加賀電子 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

加賀電子 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

加賀電子は東京証券取引所プライム市場に上場し、電子部品事業、情報機器事業、ソフトウェア事業などを展開するエレクトロニクスの総合商社です。当期は電子部品のスポット販売やEMSビジネスの好調などにより、全段階利益で前期比増収増益を達成し、売上高および当期純利益は過去最高を更新して堅調に推移しています。


※本記事は、加賀電子株式会社の有価証券報告書(第58期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 加賀電子ってどんな会社?


電子部品から情報機器まで幅広く扱うエレクトロニクス総合商社です。

(1) 会社概要


同社は1968年に電子機器および電子部品などの販売を目的に設立されました。1986年に東京証券取引所市場第二部に上場し、1997年に市場第一部へ指定替えとなりました。その後も国内外に販売や製造の拠点となる子会社を次々と設立し、2022年にはプライム市場へ移行しました。直近の2025年には協栄産業を連結子会社化しています。

現在の従業員数は連結で9,374名、単体で583名です。筆頭株主は信託業務を行う日本マスタートラスト信託銀行(信託口)で、第2位はOKOZE、第3位は加賀電子従業員持株会となっています。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 11.77%
OKOZE 7.72%
加賀電子従業員持株会 6.52%

(2) 経営陣


同社の役員は男性11名、女性1名の計12名で構成され、女性役員比率は8.3%です。代表取締役社長執行役員は門良一氏が務めており、社外取締役の比率は50.0%となっています。

氏名 役職 主な経歴
門良一 代表取締役社長執行役員 1980年3月同社入社。1995年6月取締役。2005年4月専務取締役。2014年4月代表取締役社長。2023年6月より現職。
塚本勲 代表取締役会長執行役員 1968年2月加賀電子創業、同年9月代表取締役社長。2007年4月代表取締役会長。2023年6月より現職。
塚本剛 取締役上席執行役員 1987年4月同社入社。加賀FEI代表取締役社長執行役員等を経て、2025年6月より現職。
石原康広 取締役上席執行役員管理本部長 1987年4月同社入社。管理本部経理部長、執行役員管理本部副本部長等を経て、2025年6月より現職。
糀谷仁志 取締役上席執行役員経営企画室長 1992年4月同社入社。経営企画室長兼営業企画室長等を経て、2025年6月より現職。
川村英治 取締役(常勤監査等委員) 1979年3月同社入社。加賀ソルネット代表取締役社長、同社常務取締役管理本部長、常勤監査役を経て、2025年6月より現職。


社外取締役は、三吉暹(元トヨタ自動車副社長)、橋本法知(元三菱電機常務執行役)、吉田守(元松下電器産業常務役員)、橘内進(橘内公認会計士事務所代表)、佐藤陽一(元東京高等裁判所判事)、大柳京子(社会保険労務士法人さくらマネジメントオフィス代表)です。

2. 事業内容


同社グループは、「電子部品事業」「情報機器事業」「ソフトウェア事業」および「その他事業」を展開しています。

電子部品事業


同セグメントでは、半導体、一般電子部品、EMS(電子機器の製造受託サービス)などの開発、製造、販売を行っています。独立系商社としての調達力を活かし、車載機器や医療機器、空調機器向けの部材なども広く提供しています。

収益は、半導体や電子部品の販売代金やEMSによる受託製造代金として顧客から受け取ります。運営は同社のほか、加賀デバイス、加賀FEI、加賀EMS十和田、協栄産業などの多くの子会社が国内外で行っています。

情報機器事業


同セグメントでは、パソコン、PC周辺機器、各種家電、写真・映像関連商品およびオリジナルブランド商品など完成品の販売を行っています。教育機関向けや量販店向けなどに幅広く商品を提供しています。

収益は、完成品の販売代金として顧客から受け取ります。運営は主に加賀ソルネットや加賀テクノサービスが行っています。

ソフトウェア事業


同セグメントでは、CG映像制作やアミューズメント関連商品の企画、開発などを行っています。ゲーム向けやアミューズメント機器向けの映像制作など、コンテンツの制作や品質管理を担っています。

収益は、映像制作や開発の受託代金、ソフトウェアのライセンス収入などとして受け取ります。運営はデジタル・メディア・ラボやアクセスゲームズ、ドリームスが行っています。

その他事業


同セグメントでは、エレクトロニクス機器の修理およびサポート、アミューズメント機器の製造や販売、スポーツ用品の販売などを行っています。パソコンのリサイクルやリユースなども展開しています。

収益は、修理やサポート代金、アミューズメント機器やスポーツ用品の販売代金として受け取ります。運営は加賀マイクロソリューションや加賀スポーツ、加賀アミューズメントなどが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は一時的な変動が見られるものの、直近では大きく増加して過去最高を更新しています。経常利益と当期純利益も増減を繰り返しながら推移していますが、当期は企業買収に伴う負ののれん発生益の計上や為替差益などにより大幅な増益を達成しました。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 4958億円 6081億円 5427億円 5478億円 6589億円
経常利益 215億円 327億円 260億円 226億円 299億円
利益率(%) 4.3% 5.4% 4.8% 4.1% 4.5%
当期利益(親会社所有者帰属) 72億円 126億円 155億円 127億円 199億円

(2) 損益計算書


売上高の大幅な増加に伴い、売上総利益および営業利益も順調に拡大しています。利益率は前期と同程度の水準を維持しており、販売経費や企業買収に伴う固定費の増加を売上総利益の増加でカバーして増益を確保しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 5478億円 6589億円
売上総利益 717億円 854億円
売上総利益率(%) 13.1% 13.0%
営業利益 236億円 278億円
営業利益率(%) 4.3% 4.2%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給与・賞与が247億円(構成比43%)、運賃及び荷造費が59億円(同10%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力の電子部品事業は、汎用メモリのスポット販売や子会社化の影響、海外拠点でのEMS設備増強が奏功して増収増益となりました。情報機器事業も教育機関や量販店向けのパソコン販売が好調で増収増益でしたが、ソフトウェア事業は前期の大型案件の反動減で減収減益となっています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期) 利益(2025年3月期) 利益(2026年3月期) 利益率
電子部品事業 4729億円 5688億円 169億円 193億円 3.4%
情報機器事業 427億円 542億円 33億円 44億円 8.2%
ソフトウェア事業 34億円 33億円 5億円 4億円 11.0%
その他事業 288億円 326億円 27億円 35億円 10.7%
調整額等 - - 1億円 2億円 -
連結(合計) 5478億円 6589億円 236億円 278億円 4.2%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社のキャッシュ・フローは、本業のキャッシュ・フローがマイナスとなっているものの、将来の成長を見据えて資金調達と投資を継続する勝負型の状態となっています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 250億円 -25億円
投資CF -100億円 -35億円
財務CF -73億円 203億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は17.8%で市場平均を上回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も45.5%で非製造業の市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は、創業以来「すべてはお客様のために」という経営理念を掲げています。お客様のさまざまなニーズに応えることで事業領域を拡大し、独立系商社としての強みを活かした電子部品・半導体の販売やEMSビジネスなどを通じて、エレクトロニクスの総合商社として多様なサービスを提供しています。

(2) 企業文化


同社は、行動指針として「F.Y.T.(ファイト:変化に柔軟に、常に若々しく、果敢に挑戦する)」「3G(スリージー:あらゆるものを、グローバルに、総合力を活かして)」「加賀イズム(経営マインド・営業マインド・社会人としての心構え)」を掲げ、これを重視した事業運営を行っています。

(3) 経営計画・目標


同社は、2028年度に「売上高1兆円企業」を実現することを見据えた長期構想を掲げています。「中期経営計画 2027」の最終年度となる2027年度には、売上高8,000億円以上、営業利益360億円以上、営業利益率5.0%の確保を目指しています。

* 売上高:8,000億円
* 営業利益:360億円
* ROE:12.0%以上

(4) 成長戦略と重点施策


同社は、「収益性と資本効率を重視した経営により、企業価値を高める」ことを基本方針とし、中核事業の拡大に加えてM&Aへの挑戦と新規事業の創出に取り組んでいます。また、戦略的な資本政策を実行するための経営基盤の高度化や、サステナビリティ中長期経営計画に基づいたSDGs経営の推進に注力しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、「人こそが最大の財産」との考えのもと、人的資本への投資を経営の重要課題と位置づけています。グローバル競争に勝ち残る世界に通用する企業として国内外で活躍できる人財の育成や、性別や年齢に関係なく多様な人財が能力を最大限発揮できる組織づくりと職場環境の整備を推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 42.6歳 13.9年 8,196,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 6.5%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 68.1%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 66.8%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 61.5%


また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性新卒総合職比率(14.8%)、外国人の管理職への登用(28.3%)、中途採用者の管理職への登用(49.1%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 経済環境および為替レートの変動


同社の主要事業は、日本、北米、欧州、アジアなどの経済環境の影響を受けます。これら市場における景気変動や需要の拡大・縮小は業績に影響します。また、海外での事業展開により外貨建て取引が多く、為替予約等でリスク軽減に努めているものの、急激な為替変動が業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) カントリーリスクおよび地政学的要因


同社は世界各国に販売および製造拠点を有しています。進出先での政治的要因による法律や規制の変更、急激なインフレ、社会情勢悪化に伴うテロや戦争、自然災害、伝染病の蔓延などが発生した場合、サプライチェーンの混乱や事業活動の停止を招き、業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(3) 仕入先との関係および競合激化


同社は国内外の多数の製造業者や商社から商品を仕入れていますが、仕入先の政策変更や自然災害などによる工場稼働停止が生じた場合、事業に影響が出る恐れがあります。また、技術革新や顧客ニーズの変化が激しいエレクトロニクス市場において、競争力のある価格やサービスを提供できない場合、収益性が低下するリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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