間と費用がかかります。想定通りにIP構築が進まない場合や、制作費・人件費の高騰、著作権処理の問題が生じた場合、収益性の低下や損害賠償請求等により経営成績に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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