※本記事は、株式会社ネクステージ の有価証券報告書(第27期、自 2024年12月1日 至 2025年11月30日、2026年2月19日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ネクステージってどんな会社?
中古車販売大手として全国に店舗を展開し、新車ディーラー事業や整備、買取までカーライフを総合的にサポートする企業です。
■(1) 会社概要
同社は1998年に設立され、輸入車販売からスタートしました。2002年にネクステージを設立し、2013年に東証マザーズへ上場、翌2014年には東証一部へ市場変更を果たしました。その後も輸入車正規ディーラー事業の開始やBYD正規販売店のオープンなど事業を拡大し、2025年4月には全都道府県への出店を達成しています。
連結従業員数は7,537名、単体では6,492名です。筆頭株主は資産管理会社と見られる株式会社SMNで、第2位は資産管理業務を行う信託銀行、第3位は外資系金融機関の常任代理人である銀行となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| SMN | 35.08% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 7.88% |
| JP MORGAN CHASE BANK 385864 | 6.77% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性0名の計7名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役会長兼社長は広田 靖治氏です。社外取締役比率は28.6%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 広田 靖治 | 代表取締役会長兼社長 | 1998年有限会社オートステージヒロタ(現同社)設立、社長就任。グループ会社の代表を歴任し、2022年同社会長。2023年9月より現職。 |
| 野村 昌史 | 取締役執行役員 | 2013年同社入社。管理本部財務戦略推進部長、執行役員管理本部長を経て、2022年2月より現職。 |
社外取締役は、松井 忠三(元良品計画代表取締役社長)、遠藤 功(元ローランド・ベルガー日本法人会長・早稲田大学大学院商学研究科教授)です。
2. 事業内容
同社グループは、「自動車販売及びその附帯業務」および「その他」事業を展開しています。
■(1) 自動車販売事業
中古車販売においては、総合店やSUV専門店「SUV LAND」、輸入車専門店「UNIVERSE」などを展開しています。また、新車販売事業としてVOLVOやBYDなどの正規ディーラー運営を行うほか、整備、保険代理店、自動車買取および出張買取事業も手掛けています。顧客は一般消費者が中心です。
収益は、車両の販売代金、車検・点検等の整備料、保険手数料などから得ています。また、買取事業では車両の買取を行い、販売につなげることで収益機会を創出しています。運営は、同社および株式会社NEW、株式会社Aiなどの連結子会社が行っています。
■(2) その他事業
同事業では、自動車販売に関連する付加価値サービスの一つとして、カーコーティング事業を展開しています。主に同社グループが販売する車両に対し、独自開発したコーティング液を使用した施工サービスを提供しています。
収益は、車両購入者等からのコーティング施工料から得ています。運営は、同社の連結子会社である株式会社ASAPが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は5期連続で増加しており、事業規模は拡大傾向にあります。利益面では、2024年11月期に一時的な減益が見られましたが、直近の2025年11月期にはV字回復を果たし、経常利益、当期利益ともに大幅な増益となりました。
| 項目 | 2021年11月期 | 2022年11月期 | 2023年11月期 | 2024年11月期 | 2025年11月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 2,913億円 | 4,181億円 | 4,635億円 | 5,528億円 | 6,521億円 |
| 経常利益 | 134億円 | 191億円 | 158億円 | 121億円 | 185億円 |
| 利益率(%) | 4.6% | 4.6% | 3.4% | 2.2% | 2.8% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 94億円 | 133億円 | 111億円 | 77億円 | 127億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の大幅な増加に伴い、売上総利益、営業利益ともに増加しました。売上総利益率は若干低下したものの、営業利益率は改善しており、収益性が向上しています。
| 項目 | 2024年11月期 | 2025年11月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 5,528億円 | 6,521億円 |
| 売上総利益 | 987億円 | 1,122億円 |
| 売上総利益率(%) | 17.8% | 17.2% |
| 営業利益 | 129億円 | 196億円 |
| 営業利益率(%) | 2.3% | 3.0% |
販売費及び一般管理費のうち、給料手当が239億円(構成比26%)、広告宣伝費が135億円(同15%)を占めています。
■(3) セグメント収益
同社は単一セグメントですが、地域別の販売実績を開示しています。全ての地域で売上高が増加しており、特に関東甲信越地方と東海北陸地方が主力となっています。九州沖縄地方も高い伸びを示しています。
| 区分 | 売上(2024年11月期) | 売上(2025年11月期) |
|---|---|---|
| 北海道東北地方 | 723億円 | 797億円 |
| 関東甲信越地方 | 1,547億円 | 1,812億円 |
| 東海北陸地方 | 1,598億円 | 1,952億円 |
| 関西地方 | 726億円 | 782億円 |
| 中国四国地方 | 353億円 | 424億円 |
| 九州沖縄地方 | 582億円 | 753億円 |
| 連結(合計) | 5,528億円 | 6,521億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社は、本業で稼いだ資金で借入金の返済を進めつつ、投資も行っている**健全型**です。
| 項目 | 2024年11月期 | 2025年11月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 30億円 | 92億円 |
| 投資CF | -185億円 | -73億円 |
| 財務CF | 214億円 | -199億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は16.9%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は34.9%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「みんなに愛されるクルマ屋さん」を経営理念として掲げています。顧客、取引先、株主、従業員とその家族、地域社会といった全てのステークホルダーへの感謝を忘れず、最善を尽くすことで、地域や社会から愛され、末永く利用される存在になることを目指しています。
■(2) 企業文化
同社は、生涯取引の拡大を重視する文化を持っています。クルマの販売にとどまらず、カー用品販売、整備、車検、買取、そして次の車の提案まで、顧客のカーライフ全体に寄り添い、一人ひとりに最適なサービスを提供し続けることを行動の指針としています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、市場シェアの獲得と収益性の拡大による企業価値向上を目指しています。2026年11月期の数値目標として、以下の指標を掲げています。
* 売上高:6,840億円
* 営業利益:240億円
* 営業利益率:3.5%
* 経常利益:226億円
* 親会社株主に帰属する当期純利益:150億円
■(4) 成長戦略と重点施策
企業価値向上のため、「地域一番店の実現」「店舗の収益性向上」「専門性・課題解決力の高い人材育成の強化」「商品管理の強化」の4点を重点戦略としています。
* 地域一番店の実現:商品・サービス・接客品質の向上により、継続的に利用される店舗を目指します。
* 店舗の収益性向上:既存店の業務効率化や不採算店舗の改善、新規出店によるエリア拡大を進めます。
* 人材育成:研修や権限移譲により、従業員の専門性と対応力を強化します。
* 商品管理:リードタイムの短縮や販売チャネルの多様化により、在庫回転率を高め収益最大化を図ります。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、「お客様満足に全力を尽くせる」「自ら学び成長できる」「責任感を持ちやり抜く」人材を求めています。多様な人材が活躍できる職場環境の整備や、キャリアアップ制度の拡充を進めています。また、カムバック採用やリファラル採用、勤務地選択制度などを通じ、人材の確保と定着を図っています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年11月期 | 30.4歳 | 3.5年 | 5,258,000円 |
※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
※平均年間給与は、営業担当社員を対象としております。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 8.6% |
| 男性育児休業取得率 | 67.4% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 65.9% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 67.2% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 105.3% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 計画通りに出店を行えないリスク
同社グループは大型店を中心に出店を行っていますが、主要幹線道路沿いの広大な敷地を要するため、物件確保が困難になる可能性があります。これに対し、全国に店舗開発人員を配置し、多角的な情報収集を行うことで、好条件での出店を目指しています。
■(2) 人財を確保できないリスク
事業拡大には継続的な人材確保が不可欠ですが、獲得競争の激化により人材不足や流出が生じる可能性があります。採用プロセスの短縮化や、マニュアルに基づく均一なオペレーション構築による労働環境の整備を通じて、採用強化と離職率低下に取り組んでいます。
■(3) 商品を確保できないリスク
小売車両の一部をオートオークションに依存しており、市場環境の変化により良質な商品が確保できなくなる恐れがあります。ユーザーからの直接買取や企業間取引を拡大することで、仕入ルートを多様化し、需要に応じた商品確保を進めています。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。