※本記事は、丸藤シートパイル株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月19日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
丸藤シートパイルは、建設基礎工事用鋼製重仮設資材、仮設システム橋梁、各種補強土壁製品、建築用鉄骨加工品などの販売、賃貸、およびこれらに付帯する工事、加工、運送を手掛けています。日本製鉄の製品を主力とし、大手・中堅建設会社を主要な取引先としています。
単体従業員数は393名、連結従業員数は506名です。同社グループの事業部門は、営業部門、工場部門、運送部門、工事部門、全店(共通)の5つです。
主な国内グループ会社は、フジ運輸(運送)、ディ・ケイ・コム(工事)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
丸藤シートパイルは、社会インフラ整備を支える「地下エンジニアリング」企業として、重仮設資材リース事業を主力としています。専門性の高い事業を展開しており、社員が長期的にキャリアを築きながら、安定して働く環境が整っていることがうかがえます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、平均勤続年数が長く、平均年齢も比較的高めであることから、社員が腰を据えて長く働き、経験を積んでいく傾向があると考えられます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 7,418,000円 |
| 平均勤続年数 | 18.1年 |
| 平均年齢 | 45.1歳 |
| 単体従業員数 | 393人 |
| 連結従業員数 | 506人 |
| 単体のグループ内比率 | 77.7% |
同社および連結子会社は、確定給付企業年金制度と確定拠出年金制度を採用しています。確定給付型は給与や勤続年数に応じて給付額が決まる制度、確定拠出型は会社が拠出した資金を従業員が運用する制度です。
なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
連結ベースの退職給付債務は15.1億円、年金資産は32.9億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、中長期ビジョンとして「多様な強い人材『個』が活躍できる企業」を目指しており、事業活動を通じた社会課題解決と持続的成長の原動力は「人」であると考えています。経営戦略を推進・実行していくのは社員一人ひとりであり、その社員の質が経営戦略に大きく影響を及ぼすことから、人材戦略を経営戦略の両輪と位置付けています。
2026年4月より新人事制度を導入し、社員自らがキャリアコースを選択できる制度や、評価結果が給与・賞与・昇降格に反映される仕組みを構築しています。特に業務負荷が高い営業部門と工事部門の社員のモチベーション向上と人材定着を図ることを目的としています。基本給は各等級に求められる成果、行動、能力を定義する「等級定義書」に基づき設定され、賞与は会社の業績目標達成度と社員の目標達成度を公正に評価し反映されます。給与改定は市場環境や業界水準を総合的に勘案し、優秀な人材獲得に資するよう適切に実施する方針です。また、2026年3月には人材確保と従業員のエンゲージメント向上を図るため、譲渡制限付株式(RS)制度を導入しています。
同社グループは「人的資本を最大化する6つの柱」を掲げ、働きやすい職場環境を制度面から整備しています。具体的には、新卒採用においてWEB説明会やオンデマンド配信、リファラル採用、アルムナイ採用などを積極的に実施し、外部コンサルを活用した新卒採用戦略の見直しや企業ブランディングにも取り組んでいます。育成面では、全従業員を対象とした社内研修カリキュラムや階層別研修プログラムを刷新し、マネジメント力強化研修も継続実施しています。
社員の活躍をサポートするため、2026年4月からは管理職または専門職を選択できる複線型キャリアコースを設定し、家庭環境等に応じて働き方を選択できるキャリア勤務とエリア勤務も導入しています。女性社員の活躍推進にも注力しており、工事部門や工場部門への女性総合職の配属を増やし、女性管理職の登用も推進しています。また、障がい者雇用を推進するための社外農園事業をスタートさせ、2025年度には法定雇用率100%を達成しています。社員との対話も重視しており、経営幹部とあらゆる階層の従業員とのミーティングを定期的に開催し、風通しの良い会社を目指した風土改革を進めています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 3.3% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 71.4% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 69.2% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 67.9% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 72.6% |
多様性・登用
提出会社単体のデータを示します。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 全社員に占める女性の割合 | 26.2% |
人材育成・エンゲージメント
提出会社単体のデータを示します。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 採用教育費 | 38百万円 |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
丸藤シートパイルは、建設基礎工事用鋼製重仮設資材の販売、賃貸、およびそれに付随する工事、加工、運送などを手掛ける同社グループです。国内の公共投資や設備投資、都市部の再開発事業などに支えられ、建設業界の需要に応えています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、鋼矢板(シートパイル)、H形鋼、鋼製山留材、覆工板といった建設基礎工事用の鋼製重仮設資材や、仮設システム橋梁、各種補強土壁製品、建築用鉄骨加工品などを取り扱っています。これらの資材の販売、賃貸、および資材提供に付帯する工事、加工、運送が主な事業内容です。
収益は、販売収入、賃貸収入、工事収入、加工料収入、運送収入の5つの形態から得ています。特に工事収入は全体の約3分の1以上を占めるまでに拡大しており、同社グループの収益を牽引しています。主要な取引先は鹿島建設、大林組、安藤ハザマ興業、熊谷組などの大手中堅建設会社が主体です。
同社グループの営業圏は北海道から関西までとなっており、海外からの売上高は計上されていません。また、特定の顧客への売上集中が見られ、当連結会計年度においては鹿島建設株式会社への売上高が全体の約1割を占めています。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの直近5期間の業績は、売上高、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益のいずれも増加傾向にあります。特に当連結会計年度においては、売上高が前期から大きく伸長し、それに伴い各利益も大幅な増益となりました。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 319億円 | 351億円 | 345億円 | 356億円 | 403億円 |
| 経常利益 | 9.7億円 | 15.5億円 | 19.3億円 | 20.8億円 | 26.6億円 |
| 経常利益率 | 3.0% | 4.4% | 5.6% | 5.8% | 6.6% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 7.5億円 | 10.4億円 | 13.7億円 | 15.3億円 | 19.6億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 41.87 | 58.04 | 76.67 | 85.74 | 110.60 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高は前期から増加しており、従業員1人あたりの営業利益も同様に増加しています。これは、同社グループ全体の生産性が向上している傾向を示しています。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 72.2百万円 | 79.7百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 3.2百万円 | 4.2百万円 |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
丸藤シートパイルは、安定した財務基盤を維持しつつ、将来に向けた投資も進めている状況です。資金の流れからは、本業で着実に利益を上げながら、事業の強化に資金を投じていることがうかがえます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの自己資本比率は71.2%となっており、プライム市場の平均と比較しても堅固な財務基盤を維持していることがうかがえます。ROE(自己資本利益率)は6.2%であり、前期から上昇傾向にあります。これは株主資本を効率的に活用して利益を生み出す力が強化されていることを示しています。
手元資金である現金及び預金は43.8億円を確保しており、事業運営に必要な流動性を維持しています。これらの財務指標は、同社グループが堅実な経営基盤を持ち、従業員の雇用や給与の安定性にも寄与する状況にあることを示しています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 309億円 | 327億円 |
| 自己資本比率 | 70.3% | 71.2% |
| ROE(自己資本利益率) | 5.1% | 6.2% |
| 現金及び預金 | 50.9億円 | 43.8億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュフローは22.6億円の増加となりました。これは主に税金等調整前当期純利益の増加や棚卸資産の減少によるものです。投資活動によるキャッシュフローは△16.0億円の減少となり、有形及び無形固定資産の取得による支出が主な要因となっています。
財務活動によるキャッシュフローは△13.7億円の減少となり、自己株式の取得や配当の支払いが主な減少項目です。本業で着実に資金を生み出し、それを成長投資に充てている状況です。この資金の流れは、同社グループが事業の拡大と強化に積極的に取り組んでおり、将来的な成長とそれに伴う雇用・給与の安定性につながる可能性を示しています。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 14.5億円 | 22.6億円 |
| 投資CF | △8.1億円 | △16.0億円 |
| 財務CF | △4.0億円 | △13.7億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 6.4億円 | 6.6億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループの業績は建設業界を取り巻く環境に左右され、国内建設市場への依存度が高いことから、建設コストの高騰や景気悪化等により民間建設投資、公共事業投資の急激な縮小等によっては、同社グループの受注高及び収益性等に影響を受ける可能性があります。また、鋼材仕入れ時の市況価格や国際情勢、為替相場等の影響で原材料価格が高騰するリスク、労務費が上昇するリスクがあり、採算性が悪化する可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
少子高齢化の進行により労働人口が減少する中で、社員の新規採用が著しく停滞した場合、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
丸藤シートパイルは、建設業界のニーズに応え、社会資本の整備に貢献することを経営理念としています。重仮設資材の提供を通じて、安心・安全な社会の実現と持続的な成長を目指している会社です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
丸藤シートパイルグループは、「建設業界のニーズに応えた資機材及び技術・工事・加工の提供を通じて社会資本の整備に貢献する」ことを経営理念としています。この理念に基づき、「安心・安全を守り、公正で誠実な企業活動により、全てのステークホルダーの期待に応える」ことや、「優れた技術力を追求し、価値ある商品・サービスを提供して社会に貢献する」ことを掲げています。また、「人を大切にして人を育て、信用と信頼を基礎に、魅力ある企業を目指す」という方針です。
中長期ビジョン(2030Vision)としては、「コア事業の基盤強化と次の100年の創造」を掲げています。具体的には、「重仮設のパイオニアとして揺るぎない存在感」を確立し、「新たな事業領域などへのチャレンジ」を通じて社会の発展に貢献することを目指しています。さらに、「多様な強い人材『個』が活躍できる企業」となることを目標としています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
丸藤シートパイルグループは、「人を大切にして人を育て、信用と信頼を基礎に、魅力ある企業を目指す」ことを経営理念としています。中長期ビジョンでは「多様な強い人材『個』が活躍できる企業」を目指しており、多様な人材が能力を最大限に発揮できる環境整備とウェルビーイングの追求を重視しています。
同社は、社員のエンゲージメント向上と全体のレベルアップを図るため、「人的資本を最大化する6つの柱」を掲げています。具体的には、2026年4月より人事制度を刷新し、社員個々の等級レベルに求める成果や行動価値、能力を再定義しています。
また、人材の確保と育成、海外人材や女性社員の活躍推進、社員との対話、障がい者雇用の拡充にも取り組んでいます。これらの取り組みを通じて、社員の成長と会社の持続的発展を目指す企業風土が形成されています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
丸藤シートパイルグループは、優先的に対処すべき課題として「安全・安心を守る」取り組みを最重要課題と位置付けています。建設関連事業を営む企業として、安全の確保を企業存続の前提条件と認識し、「災害の撲滅」を最優先に安全管理体制の強化に取り組んでいます。
具体的には、協力会社を含めた意識改革の徹底により、「作業手順の順守と設備点検の徹底」や「不安全行動の排除と安全意識の向上」を実践しています。また、建設現場および工場作業に伴う災害・事故を未然に防ぎ、心身ともに健康で働ける職場環境の整備に努めています。
さらに、中期経営計画<2026-2030年度>の達成に向け、経営基盤の強化と成長への投資に取り組む方針です。持続的な成長と中長期的な企業価値向上を目指しています。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
丸藤シートパイルは、機動的な意思決定と適切な意見交換ができる取締役会を構成し、ガバナンス機能の強化に重点を置いています。監査役会設置会社として、社外監査役を含む監査役会が経営を監視する体制です。コンプライアンス委員会も設置し、グループ全体のコンプライアンス体制の充実を図っています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
丸藤シートパイルの筆頭株主は三井物産スチールであり、事業会社が主要な株主となっています。上位株主には、住友生命保険相互会社や明治安田生命保険相互会社といった機関投資家も名を連ねています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 三井物産スチール | 14.29% |
| 住友生命保険相互会社 | 6.22% |
| 明治安田生命保険相互会社 | 5.31% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は9名(男性9名・女性0名)で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は羽生成夫氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 羽 生 成 夫 | 代表取締役 社長 | 1991年1月同社入社、2017年6月同社取締役執行役員、2024年4月同社代表取締役社長執行役員より現職。 |
| 矢 部 隆 光 | 取締役 | 1985年4月三井物産株式会社入社、2021年6月同社常勤監査役、2024年6月同社取締役常務執行役員、管理本部長より現職。 |
| 宮 下 典 久 | 取締役 | 1988年4月同社入社、2020年6月同社執行役員財経部長、2024年6月同社取締役執行役員、2026年4月同社取締役より現職。 |
| 坂 本 慎 一 | 取締役 | 1991年7月同社入社、2023年5月同社執行役員関東支店長、2024年6月同社取締役執行役員、2026年4月同社取締役執行役員、事業本部長より現職。 |
社外取締役は、吉永康樹氏(公認会計士吉永康樹事務所所長・株式会社シーファス代表取締役社長)、関根修一氏(青木・関根・田中法律事務所パートナー弁護士)です。
同社は監査役会設置会社です。社外取締役は、企業経営や法務・財務に関する専門的知見に基づき、客観的かつ中立的な視点から経営を監督しています。また、社外取締役は任意の報酬委員会の委員として、役員報酬の決定過程における監督機能を担っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社は、企業価値の持続的な向上を促すため、役員報酬を基本報酬、業績連動報酬(賞与および株式報酬)で構成しています。基本報酬は役位や職責に応じた固定報酬として毎月支給され、業績連動報酬は連結経常利益を主な指標とした賞与と、役位別のポイントに業績連動係数を乗じて算定される株式報酬からなります。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 5名 | 1.1億円 | 22.6百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 18百万円 | 18.0百万円 |
| 社外役員 | 4名 | 34百万円 | 8.5百万円 |
なお、取締役の報酬等の総額には、使用人兼務取締役の使用人分給与は含まれていません。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。
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