※本記事は、株式会社KVK の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月23日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
KVKグループは、給水栓・給排水金具・継手及び配管部材の製造・加工・仕入れ・販売を主な事業内容としています。主に日本でこれらの製品の製造・販売を行うほか、中国とフィリピンの子会社を通じてグローバルに事業を展開しています。
単体従業員数は620名、連結従業員数は1,022名です。セグメントは日本、中国、フィリピンの3つです。
国内においてはKVKが主に給水栓・給排水金具・継手及び配管部材の製造・加工・仕入れ・販売を一手に担い、海外の2社の連結子会社を通じてグローバルに事業を展開しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
株式会社KVKは、水まわり製品の製造・販売を手がける企業として、安定した事業基盤を持つ同社グループです。従業員の平均勤続年数や平均年齢からは、長期的なキャリア形成が可能な環境であることがうかがえます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、従業員が長く働き続けられる環境を提供しており、平均勤続年数や平均年齢から、安定した人材構成が見られます。単体従業員数が連結従業員数に占める割合も高く、同社がグループ全体の中心的な役割を担っていることが示されています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,368,000円 |
| 平均勤続年数 | 14.6年 |
| 平均年齢 | 39.9歳 |
| 単体従業員数 | 620人 |
| 連結従業員数 | 1,022人 |
| 単体のグループ内比率 | 60.7% |
同社は、確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の退職給付制度を設けています。これらの制度は、確定給付企業年金制度、役職功労加算金制度、確定拠出年金制度から構成されています。
退職一時金制度もありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。なお、退職給付債務は12.7億円、年金資産は22.6億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、2030年に向けた長期ビジョン「Vision2030」の実現と中期経営計画の達成に向け、「人財」の育成・活用を最重要課題と位置付けています。人的資本経営の推進を不可欠と認識し、持続的な企業価値向上と社会貢献を目指しています。
報酬制度は、職能資格制度を基盤とした「公正な評価と公正な処遇」を基本方針としています。報酬の決定には、短期的な業績だけでなく、行動能力、職責(プロセス)、勤務態度、同社が重視する改善活動が評価項目に含まれています。非正規雇用者に対する処遇改善も今後の重要な課題として認識し、公平性や納得感のある職場環境整備を進めています。
人材育成方針としては、社員の能力を十分に発揮できる組織づくり、社員一人ひとりの成長支援、適材適所で機動力のある組織体制の構築を掲げています。具体的には、社内研修制度や外部研修を通じた自己研鑽への投資、DX人材の育成、キャリア採用や外国籍人材の採用による多様な人材の確保に取り組んでいます。社内環境整備方針では、社員の健康推進に向けたワークライフバランスへの取り組みや、多様な働き方が選択できる人事制度の整備を進めています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。連結子会社は公表義務の対象外のため、記載を省略しています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 1.1% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 40.0% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 63.8% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(正規雇用労働者) | 71.5% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(パート・有期労働者) | 76.7% |
多様性・登用
これらの指標は、提出会社単体の平均年齢、平均勤続年数、および採用人員数を示しています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 平均年齢(男性) | 40.9歳 |
| 平均年齢(女性) | 38.1歳 |
| 平均勤続年数(男性) | 15.5年 |
| 平均勤続年数(女性) | 12.9年 |
| 新卒採用(男性) | 12名 |
| 新卒採用(女性) | 6名 |
| 新卒採用女性比率 | 33.3% |
| 中途採用(男性) | 9名 |
| 中途採用(女性) | 10名 |
| 中途採用女性比率 | 52.6% |
| 採用合計(男性) | 21名 |
| 採用合計(女性) | 16名 |
| 採用合計女性比率 | 43.2% |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
株式会社KVKは、給水栓や給排水金具、継手、配管部材の製造・加工・仕入れ・販売を手掛ける専門メーカーです。水回り製品を通じて、人々の暮らしを支える事業を展開しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、主に日本国内で給水栓・給排水金具・継手及び配管部材の製造・加工・仕入れ及び販売を行っています。また、中国とフィリピンに子会社を持ち、グローバルな生産体制を構築しています。収益は、これらの水回り製品の製造・販売から得られています。
日本
同社グループの主要な事業拠点であり、給水栓・給排水金具・継手及び配管部材の製造・加工・仕入れ及び販売を担っています。主力商品であるシングルレバー式水栓やサーモスタット式水栓の受注が増加しており、同社グループの売上高の大部分を占めています。
中国
大連北村閥門有限公司が、主に単独水栓の製造を行い、その大部分を日本へ供給しています。一部は中国国内でも販売しており、同社からの製品購入による中国国内での販売も行っています。
フィリピン
KVK PHILIPPINES,INC.が、同社から調達した部品を組付加工し、同社へ供給しています。グループ間の取引が中心となっています。
同社グループの売上高は日本が大部分を占めており、特定の地域への収益集中が見られます。また、タカラスタンダード株式会社への販売実績も一定の割合を占めています。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 日本 | 292億円 | 304億円 |
| 中国 | 4.5億円 | 4.9億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの過去5期間の業績を見ると、売上高は着実に増加傾向にあります。経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益も同様に増加傾向を示しており、安定した成長を続けていることがうかがえます。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 280億円 | 297億円 | 298億円 | 296億円 | 309億円 |
| 経常利益 | 24.4億円 | 26.2億円 | 28.7億円 | 30.7億円 | 30.7億円 |
| 経常利益率 | 8.7% | 8.8% | 9.6% | 10.4% | 10.0% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 16.9億円 | 17.7億円 | 19.8億円 | 21.1億円 | 21.9億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 209.60 | 223.37 | 248.76 | 264.03 | 273.01 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高は、前期から増加しています。また、従業員1人あたりの営業利益も前期から増加しており、従業員あたりの収益創出力と利益創出力がともに向上している傾向が見られます。これは、組織全体の効率性が高まっていることを示唆しています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 29.0百万円 | 30.2百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 2.6百万円 | 2.7百万円 |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
KVKの経営安定性について、財務基盤やキャッシュフローの状況から見ていきます。
当期は将来に向けた投資が活発に行われている状況が示されています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
KVKの財務基盤を見ると、自己資本比率は当期で84.8%となっており、前期の78.1%から上昇しています。これはプライム市場の製造業平均と比較しても高い水準を示しており、強固な財務体質であることがうかがえます。
ROE(自己資本利益率)は当期7.4%で、前期の7.6%からわずかに低下しています。プライム市場平均と比較するとやや低い水準です。
手元資金である現金及び預金は当期33.5億円で、前期の54.6億円から減少しています。強固な財務基盤は、事業環境の変化に対する耐性につながり、長期的な雇用や給与の安定性にも影響を与える要素となります。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 283億円 | 308億円 |
| 自己資本比率 | 78.1% | 84.8% |
| ROE(自己資本利益率) | 7.6% | 7.4% |
| 現金及び預金 | 54.6億円 | 33.5億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
KVKのキャッシュフローを見ると、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローは当期3.1億円の収入となっており、前期の35.7億円から減少しています。これは主に仕入債務の減少や法人税等の支払額によるものです。
投資活動によるキャッシュフローは当期△18.4億円の支出となっており、前期の△2.4億円から支出が増加しています。これは主に有形固定資産の取得や投資有価証券の取得によるものです。
財務活動によるキャッシュフローは当期△6.9億円の支出で、前期の△6.1億円から支出が増加しています。これは主に配当金の支払額によるものです。
営業活動によるキャッシュフローと投資活動によるキャッシュフローを合わせたフリーキャッシュフローは当期△15.2億円となっており、前期の33.2億円からマイナスに転じています。これは本業で得た資金を上回る投資を行っている成長投資の状況を示しています。将来に向けた積極的な投資は、企業の成長性につながる一方で、短期的な手元資金の減少につながる傾向があります。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 35.7億円 | 3.1億円 |
| 投資CF | △2.4億円 | △18.4億円 |
| 財務CF | △6.1億円 | △6.9億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 33.2億円 | △15.2億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは水栓市場において同業他社との厳しい価格競争に直面しており、製造コストの上昇を販売価格に転嫁することが容易ではない状況です。商品の優位性が保てず価格競争が激化した場合、経営成績を悪化させる可能性があります。
また、製品製造のための原材料や部品の調達において、銅価格の高止まりや原油価格の高騰など、原材料価格が高騰するリスクがあります。需給環境の変化により価格が高騰した場合、同社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループの本社および国内工場がある岐阜県は人口が減少傾向にあり、生産年齢人口の割合も全国と比較して低い状況です。将来的に必要な人材を適切な費用で確保できなくなった場合、事業運営に大きな影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
KVKは、「もっと使いやすく、もっと心地いい」水まわり商品を通じて、人々の生活を豊かにすることを目指している会社です。お客様満足度の向上を追求し、ステークホルダーからの信頼と期待に応える企業価値の向上に努めています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、「常に使う人の身になって考えた誰にでも“もっと使いやすく、もっと心地いい”水まわり商品を通して、環境にやさしい、快適な水まわりを提案し、人々の生活を豊かにする。」という基本理念を掲げています。この理念のもと、株主、取引先、ユーザー、地域社会、社員など、すべてのステークホルダーからの信頼と期待に応える企業価値の向上を目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、「協力と発展」を経営理念に掲げ、「事業は人なり」の信念と「人間尊重」を基本としています。持続的な企業価値の向上と社会貢献ができる人材の育成に取り組む方針です。社員の能力を十分に発揮できる組織づくりとして、自立性を持った人材の育成、組織目標の共有、円滑なコミュニケーションができる社内風土の醸成を進めています。
また、社員一人ひとりの成長支援として、自己研鑽への投資や自発的な「学び」の文化醸成に力を入れています。性別、国籍、キャリアを問わず教育の機会を提供し、次世代リーダーへの成長を支援しています。多様な人材の確保・育成・風土醸成にも取り組み、キャリア採用や外国籍人材の採用、ダイバーシティを推進しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、サステナビリティ視点での経営基盤強化を重点テーマとしています。具体的には、人的資本経営の推進、地域社会への参画と貢献、透明性・健全性の高い経営体制づくり、リスク管理体制の強化に取り組んでいます。
環境配慮と使いやすさを追求した製品開発や、環境負荷低減に配慮した生産活動の推進も重要な取り組みです。これらの活動を通じて、持続可能な社会の実現に貢献することを目指しています。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
KVKは監査役会設置会社として、透明性と健全性の高い経営体制を構築しています。社外役員が客観的な視点から経営監視機能を果たし、企業価値の最大化を目指しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
KVKの株主構成を見ると、筆頭株主は有限会社北村興産であり、創業家や関連会社が上位に名を連ねています。また、KVK取引先持株会やKVK従業員持株会も主要な株主として存在しています。地域金融機関も上位株主として同社を支えている状況です。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 有限会社北村興産 | 14.41% |
| KVK取引先持株会 | 7.84% |
| 十六銀行 | 3.73% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は11名(男性11名・女性0名)で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は末松正幸氏が務めています。社外取締役比率は25.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 末松 正幸 | 取締役社長 (代表取締役) | 1988年9月同社入社。経営管理本部長などを経て、2009年6月代表取締役社長に就任。2012年6月より現職。 |
| 北川 喜一 | 取締役 経営管理本部長兼 情報システム部長 | 1985年3月同社入社。総務部長、執行役員経営管理副本部長兼企画部長などを経て、2021年6月取締役就任。2024年5月より現職。 |
| 須藤 崇宏 | 取締役 海外事業室担当 | 1995年4月同社入社。研究開発本部開発部長、生産本部本社工場製造二部長などを経て、2023年6月取締役就任。2026年1月より現職。 |
| 坪内 康 | 取締役 営業本部長 | 1990年2月同社入社。営業本部各支社長、営業推進部長などを歴任し、2024年6月取締役就任。2025年6月より現職。 |
| 加藤 浩二 | 取締役 生産本部長兼 本社工場長 | 1992年3月株式会社喜多村合金製作所入社、2008年3月同社入社。生産本部各部長、執行役員などを経て、2024年6月取締役就任。2025年10月より現職。 |
| 山田 康司 | 取締役 研究開発本部長 品質保証室担当 | 1988年4月株式会社喜多村合金製作所入社、2008年3月同社入社。研究開発本部開発部長、営業本部関西支社長などを経て、2025年6月取締役就任。2026年1月より現職。 |
社外取締役は、奥田真之氏(愛知産業大学経営学部総合経営学科教授)、山田晋也氏(山田公認会計士事務所開設)です。
同社は監査役会設置会社であり、社外取締役が客観的な立場から経営の適正性・効率性を監視する役割を担っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
KVKの役員報酬は、固定報酬である金銭報酬と、企業価値向上への貢献意欲を高めることを目的とした株式報酬で構成されています。取締役の基本報酬は月額の定期同額報酬であり、株式報酬は株式交付信託の仕組みが導入されています。社外役員については、独立性確保の観点から金銭報酬のみで構成されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 7名 | 1.1億円 | 15.5百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 12百万円 | 12.5百万円 |
| 社外役員 | 4名 | 10百万円 | 2.4百万円 |
なお、人数は事業年度中に報酬の支給対象となった人数であり、期中に退任した役員を含みます。取締役の報酬等の総額には、使用人兼務取締役の使用人分給与は含まれていません。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。
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