ツガミ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ツガミ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ツガミは東京証券取引所プライム市場に上場し、日本及び中国を中心に自動旋盤や研削盤、マシニングセンタ等の工作機械の製造・販売を主力事業として展開しています。直近の業績トレンドとしては、中国およびインド市場等での事業推進が奏功し、売上収益と当期利益がいずれも過去最高を更新する大幅な増収増益を達成しています。


※本記事は、ツガミの有価証券報告書(第123期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月16日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準はIFRSです。

1. ツガミってどんな会社?


自動旋盤をはじめとする高精度な工作機械の製造・販売をグローバルに展開する企業です。

(1) 会社概要


1937年に新潟県長岡市で設立され、1949年に各証券取引所へ上場しました。1991年の米国での買収を皮切りに、2003年の中国子会社設立、2011年のインド子会社設立など海外展開を加速させてきました。近年もマレーシアやベトナムに拠点を新設し、グローバルな事業体制を構築しています。

従業員数は連結で3,515名、単体で482名です。筆頭株主は信託業務を行う日本マスタートラスト信託銀行(信託口)で、第2位も同様に信託業務を行う日本カストディ銀行(信託口)、第3位は金融機関の第四北越銀行となっています。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 12.22%
日本カストディ銀行(信託口) 4.86%
第四北越銀行 4.69%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性2名の計9名で構成され、女性役員比率は22.0%です。代表取締役社長は渡部昇弘氏が務めています。社外取締役は5名選任されています。

氏名 役職 主な経歴
渡部昇弘 代表取締役社長 1993年同社入社。海外統括部次長、インド法人出向を経て、国内営業部門を統括。2024年より現職。
松下真実 代表取締役 2010年同社入社。海外統括部長、海外事業統括部長などを歴任し、海外部門を牽引。2024年より現職。
羽賀勝一郎 取締役 1995年北越銀行(現第四北越銀行)入行。総務部副部長などを経て、2025年に同社入社。同年より現職。
唐東雷 取締役顧問 兼津上精密機床(中國)有限公司最高顧問 2005年同社入社。中国事業を担当し、中国子会社の董事長などを歴任。2025年より現職。


社外取締役は、山宮道代(田辺総合法律事務所パートナー)、半場秀(島田法律事務所パートナー)、竹内芳美(中部大学理事長)、太田邦正(元東京精密社長)、安達健祐(元経済産業事務次官)です。

2. 事業内容


同社グループは、「日本」、「中国」、「インド」、「韓国」および「その他」事業を展開しています。

(1) 日本・中国


同社グループの主力製品は、自動旋盤、研削盤、マシニングセンタ、転造盤などの高精度な工作機械です。自動車部品やIT、医療分野などの精密加工に欠かせない設備として、国内外の幅広い製造業の顧客に提供されています。

収益はこれらの工作機械本体および部品の販売、保守サービスから得ています。日本では同社が製造・販売を担い、中国では津上精密机床(浙江)有限公司などが製造・販売を行うとともに、日本への部品や製品の供給拠点としても機能しています。

(2) インド・韓国およびその他


新興国や成長市場における需要の取り込みと、既存顧客へのサポートを目的としています。インドでは現地法人が工作機械の製造と販売を展開し、拡大する現地の設備投資需要に応えています。

韓国をはじめ、タイ、シンガポール、マレーシア、ドイツ、ベトナムの各拠点では、現地子会社が製品の販売と保守・修理サービスを提供しています。収益源は機械の販売代金やメンテナンス費用であり、グローバルな販売・サービス網を構築しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上収益と税引前利益は一時的な減少局面があったものの、全体として力強い拡大傾向にあります。特に直近2期間の伸びが著しく、旺盛な設備投資需要を的確に取り込み、利益率も大きく改善しながら成長を遂げています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上収益 932億円 950億円 839億円 1,074億円 1,291億円
税引前利益 188億円 165億円 138億円 237億円 356億円
利益率(%) 20.2% 17.3% 16.4% 22.1% 27.6%
当期利益(親会社所有者帰属) 95億円 77億円 54億円 109億円 167億円

(2) 損益計算書


収益構造を見ると、増収に伴って営業利益が大きく拡大しており、事業の収益性が大幅に高まっています。グローバルな需要増を背景に、売上高営業利益率も力強い伸びを示しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上収益 1,074億円 1,291億円
売上総利益 57億円 77億円
売上総利益率(%) 5.3% 6.0%
営業利益 233億円 361億円
営業利益率(%) 21.7% 28.0%

(3) セグメント収益


地域別のセグメント実績を見ると、主力である中国市場の成長が全体の増収増益を強力に牽引しています。また、インド市場も着実な売上成長を遂げており、グローバル展開が順調に進捗していることが伺えます。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期) 利益(2025年3月期) 利益(2026年3月期) 利益率
日本 294億円 277億円 2億円 23億円 8.4%
中国 905億円 1,110億円 224億円 312億円 28.1%
インド 47億円 68億円 -3億円 3億円 5.1%
韓国 16億円 13億円 0.5億円 0.0億円 0.0%
その他 5億円 13億円 -0.4億円 0.3億円 2.4%
連結(合計) 1,074億円 1,291億円 233億円 361億円 28.0%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は23.4%で、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も66.8%であり、いずれも市場平均を上回っています。本業で稼いだ営業利益をもとに借入返済を行い、投資も手元資金で賄う健全型のキャッシュ・フロー状況にある優良企業と言えます。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 89億円 286億円
投資CF -20億円 -21億円
財務CF -88億円 -159億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「創業以来培ってきた精密技術を基礎に市場ニーズを絶えず先取りし、新しい価値の創造を通じ、社会に貢献すること」を経営の基本方針として掲げています。お客様の要望に合致した「高精度」「高速」「高剛性」の製品を提供し続けることで、持続的な成長と社会課題の解決を目指しています。

(2) 企業文化


同社は、環境保全やコンプライアンスなどのCSR活動に積極的に取り組むことで、株主や顧客をはじめとする全てのステークホルダーに信頼される企業として最大限の経営努力をすることを重視しています。変化する製造業を取り巻く環境に対応し、持続可能で信頼性の高いモノづくりを推進しています。

(3) 経営計画・目標


同社は具体的な数値目標を伴う中長期の経営計画を有報内で公表していません。設備投資意欲が旺盛な成長地域での生産・販売・サービス体制を一層強化し、グローバル規模での持続的成長の実現を目指すという定性的な目標を掲げて経営を行っています。

(4) 成長戦略と重点施策


同社は中長期的経営戦略として「グローバル成長の加速と製品ポートフォリオの最適化」を掲げ、環境対応の自動車部品や高度化が進むIT・医療分野など高付加価値領域への投資を強化しています。また、「生産性とサプライチェーンの効率化」として需要に応じた柔軟な供給体制を構築し、「社会課題解決に貢献する製品開発」として自動化・省人化を軸とする次世代の工作機械開発に注力しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、工作機械を通じてモノづくりの基盤を支える上で、社員一人ひとりの技術力と挑戦心が持続的な成長の源泉であると位置づけています。年齢、性別、国籍などに関係なく、すべての従業員が能力を発揮し成長を感じられる職場環境の構築に取り組んでおり、新卒採用だけでなく即戦力となる中途採用も積極的に行っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 44.0歳 19.0年 7,072,000円


※平均年間給与は時間外手当及び賞与を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 9.0%
男性育児休業取得率 91.0%
男女賃金差異(全労働者) 72.0%
男女賃金差異(正規雇用) 78.7%
男女賃金差異(非正規雇用) 60.3%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、採用者に占める女性労働者(正社員)の割合(7.7%)、管理職に占める中途採用者の割合(22.6%)、管理職に占める外国人の割合(0.4%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 景気変動による影響


工作機械業界は景気変動の影響を受けやすいため、予期せぬ市場規模の縮小が生じた場合、同社グループの生産や業績に影響を与える可能性があります。

(2) 原材料価格の変動による影響


製品の主要原材料である鋳物や鋼材は為替相場や国際的な需給の状況に大きく影響されるため、原材料価格の上昇が業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 為替変動による影響


海外向けの販売比率が上昇しており、急激な円高に伴う販売価格の引き下げ要求や、人民元などの為替レートの変動が業績や財政状態に影響を与える可能性があります。

(4) 海外での事業活動による影響


中国やインドなどでの製造・販売、韓国やドイツ等での販売・サービス展開において、当該国の政情悪化や法律・規制の変更が事業に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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