※本記事は、旭コンクリート工業株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
旭コンクリート工業は、コンクリート二次製品の製造販売と関連工事の請負を行うコンクリート関連事業を主軸としています。また、マンション等の賃貸を行う不動産事業も展開しています。
単体従業員数は188名です。セグメントはコンクリート関連事業、不動産事業の2つです。
旭コンクリート工業は、コンクリート二次製品(ヒューム管、ボックスカルバート、共同溝など)の製造販売、およびコンクリート製品の敷設工事、工事用資材の仕入販売を本体で手掛けています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
旭コンクリート工業は、コンクリート製品の製造・販売を主軸とする企業であり、安定した事業基盤を持つ環境で働くことができます。社員の定着を重視し、長期的なキャリア形成を支援する方針が見られます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の平均勤続年数が長く、平均年齢も比較的高めであることから、長期にわたって働く社員が多い傾向にあることがうかがえます。これは、安定した職場環境が提供されていることを示唆しています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,491,000円 |
| 平均勤続年数 | 18.2年 |
| 平均年齢 | 48.2歳 |
| 単体従業員数 | 188人 |
同社は確定給付型の退職給付制度を設けており、給与や勤続年数に応じて給付額が決まります。この制度は国内の従業員に適用されます。
退職一時金制度もありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
なお、退職給付債務は5.7億円、年金資産は8.3億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社は、経営管理層を支える中核人材の育成を推進し、将来の幹部候補となる人材の充実を図ることを人材戦略の基本方針としています。多様性の確保と管理職比率の向上を目指し、女性、外国人材、中途採用者を含む多様な人材の確保・活用に取り組んでいます。特に、営業部門における女性管理職の登用にも注力する方針です。
人材育成においては、新人研修後のOJTを通じて上司・先輩社員がスキル習得を支援する体制を整えています。また、新技術発表会や自社商品の発表会を定期的に実施し、製品・技術の理解促進や部門間交流、社外説明スキルの向上を図っています。従業員一人ひとりの自主的なキャリア形成を支援するため、業務に関連する資格取得に対して奨励金支給や受験費用補助を行う資格奨励制度も設けています。
賃金は、同一価値労働同一賃金の原則に基づき、技能、経験、勤怠、学歴、体力などの要素を総合的に考慮して決定されます。職務の内容や責任の程度、個人の能力に応じた処遇を決定するとともに、同業他社の賃金水準も参考に適切な水準を維持する方針です。雇用の安定と人材確保のため、継続的な賃金の増額にも取り組んでいます。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。男女賃金差異は、女性活躍推進法に基づく公表義務の対象項目として選択しておらず、公表されていません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 6.4% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 100.0% |
多様性・登用
同社は、労働者に占める女性労働者の割合を20%以上とすることを目標に掲げています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 労働者に占める女性労働者の割合 | 20% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
旭コンクリート工業は、コンクリート二次製品の製造販売及び関連工事の請負を主とするコンクリート関連事業と、不動産事業を展開しています。同社の事業は、社会インフラを支えるコンクリート製品の提供と、保有不動産の賃貸という二つの柱で構成されています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社の収益は、主にコンクリート関連事業から得られており、不動産事業は比較的小規模な位置づけです。コンクリート関連事業は前期から収益を伸ばしており、同社事業の大部分を占めています。不動産事業も前期から収益を伸ばしていますが、その規模は小さいです。
コンクリート関連事業
コンクリート関連事業では、ヒューム管、ボックスカルバート、共同溝などのコンクリート二次製品の製造と販売を行っています。また、これらのコンクリート製品の敷設工事も請け負っています。
収益は、コンクリート二次製品の販売、工事の請負、工事用資材や製品に装着する資材の仕入れ販売から得ています。運営は、同社が行っています。
不動産事業
不動産事業では、同社が保有するマンションなどの賃貸事業を展開しています。
収益は、保有不動産の賃貸収入から得ています。運営は、同社が行っています。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| コンクリート関連事業 | 71.8億円 | 75.9億円 |
| 不動産事業 | 42百万円 | 43百万円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
直近の業績は、売上高が前期から増加しました。損益面では、営業利益、経常利益、当期純利益もそれぞれ前期から増加する傾向を示しています。これは、原価低減や採算性を考慮した受注活動、生産性の効率化への取り組みが影響していると考えられます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
旭コンクリート工業の財務状況は、事業活動を通じて安定的に資金を生み出し、将来に向けた投資も行っている状況を示しています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
旭コンクリート工業の財務基盤は、自己資本比率が75.8%と高い水準にあり、プライム市場の製造業平均と比較しても強固な財務体質を示しています。純資産は当期で127.1億円となっています。手元資金である現金及び預金等は25.6億円を確保しており、事業運営における安定性がうかがえます。このような財務状況は、事業の継続性や将来的な成長投資の余力に繋がり、従業員の雇用や給与の安定性にも影響を与える要素となります。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 121.3億円 | 127.1億円 |
| 自己資本比率 | - | 75.8% |
| ROE(自己資本利益率) | - | - |
| 現金及び預金等 | 27.9億円 | 25.6億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
旭コンクリート工業のキャッシュフローを見ると、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローは3.9億円のプラスとなっています。これは前期の8.8億円のプラスと比較すると減少していますが、引き続き事業活動で資金を生み出している状況です。投資活動によるキャッシュフローは3.5億円のマイナスであり、長期預金の預入や有形固定資産の取得など、将来に向けた投資を行っていることを示しています。財務活動によるキャッシュフローは2.7億円のマイナスで、配当金の支払いなどによる資金の減少が主な要因です。結果として、営業活動と投資活動を合わせたフリーキャッシュフローは40百万円のプラスとなっており、本業で得た資金で投資を賄い、なお余剰資金を生み出している状況です。この資金の流れは、同社の安定した事業運営と将来への投資意欲を示しており、雇用や給与の安定性にも寄与すると考えられます。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 8.8億円 | 3.9億円 |
| 投資CF | △4.1億円 | △3.5億円 |
| 財務CF | △2.7億円 | △2.7億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 4.8億円 | 40百万円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
旭コンクリート工業は、売上の重要な部分を占めるコンクリート関連事業が官公庁の公共事業に大きく依存しているため、官公庁の財政状況により業績に悪影響が及ぶ可能性があります。また、コンクリート関連事業における主要原材料の値上がりに伴う製造原価の上昇も、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
人材・組織に関するリスクの記載はありません。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
旭コンクリート工業は、「信用第一」を社是とし、社会貢献と安定成長を追求する企業です。持続可能な社会の実現に向けたSDGsへの貢献を重視し、技術革新と人材育成を通じて未来を築いています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
旭コンクリート工業は「信用第一」を社是とし、コンクリート二次製品の製造・販売を通じて公共事業に貢献することを基本方針としています。下水道等の環境保全、国土の保全・強靭化に留意し、健全な社会資本整備の構築に協力貢献することを目指しています。
この経営方針の具体化のため、時代に適合した新技術・新製品の開発強化と市場開拓の拡大を推進する所存です。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社はCSRを重視し、社会に貢献する企業風土の確立と企業の安定成長を旨としています。従業員の健全な生活環境の改善にも努める方針です。
2023年4月よりスタートした中期経営計画では、「今後もより良い未来のために、SDGs達成に真摯に向き合っていく」方針を掲げ、SDGs達成に向けた取り組みを推進しています。重点項目として「脱炭素社会への貢献」「強靭な街づくりへの貢献」「全社員が希望を持てる会社へ」を掲げています。
特に女性社員の活躍の場を積極的に拡大し、国籍、人種、新卒、中途採用などにかかわらず多様な人材が活躍できる職場環境の整備を進めています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社は、建設土木業界における「働き方改革関連法」の適用に伴う労働環境の改善や人材流動化による雇用環境の変化に対応することを課題としています。
次代を担う中核人材の登用等における多様性の確保と育成、若手・中途人材の通年採用、職場環境の改善・整備を事業活動の基盤として、着実に実行する方針です。
また、販売・設計・生産の各部門が一体となってお客様の声に迅速かつ的確に応えられる体制構築を進めています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
旭コンクリート工業は監査役制度を採用しており、社外役員を登用することで経営の透明性と客観性を確保する体制を構築しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社の株主構成を見ると、筆頭株主は日本ヒューム、次いで太平洋セメントといった事業会社が上位を占めています。これらの主要株主は同社との間に製品の販売・仕入の取引関係を持つ関連会社であり、同社の経営に一定の影響力を持つ資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本ヒューム | 29.64% |
| 太平洋セメント | 9.17% |
| 柳内光子 | 5.44% |
| みずほ信託銀行退職給付信託太平洋セメント口 | 5.31% |
| みずほ銀行 | 4.29% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は14名(男性13名・女性1名)で構成され、女性役員比率は7.1%です。代表取締役社長は狩野堅太郎氏が務めています。社外取締役比率は30.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 狩野 堅太郎 | 取締役社長 代表取締役 | 1985年同社入社。西部支社生産部次長兼設計課長兼技術部技術開発課長、取締役技術・設計開発部長を経て、2019年6月より同社代表取締役社長より現職。 |
| 澤山 勝 | 専務取締役 生産本部長兼西部支社長 | 1988年同社入社。滋賀工場長、取締役西部支社長、常務取締役生産本部長兼西部支社長を経て、2023年6月より同社専務取締役生産本部長兼西部支社長より現職。 |
| 小玉 和成 | 専務取締役 営業本部長 | 1987年日本ヒューム管株式会社(現 日本ヒューム株式会社)入社。同社取締役を経て、2023年6月より同社専務取締役営業本部長より現職。 |
| 馬島 英希 | 取締役 経理部長 | 1996年同社入社。経理部東部管財部会計課長兼管理課長兼財務課長、経理部長兼東部管財担当部長を経て、2019年6月より同社取締役より現職。 |
| 野中 秀午 | 取締役西部支社販売部長 | 1989年同社入社。和歌山営業所長、西部支社販売部長を経て、2021年6月より同社取締役西部支社販売部長より現職。 |
| 大舘 一夫 | 取締役 総務部長兼人事部長 | 1988年小野田セメント株式会社(現太平洋セメント株式会社)入社。2021年同社入社後、総務部次長、取締役を経て、2025年4月より同社総務部長兼人事部長より現職。 |
| 岸 秀樹 | 取締役 技術・設計開発部長 | 1995年同社入社。技術・設計開発部東部駐在技術開発課長、技術・設計開発部長を経て、2023年6月より同社取締役技術・設計開発部長より現職。 |
社外取締役は、福田敏裕氏(福田公認会計士事務所代表・独立委員会委員)、黒川裕之氏(日本ヒューム内部監査室長)、島田知子氏(弁護士法人瓜生・糸賀法律事務所パートナー)です。
同社は監査役会設置会社であり、社外取締役3名と社外監査役2名を選任することで、経営の透明性と外部からの監督機能を強化しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の取締役(社外取締役を除く)の報酬は、固定報酬、業績連動報酬(賞与)、および株式報酬(譲渡制限付株式)で構成されています。社外取締役は固定報酬と業績連動報酬のみ、監査役は月例の固定報酬が支給されます。業績連動報酬と株式報酬は、営業利益、経常利益、当期純利益などの業績指標を考慮して決定され、指名報酬諮問委員会の答申を経て取締役会で決議されます。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 7名 | 1.2億円 | 17.4百万円 |
| 監査役(社外除く) | 2名 | 16百万円 | 8.2百万円 |
| 社外役員 | 7名 | 13百万円 | 1.9百万円 |
同社の役員報酬総額は1.52億円で、対象となる役員は16名です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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