※本記事は、積水化学工業株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月12日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
積水化学工業は、住宅、環境・ライフライン、高機能プラスチックス、メディカル、その他事業の5つのセグメントで多岐にわたる事業を展開しています。住宅からインフラ、先端材料、医療まで、幅広い分野で製品の製造、販売、施工、サービスをグループ各社とともに提供しています。
単体従業員数は3,156名、連結従業員数は26,752名です。セグメントは住宅、環境・ライフライン、高機能プラスチックス、メディカル、その他の5つです。
主な国内グループ会社は、積水ソーラーフィルム、積水メディカル、徳山積水工業(塩化ビニル樹脂の製造・販売)、セキスイハイム工業(ユニット住宅部材の製造・販売)、積水成型工業などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
積水化学工業は、幅広い事業領域を持つ大手化学メーカーとして、安定した事業基盤を築いています。従業員が長期的にキャリアを形成し、専門性を高めながら活躍できる環境が特徴です。同社グループは、従業員の挑戦を後押しし、多様な働き方を支援する取り組みにも注力しています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、従業員の平均年齢が比較的高く、勤続年数も長めであることから、長期的なキャリア形成が可能な環境である傾向を示しています。従業員が安定して働き続けられるような職場環境が整っていると考えられます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 9,462,708円 |
| 平均勤続年数 | 15.9年 |
| 平均年齢 | 44.2歳 |
| 単体従業員数 | 3,156人 |
| 連結従業員数 | 26,752人 |
| 単体のグループ内比率 | 11.8% |
退職給付制度
同社および国内連結子会社は、従業員の退職給付に充てるため、確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の制度を設けています。一部の海外連結子会社も確定給付型制度および確定拠出型制度を設けています。
退職一時金制度があり、主として退職時までに取得したポイントを基準として一時金が支給されます。
なお、確定給付制度における退職給付債務は1,551億円、年金資産は1,734億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
積水化学工業グループは、長期ビジョン「Vision 2030」および中期経営計画「Accelerate 2028」の実現に向け、「際立つ人材の活躍」を重要課題と位置付けています。事業強化と従業員一人ひとりの成長を密接に結びつけ、従業員と社会から“選ばれ続ける企業体”への進化を目指しています。
給与は、個々の役割と挑戦を通じた成果に基づいて決定され、公平性と透明性の確保に努めています。従業員のモチベーション向上と優秀な人材の確保・定着を図るため、外部水準や業界動向、業績、中長期的な生産性向上等を踏まえて設定されています。賃金改定については労働組合との協議を経て決定しており、2023年度以降4年連続でベースアップを中心とした賃上げを実施しています。
同社グループは、「全員が挑戦したくなる会社」の実現に向け、人材育成方針としてダイバーシティの促進、挑戦の奨励、際立つ人材の育成を掲げています。また、社内環境整備方針として、多様な働き方や安心して働ける職場づくりを図るダイバーシティマネジメントを推進しています。具体的な人的資本戦略として、「挑戦する風土の醸成」「適所適材の実現」「ダイバーシティの実現」を掲げ、人的資本に積極的に投資を行っています。
挑戦の“場づくり”として、人材公募制度やグローバル技術者派遣制度、社内起業制度「C.O.B.Uアクセラレーター」などを展開しています。また、挑戦の“後押し”として、エンゲージメント測定と改善施策、キャリア自律に向けたキャリア面談を実施しています。次代を担うリーダー育成のため、経営幹部候補の抜擢・育成強化や、高度専門人材の確保強化としてスペシャリティ職制度を設けています。さらに、事業ニーズに即したリスキル強化として、グローバル・DX・ものづくり等の専門スキル教育にも注力しています。多様な人材の活躍を推進するため、フレックス勤務や在宅勤務制度、介護・育児・病気の両立支援、ジェンダーダイバーシティ推進、障がい者の活躍推進に取り組んでいます。安心して働ける環境整備として、労働時間削減や生産性向上、健康経営にも力を入れています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。人事制度上の賃金格差はなく、労務構成(年齢および資格)比による格差によるものです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 5.7% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 93.3% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 71.8% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(正規雇用労働者) | 71.8% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(パート・有期労働者) | 107.4% |
連結子会社の法定開示
主要事業会社3社の数値のみ掲載します。
▼ 積水メディカル㈱
人事制度上の賃金格差はなく、労務構成(年齢および資格)比による格差によるものです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 15.5% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 74.1% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 63.6% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(正規雇用労働者) | 75.5% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(パート・有期労働者) | 53.0% |
▼ セキスイハイム工業㈱
人事制度上の賃金格差はなく、労務構成(年齢および資格)比による格差によるものです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 2.0% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 50.0% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 73.7% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(正規雇用労働者) | 73.4% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(パート・有期労働者) | 96.8% |
▼ 東京セキスイハイム㈱
人事制度上の賃金格差はなく、労務構成(年齢および資格)比による格差によるものです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 7.5% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 66.7% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 64.0% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(正規雇用労働者) | 66.2% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(パート・有期労働者) | 40.7% |
多様性・登用
後継者候補準備率は、G1ポスト(ビジネスリーダー最上位)の後継候補者数÷同ポスト数で算出されます。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 後継者候補準備率(2025年度実績) | 104% |
| 後継者候補準備率(2028年度目標) | 150% |
育児・介護支援
定着率は、1年間の離職者数と当該年度4月1日時点の期間を定めない雇用者を対象に算出されます。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 定着率(2025年度実績) | 98.4% |
| 3年後定着率(2028年度目標) | 80% |
健康・安全
5領域とは、安全、品質、会計、法務・倫理、情報管理を指し、社内の重大インシデント基準に該当し、かつ対外公表した事案が対象です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 5領域重大インシデント発生件数(2025年度実績) | 0 |
| 5領域重大インシデント発生件数(2028年度目標) | 0 |
人材育成・エンゲージメント
挑戦行動の発現度は、長期ビジョン達成に向けた挑戦行動を従業員が実際に発現したかをアンケートで測定します。エンゲージメントスコアは、エンゲージ関連行動質問6問(6点満点)の平均が4.5点以上の従業員の割合について、2019年度の実績を100としたときの指数です。2026年度からは調査システムが変更され、エンゲージメント構成質問3問の肯定的回答(5段階中の上位2項目)の割合の平均値で算出されます。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 挑戦行動の発現度(2025年度実績) | 62% |
| 挑戦行動の発現度(2028年度目標) | 72% |
| エンゲージメントスコア(2025年度実績) | 138 |
| エンゲージメントスコア(2028年度目標) | 65% |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
積水化学工業は、住宅、環境・ライフライン、高機能プラスチックス、メディカル、その他事業の5つのセグメントで多岐にわたる事業を展開しています。同社グループは、それぞれの事業で製品の製造、販売、施工などを手掛け、社会の様々なニーズに応える製品とサービスを提供しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、幅広い分野で事業を展開し、それぞれのセグメントで異なる製品やサービスを提供することで収益を上げています。国内住宅・非住宅市況の低迷が続く一方で、半導体や航空機関連の市況は堅調に推移しています。高付加価値品へのシフトを進めていますが、EV市場の伸長鈍化や海外での特定感染症検査キットの需要減といった影響も受けています。
住宅事業
この事業では、鉄骨系・木質系ユニット住宅の製造、施工、販売に加え、分譲用土地の販売、リフォーム、レジデンシャル事業、インテリア、エクステリアの販売・施工などを行っています。収益は、新築住宅の販売やリフォーム事業の伸長、賃貸管理戸数の増大などから得ています。運営は、北海道セキスイハイム工業、セキスイハイムサプライ、北海道セキスイハイム、セキスイファミエスなどが担っています。
環境・ライフライン事業
塩化ビニル管・継手、ポリエチレン管・継手、プラスチックバルブ、強化プラスチック複合管、塩素化塩ビ樹脂コンパウンド、雨水貯留材、建材、介護機器、浴室ユニット、合成木材、防音制振材料、不燃性ポリウレタン、耐火材料、管きょ更生材料及び工法、パネルタンクなどの製造、販売、施工を行っています。収益は、パイプ・システムズ分野、住・インフラ複合材分野、インフラ・リニューアル分野での製品販売や工事から得ています。運営は、東日本積水工業、積水アクアシステム、積水ホームテクノ、SEKISUI ESLON B.V.などが担っています。
高機能プラスチックス事業
液晶用微粒子、感光性材料、半導体材料、光学フィルム、工業用テープ、合わせガラス用中間膜、発泡ポリオレフィン、車輌用樹脂・ラバー成型品、放熱材料、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)等複合材成型品、加飾シート、ポリビニルアルコール樹脂、ブロー容器、建設用資材、接着剤、包装用テープ、プラスチックコンテナ、樹脂畳「MIGUSA」、衛生材料などの製造、販売を行っています。収益は、エレクトロニクス分野、モビリティ分野、インダストリアル分野での製品販売から得ています。運営は、徳山積水工業、積水ナノコートテクノロジー、積水テクノ成型、Sekisui Voltek, LLC.などが担っています。
メディカル事業
臨床検査薬、自動分析装置、採血管、医薬品原薬・中間体、創薬支援、酵素原料などの製造・販売を行っています。収益は、医療事業における検査薬や医薬品関連製品の販売から得ています。運営は、積水メディカル、Sekisui Diagnostics, LLC.などが担っています。
その他の事業セグメント
フィルム型リチウムイオン電池の製造・販売や、上記の4事業部門に含まれない製品の製造、販売及びサービスを行っています。収益は、これらの製品やサービス提供から得ています。運営は、積水LBテック、積水バイオリファイナリー、セキスイ保険サービスなどが担っています。
同社グループの売上高は、住宅事業と高機能プラスチックス事業が大きな割合を占めています。当連結会計年度では、住宅事業と高機能プラスチックス事業で増収となりましたが、メディカル事業は減収となりました。為替差益が経常利益の増益に寄与し、過去最高を更新しています。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 住宅 | 5,239億円 | 5,359億円 |
| 高機能プラスチックス | 4,424億円 | 4,517億円 |
| 環境・ライフライン | 2,274億円 | 2,251億円 |
| メディカル | 992億円 | 937億円 |
| その他の事業セグメント | 49.0億円 | 28.3億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの過去5期間の業績を見ると、売上高は一貫して増加傾向にあり、当連結会計年度では過去最高を更新しました。経常利益も同様に増加傾向を示し、当連結会計年度で過去最高を記録しています。一方で、親会社株主に帰属する当期純利益は、直近の期で減少となりました。
この当期純利益の減少は、主に減損損失の計上が影響しています。営業活動によるキャッシュ・フローは、当連結会計年度で増加額が前期より減少しましたが、本業でのキャッシュ創出は継続しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 1兆1,579億円 | 1兆2,425億円 | 1兆2,565億円 | 1兆2,978億円 | 1兆3,093億円 |
| 経常利益 | 970億円 | 1,042億円 | 1,059億円 | 1,110億円 | 1,172億円 |
| 経常利益率 | 8.4% | 8.4% | 8.4% | 8.6% | 9.0% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 371億円 | 693億円 | 779億円 | 819億円 | 752億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 83.17 | 159.19 | 183.48 | 195.93 | 182.70 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高は、前期から当期にかけて増加しています。これは、同社グループ全体の売上高が増加している傾向と一致しており、従業員一人ひとりの貢献度が向上していることを示しています。
一方、従業員1人あたりの営業利益は、前期と当期で横ばいとなっています。これは、売上高の増加に対して営業利益の伸びが緩やかであったこと、あるいは一時的な費用が発生したことなどが影響している可能性があります。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 48.2百万円 | 48.9百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 4.0百万円 | 4.0百万円 |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループの財務状況は、安定した基盤を築いていることを示しています。本業で得た資金を元手に、将来に向けた投資も行いながら、手元資金を確保している状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は強固な状態を維持しています。自己資本比率は59.6%と、プライム市場の製造業平均を上回る水準です。これにより、外部環境の変化にも耐えうる安定性があることを示しています。
ROE(自己資本利益率)は9.1%で、プライム市場平均に近い水準にあります。手元資金として972億円の現金及び預金を保有しており、事業運営における資金の安定性も確保されていると言えます。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 8,354億円 | 8,811億円 |
| 自己資本比率 | 60.7% | 59.6% |
| ROE(自己資本利益率) | 10.2% | 9.1% |
| 現金及び預金 | 1,426億円 | 972億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローを見ると、本業で得た資金がどのように使われているかが分かります。当連結会計年度の営業活動によるキャッシュフローは783億円の増加となりましたが、前期と比較すると減少しています。これは主に税金等調整前当期純利益や減価償却費の増加要因があった一方で、法人税等の支払いや棚卸資産の増加、仕入債務の減少などが影響しています。
投資活動によるキャッシュフローは691億円の減少となり、前期よりも支出が増加しています。これは重点および成長分野を中心とした有形固定資産や無形固定資産の取得による支出が主な要因です。財務活動によるキャッシュフローは465億円の減少となり、前期よりも支出が減少しています。自己株式の取得や配当金の支払いが主な減少要因ですが、社債の発行による収入もありました。
これらの結果、フリーキャッシュフローは92億円の増加となり、本業で稼いだ資金で投資を賄い、なお余剰資金を生み出している状況です。同社グループは本業で安定的に資金を生み出しつつ、将来に向けた投資も継続しており、事業の成長性と雇用・給与の安定性につながる基盤を維持していると言えます。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 1,192億円 | 783億円 |
| 投資CF | △615億円 | △691億円 |
| 財務CF | △612億円 | △465億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 577億円 | 92億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、原材料の市況変動および調達に関するリスクを認識しています。経済環境や需給バランスの変動、通商政策により原材料調達が困難になったり、生産コストが上昇したりする可能性があります。また、経済動向および製品市況の動向も事業構造に影響を与えるリスクとして挙げられています。特に、高機能プラスチックス事業におけるモビリティ分野の市場動向への依存性や、エレクトロニクス分野の技術革新の速さに伴う需要変動の大きさは、収益性に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、少子高齢化の進行に伴う人材確保の困難性の高まりをリスクとして認識しています。労働力構成の偏在も課題として挙げられており、多様な人材の活躍推進や健康で安心して働ける環境整備、次代を担うリーダーの育成などで対応を進めています。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
積水化学工業は、「3S精神」を社是とし、社会貢献と持続的成長を追求する企業です。長期ビジョン「Vision 2030」のもと、ESG経営を軸に革新と創造を続けています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
積水化学グループは、経営の根底に「3S精神」という社是を置いています。これは「Service(企業活動を通じて社会的価値を創造する)」「Speed(積水を千仞の谿に決するスピードをもって市場を変革する)」「Superiority(際立つ技術と品質で社会からの信頼を獲得する)」の3つのSを指しています。
同社グループは、この社是のもと、ステークホルダーの期待に応え、事業を通して社会に貢献することを目指しています。グループビジョンでは、「住・社会のインフラ創造」と「ケミカルソリューション」のフロンティアを開拓し続け、世界のひとびとのくらしと地球環境の向上に貢献することを掲げています。
さらに、長期ビジョン「Vision 2030」では、「Innovation for the Earth」というビジョンステートメントを掲げています。これは、サステナブルな社会の実現に向けてLIFEの基盤を支え、「未来につづく安心」を創造していくという強い意志が込められています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
積水化学グループは、役員・従業員が従うべき行動指針として「積水化学グループ企業行動指針」を定めています。社会の発展への貢献、個人の能力発揮、社会からの信頼獲得、法令遵守、地球環境問題と社会貢献への取り組みを重視する内容です。
同社グループのESG経営では、「サステナブルな社会の実現」と「同社グループの持続的な成長」の両立を目指し、「際立ち」「社会課題解決」「未来につづく安心」の3つのステップを実践しています。特に「際立ち」では、社会に信頼される企業体制をガバナンスと通じて実現し、際立つ人材の挑戦を原動力に環境やCS品質で圧倒的な差異を持つ製品・サービスを生み出すことを掲げています。
また、人材理念として「従業員は社会からお預かりした貴重な財産である」と定めています。この考え方に基づき、人的資本戦略では「挑戦する風土の醸成」「適所適材の実現」「ダイバーシティの実現」を掲げ、従業員一人ひとりが挑戦を通じて自律的に成長できる環境を創り続けることを目指しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
積水化学グループは、気候変動を大きな社会課題でありリスクと認識し、その解決に積極的に取り組んでいます。燃料使用設備の電化や低炭素燃料への転換、生産プロセス革新による燃料由来GHG排出量の削減など、技術的難易度の高い取り組みを進めています。
また、2050年にサーキュラーエコノミーを実現し、持続可能な社会を目指しています。資源循環に関するイノベーション推進、非化石由来および再生材料の使用拡大、廃棄物のマテリアルへの再資源化の最大化を方針としています。
さらに、サステナビリティ貢献製品の創出と市場拡大を通じて、SDGsをはじめとする社会課題解決への貢献と企業としての成長を目指しています。フィルム型ペロブスカイト太陽電池やCO2固定化技術などの開発を進め、社会実装に向けた実証やスケールアップを行っています。
人的資本経営においては、長期ビジョンの実現と全員が挑戦したくなる活力ある会社の実現に向け、人的資本への投資に積極的に取り組んでいます。従業員のキャリア拡大支援やグループ各社の人員確保を意図した施策を展開しています。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
積水化学グループは、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図ることをコーポレート・ガバナンスの基本方針としています。経営の透明性・公平性を高め、迅速な意思決定を追求するとともに、社会的価値の創造を通してステークホルダーの期待に応え続けていくことを目指しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
積水化学工業の株主構成を見ると、信託銀行が上位を占めており、安定的な資本基盤を形成していることがうかがえます。また、積水化学グループ従業員持株会も上位に位置しており、従業員による自社への投資も進んでいる状況です。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 14.78% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 5.30% |
| 積水化学グループ従業員持株会 | 3.04% |
| 第一生命保険 | 3.00% |
| 積水ハウス | 1.97% |
なお、2025年9月19日付で公衆の縦覧に供されている大量保有報告書において、三井住友トラスト・アセットマネジメントが2025年9月15日現在で株式を所有している旨が記載されていますが、同社として2026年3月31日現在における実質所有株式数の確認ができないため、上記大株主の状況には含めていません。
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は17名(男性14名・女性3名)で構成され、女性役員比率は17.0%です。代表取締役社長社長執行役員は清水郁輔氏が務めています。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 清水 郁輔 | 代表取締役社長 社長執行役員 | 1987年4月同社入社。高機能プラスチックスカンパニーフォーム事業部長、エレクトロニクス分野担当などを歴任。2019年1月常務執行役員高機能プラスチックスカンパニープレジデント、2025年1月代表取締役専務執行役員ESG経営推進部及び新事業開発部担当、経営戦略部長を経て、2026年3月より現職。 |
| 加藤 敬太 | 取締役会長 | 1980年4月同社入社。高機能プラスチックスカンパニー中間膜事業部長、新事業推進部長、開発研究所長、プレジデントなどを歴任。2019年1月代表取締役専務執行役員経営戦略部長、2020年3月代表取締役社長社長執行役員を経て、2026年3月より現職。 |
| 髙下 貞二 | 取締役 | 1976年4月同社入社。住宅カンパニープレジデント、CSR部長兼コーポレートコミュニケーション部長などを歴任。2015年3月代表取締役社長社長執行役員、2020年3月代表取締役会長、2022年6月取締役会長を経て、2026年3月より現職。 |
| 平居 義幸 | 取締役 専務執行役員、環境・ライフラインカンパニープレジデント | 1985年4月同社入社。CSR推進部担当、経営戦略部長、経営管理部担当などを歴任。2019年1月取締役常務執行役員環境・ライフラインカンパニープレジデントを経て、2020年4月より現職。 |
| 吉田 匡秀 | 取締役 専務執行役員、住宅カンパニープレジデント | 1989年4月同社入社。セキスイハイム中部代表取締役社長、住宅カンパニー住宅営業統括部長兼東京セキスイハイム代表取締役社長などを歴任。2024年6月取締役常務執行役員住宅カンパニープレジデントを経て、2025年4月より現職。 |
| 浅野 陽 | 取締役 専務執行役員、高機能プラスチックスカンパニープレジデント | 1987年4月同社入社。高機能プラスチックスカンパニー車両・輸送分野担当、中間膜事業部長などを歴任。2025年1月常務執行役員高機能プラスチックスカンパニープレジデント、2025年6月取締役常務執行役員を経て、2026年4月より現職。 |
| 村上 和也 | 取締役 常務執行役員、人事部長 | 1989年4月同社入社。高機能プラスチックスカンパニー人材開発部長、人事部長などを歴任。2021年6月取締役執行役員人事部長を経て、2026年4月より現職。 |
社外取締役は、大枝宏之氏(元日清製粉グループ本社取締役社長)、野崎治子氏(京都大学理事)、肥塚見春氏(元髙島屋代表取締役専務)、宮井真千子氏(NPO法人サステナビリティ日本フォーラム会長)、畑中好彦氏(元アステラス製薬代表取締役会長)です。
同社は監査役会設置会社を採用しており、複数の社外取締役を導入することで、経営の透明性・公正性を確保し、業務執行に対する適切な監督を行っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の役員報酬制度は、持続的成長と中長期的な企業価値向上に資することを基本方針としています。報酬は基本報酬、賞与、株式報酬で構成されており、業績連動性の高い設計となっています。業務執行取締役には、役員持株会を通じた同社株式の購入が義務付けられており、株主と利益意識を共有する仕組みです。賞与はROEや配当額、全社営業利益額に連動し、財務指標や非財務指標の目標達成度も反映されます。株式報酬は中長期的な業績向上と企業価値増大への貢献意欲を高めることを目的とし、退任時に株式価値に反映された株式で交付されます。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 8名 | 7.7億円 | 96.1百万円 |
| 監査役(社外除く) | 3名 | 47百万円 | 15.7百万円 |
| 社外役員 | 8名 | 1.1億円 | 13.5百万円 |
なお、人数は事業年度中に報酬の支給対象となった人数であり、期中に退任した役員を含みます。
個人別報酬が開示されている役員は、加藤敬太氏(1.64億円)、清水郁輔氏(1.16億円)、髙下貞二氏(1.21億円)、平居義幸氏(1.01億円)、吉田匡秀氏(1.06億円)です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。
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