オカムラ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

オカムラ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

オカムラは東京証券取引所プライム市場に上場し、オフィス環境、商環境、物流システムを主要事業とする企業です。オフィス家具から店舗什器、物流自動機器まで幅広い製品を提供しています。直近の業績では、オフィスリニューアル需要の高まりなどを背景に過去最高の売上高と当期純利益を記録し、増収増益を達成しました。


※本記事は、オカムラの有価証券報告書(第91期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月22日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. オカムラってどんな会社?


オフィス環境、商環境、物流システムの3事業を展開し、「人が活きる環境づくり」を推進する企業です。

(1) 会社概要


オカムラは1945年に日本飛行機の岡村分工場を借り受けて創業し、1948年に株式会社へ改組しました。1961年に東京証券取引所市場第二部へ上場し、1970年に同市場第一部へ指定されました。2018年に現在の商号へ変更し、2025年には英国の同業企業を完全子会社化するなどグローバル展開も進めています。

現在の従業員数は連結で6,082名、単体で4,494名体制です。株式の保有状況を見ると、筆頭株主および第2位株主は資産管理業務を行う信託銀行で、第3位には従業員持株会が名を連ねています。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 11.54%
日本カストディ銀行(信託口) 6.66%
オカムラグループ従業員持株会 6.06%

(2) 経営陣


同社の役員は男性12名、女性4名の計16名で構成され、女性役員比率は25.0%です。代表取締役社長執行役員は中村雅行氏が務めており、取締役の社外取締役比率は50.0%となっています。

氏名 役職 主な経歴
中村雅行 代表取締役社長執行役員 1973年4月同社入社。1996年6月取締役、2001年6月常務取締役、2007年6月専務取締役などを経て、2012年6月代表取締役社長に就任。2019年6月より現職。
河野直木 取締役専務執行役員オフィス環境事業本部長 1989年4月同社入社。オフィス営業本部首都圏営業本部長、常務執行役員などを経て、2023年4月より取締役専務執行役員。2026年4月よりオフィス環境事業本部長。
佐藤喜一 取締役専務執行役員経営企画本部長 1982年4月同社入社。管理本部人事部長、上席執行役員、常務執行役員などを経て、2025年6月より取締役専務執行役員。2026年4月より経営企画本部長。
荒川和巳 取締役常務執行役員生産本部長 兼サプライチェーン本部長 1987年4月同社入社。マーケティング本部長、上席執行役員などを経て、2023年6月より取締役常務執行役員。2026年4月より生産本部長兼サプライチェーン本部長。
酒德眞司 取締役常務執行役員商環境事業本部長 1982年4月同社入社。商環境事業本部西日本営業部長、リテイル・ソリューション本部長などを経て、2025年6月より取締役常務執行役員。2025年4月より商環境事業本部長。
福田栄 取締役執行役員経理本部長 1990年4月三菱銀行入行。三菱東京UFJ銀行丸の内支社長を経て、2019年5月同社入社。同年6月より取締役執行役員。2026年4月より経理本部長。


社外取締役は、伊藤裕慶(元三菱地所代表取締役専務執行役員)、狩野麻里(元昭和女子大学特命教授)、上條努(元サッポロホールディングス代表取締役社長)、菊地美佐子(元三井物産フォレスト代表取締役社長)、水本伸子(元IHI取締役常務執行役員)、丹保人重(元三井住友海上あいおい生命保険代表取締役社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、オフィス環境事業、商環境事業、物流システム事業およびその他事業を展開しています。

オフィス環境事業


オフィス家具、公共施設用家具、セキュリティ製品、ヘルスケア関連製品などの製造販売を行っています。働き方の多様化やコミュニケーション活性化のニーズに応えるオープンオフィス向けの家具などを提供し、未来の働き方に関する研究成果を活かした空間提案も行います。

製品の販売代金や空間デザイン、施工・保守サービスによる手数料を顧客から受け取ります。製造は同社のほかエヌエスオカムラ、山陽オカムラなどで、販売・施工・サービスは同社やオカムラサポートアンドサービスなどが担っています。

商環境事業


店舗用陳列棚、冷凍冷蔵ショーケース、店舗カウンターなどの製造販売を提供しています。小売業などに向けて、店舗運営の省人化・省力化、省エネルギー化を実現するデジタル技術を活用したソリューションや、災害対応などを考慮した店舗づくりを支援します。

製品の販売代金や設計・施工・アフターサービスに対する手数料を顧客から受け取ります。製造は同社や山陽オカムラなどが担い、販売や施工、サービスは同社およびセックなどが一貫して提供しています。

物流システム事業


工場・倉庫用物品保管棚や物流自動機器・装置の製造販売を提供しています。EC市場の拡大や物流問題による人手不足を背景に、倉庫管理システムと連動した自動倉庫やロボットを活用した省人化・省スペース化ソリューションを提案します。

物流システム機器の販売代金や、システムの導入サポート・保守サービスに対する手数料を受け取ります。製造は同社などが担い、販売や施工・保守サービスは同社を中心とした体制で顧客へ提供しています。

その他事業


産業車両や建設機械用の流体変速機などの製造販売を行うパワートレーン事業を展開しています。

製品の販売代金を顧客から受け取ります。製造は同社や杭州岡村伝動などが担い、販売・物流・サービスは同社などが提供しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は直近5年間で継続して増加しており、2022年3月期の2,612億円から2026年3月期には3,290億円へと順調に拡大しています。経常利益も成長傾向にあり、2024年3月期以降は250億円を超える高い水準を維持し、安定した収益性を確保しています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 2,612億円 2,770億円 2,983億円 3,145億円 3,290億円
経常利益 175億円 189億円 262億円 265億円 258億円
利益率(%) 6.7% 6.8% 8.8% 8.4% 7.9%
当期利益(親会社所有者帰属) 151億円 153億円 195億円 215億円 225億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で増収となっており、売上総利益も順調に増加しています。売上総利益率も33.6%から34.6%へと向上しており、原材料費や物流費の高騰に対する価格転嫁などが寄与していることがうかがえます。営業利益率も7%台の安定した水準を維持しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 3,145億円 3,290億円
売上総利益 1,055億円 1,140億円
売上総利益率(%) 33.6% 34.6%
営業利益 239億円 241億円
営業利益率(%) 7.6% 7.3%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が258億円(構成比29%)、荷造運搬費が109億円(同12%)、賃借料が88億円(同10%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力のオフィス環境事業は、オフィス移転や改装需要の増加を背景に大幅な増収増益を達成し、全体の成長を牽引しています。一方、商環境事業は人材投資やオフィス移転に伴う固定費増により減益となり、物流システム事業も既存案件へのリソース集中により新規受注が制約され減収減益となりました。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期) 利益(2025年3月期) 利益(2026年3月期) 利益率
オフィス環境事業 1,674億円 1,919億円 174億円 226億円 11.8%
商環境事業 1,183億円 1,162億円 48億円 28億円 2.4%
物流システム事業 226億円 147億円 16億円 -15億円 -10.0%
その他 62億円 63億円 2億円 2億円 2.9%
連結(合計) 3,145億円 3,290億円 239億円 241億円 7.3%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFがプラス、投資CFおよび財務CFがマイナスとなっており、営業活動で得た資金を用いて設備投資や借入金の返済、株主還元を適切に行っている健全型のキャッシュ・フロー状況です。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 10億円 272億円
投資CF -143億円 -54億円
財務CF -2億円 -162億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は11.5%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も67.6%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「人が活きる社会の実現」をパーパスとして掲げ、「豊かな発想と確かな品質で、人が活きる環境づくりを通して、社会に貢献する。」をミッションとしています。すべての人々が笑顔で活き活きと働き暮らせる社会の実現を目指し、社会課題の解決と持続的な成長の両立を推進しています。

(2) 企業文化


1945年の創業時に掲げられた「創造、協力、節約、貯蓄、奉仕」という5つの言葉からなる社是と、「よい品は結局おトクです」というモットーが企業文化として定着しています。これらの精神は「オカムラのDNA」として受け継がれ、企業理念である「オカムラウェイ」の根幹にも「人が活きる」という視点が据えられています。

(3) 経営計画・目標


2035年度に向けた長期ビジョン「Beyond Breakthrough 2035」を策定し、需要創出型企業として社会に価値を提供することを目指しています。長期的な定量目標として以下の数値を掲げています。

* 営業利益 300億円超(2029年3月期目標)

(4) 成長戦略と重点施策


環境変化を先取りして新たな需要を創出することに注力しています。オフィス市場では働き方の多様化に合わせた空間デザインの進化を図り、商環境市場ではデジタル技術を用いた店舗運営支援を拡充します。また、物流DXを推進し、自動化やデータ可視化を通じて物流システムインテグレーターへの転換を目指します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


中期経営計画のもと、人財戦略を事業戦略と一体で推進しています。「人財育成と組織構造の変革」を重点テーマに据え、次世代経営人財の育成やプロフェッショナル人財の計画的な獲得を図ります。また、評価・報酬制度のアップデートと柔軟な働き方の整備を通じて、組織の機動力と従業員の働きがいを高める方針です。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 42.1歳 17.3年 8,529,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 8.6%
男性育児休業取得率 83.0%
男女間の賃金格差(全労働者) 78.3%
男女間の賃金格差(正規労働者) 78.7%
男女間の賃金格差(非正規労働者) 82.5%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性従業員比率(22.7%)、障がい者雇用率(2.57%)、育成面談実施率(98.8%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 製品・サービスの開発と品質


顧客の嗜好の変化スピードに製品開発が追いつかない場合や、競合他社による独自デザイン・技術への追従によって市場シェアが低下するリスクがあります。また、世界的な品質基準に従った製造やサプライチェーン全体での品質管理を徹底していますが、予期せぬ製品の欠陥による製造物責任賠償の発生は業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 人材の確保・育成と労働環境


事業の遂行や成長に必要な人材を効果的に獲得・育成できない場合、計画通りの業績目標を達成できないリスクがあります。また、従業員の健康や安全に対する配慮が不足したり、職場の心理的安全性が確保されず働きにくい環境に陥った場合、士気の低下や離職の増加を招き、生産力の低下につながる恐れがあります。

(3) サプライチェーンの分断と調達リスク


自然災害や事故、新型感染症の流行、地政学的なリスクの高まりなどによりサプライチェーンが分断された場合、事業活動の停止や機会損失につながるリスクがあります。また、エネルギー価格の高騰に伴う資材価格の上昇や原材料の調達難が適切に管理できなかった場合、調達費用の負担増によって業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(4) 情報セキュリティの確保


顧客情報や個人情報を含む秘密情報を多数保有しており、各事業で多様なシステムを利用しているため、サイバー攻撃等への対策が重要となっています。不正アクセスやウイルス感染を防ぐために管理体制を強化し、従業員教育も行っていますが、日々高度化する攻撃により重大なセキュリティ事故が発生した場合、社会的信用の低下や業務停止を招く恐れがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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