#記事タイトル:土屋ホールディングス転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態
※本記事は、株式会社土屋ホールディングス の有価証券報告書(第50期、自 2024年11月1日 至 2025年10月31日、2026年1月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 土屋ホールディングスってどんな会社?
北海道を地盤に、注文住宅の施工・販売やリフォーム、不動産仲介などを展開する住生活総合企業グループです。
■(1) 会社概要
同社は1976年に札幌市で設立され、創業以来、北海道の気候風土に適した住宅事業を展開してきました。1996年には株式を上場し、社会的信用を高めています。2008年には持株会社体制へ移行し、現在の商号へ変更しました。2025年には積水ハウスと資本業務提携契約を締結し、新たな成長フェーズに入っています。
同社グループは連結従業員数679名、単体22名の体制で運営されています。筆頭株主および第2位株主は、同社代表取締役社長が代表を務める関連企業であり、第3位には従業員持株会が入っています。創業家および従業員が主要な株式を保有する安定した株主構成です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 土屋総合研究所 | 13.34% |
| 土屋経営 | 10.74% |
| 土屋グループ従業員持株会 | 7.04% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性9名、女性2名の計11名で構成され、女性役員比率は18.2%です。代表取締役社長は土屋昌三氏が務めています。社外取締役比率は36.4%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 土屋 昌三 | 代表取締役社長 | 1999年土屋ホーム青森入社。取締役、専務等を経て2008年より現職。土屋経営および土屋総合研究所の代表取締役社長も兼任。 |
| 大吉 智浩 | 代表取締役副社長 | 1993年ホームトピア入社。土屋ホームトピア社長、同社専務等を経て2017年より現職。土屋ホーム代表取締役副社長も兼任。 |
| 菊地 英也 | 取締役 | 1983年入社。管理部門統括部長、常務等を歴任。2008年より土屋ホームトピア代表取締役社長を務め、2018年より現職。 |
| 所 哲三 | 取締役 | 1985年入社。不動産部門統括部長等を経て2018年より現職。土屋ホーム不動産および土屋ホーム不動産販売の社長を兼任。 |
| 山川 浩司 | 取締役 | 1994年入社。土屋ホーム執行役員、取締役等を経て2018年より現職。2025年より土屋ホーム取締役社長を兼任。 |
| 上諏訪 広 | 取締役 | 2014年入社。財務企画部長を経て、2021年より経営企画部長を務める。2024年より現職。 |
| 加地 祐美 | 取締役(常勤監査等委員) | 2002年入社。土屋ホーム室蘭支店長、同社内部監査室長等を経て2024年より現職。 |
社外取締役は、手塚純一(ジェイ建築システム代表取締役)、中田美知子(元エフエム北海道常務取締役)、荒木俊和(弁護士)、末永仁宏(公認会計士・税理士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「住宅事業」「リフォーム事業」「不動産事業」「賃貸事業」の4つの報告セグメントで事業を展開しています。
■(1) 住宅事業
注文住宅の設計・施工、および提案住宅(分譲住宅)の販売を行っています。また、賃貸住宅の建築請負や施工監理も手掛けています。主な顧客は住宅取得を検討する個人客や土地活用を行うオーナーです。
工事請負契約に基づき顧客から請負代金を受け取るほか、提案住宅の販売代金が収益源となります。運営は主に株式会社土屋ホームが行っています。
■(2) リフォーム事業
戸建住宅やマンションのリフォーム工事全般を請け負っています。断熱改修などの性能向上リフォームや、ライフスタイルの変化に合わせた増改築などを提案・施工しています。
リフォーム工事請負契約に基づき、顧客から工事代金を受け取ることが収益源です。運営は主に株式会社土屋ホームトピアが行っています。
■(3) 不動産事業
分譲マンションの開発・販売、中古住宅や住宅用土地の売買・仲介を行っています。また、分譲住宅の施工販売も手掛けています。
不動産の売買代金や仲介手数料が主な収益源です。運営は主に株式会社土屋ホーム不動産が行っており、分譲住宅の施工販売については株式会社土屋ホーム不動産販売も担っています。
■(4) 賃貸事業
保有する不動産の賃貸業務を行っています。また、再生可能エネルギーによる発電事業も展開し、電力会社への売電を行っています。
不動産の賃借人からの賃料収入や、電力会社からの売電収入が収益源となります。運営は主に同社(土屋ホールディングス)が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は310億円から340億円前後で推移してきましたが、当期は減収となりました。利益面では、前期までは黒字を維持していたものの、当期は経常損失および当期純損失を計上し、赤字に転落しています。
| 項目 | 2021年10月期 | 2022年10月期 | 2023年10月期 | 2024年10月期 | 2025年10月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 311億円 | 347億円 | 344億円 | 333億円 | 315億円 |
| 経常利益 | 6.5億円 | 2.3億円 | 4.3億円 | 1.9億円 | -1.0億円 |
| 利益率(%) | 2.1% | 0.7% | 1.2% | 0.6% | -0.3% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 4.8億円 | 2.3億円 | 2.3億円 | 7.6億円 | -0.9億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期比で減少しました。売上原価の減少幅よりも売上高の減少幅が大きく、売上総利益率は低下しています。販売費及び一般管理費は減少したものの、売上総利益の減少をカバーしきれず、営業損失を計上しました。
| 項目 | 2024年10月期 | 2025年10月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 333億円 | 315億円 |
| 売上総利益 | 87億円 | 81億円 |
| 売上総利益率(%) | 26.1% | 25.8% |
| 営業利益 | 1.5億円 | -1.2億円 |
| 営業利益率(%) | 0.5% | -0.4% |
販売費及び一般管理費のうち、従業員給料手当が32億円(構成比38%)、賃借料が8億円(同9%)を占めています。売上原価に関しては詳細な内訳データがありません。
■(3) セグメント収益
当期は全てのセグメントで減収または横ばいとなりました。特に主力の住宅事業は建築確認審査の長期化等の影響で減収となり、営業損失が拡大しました。不動産事業は黒字を確保しましたが減益となり、リフォーム事業は赤字に転落しました。
| 区分 | 売上(2024年10月期) | 売上(2025年10月期) | 利益(2024年10月期) | 利益(2025年10月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 住宅事業 | 200億円 | 184億円 | -2.3億円 | -3.0億円 | -1.6% |
| リフォーム事業 | 40億円 | 39億円 | 0.2億円 | -0.3億円 | -0.6% |
| 不動産事業 | 89億円 | 87億円 | 5.7億円 | 4.2億円 | 4.8% |
| 賃貸事業 | 4.0億円 | 3.9億円 | 1.0億円 | 0.9億円 | 23.9% |
| その他 | - | - | - | - | - |
| 調整額 | -5.4億円 | -5.4億円 | -3.0億円 | -3.1億円 | - |
| 連結(合計) | 333億円 | 315億円 | 1.5億円 | -1.2億円 | -0.4% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
土屋ホールディングスは、仕入債務の増加により営業活動で資金を獲得しましたが、投資活動では主に有形固定資産の取得により資金を使用しました。また、財務活動では長期借入金の返済や配当金の支払いにより資金が使用されました。
| 項目 | 2024年10月期 | 2025年10月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 32億円 | 13億円 |
| 投資CF | -5.3億円 | -21億円 |
| 財務CF | 8.2億円 | -10億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「住宅産業を通じて、お客様、社会、会社という『三つの人の公』の為に、物質的・精神的・健康的な豊かさの人生を創造する」ことを企業使命感として掲げています。この使命感に基づき、お客様第一主義を基本理念とし、高断熱・高気密・高耐久で環境に配慮した住宅の提供に取り組んでいます。
■(2) 企業文化
同社グループは、創業以来の方針を「企業の哲理」として遵守し、継続して実践する文化を持っています。また、法令遵守と使命感経営を全てに優先する企業風土の醸成に努めています。「三つの人の公」という価値観のもと、顧客だけでなく社会や社員の豊かさも追求する姿勢を重視しています。
■(3) 経営計画・目標
同社グループは、中期経営計画(2026年10月期~2028年10月期)を策定しています。当初の計画最終年度を1年延長し、2028年10月期において以下の定量的目標の達成を目指しています。
* 売上高400億円
* 営業利益16億円
* ROE8.0%
■(4) 成長戦略と重点施策
「積水ハウスとのアライアンスを基軸に道内トップへ復活」をビジョンに掲げ、同社との資本業務提携を通じてコアテクノロジーの共創を推進します。耐震性能に優れた「DJ(ダイレクトジョイント)構法」の本格展開を加速させるとともに、東北エリアでは共同建築事業を拡大し、第2の本拠地基盤の構築を目指します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「企業は人なり」の考えのもと、人財育成と後継者育成を重視しています。独自の人材育成プログラム「3KM(スリーケーエム)」を導入し、個人・家庭・会社の目標を一体化させて具現化することを目指しています。また、多様な人材の活躍を支援し、労働環境の整備や公正な評価制度の運用に努めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年10月期 | 43.3歳 | 15.2年 | 6,072,938円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 10.4% |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 男女賃金差異(全労働者) | 50.0% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 70.1% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 39.1% |
※男性労働者の育児休業取得率については、同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 法的規制について
建築基準法や宅地建物取引業法などの法的規制を受けており、これらの改廃や新たな規制の導入、あるいは免許・登録の取消等が事業活動や業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 感染症による影響
新たな感染症の発生・拡大により、受注の大幅な減少や工事の進捗遅延が発生した場合、業績や財政状態に影響を与える可能性があります。
■(3) 政府の政策や市場状況
住宅事業は個人顧客の動向に依存しており、消費税や金利、政府の住宅政策、景気動向の影響を受けやすく、これらにより受注や売上が減少する可能性があります。
■(4) 原材料及び資材価格の変動
木材等の主要資材価格が為替変動等により急激に上昇し、それを販売価格に転嫁できない場合、業績や財政状態に悪影響を与える可能性があります。



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