※本記事は、
株式会社サトー
(旧会社名 サトーホールディングス株式会社)
の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月19日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
サトーは持株会社であり、単体従業員数は1,902名、グループ連結従業員数は6,012名です。
同社グループは、電子プリンタやハンドラベラーなどのメカトロ製品、ICタグ・ラベルやシールなどのサプライ製品の製造・販売を主な事業としています。連結子会社49社を中心に事業を展開しています。
主な国内グループ会社は、サトーヘルスケア、サトーマテリアル、サトーインプレス(サプライ製品製造・販売)などです。
なお、2025年4月1日付でサトーホールディングスは完全子会社であったサトーを吸収合併し、商号をサトーに変更しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
同社グループは、自動認識ソリューション事業をグローバルに展開する中で、人財を重要な経営資源と位置づけています。多様な専門人財の確保・育成と組織能力の強化に注力し、働きがいのある職場づくりを目指していることがうかがえます。グローバルな事業展開を支えるための人財戦略が特徴的です。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、平均勤続年数が比較的長く、従業員の定着傾向が見られます。平均年齢も40代半ばであり、経験豊富な人財が活躍している組織であることがうかがえます。
なお、同社は持株会社であり、傘下の関係会社は以下のデータと同水準とは限りません。各社の求人情報や口コミサイト等を別途参照してください。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 7,453,498円 |
| 平均勤続年数 | 16.2年 |
| 平均年齢 | 44.8歳 |
| 単体従業員数 | 1,902人 |
| 連結従業員数 | 6,012人 |
| 単体のグループ内比率 | 31.6% |
同社グループは、退職給付制度として確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の両方を導入しています。これらの制度は同社および一部の連結子会社に適用されています。
なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
当連結会計年度末における退職給付債務は10.6億円、年金資産は1.0億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、グローバル市場における持続的な企業価値向上を実現するため、人財を最も重要な経営資源の一つと位置づけ、経営戦略と連動した人的資本経営を推進しています。特に、グローバルでの事業拡大とソリューションビジネスの高度化に対応するため、多様な専門人財の確保・育成および組織能力の強化に注力しています。
重点施策として、グローバル人財の確保・育成、技術・ソリューション人財の強化、現場力の強化とイノベーション創出に取り組んでいます。具体的には、海外赴任やローテーション、グローバル人財育成プログラムの実施、RFIDやIoT、ソフトウェア等の専門人財の育成、リスキリングを推進しています。
また、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの推進、エンゲージメントと生産性の向上、健康経営および働き方改革にも力を入れています。公平で透明性の高い評価・報酬制度の運用や、テレワーク・柔軟な働き方の導入など、従業員が長期にわたり活躍できる環境整備を進めています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。男女間の賃金差異は、男女同一の人事制度を適用しているものの、女性の勤続年数が伸びている一方で上位等級者がまだ少ないことが要因とされています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 10.4% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 81.5% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 69.8% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 74.6% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 82.9% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
株式会社サトーは、自動認識技術を核としたソリューションを国内外で展開し、現場の効率化とサプライチェーンの最適化を支援しています。人やモノに情報を紐付け、価値あるデータに変換する「タギング」を軸に、幅広い製品とサービスを提供しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、電子プリンタやハンドラベラーなどのメカトロ製品、ICタグ・ラベルやシールなどのサプライ製品の製造・販売を主な事業としています。現場の人やモノに情報を紐付け、リアルタイムにデータを吸い上げ、価値あるデータに変換してお客さまの上位システムに届ける「タギング」を軸としたソリューションを提供しています。これにより、個々の現場やサプライチェーン、さらにはサーキュラーエコノミーまでを最適化することを目指しています。
収益は、主にメカトロ製品やサプライ製品の販売、および保守サービス契約における顧客からの前受額から得ています。同社グループの事業は、中期経営計画の戦略に基づき「自動認識ソリューション事業(日本)」と「自動認識ソリューション事業(海外)」の二つの報告セグメントに大別されています。海外事業の売上高も全体の約半分を占めており、為替変動が業績に影響を与える可能性があります。
自動認識ソリューション事業(日本)
日本事業では、メカトロ製品がロジスティクス市場における大口戦略商談や改正物流効率化法への対応ニーズ、マニュファクチャリング市場における効率化投資を捉え、増収となりました。サプライ製品も各市場でおおむね堅調な業績を示し、増収に貢献しています。収益は、メカトロ製品やサプライ製品の販売から得ています。運営は、サトーが行っています。
自動認識ソリューション事業(海外)
海外事業では、ベース事業が欧州を牽引して増収となりました。プライマリーラベルを専業とする各社も、為替影響により増収を達成しています。収益は、メカトロ製品やサプライ製品の販売から得ています。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 自動認識ソリューション事業(日本) | 792億円 | 850億円 |
| 自動認識ソリューション事業(海外) | 756億円 | 784億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの直近5期間の業績は、売上高が継続的に増加傾向を示しています。経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益は、変動はあるものの、堅調に推移しています。特に直近の当連結会計年度においては、売上高は増加した一方で、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益は前期から減少となりました。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,248億円 | 1,428億円 | 1,434億円 | 1,548億円 | 1,634億円 |
| 経常利益 | 60.6億円 | 90.7億円 | 89.6億円 | 111億円 | 98.8億円 |
| 経常利益率 | 4.9% | 6.3% | 6.2% | 7.2% | 6.0% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 37.9億円 | 41.8億円 | 35.6億円 | 71.5億円 | 50.9億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 112.74 | 126.66 | 110.02 | 220.39 | 156.69 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高(連結)は、前期から増加しています。一方で、従業員1人あたり営業利益(連結)は前期から減少となりました。この傾向は、事業規模の拡大と収益性のバランスを保ちつつ、組織全体の効率化と生産性向上への継続的な取り組みが重要であることを示唆しています。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 25.9百万円 | 27.2百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 2.1百万円 | 1.8百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループの財務状況を見ると、安定した経営基盤を維持していることがうかがえます。本業で着実に資金を生み出し、投資も賄えている状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、自己資本比率や手元資金の状況から安定していることが示されています。自己資本比率はプライム市場の製造業平均と比較して高い水準にあり、財務の健全性がうかがえます。
手元資金も厚く、不測の事態への耐性があると考えられます。ROEは前期から低下していますが、依然として一定の収益性を維持しています。これらの状況は、長期的な雇用や給与の安定性につながる要素となります。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 802億円 | 896億円 |
| 自己資本比率 | 54.8% | 58.6% |
| ROE(自己資本利益率) | 9.7% | 6.3% |
| 現金及び預金 | 274億円 | 283億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローを見ると、本業で安定して資金を生み出している状況がうかがえます。当期における営業活動によるキャッシュフローは133億円の増加となり、前期から増加しています。これは主に、税金等調整前当期純利益や減価償却費の増加、棚卸資産の減少などが要因となっています。
投資活動によるキャッシュフローは△81.2億円の減少となりましたが、これは主に有形固定資産や無形固定資産の取得による支出が要因です。財務活動によるキャッシュフローは△61.3億円の減少となり、配当金の支払いや短期借入金の減少などが主な要因です。
営業活動で得た資金で投資活動を賄い、さらに余剰資金を生み出すフリーキャッシュフローは51.6億円のプラスとなっています。このキャッシュフローの状況は、同社グループが本業で安定的に収益を上げ、将来への投資も行いつつ、財務的な健全性を保っていることを示しています。これは、入社後の雇用や給与の安定性につながる重要な要素となります。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 125億円 | 133億円 |
| 投資CF | △82.1億円 | △81.2億円 |
| 財務CF | △20.8億円 | △61.3億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 42.6億円 | 51.6億円 |
※フリーCF(フリーキャッシュ・フロー)とは、会社が事業活動と投資活動を通じて自由に使える余剰資金のこと。
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、海外事業において増収となったものの、欧州(ロシア)でのコスト増により減益となりました。この海外事業の減益が連結全体の営業利益率および投下資本利益率(ROIC)の低下につながっています。為替影響も業績に影響を与えていることが示されています。
③ 人材・組織に関するリスク
人材・組織に関するリスクの記載はありません。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
サトーは、自動認識ソリューションを通じて社会の課題解決に貢献し、お客さまとの信頼関係を基盤に持続可能な成長を目指す企業です。現場の「タギング」技術を核に、新たな価値創造と社会全体の最適化を追求する文化が根付いています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは「優れた製品・サービスでお客さまの新たな価値を創造し、より豊かで持続可能な世界社会の発展に貢献すること。」を使命としています。あらゆるモノに情報を付与する「タギング」を主軸に、そのデータを利活用することで「正確、省力、省資源、安心・安全、環境、感動」という価値を創出しています。
そして、「お客さまに最も信頼され、お客さまと共に成長し、変わりゆく社会から必要とされ続ける会社になること。」をビジョンに掲げています。高度化したタギング技術を用いて、完璧な精度で唯一無二の情報を個品に与え、人手を介さず全自動で取得し活かす「Perfect & Unique Tagging(PUT)」により、情報の利活用を拡充し社会の最適化を目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、タギング技術を通じて社会課題の解決に貢献することを企業活動の根幹と位置づけています。中期経営計画と連動させたマテリアリティでは、事業活動のあらゆる場面で「資源の有効活用、環境負荷の低減、働きがいのある職場づくり、ステークホルダーとの共創」を推進しています。持続可能な社会の実現に寄与しながら、「社会の公器」としての役割を果たす意思としてCSV(Creating Shared Value)を明示しています。
長年の歴史の中で培ってきた「現場力」を強みとし、国や地域、業界ごとの多様な現場特性を深く理解し、最適なソリューションを提供しています。また、自社開発力やモノづくり力に加え、グローバルなパートナー企業ネットワークを通じた共創を重視する企業風土があります。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、長期成長の礎を築くべく、「Perfect and Unique Tagging(PUT)構想の事業化」「コアビジネスの収益盤石化」「グローバル経営基盤の強化」を経営の重点課題として設定しています。日本事業では安定収益を創出し利益率向上させるため、社内バリューチェーンの管理徹底や商品ラインアップの最適化、サービス対価の適正化を図っています。
海外事業では、着実な利益成長を実現するため、注力国・地域にリソースを重点配分し、ソリューションの効率的な創出と横展開を進めています。また、PUTに向けて必要な技術やソリューションを獲得すべく、内製化に固執せず、M&Aやパートナーシップを通じた共創も視野に入れています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
サトーは監査役制度を採用し、執行役員制度を導入することで、経営の意思決定と業務執行の分離を図っています。独立社外取締役が取締役会の過半数を占める構成となっており、透明性の高い経営監督機能の強化に努めています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
サトーの株主構成を見ると、日本マスタートラスト信託銀行(信託口)が筆頭株主となっています。また、公益財団法人佐藤陽国際奨学財団やサトー社員持株会も上位株主として名を連ねており、安定的な資本構成を形成していることがうかがえます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 13.45% |
| 公益財団法人佐藤陽国際奨学財団 | 11.61% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 6.03% |
| サトー社員持株会 | 5.95% |
| THE BANK OF NEW YORK 133612 | 4.92% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
サトーの役員は10名(男性8名・女性2名)で構成され、女性役員比率は20.0%です。代表取締役社長執行役員グループCEOは小沼宏行氏が務めています。社外取締役比率は57.1%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 小沼 宏行 | 代表取締役 社長執行役員 グループCEO | 2000年7月 同社入社、2013年4月 サトー ヘルスケアカンパニー カンパニープレジデント、2014年4月 サトーヘルスケア 代表取締役社長、2023年4月 同社 代表取締役社長執行役員グループCEOより現職。 |
| 笹原 美徳 | 取締役 上席執行役員 副社長 | 1987年4月 同社入社、2014年4月 同社 執行役員 サトー(当時)営業ユニット長、2025年4月 同社 取締役 上席執行役員 副社長より現職。 |
| 鳴海 達夫 | 取締役 | 2000年8月 同社入社、2008年6月 同社 取締役専務執行役員経営企画本部長、2009年7月 同社 取締役より現職。 |
社外取締役は、伊藤良二氏(プラネットプラン代表取締役)、山田秀雄氏(山田・尾﨑法律事務所所長・同社取締役会議長)、藤重貞慶氏(日本マーケティング協会会長・指名・報酬諮問委員会委員長)、野々垣好子氏(元ソニー 人事本部グローバルダイバーシティ ダイレクター)です。
サトーは監査役会設置会社であり、執行役員制度を導入することで経営の意思決定と業務執行を分離しています。独立社外取締役が取締役会の過半数を占め、経営監督機能の強化を図っています。また、指名・報酬諮問委員会を設置し、独立社外取締役が委員長を務めることで、透明性の高いガバナンス体制を構築しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
サトーの取締役の役員報酬は、固定金銭報酬である「基本報酬」と「業績連動金銭報酬」および「業績連動株式報酬」で構成されています。役位が上の者ほど業績連動報酬の割合を高める方針です。非業務執行取締役は固定報酬と非業績連動株式報酬、監査役は固定報酬のみとなっています。業績連動報酬の指標には、個人別課題達成評価、全社連結営業利益、連結ROIC達成率、従業員エンゲージメント指数が用いられています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 3名 | 1.5億円 | 49.0百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 21百万円 | 21.0百万円 |
| 社外取締役 | 5名 | 67百万円 | 13.4百万円 |
| 社外監査役 | 2名 | 18百万円 | 9.0百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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