ミネベアミツミ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ミネベアミツミ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所プライム市場に上場する総合精密部品メーカーです。ベアリング等の機械加工品、電子デバイス、半導体、自動車部品などを展開し、売上高1兆5,227億円(前期比8.6%増)、営業利益945億円(同28.5%増)と増収増益を達成しました。


#記事タイトル:ミネベアミツミ転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

※本記事は、ミネベアミツミ株式会社 の有価証券報告書(第79期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は IFRS です。

1. ミネベアミツミってどんな会社?


ベアリングなどの超精密機械加工技術を核に、モーター、センサー、半導体、自動車部品などを手がける総合精密部品メーカーです。

(1) 会社概要


1951年に日本ミネチュアベアリングとして設立され、1981年にミネベアへ改称しました。2017年にミツミ電機と経営統合し、商号をミネベアミツミに変更しました。その後も積極的なM&Aを行い、2019年には自動車部品メーカーのユーシンを子会社化するなど、事業領域を拡大しています。

同グループは連結で83,256名、単体で4,821名の従業員を擁するグローバル企業です。筆頭株主は信託業務を行う日本マスタートラスト信託銀行(信託口)で、第2位も同様に資産管理を行う日本カストディ銀行(信託口)です。第3位は創業者の寄付により設立された公益財団法人高橋産業経済研究財団です。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 16.69%
日本カストディ銀行(信託口) 7.52%
公益財団法人高橋産業経済研究財団 3.84%

(2) 経営陣


同社の役員は男性13名、女性3名の計16名で構成され、女性役員比率は18.8%です。代表取締役 会長 CEOは貝沼由久氏です。社外取締役比率は43.8%です。

氏名 役職 主な経歴
貝沼 由久 代表取締役会長 CEO 1988年同社入社。取締役法務担当、欧米地域営業本部長などを経て、2009年代表取締役社長執行役員。2023年4月より現職。
森部 茂 代表取締役副会長 1980年ミツミ電機入社。同社社長を経て、2017年の経営統合によりミネベアミツミ代表取締役副会長に就任。2017年6月より現職。
吉田 勝彦 取締役社長執行役員COO & CFO東京本部長 1984年同社入社。経営管理本部副本部長、専務執行役員などを歴任。2023年4月より現職。
岩屋 良造 取締役副社長執行役員アクセスソリューションズ事業本部長 1981年同社入社。電子機器事業本部ライティングデバイス事業部長、ミツミ電機社長執行役員などを経て、2021年4月より現職。
野根 茂 取締役専務執行役員営業本部長 1982年同社入社。大阪支店長、常務執行役員などを経て、2016年専務執行役員、2024年10月より現職。
水間 聡 取締役専務執行役員プレシジョンテクノロジーズ事業本部長 1986年同社入社。ボールベアリング事業部副事業部長、常務執行役員などを経て、2022年専務執行役員。2023年6月より現職。
鈴木 克敏 取締役常務執行役員技術本部長 1986年同社入社。電子機器製造本部技術開発部門副担当などを経て、2022年技術本部長。2023年6月より現職。
松岡 卓 取締役(非業務執行) 2003年啓愛社入社。同社取締役、常務取締役、専務取締役を経て、2014年同社取締役副社長執行役員。2024年6月より現職。


社外取締役は、宮崎裕子(元最高裁判所判事)、松村敦子(東京国際大学教授)、芳賀裕子(経営コンサルタント)、片瀬裕文(元経済産業審議官)です。

2. 事業内容


同社グループは、「プレシジョンテクノロジーズ事業」、「モーター・ライティング&センシング事業」、「セミコンダクタ&エレクトロニクス事業」、「アクセスソリューションズ事業」および「その他」事業を展開しています。

プレシジョンテクノロジーズ事業


主な製品は、ボールベアリング、ロッドエンドベアリング、HDD用ピボットアッセンブリー等のメカニカルパーツおよび航空機用ねじです。データセンターや航空機産業などの顧客に対し、超精密機械加工技術を活かした製品を提供しています。

収益は、これらの製品の販売により得ています。運営は、同社およびNMB-Minebea Thai Ltd.などのアジア、米国、欧州の各国に所在する子会社が行っています。

モーター・ライティング&センシング事業


主な製品は、電子デバイス(液晶用バックライト等)、センシングデバイス(計測機器)、HDD用スピンドルモーター、各種モーター(ステッピング、DC、ファン、車載)です。情報通信機器や家電、自動車向けの部品として供給されています。

収益は、製品の販売により得ています。運営は、同社およびNMB-Minebea Thai Ltd.、MINEBEA ELECTRONICS & HI-TECH COMPONENTS (SHANGHAI) LTD.などの子会社が行っています。

セミコンダクタ&エレクトロニクス事業


主な製品は、半導体デバイス、光デバイス、機構部品、電源部品およびスマート製品です。スマートフォンや産業機器、医療機器などの幅広い分野に向けて製品を展開しています。

収益は、製品の販売により得ています。運営は、同社、ミツミ電機、エイブリック、ミネベアパワーデバイスなどの子会社が行っています。

アクセスソリューションズ事業


主な製品は、キーセット、ドアラッチ、ドアハンドル等の自動車部品のほか、産業機器用部品です。主に自動車メーカー向けに、車両へのアクセスやセキュリティに関わる製品を提供しています。

収益は、製品の販売により得ています。運営は、ユーシン、ミネベア アクセスソリューションズなどの子会社が行っています。

その他事業


主な製品は、ソフトウェアの設計、開発および自社製機械です。

収益は、製品の販売やサービスの提供により得ています。運営は、ミネベア ソフトウェアソリューションズなどが担当しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上収益は連続して増加傾向にあり、事業規模が拡大しています。利益面では、原材料価格や物流費の高騰などの影響を受けつつも、当期は増益となり、親会社の所有者に帰属する当期利益も回復傾向を示しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上収益(または売上高) 9,884億円 11,241億円 12,922億円 14,021億円 15,227億円
税引前利益 495億円 908億円 921億円 755億円 826億円
利益率(%) 5.0% 8.1% 7.1% 5.4% 5.4%
当期利益(親会社所有者帰属) 388億円 689億円 732億円 540億円 595億円

(2) 損益計算書


売上高は増加し、売上総利益率も改善しています。営業利益率は上昇しており、収益性が向上しています。コスト管理や高付加価値製品への注力が奏功していることがうかがえます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 14,021億円 15,227億円
売上総利益 2,314億円 2,704億円
売上総利益率(%) 16.5% 17.8%
営業利益 735億円 945億円
営業利益率(%) 5.2% 6.2%


販売費及び一般管理費を含む営業費用のうち、従業員給付費用が3,476億円(営業費用合計に対する構成比24%)、原材料仕入高が7,963億円(同56%)を占めています。

(3) セグメント収益


全セグメントで売上が増加しました。特にプレシジョンテクノロジーズ事業とモーター・ライティング&センシング事業が大幅な増益となり、全体の利益成長を牽引しています。セミコンダクタ&エレクトロニクス事業は増収ながら減益となりました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
プレシジョンテクノロジーズ事業 2,181億円 2,635億円 380億円 557億円 21.1%
モーター・ライティング&センシング事業 3,774億円 4,181億円 119億円 230億円 5.5%
セミコンダクタ&エレクトロニクス事業 5,177億円 5,514億円 355億円 220億円 4.0%
アクセスソリューションズ事業 3,223億円 3,284億円 106億円 159億円 4.8%
その他 72億円 55億円 -7億円 -12億円 -21.7%
調整額 -406億円 -441億円 -218億円 -209億円 -
連結(合計) 14,021億円 15,227億円 735億円 945億円 6.2%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


本業で得た資金に加え、財務活動でも資金を調達し、将来の成長に向けた投資を積極的に行っている「積極型」です。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 1,018億円 1,337億円
投資CF -763億円 -1,258億円
財務CF -302億円 640億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は8.2%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率(親会社所有者帰属持分比率)は46.9%で市場平均とほぼ同じ水準です。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「より良き品を、より早く、より多く、より安く、より賢くつくることで持続可能かつ地球にやさしく豊かな社会の実現に貢献する」という経営理念を掲げています。この理念のもと、企業の成長と地球環境・社会の持続可能な成長の両立を目指しています。

(2) 企業文化


「従業員が誇りを持てる会社」「お客様の信頼を得る」などからなる社是「五つの心得」を基本としています。また、「Passion to Create Value through Difference」をスローガンに掲げ、常識を超えた「違い」で新しい価値を創造することや、ものづくりに真摯に取り組む姿勢を重視する文化があります。

(3) 経営計画・目標


2029年3月期に向けた経営目標として、以下の数値を掲げています。M&Aやアライアンスを通じて企業価値の拡大を進め、持続的な成長を目指しています。

* 売上高:2.5兆円
* 営業利益:2,500億円

(4) 成長戦略と重点施策


「選択と集中」ではなく、「8本槍戦略」を軸とした多角的な事業ポートフォリオの構築を進めています。機械加工、電子機器、車載、半導体技術の融合(「相合」)により、社会的課題解決製品や高付加価値製品を開発します。また、競争力の源泉であるQCDSに環境・効率・スピードを加えた「QCDESS」戦略を推進しています。

* コア事業(ベアリング、モーター等)の強化とシェア拡大
* 8本槍製品(アナログ半導体、センサー等)の進化とニッチ市場でのシェア獲得
* 「相合」によるシナジー創出(自動車、ロボティクス、医療等への展開)

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「従業員の力を最大化」をマテリアリティの一つとし、グローバル規模での人材育成とダイバーシティ推進に注力しています。将来の経営を担うコア人材の発掘・育成や、製造・営業・技術のプロフェッショナル育成を進めています。また、多様な人材が活躍できる組織風土の醸成や、従業員エンゲージメントの向上にも取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 45.0歳 16.5年 7,620,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 3.5%
男性育児休業取得率 71.0%
男女賃金差異(全労働者) 80.2%
男女賃金差異(正規雇用) 82.1%
男女賃金差異(非正規雇用) 99.4%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、正社員採用に占める女性比率(20.9%)、2028年度女性管理職比率目標(8.0%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 自然災害等によるリスク


地震、洪水などの自然災害や感染症の発生により、生産・販売活動に影響が出る可能性があります。同社はハザードマップ等によるリスク把握やBCPの拡充、サプライチェーン管理を行い、危機管理体制を強化しています。また、金融市場の混乱に備え、資金調達の長期化などの対策を講じています。

(2) 海外進出に潜在するリスク


世界各地に拠点を展開しているため、予期せぬ法令変更、テロ、戦争などの社会的混乱のリスクがあります。これに対し、危機管理マニュアルの整備や現地当局との連携、地域貢献活動を通じてリスク低減を図るとともに、生産拠点の分散化を進め、供給責任を果たせる体制を構築しています。

(3) 為替変動によるリスク


海外での売上・生産比率が高いため、急激な為替変動が業績に影響を与える可能性があります。このため、一定のルールに基づき為替予約等を行い、リスクヘッジを実施しています。

(4) 急激な市場環境の変化と低価格競争によるリスク


主要市場での競争激化や需要変動、価格競争が業績に影響する可能性があります。販売先の分散や債権管理の強化に加え、付加価値の高いオンリーワン製品の開発に注力することで、価格競争に巻き込まれない事業体質の構築を目指しています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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