スタンレー電気 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

スタンレー電気 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所プライム市場に上場し、自動車機器製品、コンポーネンツ製品、電子応用製品の製造販売を行う企業です。直近の業績は、売上高が前期比7.9%増の5,096億円、経常利益が15.4%増の555億円となり、増収増益を達成しています。


※本記事は、スタンレー電気株式会社 の有価証券報告書(第120期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. スタンレー電気ってどんな会社?


自動車用ランプなどの「光」に関わる技術を核として、自動車機器製品、電子デバイス製品、電子応用製品を展開するメーカーです。

(1) 会社概要


同社は1920年に北野商会として創業し、1933年に株式会社へ改組しました。1961年に東京証券取引所市場第二部に上場し、翌1962年に市場第一部へ指定されました。1979年に米国現地法人を設立して北米事業に進出し、1980年にはタイに生産拠点を設立するなど、早くからグローバル展開を推進しています。2024年には持分法適用関連会社であったタイの現地法人を連結子会社化しました。

現在の従業員数は連結18,581名、単体3,836名です。筆頭株主は資産管理業務を行う信託銀行で、第2位は主要な取引先であり資本業務提携を結んでいる本田技研工業です。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) 13.31%
本田技研工業株式会社 11.22%
株式会社C&I Holdings 5.67%

(2) 経営陣


同社の役員は男性13名、女性2名の計15名で構成され、女性役員比率は13.3%です。代表取締役社長は貝住泰昭氏です。社外取締役比率は26.7%です。

氏名 役職 主な経歴
貝住 泰昭 代表取締役社長技術担当 1987年同社入社。設計技術センター部門長、執行役員インテグレーテッドコンポーネンツ事業部長を経て、2021年常務取締役、2022年4月より現職。
高野 一樹 専務取締役営業担当人事担当米州担当 1991年同社入社。四輪第一事業部第一営業部門長、執行役員四輪第一事業部長、常務取締役を経て、2025年4月より現職。
上田 啓介 常務取締役経理・財務担当サステナビリティ担当電子生産担当日本関係会社担当 1981年同社入社。天津斯坦雷電気有限公司総経理、執行役員四輪第二事業部長等を経て、2022年常務取締役就任。現在、経理・財務、サステナビリティ等を担当。
留岡 達明 取締役自動車生産担当SNAP担当中国担当 1987年同社入社。四輪第三事業部広島工場部門長、執行役員インテグレーテッドコンポーネンツ事業部長等を経て、2021年取締役就任。
大木  聡 取締役特命事項担当 1986年同社入社。四輪第二事業部広島工場部門長、執行役員四輪第三事業部長等を経て、2022年取締役就任。
近藤 智広 取締役購買担当金型担当アジア・大洋州担当 1989年同社入社。執行役員ストロボ事業部長、インテグレーテッドコンポーネンツ事業部長、購買本部長等を経て、2024年取締役就任。


社外取締役は、森正勝(元アクセンチュア株式会社代表取締役社長)、河野宏和(慶應義塾大学名誉教授・特任教授)、竹田陽三(三櫻工業株式会社代表取締役会長)、鈴木智子(一橋大学大学院経営管理研究科国際企業戦略専攻教授)です。

2. 事業内容


同社グループは、「自動車機器事業」、「コンポーネンツ事業」、「電子応用製品事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) 自動車機器事業


主に自動車メーカーに対し、ヘッドランプやリアランプなどの自動車用照明製品を製造・販売しています。日本、米州、アジア・大洋州、中国などでグローバルに事業を展開しています。

収益は、自動車メーカー等への製品販売による対価が主な源泉です。運営は、スタンレー電気のほか、米国のStanley Electric U.S. Co., Inc.、タイのThai Stanley Electric Public Co., Ltd.、中国の広州斯坦雷電気有限公司など、国内外の関係会社が行っています。

(2) コンポーネンツ事業


電機メーカーや自動車関連メーカー向けに、LED(発光ダイオード)や液晶などの電子デバイス製品を製造・販売しています。

収益は、電機・自動車関連メーカー等への製品販売による対価が主な源泉です。運営は、スタンレー電気やスタンレー鶴岡製作所(2025年4月に同社へ吸収合併)などの国内拠点のほか、アジア・大洋州地域の現地法人が行っています。

(3) 電子応用製品事業


電機メーカーや自動車関連メーカー向けに、液晶用バックライト、操作パネル、フラッシュユニットなどの電子応用製品を製造・販売しています。

収益は、顧客への製品販売による対価が主な源泉です。運営は、スタンレー電気のほか、ベトナムのVietnam Stanley Electric Co., Ltd.などの海外拠点が担っています。

(4) その他


上記報告セグメントに含まれない事業として、特例子会社による身体障害者の雇用促進事業や、グループに対する金融・経営サービス等の事業活動を行っています。

収益は、グループ会社等へのサービス提供対価などが主な源泉です。運営は、スタンレーウェルや松尾電気などの子会社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は一貫して増加傾向にあり、直近の2025年3月期には5,000億円を超えました。利益面でも、経常利益は毎期黒字を維持しており、2025年3月期には555億円まで伸長しています。当期純利益も安定的に推移しており、堅調な業績拡大が続いています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 3,597億円 3,826億円 4,396億円 4,724億円 5,096億円
経常利益 413億円 367億円 449億円 481億円 555億円
利益率(%) 11.5% 9.6% 10.2% 10.2% 10.9%
当期利益(親会社所有者帰属) 214億円 165億円 237億円 189億円 165億円

(2) 損益計算書


売上高の増加に伴い、売上総利益および営業利益が増加しています。営業利益率は7.6%から9.6%へ改善しており、収益性が向上しています。生産革新による合理化効果などが寄与しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 4,724億円 5,096億円
売上総利益 829億円 1,057億円
売上総利益率(%) 17.5% 20.7%
営業利益 358億円 490億円
営業利益率(%) 7.6% 9.6%


販売費及び一般管理費のうち、給料賞与諸手当が179億円(構成比31.5%)、減価償却費が60億円(同10.6%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力の自動車機器事業が増収増益となり、全社の業績を牽引しました。一方、コンポーネンツ事業と電子応用製品事業は、中国・アジア市場の低迷等の影響を受け、減収減益となりました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
自動車機器事業 3,862億円 4,385億円 260億円 470億円 10.7%
コンポーネンツ事業 217億円 193億円 42億円 25億円 12.9%
電子応用製品事業 644億円 517億円 135億円 88億円 17.0%
その他 0.8億円 0.0億円 0.2億円 0.7億円 1725.0%
調整額 - - -79億円 -93億円 -
連結(合計) 4,724億円 5,096億円 358億円 490億円 9.6%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFで得た資金の範囲内で投資を行い、借入金の返済や株主還元も進めている健全型です。潤沢な営業キャッシュ・フローを維持しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 656億円 666億円
投資CF -316億円 -649億円
財務CF -260億円 -200億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は6.3%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は64.8%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「光の価値の限りなき追求」、「ものづくりを究める経営革新」、「真に支える人々の幸福の実現」を経営理念として掲げています。光の力で社会に貢献し、人々の暮らしの安全・安心に寄与することを目指しています。

(2) 企業文化


世界中のグループ社員が一丸となって挑戦し成果を出す「One Stanley」を掲げています。また、「スタンレーグループ行動規範」を定め、法令遵守、健全な職場環境、社会貢献、人や自然への思いやりなどを重視して行動することを求めています。

(3) 経営計画・目標


2023年度からスタートした「第Ⅷ期中期3ヶ年経営計画」において、2030年を見据えたバックキャスティングの視点で計画を策定しています。2024年5月にアップデートされた経営指標として、以下の目標を掲げています。

* 売上高:5,900億円
* 営業利益率:10.5%(責任利益10%)
* ROE:8%

(4) 成長戦略と重点施策


「安全安心を実現し社会に貢献している ~光の力で夢を現実に変える~」を指針とし、以下の3つのテーマに取り組んでいます。「TADAS」思想のもと、あらゆる人々に価値ある製品を届けること、光の独自技術(車載用ランプシステムや非可視光製品など)による新市場開拓、そして「One Stanley」によるグローバルでのスピード感ある挑戦です。また、自動車機器事業の持続的成長や生産革新、資本効率を重視した経営を進めています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「一人ひとりの力を競争力の源泉に」を人事政策のコンセプトとし、社員の力が最大限発揮できる環境を整備しています。求める人材像を「“自発”挑戦型人材」と定義し、変化をチャンスと捉える人材集団を目指しています。具体的な施策として、上司と部下の1on1コミュニケーションをベースとした人材育成スキームの構築、自己選択型教育プログラムの導入、年功を排した役割と責任に基づく人事制度への刷新などを進めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 41.2歳 16.1年 6,411,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 3.2%
男性育児休業取得率 64.0%
男女賃金差異(全労働者) 73.3%
男女賃金差異(正規雇用) 72.9%
男女賃金差異(非正規雇用) 97.9%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、エンゲージメントサーベイ肯定的回答率(31%)、健康経営度評価(56.9)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 為替変動等の影響


同社グループは海外売上高比率が高く、各地域における為替動向が業績や財務状況に影響を与える可能性があります。

(2) 自動車業界の動向による影響


自動車機器製品が連結売上高の約8割を占めており、自動車業界の生産台数や販売動向の変動が、同社グループの業績に直接的な影響を及ぼす可能性があります。

(3) 原材料や部品等の調達及び価格変動


樹脂などの原材料や半導体等の部品において、供給不足や価格高騰が発生した場合、コスト増加や生産への影響が生じる可能性があります。

(4) 気候変動に対する影響


脱炭素への取り組みが求められる中、炭素税の導入や原材料調達コストの増加、追加的な投資コストの発生などが、中長期的に業績に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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