マツダ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

マツダ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

マツダは東京証券取引所プライム市場に上場し、自動車及び同部品の製造・販売を主力とする企業です。北米市場等を牽引役としつつ電動化戦略を推進しています。直近の業績は、売上高が4兆9182億円と減収、営業利益は516億円と大幅な減益となり、当期純利益も減益の厳しい決算となりました。


※本記事は、マツダ株式会社の有価証券報告書(第160期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月23日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準はJapan GAAPです。

1. マツダってどんな会社?


自動車及び同部品の製造・販売を主力とし、独自デザインと走行性能でグローバルに展開しています。

(1) 会社概要


1920年に東洋コルク工業として設立され、1927年に東洋工業へ社名変更、1931年に三輪トラックの生産を開始しました。1949年に株式を上場し、1967年に初のロータリーエンジン搭載車を発売しました。1984年にマツダに社名変更し、近年は海外工場新設や他社との資本提携を進めています。

同社グループの従業員数は連結で47,144名、単体で22,857名です。筆頭株主は日本マスタートラスト信託銀行(信託口)で、第2位は日本カストディ銀行(信託口)、第3位は資本提携を結んでいるトヨタ自動車です。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 17.67%
日本カストディ銀行(信託口) 5.73%
トヨタ自動車 5.06%

(2) 経営陣


同社の役員は男性12名、女性3名の計15名で構成され、女性役員比率は20.0%です。代表取締役社長兼CEOは毛籠勝弘氏です。社外取締役比率は46.7%です。

氏名 役職 主な経歴
毛籠 勝弘 代表取締役社長兼CEO(最高経営責任者)〔コミュニケーション・サステナビリティ統括〕 1983年同社入社。常務執行役員、マツダモーターオブアメリカ会長兼CEO等を経て2023年より現職。
ジェフリー・エイチ・ガイトン 代表取締役副社長兼経営役員CFO(最高財務責任者)〔社長補佐、経営企画・北米事業・欧州事業・中南米事業統括〕 1996年フォードモーター入社。同社専務執行役員、マツダモーターヨーロッパ社長兼CEO等を経て2026年より現職。
向井 武司 取締役副社長兼経営役員〔社長補佐、ものづくり・品質統括〕 1986年同社入社。オートアライアンス(タイランド)副社長、同社取締役専務執行役員等を経て2026年より現職。
菖蒲田 清孝 代表取締役会長 1982年同社入社。オートアライアンス(タイランド)社長、同社取締役専務執行役員等を経て2021年より現職。
青山 裕大 取締役経営役員CCO(最高コスト責任者)〔コスト革新統括、ものづくり統括補佐〕 1988年同社入社。マツダモーターヨーロッパ社長兼CEO、同社取締役専務執行役員等を経て2026年より現職。
小島 岳二 取締役経営役員CSO(最高戦略責任者)〔戦略領域統括〕 1989年同社入社。広報本部長、同社取締役専務執行役員兼CSO等を経て2026年より現職。
梅下 隆一 取締役経営役員CTO(最高技術責任者)〔研究開発統括、ものづくり統括補佐〕 1988年同社入社。カスタマーサービス本部長、同社取締役専務執行役員兼CTO等を経て2026年より現職。
田中 浩憲 取締役監査等委員(常勤) 1989年同社入社。国内営業本部長、マツダ・サウス・イースト・アジア社長、常務執行役員等を経て2025年より現職。


社外取締役は、佐藤潔(元東京エレクトロン社長)、小川理子(パナソニックホールディングス執行役員)、及川美紀(元ポーラ代表取締役社長)、北村明良(元関西アーバン銀行取締役会長)、柴崎博子(元東京海上日動火災保険常務)、杉森正人(元住友商事専務)、井上宏(元福岡高等検察庁検事長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「日本」「北米」「欧州」「その他の地域」事業を展開しています。

(1) 日本

自動車および関連部品の製造・販売を国内市場向けに行っています。顧客は国内の一般消費者や大口顧客などです。
収益は車両および部品の販売代金から得ています。製造は同社や倉敷化工が行い、関東マツダ、東海マツダ販売等の販売会社を通じて顧客へ販売されています。

(2) 北米

北米市場向けに自動車および同部品の製造と販売を展開しています。主な顧客は北米地域の一般消費者です。
収益は自動車および部品の販売代金から得ています。製造はメキシコの子会社などが担い、販売はマツダモーターオブアメリカなどの子会社が担当しています。

(3) 欧州

欧州市場を対象に自動車および同部品の販売を行っています。主な顧客は欧州地域の一般消費者です。
収益源は自動車および関連部品の販売代金です。現地での事業統括や販売は、マツダモータース(ドイツランド)などの子会社が主体となって運営しています。

(4) その他の地域

オセアニアやアジアなどの地域に向けて、自動車および同部品の製造と販売を展開しています。
収益源は当該地域における車両および部品の販売代金です。製造はタイの子会社などが行い、販売はマツダオーストラリアなどの子会社が担っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の業績推移を見ると、売上高は増加基調にありましたが直近で減少に転じました。利益面では一時的に高い水準を記録したものの、直近では減益となり、当期純利益は赤字に転落しています。全体として外部環境の変化に伴う影響を大きく受けています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 3兆1203億円 3兆8268億円 4兆8277億円 5兆189億円 4兆9182億円
経常利益 1235億円 1859億円 3201億円 1890億円 1318億円
利益率(%) 4.0% 4.9% 6.6% 3.8% 2.7%
当期利益(親会社所有者帰属) 845億円 898億円 1377億円 601億円 -1034億円

(2) 損益計算書


直近2期間の業績を比較すると、売上高の減少とともに売上総利益も縮小しています。営業利益は大幅な減益となっており、収益性が低下していることが分かります。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 5兆189億円 4兆9182億円
売上総利益 1兆782億円 8864億円
売上総利益率(%) 21.5% 18.0%
営業利益 1861億円 516億円
営業利益率(%) 3.7% 1.0%


販売費及び一般管理費のうち、研究開発費が1609億円(構成比19.3%)、広告宣伝費が1507億円(同18.0%)、給料及び手当が1445億円(同17.3%)を占めています。

(3) セグメント収益


セグメント別の売上高を見ると、主力である北米市場で減収となっているほか、日本市場でも売上が減少しています。一方で、欧州市場とその他の地域においては増収を確保しており、市場ごとに業績の明暗が分かれる結果となっています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
日本 9379億円 9002億円
北米 2兆7753億円 2兆5617億円
欧州 7314億円 8596億円
その他の地域 5743億円 5967億円
連結(合計) 5兆189億円 4兆9182億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFがプラス、投資CFがマイナス、財務CFがプラスとなっており、営業で利益を出し、借入等によって積極的な投資を行っている「積極型」の状況です。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 3056億円 2億円
投資CF -2000億円 -9億円
財務CF 901億円 1050億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は1.9%で市場平均を下回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も42.5%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念

同社は「前向きに今日を生きる人の輪を広げる」をPURPOSE(存在意義)とし、「いきいきとする体験をお届けする」ことをPROMISE(約束)として掲げています。また、2030 VISIONとして「走る歓び」で移動体験の感動を量産するクルマ好きの会社になることを目指しています。

(2) 企業文化

同社は「ひと中心」「飽くなき挑戦」「おもてなしの心」をVALUES(価値観)として定めています。価値創造の主役は人であると考え、一人ひとりがいきいきと力を発揮できる環境を整える人的資本経営に注力し、組織風土改革プログラム「BLUEPRINT」を推進する文化が醸成されています。

(3) 経営計画・目標

同社は2030年に向けた経営方針として、自らコントロール可能な領域に重点的に取り組むことで、外部環境の変化に耐えうる強固な経営体質の構築を目指しています。
・営業利益516億円

(4) 成長戦略と重点施策

同社はマルチソリューション戦略とライトアセット戦略を推進しています。バッテリーEV専用車の本格導入を見据えつつ、既存資産の活用度を高めて資本効率を向上させます。また、サプライチェーンの強靭化や原価低減を進め、外部環境の変化に左右されにくい安定的に利益を生み出せる事業構造への転換を図っています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針

同社は「人は最大の経営資本であり価値創造の源泉」と考えています。多様な背景を持つ従業員が最大限に能力を発揮できる環境の実現を目指し、自律型の従業員の育成を急務としています。「効率的な体質への転換」「人材の確保」「自律・成長を支える環境の整備」を人事領域のマテリアリティと位置づけています。

(2) 給与水準・報酬設計

同社単体従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 42.5歳 17.7年 7,112,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 5.8%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 84.1%
男女賃金差異(正規雇用) 86.0%
男女賃金差異(パート・有期) 71.4%


また、同社は「人的資本の強化」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性管理職数(99名)、男性育児休職取得率(67.1%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) グローバル市場における経済情勢の変動

同社グループは世界各地域で製品を販売しており、主要市場における景気の減速や需要構造の変化、価格競争の激化により、業績や財政状態に悪影響を及ぼすリスクがあります。

(2) 原材料および部品調達の制約

原材料や部品の調達を複数のサプライヤーに依存しており、災害や地政学リスク等により必要な量が確保できない場合や、調達価格の高騰が生じた場合、生産活動や収益性に影響が出る可能性があります。

(3) コネクティビティ・電動化による市場競争激化

自動運転技術やシェアード・サービス、電動化技術の進展に伴い異業種からの新規参入が相次いでおり、競争環境が激化しています。技術や顧客ニーズの変化に適切に対応できない場合、販売シェアが低下するリスクがあります。

(4) 情報テクノロジーへの依存とサイバー攻撃

製品やビジネス活動において情報システムに依存しており、サイバー攻撃やインフラ障害によるシステム停止、機密情報の漏洩等が発生した場合、ブランドイメージの低下や多額の対策費用が生じるリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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