※本記事は、株式会社アイチコーポレーション の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月18日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
同社グループは、電力・電気・通信工事用や建設・荷役用の穴掘建柱車、高所作業車、スキッドステアローダーなどの特装車の製造、販売、部品・修理、および研修を手掛けています。
単体従業員数は940名、連結従業員数は1,012名です。
国内においてはアイチコーポレーションが生産・販売を一手に担い、海外2社の連結子会社を通じてグローバルに事業を展開しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
株式会社アイチコーポレーションは、高所作業車などの製造・販売・アフターサービスを手がける企業です。同社グループでは、従業員が長く安心して働ける環境が整っており、安定したキャリアを築きたいと考える方にとって魅力的な選択肢となるでしょう。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、従業員の平均勤続年数が長く、平均年齢も比較的高めであることから、社員が定着しやすく、長期的なキャリア形成が可能な環境であると考えられます。経験豊富なベテラン社員が多く在籍し、安定した組織運営がされている傾向が見られます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,912,000円 |
| 平均勤続年数 | 19.9年 |
| 平均年齢 | 44.4歳 |
| 単体従業員数 | 940人 |
| 連結従業員数 | 1,012人 |
| 単体のグループ内比率 | 92.9% |
同社は、確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の退職給付制度を採用しています。国内の従業員を対象としており、確定給付企業年金制度と複数事業主制度の日本産業機械工業企業年金基金に加入しています。
退職給付債務は5兆2,590億円、年金資産は7兆1,297億円となっています。退職一時金制度があります。ただし支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社は、人的資本を中長期的な企業価値向上を実現するための経営上の最重要基盤の一つと位置付け、その最大化を基本方針としています。事業戦略の着実な遂行と飛躍的な向上のため、人的資本への戦略的な投資を実施しています。
組織戦略においては、採用、育成、制度、企業風土への継続的な投資を通じて、人材力および組織力(従業員エンゲージメント)の向上に注力しています。これらの取り組みにより、生産性の向上を実現することを重視しています。
また、従業員の報酬については、人的資本投資の一環として処遇改善を継続的に行うとともに、生産性向上の状況等を踏まえ、報酬水準の見直しを適宜実施しています。従業員の主体的な成長と組織への参画意識を高めることを目的として、制度改定による資格取得意欲の向上および前向きな企業風土の醸成に取り組んでいます。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 1.9% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 55.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 72.6% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 73.5% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 51.4% |
環境
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 生産CO2排出量の削減(2013年度比) | ▲38.0% |
| 再生可能エネルギーの導入率 | 30.3% |
| 廃棄物排出量削減(単独、2020年度比) | ▲35.6% |
社会
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 正従業員の男女賃金の差異 | 73.5% |
| 男性育児休暇取得率 | 60.0% |
| 障がい者雇用率(単独) | 2.8% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
アイチコーポレーションは、電力・電気・通信工事用の穴掘建柱車や高所作業車、建設・荷役用の高所作業車などの特装車の製造・販売を主軸とし、これら製品の部品供給や修理、研修までを一貫して手掛ける事業構造となっています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、高所作業車等の製造・販売およびアフターサービスに関連する事業を展開しており、主に「特装車」「部品・修理」「その他の事業セグメント」の3つの報告セグメントで構成されています。収益は、これらの事業活動を通じて得られています。国内市場が収益の大部分を占めており、特定の顧客への売上集中は見られません。
特装車
このセグメントは、高所作業車等の新車販売事業を担っています。収益は、主に電力業界向けの穴掘建柱車や高所作業車などの特装車の販売から得ています。当連結会計年度の売上高は前期と比較して減少しています。
部品・修理
このセグメントは、高所作業車等のアフターサービス事業を展開しています。収益は、部品販売や修理サービス、予防整備提案、車検業務など、継続的なワンストップサービスから得ています。当連結会計年度の売上高は前期と比較して増加しています。
その他の事業セグメント
このセグメントは、報告セグメントに含まれない事業であり、高所作業車等の中古車販売および教育事業等を行っています。当連結会計年度の売上高は前期と比較して大きく増加しています。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 特装車 | 460億円 | 447億円 |
| 部品・修理 | 127億円 | 141億円 |
| その他の事業セグメント | 5.9億円 | 9.0億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの過去5期間の業績を見ると、売上高は増減を繰り返しながら推移しています。経常利益も同様に変動が見られます。親会社株主に帰属する当期純利益は、直近の連結会計年度において増加となりました。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 566億円 | 607億円 | 531億円 | 593億円 | 596億円 |
| 経常利益 | 77.4億円 | 80.2億円 | 70.2億円 | 82.3億円 | 81.7億円 |
| 経常利益率 | 13.7% | 13.2% | 13.2% | 13.9% | 13.7% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 56.4億円 | 59.6億円 | 52.7億円 | 63.3億円 | 66.6億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 74.09 | 79.16 | 70.26 | 84.96 | 100.73 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高は、前期と比較して増加しています。また、従業員1人あたりの営業利益も前期から増加となりました。これらの指標は、同社グループの生産性が前期から向上していることを示しています。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 57.8百万円 | 58.9百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 7.3百万円 | 7.4百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
株式会社アイチコーポレーションは、本業で資金を生み出しつつ、将来に向けた投資活動を継続している状況です。財務基盤は強固であり、安定した事業運営が期待されます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、高い自己資本比率と手元資金の確保により安定している状況です。自己資本比率はプライム市場の製造業平均を大きく上回る水準を示しており、強固な財務体質がうかがえます。ROE(自己資本利益率)はプライム市場平均と比較してやや低い水準となっていますが、安定した事業運営を継続していることが示されています。手元資金も一定規模を維持しており、事業の継続性や雇用・給与の安定性につながる要素であると考えられます。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 840億円 | 754億円 |
| 自己資本比率 | 83.7% | 81.2% |
| ROE(自己資本利益率) | 7.6% | 8.4% |
| 現金及び預金 | 469億円 | 267億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益や減価償却費などにより資金を得たものの、売上債権の増加額や法人税等の支払額、仕入債務の減少額などにより、前期に比べて減少しています。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形及び無形固定資産の取得による支出が主な要因となり、支出が増加しました。財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得による支出や配当金の支払額により、支出が大幅に増加しています。
これらの結果、フリーキャッシュ・フローはマイナスに転じています。これは、本業で資金を生み出しながらも、将来に向けた設備投資や株主還元に積極的に資金を充てている状況を示しています。このような資金の流れは、同社グループが事業の成長と株主への還元を重視していることを表しており、長期的な視点での事業展開と雇用安定性への期待につながるものと考えられます。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 98.7億円 | 8.0億円 |
| 投資CF | △19.6億円 | △36.8億円 |
| 財務CF | △31.3億円 | △174.4億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 79.2億円 | △28.7億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、高所作業車等の製造・販売および部品・修理に関連する事業を営んでおり、大口需要先である電気・通信工事およびレンタル業界への依存度が高い状況です。これらの需要先の動向変動は、同社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、製品の製造においては、多数の仕入先から原材料や部品を調達しており、これらの価格高騰や調達難、サプライチェーンの停滞により、製造原価が上昇するリスクがあります。製造原価上昇分を販売価格に転嫁できない場合、同社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
人材・組織に関するリスクの記載はありません。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
アイチコーポレーションは、「世の中になくてはならない企業」への発展を目指し、社会インフラの維持・発展に貢献することを掲げています。お客さまの期待を価値に変え、成長を続ける「作業環境創造企業」としての事業活動を行っています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
アイチコーポレーションは、「世の中になくてはならない企業」への発展を目指し、お客さまからいただいた期待を価値に変えて成長することを経営方針としています。同社グループは、国内で育んだ工法を含む保有技術を世界規模で拡販し、社会インフラの維持・発展に貢献しています。
「作業環境創造企業」としての基本方針に基づき、経済の発展と豊かな社会づくりに貢献する事業活動を行っています。中長期的には、国内事業で商品差別化によるバリューチェーンの価値向上と収益基盤の強化を図り、海外事業では新たなパートナーとの連携を通じた市場開拓を進める方針です。これらの取り組みを通じて、持続的な成長と社会への価値提供の両立を目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
アイチコーポレーションは、「世の中になくてはならない企業」として、お客さまの期待を価値に変え成長することを大切にしています。同社グループは、社会インフラの維持・発展に貢献することを目指しています。
「作業環境創造企業」として、経済の発展と豊かな社会づくりに貢献する事業活動を行っています。地球環境や社会との調和を重視し、新しい変化と価値を創造することで、持続可能な社会の実現に貢献することを目指す企業風土です。
また、多様なステークホルダーとの良好な関係構築を重視し、企業の信頼性確保のため、内部統制機能の充実とコーポレート・ガバナンスの強化に努めています。サステナビリティ推進体制を強化し、持続可能性の観点から企業価値向上を目指す姿勢を示しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
アイチコーポレーションは、優先的に対処すべき事業上の課題として、地球環境への貢献を掲げています。具体的には、生産活動を通じたCO2排出量削減や、製品使用時におけるCO2削減に取り組んでいます。
また、お客さまや地域社会への貢献も重要なテーマです。事業活動を通じて災害復旧作業を支援し、社会の一員として地域に根差し、ともに発展できる活動を継続的に推進しています。
さらに、積極的な人材投資も重点テーマの一つです。品質管理教育や技能向上競技会・技能検定、TPS教育・自主研活動などを通じて、人材育成に力を入れています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
同社は取締役会を毎月開催し、経営に関する重要事項の決定と取締役の職務執行の監督を行っています。監査等委員会設置会社として、社外取締役が経営の監督機能を強化しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社グループの株主構成を見ると、事業会社が上位を占めていることが特徴です。筆頭株主は伊藤忠商事、次いで豊田自動織機が主要な株主として名を連ねています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 伊藤忠商事 | 27.28% |
| 豊田自動織機 | 21.41% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 7.10% |
| NDS | 3.21% |
| いすゞ自動車 | 1.97% |
なお、前事業年度末現在主要株主である筆頭株主であった豊田自動織機は、当事業年度末では主要株主である筆頭株主ではなくなり、伊藤忠商事株式会社が新たに主要株主である筆頭株主となりました。
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は7名(男性6名・女性1名)で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役社長は中澤俊一氏が務めています。社外取締役比率は57.1%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 中澤 俊一 | 代表取締役社長 社長執行役員 | 1990年4月同社入社。研究開発部長、理事、常務役員を経て、2025年6月より同社代表取締役社長、社長執行役員現職。 |
| 石井 智 | 取締役常務執行役員 | 1988年4月同社入社。ライフサイクルサポート部長、経営企画部長、支店長、執行役員を経て、2026年4月より同社取締役常務執行役員、コーポレート本部長現職。 |
社外取締役は、高月重廣氏(新日本監査法人代表社員・監査等委員会委員長)、東上清氏(あいおいニッセイ同和損害保険常務執行役員・監査等委員会委員)、酒井宗二氏(丸紅執行役員・監査等委員会委員)、小西めぐみ氏(小西めぐみ公認会計士事務所代表・監査等委員会委員)です。
同社は機関設計として監査等委員会を採用しており、5名の監査等委員である取締役のうち4名が社外取締役です。これらの社外取締役は、東京証券取引所および名古屋証券取引所の上場規程上の独立役員として選任されています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の業務執行取締役の報酬は、固定報酬の月額報酬と業績連動報酬の賞与で構成されています。これにより、会社の業績との連動性を確保し、職責と成果を反映させた体系となっています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 3名 | 63百万円 | 21.0百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 2名 | 4百万円 | 2.0百万円 |
| 社外役員 | 5名 | 19百万円 | 3.8百万円 |
なお、連結報酬等の総額が1億円以上の役員は存在しないため、個人別の開示は行われていません。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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