ファーストブラザーズ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ファーストブラザーズ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所(スタンダード市場)に上場する同社は、投資運用事業、投資銀行事業、施設運営事業を展開しています。直近の業績は、売上高191億円、経常利益44億円と増収増益を達成しています。


※本記事は、ファーストブラザーズ株式会社 の有価証券報告書(第22期、自 2024年12月1日 至 2025年11月30日、2026年2月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ファーストブラザーズってどんな会社?


同社は、機関投資家向けの資産運用や自己勘定による不動産投資を行う独立系投資会社です。

(1) 会社概要


2004年に投資銀行事業を目的として設立され、同年には投資運用事業も開始しました。2015年に東京証券取引所マザーズ市場へ上場し、2016年には市場第一部へ市場変更を果たしました。その後、2021年にフロムファーストホテルズが宿泊事業の運営を開始するなど事業領域を拡大し、現在はスタンダード市場に上場しています。

2025年11月30日時点で、連結従業員数は174名、単体では33名です。筆頭株主は社長の吉原 知紀氏で、第2位は資産管理業務を行う信託銀行(常任代理人:ゴールドマン・サックス証券)です。

氏名 持株比率
吉原 知紀 52.17%
GOLDMAN SACHS INTERNATIONAL 7.93%
有限会社エーシーアイ 5.60%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.0%です。代表は代表取締役社長の吉原 知紀氏が務めています。取締役6名のうち社外取締役は2名であり、社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
吉原 知紀 代表取締役社長 三井信託銀行(現 三井住友信託銀行)、モルガン・スタンレー・プロパティーズ・ジャパンを経て、2004年2月同社代表取締役社長に就任(現職)。
辻野 和孝 取締役経営管理部長 三井信託銀行(現 三井住友信託銀行)、モルガン・スタンレー・プロパティーズ・ジャパンを経て、2006年同社入社。2024年2月より現職。
大西 みな海 取締役 ケン不動産リース(現 ケン・ホテル&リゾートホールディングス)、テイクアンドギヴ・ニーズを経て、2022年同社入社。2024年2月より現職。
田村 幸太郎 取締役 1983年弁護士登録。牛島法律事務所(現 牛島総合法律事務所)に入所し、1990年同所パートナー(現職)。2005年9月より同社取締役(現職)。


社外取締役は、薄井 充裕(元新むつ小川原社長)、岩下 正(元ローソン銀行会長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「投資運用事業」、「投資銀行事業」および「施設運営事業」を展開しています。

(1) 投資運用事業


主に機関投資家を顧客とし、数百億円規模の不動産を対象とした資産運用サービスを提供しています。インカムゲインとキャピタルゲインの獲得を目指す運用のほか、投資家が主体的に行う投資におけるアセットマネジメント業務も受託しています。

収益は、投資家からのアセットマネジメント報酬(期中運営フィーや取得・売却時の成功報酬等)によって構成されています。運営は主にファーストブラザーズ投資顧問が行っています。

(2) 投資銀行事業


同社グループ自身が投資主体となり、賃貸不動産への投資を主軸とした活動を行っています。また、プライベートエクイティ投資や再生可能エネルギー等の社会インフラへの投資、私募ファンドへの共同投資も手掛けています。

収益は、保有する賃貸不動産からの賃料収入や、バリューアップ後の不動産売却による売却益等から得ています。運営は主にファーストブラザーズキャピタル、ファーストブラザーズディベロプメント、東日本不動産が行っています。

(3) 施設運営事業


宿泊施設等のオペレーショナルアセットへの投資に関連し、これら施設の賃貸運用にとどまらず、ホスピタリティサービスを中長期的視点で提供することを目的とした運営事業を行っています。

顧客に対する宿泊やサービス提供の対価を収益源としています。運営は主にフロムファーストホテルズが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は変動が見られますが、直近では増加傾向にあります。利益面では、経常利益率が比較的高水準で推移しており、当期は20%を超える高い利益率を確保しています。全体として、会計期間ごとの変動はあるものの、収益性は維持・向上している傾向が見て取れます。

項目 2021年11月期 2022年11月期 2023年11月期 2024年11月期 2025年11月期
売上高 267億円 143億円 223億円 169億円 191億円
経常利益 44億円 14億円 38億円 22億円 44億円
利益率(%) 16.4% 9.5% 17.2% 13.0% 23.3%
当期利益(親会社所有者帰属) 20億円 8億円 26億円 10億円 18億円

(2) 損益計算書


前期と比較して売上高が増加し、売上総利益率および営業利益率が大幅に改善しています。特に利益率の向上が顕著であり、収益性の高い取引が行われたことが推察されます。

項目 2024年11月期 2025年11月期
売上高 169億円 191億円
売上総利益 51億円 78億円
売上総利益率(%) 30.3% 41.1%
営業利益 28億円 53億円
営業利益率(%) 16.8% 27.8%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が6億円(構成比23%)、販売手数料が4億円(同18%)を占めています。

(3) セグメント収益


投資銀行事業が売上・利益ともに全体の大部分を占めており、同事業の好調が全社の増収増益を牽引しました。施設運営事業は増収となったものの、利益面では損失を計上しています。投資運用事業は前期比で減収減益となっています。

区分 売上(2024年11月期) 売上(2025年11月期) 利益(2024年11月期) 利益(2025年11月期) 利益率
投資運用事業 0.6億円 0.4億円 1億円 1億円 244.1%
投資銀行事業 151億円 172億円 38億円 63億円 36.6%
施設運営事業 17億円 18億円 -1億円 -1億円 -3.7%
その他 - 0.4億円 - -0.4億円 -101.2%
調整額 - - -9億円 -10億円 -
連結(合計) 169億円 191億円 28億円 53億円 27.8%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

同社は、借入資金を最大限活用し資本効率を高める一方、超長期借入れや金利スワップ取引で財務リスクを軽減しています。

営業活動では、不動産売却等により資金が増加しました。投資活動では、固定資産の取得により資金が減少しました。財務活動では、借入金の返済と調達により資金が減少しました。

項目 2024年11月期 2025年11月期
営業CF 35億円 74億円
投資CF -42億円 -31億円
財務CF -12億円 -23億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「最高のプロフェッショナルであり続ける」という企業理念を掲げています。また、「クライアントファースト」、「パフォーマンスファースト」、「コンプライアンスファースト」を行動規範としています。

(2) 企業文化


豊富な知識と経験によって培われたノウハウを活かし、時代の変化に応じて既存の考え方にとらわれない柔軟な発想で業務に取り組む文化があります。これらを通じて、顧客に満足度の高いサービスを提供することを目指しています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、売上総利益、経常利益および株主資本を重要な経営指標と捉えています。これらを中長期的に成長させていくことを基本的な考え方としています。

(4) 成長戦略と重点施策


同社は、「投資リターンの獲得」へのこだわりを持ち、個々の不動産の潜在価値を最大限に引き出す戦略をとっています。また、市場の歪みや変化を敏速に捉え、既存の収益機会にとどまらず新たな投資機会を追求します。さらに、再生可能エネルギー分野や自社での施設運営など、事業領域の拡張により強靭な収益基盤の構築を目指しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


収益獲得機会の多様化や事業領域の拡大を進めるため、成長意欲の高い人材を積極的に採用し、社内教育を通じて育成していく方針です。社員が仕事に打ち込み成長できる環境を提供し、モチベーションを高める取り組みを強化しています。また、若年層を重要な役割に積極的に登用しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年11月期 41.9歳 5.2年 8,297,218円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 金融環境の変化について


金利水準の上昇により、資金調達コストの増加や顧客投資家の期待利回り上昇、不動産市場の流動性低下などが生じ、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 不動産市況の動向について


経済ファンダメンタルズの悪化や政策変更により不動産投資市場が悪影響を受け、投資環境や投資マインドが低迷した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 自己勘定投資が業績に与える影響について


賃貸不動産や再生可能エネルギー、スタートアップ企業等への自己勘定投資において、外部環境の変化等により投資収益が悪化したり、投資対象の評価損が発生したりした場合、業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 有利子負債の水準と資金調達について


自己勘定投資の拡大に伴い有利子負債残高の水準が上昇することが想定されます。市場金利の大幅な上昇による支払利息の増加や、外部環境の変化等により資金調達に制約を受けた場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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