※本記事は、株式会社フジシールインターナショナルの有価証券報告書(第68期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. フジシールインターナショナルってどんな会社?
シュリンクラベル等の各種包装資材や包装機械の企画・製造・販売をグローバルに展開する企業です。
■(1) 会社概要
1958年にキャップシール等の製造販売を目的に藤尾製作所として設立されました。1986年に英国へ進出し欧州での展開を開始しました。2003年に東京証券取引所第一部へ上場を果たし、翌2004年に純粋持株会社へ移行して現在のフジシールインターナショナルに商号変更しました。近年はアセアン展開も強化しています。
同社グループの従業員数は連結で5,670名、単体で46名です。筆頭株主は同社代表執行役社長が実質的に保有する創包で、第2位は資産管理業務を行う信託銀行となっており、創業家及び経営陣が安定的な株式を保有する構成となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 創包 | 14.50% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 12.00% |
| フジシール財団 | 8.90% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性12名、女性4名の計16名で構成され、女性役員比率は25.0%です。代表執行役社長 CEOを岡﨑成子氏が務めており、社外取締役の比率は18.8%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 岡﨑成子 | 取締役 代表執行役社長 CEO | 1990年同社入社。各海外子会社の取締役等を経て2004年に同社取締役兼執行役。2008年代表執行役社長、2021年代表執行役会長CEOを歴任し、2023年より現職。 |
| 岡﨑陽一 | 取締役 執行役副社長 COO | 2012年同社入社。独子会社代表取締役社長等を経て2022年機械事業本部長。同年同社執行役となり、2023年に取締役兼執行役、2025年より現職。 |
| 梅田英明 | 取締役 執行役シュリングラベル事業担当 | 1997年同社入社。パリ支店経営企画マネージャーや欧州子会社の要職を歴任。2018年米国子会社取締役を経て2021年同社執行役。2025年より現職。 |
社外取締役は、牧辰人(SCS国際有限責任監査法人代表社員)、関勇一(元大阪チタニウムテクノロジーズ代表取締役社長)、植村公彦(弁護士法人御堂筋法律事務所パートナー)です。
2. 事業内容
同社グループは、「日本」「米州」「欧州」「アセアン」の報告セグメントで事業を展開しています。
■日本
国内におけるシュリンクラベル、タックラベル、ソフトパウチ及び包装機械の企画、提案、開発、製造並びに販売事業を展開しています。環境対応型製品へのシフトを進め、多様なパッケージニーズに対応しています。
運営は主にフジシール、フジタックイースト、フジシールウエストなどが担っています。製品の販売等により収益を得ており、医薬品関連の受託製造等も取手ファーマが手掛けています。
■米州
北米及び中南米地域において、シュリンクラベル、タックラベル、ソフトパウチ及び各種包装資材の製造・販売を展開しています。また、包装機械の製造・販売とメンテナンスサービスも提供しています。
運営はAmerican Fuji Seal, Inc.やメキシコ子会社等が担っています。各種包装資材と包装機械の販売、及びメンテナンスサービスの提供により収益を獲得しています。
■欧州
欧州全域において、シュリンクラベル、ソフトパウチ、タックラベル及び各種包装資材の製造・販売事業を展開しています。また、包装機械の製造、販売及びメンテナンスサービスも手掛けています。
欧州地域持株会社であるFuji Seal B.V.を中心に、Fuji Seal Europe Ltd.など多数の現地子会社が運営を担っています。製品の販売や事業活動支援等を通じて収益を獲得しています。
■アセアン
タイ、ベトナム、インドネシア、インド等のアセアン地域において、シュリンクラベルや各種包装資材、包装機械の製造・販売事業を展開しています。経済成長を背景とした需要拡大に対応しています。
運営はFuji Seal Packaging (Thailand) Co., Ltd.等の現地子会社が担っています。製品の製造・販売や包装機械のメンテナンス等の提供により収益を獲得しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
同社の直近5年間の連結業績は、売上高が堅調に推移し、直近では2,000億円を超える規模に成長しています。利益面では一時的な落ち込みがあったものの、その後は着実に回復し、当期は大幅な増益を達成しました。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,703億円 | 1,840億円 | 1,966億円 | 2,123億円 | 2,178億円 |
| 経常利益 | 106億円 | 84億円 | 147億円 | 183億円 | 220億円 |
| 利益率(%) | 6.2% | 4.6% | 7.5% | 8.6% | 10.1% |
| 当期利益(親会社株主に帰属する当期純利益) | 57億円 | -40億円 | 73億円 | 84億円 | 127億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の堅調な成長に加えて、売上総利益率が改善しています。これにより営業利益率も上昇基調にあり、コストコントロールと高付加価値製品の販売が奏功して収益力の強化が進んでいることがうかがえます。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 2,123億円 | 2,178億円 |
| 売上総利益 | 450億円 | 483億円 |
| 売上総利益率(%) | 21.2% | 22.2% |
| 営業利益 | 188億円 | 205億円 |
| 営業利益率(%) | 8.9% | 9.4% |
販売費及び一般管理費のうち、給与手当が108億円(構成比39%)、荷造運賃が34億円(同12%)を占めています。
■(3) セグメント収益
日本市場は底堅く推移している一方、米州・欧州地域の売上規模が大きく拡大しており、海外事業が全体の成長を牽引しています。アセアン地域も順調に売上を伸ばしており、グローバルでの事業基盤強化が進んでいます。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 日本 | 999億円 | 983億円 |
| 米州 | 662億円 | 682億円 |
| 欧州 | 294億円 | 332億円 |
| アセアン | 168億円 | 180億円 |
| 連結(合計) | 2,123億円 | 2,178億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業CFがプラス、投資CFおよび財務CFがマイナスとなっており、本業で稼いだ営業利益をもとに借入金の返済を進めつつ、手元資金の範囲内で将来に向けた投資も行っている健全な優良企業のパターンです。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 213億円 | 216億円 |
| 投資CF | -125億円 | -125億円 |
| 財務CF | -34億円 | -44億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は13.5%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は71.3%であり、いずれも市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は、「包んで価値を、日々新たなこころで創造します。」を経営理念に掲げています。パッケージングを通じ、すべての人が笑顔で安心して暮らせる循環型社会・持続的社会の実現に貢献することで、企業価値の持続的な向上を図ることを事業の根本的な使命としています。
■(2) 企業文化
「人と環境にやさしい価値を届ける」をビジョンに掲げ、環境配慮型製品で業界をリードすることを目指しています。「ワクワクを創る会社 ~ワクワクなしに成長なし~」として、社員が創造と挑戦をワクワクしながら成長できることを応援し、相互の信頼関係に基づく企業文化を育んでいます。
■(3) 経営計画・目標
2030年までの戦略「FSG.30」を策定し、持続的な成長を目指しています。2031年3月期の連結経営目標として、売上高3,500億円以上、営業利益率2桁%の達成を掲げています。財務目標としてはROE2桁%、PBR1.5倍以上や、気候変動に対応するGHG排出量削減等の環境目標も設定しています。
・売上高3,500億円以上
■(4) 成長戦略と重点施策
持続的な成長を目指す3つの基本戦略として、「既存4事業の着実な強化」「製品マーケット・ターゲットエリアの拡大」「次世代に繋がる新たなビジネスモデルの創造」を推進しています。環境対応型製品へのシフト加速や生産効率の向上、新規事業の育成を通じて、持続的な企業価値の向上に取り組んでいます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
人財を最も重要な資源として位置づけ、適切なスキルと能力を備えた人財の獲得及びチャレンジする企業文化の創出を目指しています。従業員一人ひとりが、情熱とワクワクをもって仕事に取り組める基盤の構築や、DE&I(多様性、公平性、包括性)の尊重を通じた成長促進を推進しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 47.0歳 | 13.6年 | 8,025,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 32.3% |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 男女賃金差異(全労働者) | 84.6% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 86.0% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | - |
※提出会社の男性育児休業取得率および非正規雇用の男女賃金差異については、有報に実績値の記載がありません。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、エンゲージメントスコアが向上した組織割合(50.0%)、グループキーポジション後継者充足率(80.0%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 原材料の市況変動及び調達
製品に使用される原材料の市場価格は、世界景気や需給バランス、為替変動等の影響を受けます。急激な原材料価格の高騰によるコスト上昇や、供給逼迫による製品供給の遅延等が発生した場合、同社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 海洋プラスチック問題・気候変動問題
気候変動や海洋プラスチック問題等を重要な環境課題と捉え、環境配慮型製品の開発に取り組んでいます。しかし、世界的な環境意識の高まりによる新たな規制への対応コスト増加や、対応の遅れに伴う評判の低下などが生じた場合、業績に影響を及ぼすリスクがあります。
■(3) 情報の流出・サイバーセキュリティ
顧客のパッケージング企画や開発に伴い、新製品等の機密情報を保有することがあります。情報の秘密保持やサイバーセキュリティ対策に最大限努めていますが、不正アクセス等により情報が外部へ流出した場合、企業としての信頼やイメージが損なわれ、業績に影響する可能性があります。



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