フランスベッドホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

フランスベッドホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所プライム市場に上場するフランスベッドホールディングスは、福祉用具や医療・介護用ベッドのレンタル等を行うメディカルサービス事業と、家庭向けベッド等のインテリア健康事業を展開しています。直近の業績では、主力のレンタル事業が牽引して増収となった一方、コスト増等の影響により減益となりました。


※本記事は、フランスベッドホールディングス株式会社の有価証券報告書(第23期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月22日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. フランスベッドホールディングスってどんな会社?


医療・介護用ベッドや福祉用具のレンタル事業と、家庭向けベッド等の製造販売事業を中核とする企業です。

(1) 会社概要


2004年にフランスベッドとフランスベッドメディカルサービスの株式移転により持株会社として設立され、株式を上場しました。2009年には中核子会社を合併して体制を強化しています。近年は、2020年にカシダス、2021年にホームケアサービス山口を子会社化し、主力事業の基盤拡大を進めています。

現在の従業員数は連結で1,834名、単体で60名です。筆頭株主は同社代表取締役会長兼社長の池田茂氏であり、第2位は信託業務を行う日本マスタートラスト信託銀行、第3位は資産管理等を行うしげる不動産となっています。

氏名 持株比率
池田茂 16.47%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 6.60%
しげる不動産 6.32%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役会長兼社長は池田茂氏が務めています。社外取締役の比率は約44%(9名中4名)です。

氏名 役職 主な経歴
池田茂 代表取締役会長兼社長 1973年フランスベッド入社。1999年同社代表取締役社長兼営業本部長。2001年同社代表取締役社長。2004年フランスベッドホールディングス代表取締役社長。2019年より現職。
池田一実 代表取締役副社長 2005年松下電器産業入社。2008年フランスベッド入社。2019年フランスベッド代表取締役副社長、フランスベッドホールディングス代表取締役専務。2021年より現職。
桑田龍弘 取締役 1980年フランスベッド入社。2012年同社事業部長。2019年同社取締役常務執行役員。2021年同社取締役専務執行役員、フランスベッドホールディングス取締役。2023年より現職。
長田明彦 取締役 1989年フランスベッド入社。2013年同社管理部長。2021年同社取締役執行役員管理本部長、フランスベッドホールディングス取締役。2024年より現職。
木村昭仁 取締役(監査等委員) 1985年日本長期信用銀行入行。2004年フランスベッドメディカルサービス入社。2012年フランスベッド常勤監査役、フランスベッドホールディングス常勤監査役。2016年より現職。


社外取締役は、中村秀一(元厚生労働省社会・援護局長)、渡邊敏(弁護士)、山下視希夫(元島忠代表取締役社長)、大塚則子(公認会計士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「メディカルサービス」「インテリア健康」および「その他」事業を展開しています。

メディカルサービス


福祉用具や医療・介護用ベッドのレンタル、小売、卸売事業を展開し、病院・ホテル等のリネンサプライも行っています。高齢化が進む都市部では在宅介護需要に対応し、地方では介護ベッド等の卸販売に注力しています。

収益源は、介護保険制度を利用した福祉用具の貸与料や販売代金、法人からのリネンサプライ利用料などです。事業運営は主にフランスベッド、翼、カシダス、ホームケアサービス山口などのグループ各社が担っています。

インテリア健康


家庭向けベッド、家具類、寝装品、健康機器などの製造、仕入、卸売事業を展開しています。付加価値の高い中・高価格帯の商品開発や、国内ホテル・旅館向けの法人レンタル、ベトナム等の海外市場への展開も進めています。

収益源は、家具販売店やホームセンター、EC企業への卸売代金や、自社ショールームを通じた消費者からの販売代金などです。事業運営は主にフランスベッド、フランスベッド販売、東京ベッドなどが担っています。

その他


報告セグメントに含まれない事業として、グループが保有する不動産の賃貸などを行っています。

収益源は、保有不動産のテナントや賃借人から受け取る賃貸料などです。事業運営は主にフランスベッドおよびフランスベッド販売が担っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の業績推移を見ると、売上高は安定して成長を続け、順調に拡大しています。一方、経常利益や利益率は一定の水準を保ちつつも、足元では各種コストの増加などの影響により若干の低下が見られます。当期利益は安定的に推移しています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 544億円 586億円 592億円 606億円 618億円
経常利益 40億円 45億円 47億円 47億円 43億円
利益率(%) 7.3% 7.7% 7.9% 7.7% 7.0%
当期利益(親会社所有者帰属) 12億円 11億円 12億円 12億円 12億円

(2) 損益計算書


売上高は着実に増加し、売上総利益も前年を上回る水準を確保しています。売上総利益率は安定していますが、販売費及び一般管理費の増加などが影響し、営業利益および営業利益率は前年を下回る結果となりました。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 606億円 618億円
売上総利益 331億円 338億円
売上総利益率(%) 54.6% 54.7%
営業利益 47億円 43億円
営業利益率(%) 7.8% 7.0%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給与賞与が115億円(構成比39.1%)、運賃保管料が34億円(同11.6%)を占めています。また、売上原価は280億円であり、売上高に対する構成比は45.3%となっています。

(3) セグメント収益


メディカルサービス事業は、主力の福祉用具貸与における顧客譲受の推進や軽度者への貸与拡大により、売上が増加しました。一方、インテリア健康事業は耐久消費財への消費マインド低下等の影響を受け、売上が微減となっています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
メディカルサービス 405億円 418億円
インテリア健康 195億円 194億円
その他 6億円 6億円
連結(合計) 606億円 618億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


キャッシュ・フローの状況は、営業CFがプラス、投資CFおよび財務CFがマイナスとなる「健全型」です。本業の営業活動で得た資金を元に積極的な投資を行いながら、借入金の返済や株主還元を自己資金で賄う優良な財務状態を示しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 74億円 63億円
投資CF -49億円 -43億円
財務CF -25億円 -29億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は6.8%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は59.3%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は、「創造と革新により『豊かさとやさしさ』のある暮らしの実現に貢献するヒューマンカンパニーを目指す」を経営理念に掲げています。消費者にご満足いただける付加価値の高い新商品や新サービスを提供し、事業を通じて人々の暮らしに役立ち、社会から100年を超えて存続を期待される企業を目指しています。

(2) 企業文化


「人にやさしいヒューマンカンパニー」の具現化を目指し、多様性を尊重する文化を重視しています。女性の活躍や障がい者、外国人労働者の雇用創造、シニア層の知見活用などを通じて、社会の要請に応える組織づくりを推進しています。また、グループ行動規範を体現し、会社と共に成長していく環境が整備されています。

(3) 経営計画・目標


同社は2026年度を最終年度とする中期経営計画をスタートさせ、シルバービジネスへの経営資源集中や継続的な利益創出に取り組んでいました。事業環境の大きな変化により業績目標の数値自体は取り下げたものの、収益性の改善を最優先課題として掲げており、中長期的な資本効率の向上を目指して経営を行っています。

・2027年3月期目標:ROE8.5%以上

(4) 成長戦略と重点施策


同社は今後の成長戦略として、3つの基本政策に取り組んでいます。メディカルサービス事業では、高齢者向けレンタルビジネスに経営資源を重点投入し、国内シェアNo.1の地位確立を目指します。インテリア健康事業では、付加価値の高い中・高価格帯商品の開発や海外市場の開拓に注力し、継続的な利益創出を図ります。また、循環型経済への貢献などサステナビリティ経営も推進します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は事業拡大と持続的成長のため、人材を競争力の源泉と位置づけています。「若年層の計画的採用・育成」と「経験豊富な人材の活用」を両輪とする人材戦略を推進しており、新卒採用による将来の担い手確保と、事業拡大に伴う中途採用の強化を図っています。また、継続雇用制度を活用し、シニア層の知見を若年層に継承する体制を構築しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 47.1歳 20.1年 7,549,338円

※平均年間給与は賞与及び基準外給与を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 17.4%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) 78.3%
男女賃金差異(正規雇用) 78.4%
男女賃金差異(非正規雇用) 35.5%

注:男性育児休業取得率については、有報内に該当するデータや省略理由の記載がありません。

また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、総従業員に占める女性比率(36.3%)、障がい者雇用率(3.0%)、育児休業取得率(女性)(100.0%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 介護保険制度や消費マインドに依存する事業環境リスク


同社のメディカルサービス事業は、売上の5割以上を介護保険制度に依存しており、制度改定により保険適用外の指定や適用率の減少が生じた場合、業績に影響が及ぶ可能性があります。また、インテリア健康事業の属する家具小売市場は、消費マインドや住宅税制の影響を受けやすく、需要減少がリスクとなります。

(2) 品質基準を満たさない製品の欠陥・リコールリスク


同社は厳しい独自品質基準(FES)のもとで製品を製造していますが、製品の欠陥を完全に防ぐ保証はありません。万一欠陥が生じて大規模なリコールや損害賠償責任が発生した場合、多額の費用負担に加えてブランドの信頼が低下し、事業運営や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(3) 大量の個人情報を取り扱うことによる漏洩リスク


事業の特性上、大量の顧客情報などの個人情報を取り扱っています。情報セキュリティ対策を講じ、損害賠償保険にも加入していますが、サイバー攻撃等により情報漏洩事故が発生した場合、法的責任を負うとともに社会的信用が大きく損なわれ、業績に影響を及ぼすリスクがあります。

(4) 人材の確保と育成に関する人材不足リスク


継続的な事業拡大のため、新卒採用や中途採用、シニア層の継続雇用など多様な人材確保に努めています。しかし、必要な人員計画の未達や想定以上の人材流出が発生した場合、業務効率の低下などを招き、同社グループの事業運営や業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。