#記事タイトル:フランスベッドホールディングス転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態
※本記事は、フランスベッドホールディングス株式会社 の有価証券報告書(第22期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. フランスベッドホールディングスってどんな会社?
同社グループは、医療・介護用ベッドのレンタル等のメディカルサービスと、家庭用ベッド等の製造販売を行うインテリア健康事業を展開しています。
■(1) 会社概要
同社の源流は、2003年にフランスベッドとフランスベッドメディカルサービスの経営統合発表に始まります。2004年3月に株式移転により持株会社として設立され、東証一部に上場しました。その後、2009年に子会社間の再編を実施し、事業体制を効率化しました。2022年4月には東証プライム市場へ移行し、現在に至ります。
2025年3月31日現在、連結従業員数は1,812人、単体では58人です。筆頭株主は同社代表取締役会長兼社長の池田茂氏で、第2位は資産管理業務を行う日本マスタートラスト信託銀行です。第3位の有限会社しげる不動産は、上位株主である池田氏の関連資産管理会社と考えられます。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 池田 茂 | 15.90% |
| 日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) | 7.45% |
| 有限会社しげる不動産 | 6.10% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性9名、女性1名の計10名で構成され、女性役員比率は10.0%です。代表取締役会長兼社長は池田茂氏が務めています。社外取締役比率は40.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 池田 茂 | 代表取締役会長兼社長経営全般・監査グループ担当・秘書グループ担当 | 1973年4月フランスベッド入社。同社社長を経て、2004年3月同社代表取締役社長に就任。2019年6月より現職。 |
| 池田 一実 | 代表取締役副社長経営企画グループ担当 | 2005年4月松下電器産業(現パナソニックホールディングス)入社。2008年7月フランスベッド入社。2021年6月より現職。 |
| 桑田 龍弘 | 取締役経営企画グループ担当 | 1980年4月フランスベッド入社。同社取締役専務執行役員インテリア事業本部長などを経て、2021年6月より現職。 |
| 吉野 与四郎 | 取締役経営企画グループ担当 | 1989年3月フランスベッドメディカルサービス(現フランスベッド)入社。同社取締役常務執行役員などを経て、2021年6月より現職。 |
| 長田 明彦 | 取締役経理/総務グループ担当 | 1989年4月フランスベッド入社。同社取締役常務執行役員管理本部長などを兼務し、2023年8月より現職。 |
| 木村 昭仁 | 取締役(監査等委員) | 1985年4月日本長期信用銀行入行。フランスベッド常勤監査役などを経て、2016年6月より現職。 |
社外取締役は、中村秀一(元社会保険診療報酬支払基金理事長)、渡邊敏(弁護士)、山下視希夫(元島忠社長)、大塚則子(公認会計士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「メディカルサービス」、「インテリア健康」および「その他」事業を展開しています。
■(1) メディカルサービス事業
当事業では、福祉用具や医療・介護用ベッドのレンタル、小売、卸売、製造を行うほか、病院やホテル向けのリネンサプライ事業を展開しています。主な顧客は、在宅介護を必要とする高齢者やその家族、および病院やホテルなどの法人です。
収益源は、一般顧客や介護保険利用者からのレンタル料や販売代金、病院・ホテルからのリネンサプライ契約料です。運営は主に、中核子会社のフランスベッドのほか、翼、カシダス、ホームケアサービス山口などが担当しています。
■(2) インテリア健康事業
当事業では、家庭用ベッド、家具類、寝装品、健康機器等の製造・仕入および卸売を行っています。また、戸別訪問販売や広告・展示会場の設営なども手がけています。顧客は家具販売店や百貨店などの流通業者、および一般消費者です。
収益源は、製品の販売代金や展示会での売上です。運営は主に、製造販売を行うフランスベッド、販売会社のフランスベッド販売、東京ベッド、製造を担うフランスベッドファニチャーなどが担当しています。
■(3) その他事業
報告セグメントに含まれないその他の事業として、不動産賃貸業などを行っています。保有する不動産資産を活用し、安定的な収益確保を図っています。
収益源は、テナント等からの不動産賃貸料収入です。運営は主にフランスベッド、フランスベッド販売などが担当しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
2021年3月期から2025年3月期までの5期間を見ると、売上高は524億円から606億円へと順調に拡大しています。経常利益も35億円から47億円へと増加傾向にあり、利益率も7%台後半で安定的に推移しています。当期は増収ながらも、特別利益の減少等により最終利益は若干の減益となりました。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 524億円 | 544億円 | 586億円 | 592億円 | 606億円 |
| 経常利益 | 35億円 | 40億円 | 45億円 | 47億円 | 47億円 |
| 利益率(%) | 6.6% | 7.3% | 7.7% | 7.9% | 7.7% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 23億円 | 26億円 | 27億円 | 31億円 | 29億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間の損益構成を見ると、売上高は増加し、売上総利益率も向上しています。これは、メディカルサービス事業においてレンタル資産の効率的な運用が進み、原価率が低減したことなどが寄与しています。販管費は人件費や物流費の増加により増えましたが、増収効果等で吸収し、営業利益率は微増しました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 592億円 | 606億円 |
| 売上総利益 | 319億円 | 331億円 |
| 売上総利益率(%) | 53.9% | 54.6% |
| 営業利益 | 46億円 | 47億円 |
| 営業利益率(%) | 7.8% | 7.8% |
販売費及び一般管理費のうち、従業員給与賞与が110億円(構成比38.9%)、運賃保管料が33億円(同11.8%)を占めています。
■(3) セグメント収益
メディカルサービス事業は、福祉用具貸与事業や病院・施設向け販売が好調で増収となり、利益も増加しました。一方、インテリア健康事業は、物価上昇による消費マインドの低下等の影響を受け、減収減益となりました。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) | 利益(2024年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| メディカルサービス | 389億円 | 405億円 | 35億円 | 36億円 | 8.9% |
| インテリア健康 | 197億円 | 195億円 | 11億円 | 11億円 | 5.5% |
| その他 | 5億円 | 6億円 | - | - | - |
| 調整額 | - | - | 0億円 | 0億円 | - |
| 連結(合計) | 592億円 | 606億円 | 47億円 | 47億円 | 7.7% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
フランスベッドホールディングスは、営業活動により安定的に資金を生み出しており、本年度は74億円強の収入となりました。一方で、投資活動では有価証券の取得や固定資産への投資を行い、49億円強の支出となりました。財務活動では、セール・アンド・リースバックによる収入があったものの、借入金の返済や配当金の支払いにより、24億円強の支出となりました。これらの活動の結果、現金及び現金同等物の残高は前期末から増加しています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 78億円 | 74億円 |
| 投資CF | -56億円 | -49億円 |
| 財務CF | 6億円 | -25億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「創造と革新により『豊かさとやさしさ』のある暮らしの実現に貢献するヒューマンカンパニーを目指す」を経営理念に掲げています。消費者に対し、満足度の高い高付加価値な新商品やサービスを提供し、企業価値の向上を目指しています。
■(2) 企業文化
同社は、経営資源を効率的に活用し、グループ総合力を強化することを重視しています。また、「社会の役に立ち、社会に貢献する」企業を目指し、事業を通じて社会的な価値を創造するとともに、環境・社会・ガバナンスを意識したサステナビリティ経営を推進する姿勢を持っています。
■(3) 経営計画・目標
2024年4月からスタートした新中期経営計画(2025年3月期~2027年3月期)では、最終年度の数値目標として以下を掲げています。
* 売上高:650億円
* 営業利益:54.2億円
* 経常利益:54億円
* 親会社株主に帰属する当期純利益:34.6億円
* ROE(自己資本利益率):8.5%
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は、高齢化が進む市場環境を踏まえ、主力のシルバービジネスへ経営資源を重点投入する方針です。メディカルサービス事業では、都市部での営業員増員や拠点開設、M&Aによる事業拡大に加え、AI活用等のDX推進による生産性向上を図ります。
インテリア健康事業では、高付加価値商品の開発に注力し、自社ショールームやECを通じた販売を強化します。また、サステナビリティ経営の一環として、レンタル売上の拡大による循環型経済への貢献や、人的資本経営の推進にも取り組んでいます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、人材こそが企業を支える基盤であるとの考えのもと、多様性を尊重し、女性の活躍推進や障がい者雇用の促進、外国人労働者の雇用創造などに取り組んでいます。また、各職種に必要な教育機会の提供や、働きやすい環境の整備を通じて、従業員一人ひとりが成長と働きがいを実感できる企業を目指しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均とほぼ同じ水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 46.2歳 | 20.8年 | 7,333,634円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外給与を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 4.8% |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 男女賃金差異(全労働者) | 82.3% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 75.1% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | - |
※提出会社の男性育児休業取得率、非正規雇用の男女賃金差異は該当者がいない等のため記載がありません。なお、連結グループ全体での女性管理職比率は5.9%、男性育児休業取得率は27.5%です。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、障がい者雇用率(3.1%)、育児休業取得率(女性)(100.0%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 介護保険制度への依存リスク
メディカルサービス事業の売上高の5割以上は介護保険制度に関連しています。同制度は3年ごとに改定されるため、サービスが保険適用外となったり、適用率が減少した場合、売上高が減少し、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。対策として、保険外収益(アクティブシニア向け等)の拡大を図っています。
■(2) 家具小売市場の変動リスク
インテリア健康事業の取引先である家具小売市場は、景気動向や住宅着工数などの影響を受けやすい傾向にあります。景気低迷や少子高齢化による需要減少、他社との競争激化などが生じた場合、売上高の減少や価格競争による利益率低下を招く可能性があります。
■(3) 製品の欠陥に関するリスク
同社は独自の品質基準に基づき製品を製造していますが、予期せぬ欠陥が発生する可能性は排除できません。万一、製品欠陥による賠償責任や大規模リコールが発生した場合、多額の費用発生やブランドイメージの毀損により、経営成績に影響を与える可能性があります。
■(4) 個人情報漏洩等に関するリスク
事業の特性上、多数の顧客情報を保有しており、サイバー攻撃や内部過失等により個人情報が漏洩した場合、社会的信用の失墜や損害賠償責任が生じ、経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。これに対し、情報セキュリティの強化等の対策を講じています。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。