※本記事は、東京テアトル株式会社の有価証券報告書(第110期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 東京テアトルってどんな会社?
映像エンターテインメント、飲食店の運営、不動産賃貸や中古マンション再生販売の3本柱で事業を展開しています。
■(1) 会社概要
同社は1946年6月に東京興行として設立され、同年12月にテアトル銀座を開館しました。1949年5月に東京証券取引所に株式を上場し、1955年10月に現在の東京テアトルに商号を変更しています。1998年10月に映画配給事業を開始し、1999年2月には現在の中古マンション再生販売事業へとつながる不動産販売事業を開始しました。
従業員数は連結437名、単体135名です。筆頭株主は事業上の取引がある三井住友信託銀行で、第2位は日本証券金融、第3位はDBS BANK LTD 700170が名を連ねています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 三井住友信託銀行 | 4.86% |
| 日本証券金融 | 4.68% |
| DBS BANK LTD 700170 | 4.45% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性11名、女性0名の計11名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は太田和宏氏が務めており、取締役8名のうち3名が社外取締役となっています。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 太田和宏 | 代表取締役社長 | 1989年4月同社入社。営業企画部長兼広報室長、取締役映像事業本部長、取締役専務執行役員営業本部長などを歴任。2013年6月より現職。 |
| 松岡毅 | 取締役常務執行役員管理本部長 | 1985年4月サントリーレストランシステム(現ダイナック)入社。1990年7月同社入社。財務経理部長などを経て、2016年6月より現職。 |
| 千葉久司 | 取締役常務執行役員リノベーションマンション事業部長 | 1988年4月西洋環境開発入社。2002年4月野村不動産アーバンネット入社。2006年2月同社入社。執行役員不動産販売事業部長等を経て、2022年6月より現職。 |
| 小倉誠 | 取締役常務執行役員経営政策本部長 | 1992年4月同社入社。経営企画部長、営業本部長兼東京テアトルリモデリング代表取締役社長、執行役員経営政策本部長などを歴任し、2025年6月より現職。 |
| 山崎淳一 | 取締役執行役員映像事業本部長 | 1999年4月同社入社。飲食事業本部スイーツデリ営業部長、飲食事業部外食営業部長、執行役員経営政策本部人事労政部長などを歴任し、2025年6月より現職。 |
社外取締役は、猪山雄央(弁護士法人下山法律事務所代表社員)、小澤直樹(ほがらか代表取締役)、馬場清(社会保険労務士馬場清事務所代表)です。
2. 事業内容
同社グループは、映像関連事業、飲食関連事業、不動産関連事業を展開しています。
■映像関連事業
映画の興行、映画の配給、映画やドラマの制作、総合広告サービス、イベント企画を行っています。映画館での映像エンターテインメント提供や、多様な作品の配給、各種イベントやシネアドなどの広告の受注獲得に取り組んでいます。
映画館の入場料、作品の配給収入、映画制作における出資作品の投資回収や配信サービスからの収益、広告料が主な収益源です。運営は同社およびアクシーが担っています。
■飲食関連事業
焼鳥専門店チェーン「串鳥」などの飲食店の経営や、食材の加工・販売事業を展開しています。スーパーなどへの冷凍食品の提供やテイクアウト店舗を通じた中食・卸売も手掛けています。
飲食店での飲食代金や、加工食品の販売代金が主な収益源です。運営は札幌開発、テアトルダイニング、西洋銀座が行っています。
■不動産関連事業
オフィスビル等の不動産賃貸や、中古マンション等の再生販売、マンション等のリフォーム事業を展開しています。質の高いサービスと快適なオフィス空間の提供や、リノベーションした中古マンションの販売を行っています。
テナントからの賃料収入や、再生販売した中古マンションの販売代金が主な収益源です。運営は同社および東京テアトルリモデリングが担っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は一貫して増加傾向にあり、直近5期間で拡大を続けています。経常利益は一時的に減少したものの直近では増益に転じました。当期利益は特別利益の計上などにより変動が見られます。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 131億円 | 163億円 | 171億円 | 184億円 | 207億円 |
| 経常利益 | 7億円 | 4億円 | 3億円 | 3億円 | 4億円 |
| 利益率(%) | 5.4% | 2.3% | 1.7% | 1.5% | 2.0% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 9億円 | 0.5億円 | 6億円 | 25億円 | 6億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の増加に伴い売上総利益も増加していますが、売上総利益率は低下しています。営業利益は前年度から増加し、営業利益率もわずかに改善しました。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 184億円 | 207億円 |
| 売上総利益 | 50億円 | 51億円 |
| 売上総利益率(%) | 27.0% | 24.6% |
| 営業利益 | 3億円 | 3億円 |
| 営業利益率(%) | 1.5% | 1.6% |
販売費及び一般管理費のうち、人件費が25億円(構成比52%)、賃借料が3億円(同7%)、役員報酬が3億円(同6%)を占めています。
■(3) セグメント収益
全セグメントで増収となっています。特に不動産関連事業は中古マンションの販売数が大きく伸長し、大幅な増収を達成しました。飲食関連事業も新規出店等により堅調に推移しています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 映像関連事業 | 34億円 | 35億円 |
| 飲食関連事業 | 58億円 | 61億円 |
| 不動産関連事業 | 92億円 | 111億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業CFと資産売却等による投資CFのプラスにより、借入返済を進める改善局面となっています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 2億円 | 15億円 |
| 投資CF | 6億円 | 0.5億円 |
| 財務CF | 4億円 | -8億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は5.2%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は55.7%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「Sound of Your Life ~あなたの人生に豊かな響きを~」を企業理念として掲げ、基幹事業である映像関連事業、飲食関連事業、不動産関連事業を通じて社会に貢献していくことを経営の基本方針としています。
■(2) 企業文化
作られたものや作ったものを販売する会社から、自社のプロデュース力を高め、顧客が求めるものを創り、販売し、事業規模を拡大する「プロデュースカンパニー」への発展を重視しています。インサイト(消費者が認識していないニーズ)を探求し、市場認知される商品やサービスを創造する挑戦的な文化を大切にしています。
■(3) 経営計画・目標
特定の指標を中期的な経営目標としては設定していません。環境変化が激しく、特に基幹事業である映像関連事業の不確実性が高いことから、中期経営方針における政策の進捗を踏まえて設定する単年度目標を着実に達成することに取り組んでいます。
■(4) 成長戦略と重点施策
「プロデュースカンパニーへの革新」をさらに推し進め、人的資本の充実により売上等の伸長を見込む「ヒューマンリソース型ビジネス」を中核事業とします。映像事業の再建、飲食事業の積極的拡大、中古マンション再生販売事業の安定的成長を目指し、各事業の成長を支える人財の育成と安定的な資金配分に取り組みます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
事業の中核を担う「人財化」の強化を掲げ、各事業の後継人財の育成を強化しています。人的資本を源泉とするビジネスの拡大に向け、OJTに加えOFF-JT等の教育研修、Eラーニングや資格取得支援など多様な学びの機会を提供し、多様化するキャリア意識や働き方の価値観に対応する環境整備を推進しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 43.1歳 | 14.7年 | 7,583,919円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 23.6% |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 男女賃金差異(全労働者) | - |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | - |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | - |
同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には一部の記載がありません。
また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、健康診断受診率(99.1%)、ストレスチェック受検率(80.1%)、一人当たり平均有給休暇取得日数(9.4日)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 映像関連事業の不確実性
映画作品の興行成績は予測が難しく、一定の観客を動員できない場合や、出資作品の権利収入が想定を下回る場合があります。また、制作遅延や公開延期、中止が発生した場合、同社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。機動的な番組編成や良質な企画の自社制作によりリスク低減に努めています。
■(2) 食品の安全問題
食の安全確保を徹底していますが、万が一食中毒などの衛生問題や誤表示による商品事故が発生した場合、営業停止や企業イメージの悪化が生じる恐れがあります。また、鳥インフルエンザ等の疾病で食材調達に支障を来す場合も業績に影響を及ぼすため、品質管理の徹底や複数仕入れ先の確保に取り組んでいます。
■(3) 不動産市況の変動
不動産関連税制や関連法制の変更、金利の上昇が生じた場合、コスト増加等により業績に影響を及ぼす可能性があります。また、賃料相場の下落や空室率の上昇、中古マンションの物件仕入れの遅れや販売の長期滞留、時価の下落もリスクとなります。市場動向の分析や在庫の適切なコントロールで対応しています。



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