カナモト 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

カナモト 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

カナモトは東証プライム・札証上場企業です。建設機械のレンタル・販売を主力事業とし、鉄鋼・情報機器・福祉関連事業も展開しています。2025年10月期の連結業績は、公共投資や民間設備投資の堅調な推移を背景に、売上高は2,133億円で増収、経常利益も180億円と大幅な増益を達成しました。


※本記事は、株式会社カナモト の有価証券報告書(第61期、自 2024年11月1日 至 2025年10月31日、2026年1月21日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. カナモトってどんな会社?


建設機械レンタルの大手として、国内外で建機レンタル・販売事業を中核に展開する企業です。

(1) 会社概要


1964年に北海道室蘭市で設立され、建機レンタルを開始しました。1991年に札幌証券取引所、1996年に東京証券取引所市場第二部へ上場し、1998年には同市場第一部銘柄に指定されました。2015年以降はインドネシア、ベトナム、タイ、中国などに現地法人を設立し、海外展開を加速させています。

連結従業員数は3,933名、単体では2,001名です。筆頭株主は資産管理業務を行う信託銀行で、第2位も同様に信託銀行です。第3位は外国法人等となっています。その他、同業他社との取引関係等によりオリックスなども大株主に名を連ねています。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 10.72%
日本カストディ銀行(信託口) 6.37%
STATE STREET BANK AND TRUST COMPANY 505223 3.37%

(2) 経営陣


同社の役員は男性16名、女性2名の計18名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は金本哲男氏が務めています。社外取締役比率は27.8%です。

氏名 役職 主な経歴
金本 哲男 代表取締役社長(社長執行役員)営業統括本部長 1983年入社。レンタル事業部長、営業統括本部長等を経て、2016年より現職。ユナイト代表取締役会長等を兼任。
金本 寛中 代表取締役会長 1973年入社。1998年代表取締役社長に就任。2016年より現職。カナモト(中国)投資有限公司董事長を兼任。
金本 龍男 取締役(執行役員)鉄鋼事業部管掌 1994年入社。レンタル事業部北海道地区担当部長、鉄鋼事業部長等を経て、2016年より現職。
橋口 和典 取締役(執行役員)人事部長兼事業開発室長 元三菱東京UFJ銀行東京公務部長。2012年入社。情報機器事業部長等を経て、2018年より現職。
三野宮 朗 取締役(執行役員)業務部長兼特販部長 1988年入社。レンタル事業部九州地区統括部長等を経て、2021年取締役就任。カナテック代表取締役社長を兼任。
渡部 純 取締役(執行役員)レンタル事業部長兼レンタル事業部特需営業部長兼ニュープロダクツ室長 1990年入社。KGフローテクノ代表取締役社長等を経て、2021年取締役就任。2023年よりレンタル事業部長。
廣瀨 俊 取締役(執行役員)経理部長兼広報室長兼事務センター管掌 元みずほ銀行中国営業推進部長。2018年入社。総務部長等を経て、2021年より現職。
山下 英明 取締役(執行役員)海外事業部長 元三菱東京UFJ銀行赤坂支社長。2018年入社。2019年海外事業部長就任、2021年より現職。


社外取締役は、有田英司(オリックスAPAC事業部門法人営業本部長)、米川元樹(社会医療法人北楡会理事長)、田端綾子(ラベンダー法律事務所所長)、大川哲也(弁護士法人橋本・大川合同法律事務所代表社員)、澁谷直美(オリックスグループ執行役員)です。

2. 事業内容


同社グループは、「建設関連」および「その他」事業を展開しています。

(1) 建設関連


建設用機械および建設用仮設資材等のレンタル・販売を行っています。主な顧客は国内の建設業界で、国土強靱化やインフラ整備、都市再開発などの工事現場へ機材を提供しています。

収益は主にレンタル用資産の賃貸料および販売代金です。運営は主にカナモトが行い、グループ会社のカンキ、セントラル、ニシケン、ユナイトなどが各地域や専門分野で事業を展開しています。海外では中国、オーストラリア等の現地法人が事業を担っています。

(2) その他


鉄鋼関連事業、情報機器関連事業、福祉関連事業などを行っています。鉄鋼関連では建築用資材の販売、情報機器関連ではコンピュータ等のレンタル・販売、福祉関連では介護用品のレンタル・販売を手掛けています。

収益は各製品の販売代金やレンタル料です。鉄鋼および情報機器事業は主にカナモトが運営し、福祉関連事業はニシケンやケアウェル安心がサービスを提供しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は着実に増加傾向にあります。経常利益は一時的な変動が見られるものの、直近では増益基調にあり、利益率も改善傾向を示しています。当期純利益も順調に推移しており、全体として安定した成長を続けています。

項目 2021年10月期 2022年10月期 2023年10月期 2024年10月期 2025年10月期
売上高 1,894億円 1,880億円 1,975億円 2,072億円 2,133億円
経常利益 154億円 138億円 125億円 152億円 180億円
利益率(%) 8.1% 7.3% 6.3% 7.3% 8.4%
当期利益(親会社所有者帰属) 54億円 50億円 36億円 64億円 81億円

(2) 損益計算書


直近2期間の損益構成を見ると、売上高の増加に伴い売上総利益も増加しています。売上総利益率および営業利益率ともに改善しており、収益性が向上していることが分かります。営業利益も2桁成長を記録しています。

項目 2024年10月期 2025年10月期
売上高 2,072億円 2,133億円
売上総利益 602億円 651億円
売上総利益率(%) 29.1% 30.5%
営業利益 146億円 174億円
営業利益率(%) 7.0% 8.1%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給料手当が200億円(構成比42.0%)、賃借料が46億円(同9.6%)、減価償却費が30億円(同6.3%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力の建設関連事業は、公共工事や都市再開発案件の進展により増収増益となりました。その他事業は売上高が横ばいで推移しましたが、利益面では減少となりました。全体としては建設関連事業が業績を牽引しています。

区分 売上(2024年10月期) 売上(2025年10月期) 利益(2024年10月期) 利益(2025年10月期) 利益率
建設関連 1,842億円 1,902億円 129億円 159億円 8.3%
その他 230億円 230億円 11億円 9億円 4.1%
調整額 - - 5億円 6億円 -
連結(合計) 2,072億円 2,133億円 146億円 174億円 8.1%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は、本業で獲得した資金を元手に、借入金の返済や投資活動を行いつつ、新たな資金調達も実施している「健全型」に近い状態ですが、財務活動による支出が大きいため、資金運用をバランスよく行っています。

項目 2024年10月期 2025年10月期
営業CF 417億円 474億円
投資CF -27億円 -47億円
財務CF -335億円 -327億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は7.6%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は45.4%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同グループは、「顧客の利益が我々の利益である」ことを念頭に、常に変革を求めて会社の活性化を図り、持続的に事業を推し進めることがステークホルダー全ての期待に応え、利益の拡大につながると考えています。そして、社会に貢献できる企業集団となることを目標にグループ運営を実践しています。

(2) 企業文化


同社は3つの行動指針を掲げています。「変革を求め会社の活性化に総力を結集せよ」として絶え間ない自己変革を求め、「我が社は利益を追求する戦斗集団であることを自覚せよ」として利潤獲得とコンプライアンス遵守の両立を目指し、「自主・自律の心を持て」として自己責任と自立心を重視する文化があります。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、中期経営計画「Progress 65 ~成長と効率化の両立に向けて~」(2025~2029年度)を策定しており、事業環境に左右されない確固とした収益基盤の構築と持続可能な社会の実現に向けた貢献を目指しています。また、ROE(自己資本利益率)等の指標向上を目標としています。

(4) 成長戦略と重点施策


「成長戦略と資本効率の改善」「DX戦略の強化」「サステナビリティへの取り組み」を重点施策としています。レンタル資産の効率的な運用や適正価格への引き上げ、M&Aによる事業領域拡大、海外事業の収益底上げを図ります。また、人材育成やグループ連携強化、DXによるデータドリブン経営の実装も推進します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材方針


高水準の知識とスキルを持つ人材が持続的成長の推進力になると考え、企業理念を具現化できる人材育成や、自律的なスキル取得支援を行っています。また、エンゲージメント向上やダイバーシティ&インクルージョンの推進により、社員が心身ともに健康で安全に業務に取り組める環境整備を進めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年10月期 40.5歳 13.2年 5,597,056円


※平均年間給与は、税込支払給与額であり、基準内賃金、時間外勤務手当等の基準外賃金及び賞与を含めております。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 1.7%
男性育児休業取得率 25.0%
男女賃金差異(全労働者) 72.7%
男女賃金差異(正規雇用) 72.0%
男女賃金差異(非正規雇用) 53.4%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、障がい者雇用率(3.28%)、正社員における外国籍社員の比率(1.09%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 経済情勢について


主力事業である建設関連は、国内の建設投資動向に大きく影響を受けます。公共事業の削減や民間工事の減少、受注競争の激化による貸出価格の低下、レンタル資産の稼働率悪化などが生じた場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 業績の季節変動について


建設機械のレンタル需要は、公共事業の工期等の関係から10月頃から翌年3月にかけて最盛期を迎える傾向があります。そのため、同社グループの売上高および利益は上期(11月~4月)に集中する傾向があり、季節変動の影響を受けやすい構造となっています。

(3) 金利動向について


レンタル用資産の取得や設備投資、運転資金のために外部からの資金調達を行っています。金利の固定化等により影響軽減に努めていますが、短期間での大幅な金利変動が生じた場合、業績や財務状況に影響を与える可能性があります。

(4) 固定資産の減損会計について


「固定資産の減損に係る会計基準」を適用しており、経営環境の著しい悪化等により固定資産の収益性が低下した場合には、減損損失を計上する必要が生じ、業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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