オリックス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

オリックス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所プライム市場およびニューヨーク証券取引所上場。法人金融、メンテナンスリース、不動産、事業投資、環境エネルギー、保険、銀行、輸送機器など多角的に事業を展開しています。2025年3月期は、事業投資や輸送機器等のセグメントが伸長し、当社株主に帰属する当期純利益は増益となりました。


※本記事は、オリックス株式会社 の有価証券報告書(第62期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は US GAAP です。

1. オリックスってどんな会社?


リース事業から出発し、現在は金融、不動産、投資、環境エネルギーなど多角的な事業をグローバルに展開する複合企業です。

(1) 会社概要


1964年にオリエント・リースとして設立され、1970年に大阪・東京証券取引所市場第二部に上場しました。1973年には第一部へ指定替えとなり、1989年に現在のオリックスへ商号変更しています。1998年にはニューヨーク証券取引所への上場を果たしました。その後も事業の多角化を進め、国内外でのM&Aや新規事業開発を通じて成長を続けています。

同社グループの従業員数は連結で33,982名、単体で2,927名です。大株主の構成を見ると、筆頭株主は信託業務を行う信託銀行、第2位も同様に資産管理業務を行う信託銀行、第3位は外国銀行等が名を連ねており、国内外の機関投資家が上位を占めています。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 18.95%
日本カストディ銀行(信託口) 8.37%
STATE STREET BANK AND TRUST COMPANY 505001 3.03%

(2) 経営陣


同社の役員は男性26名、女性3名の計29名で構成され、女性役員比率は10.3%です。代表執行役は井上亮氏および髙橋英丈氏です。取締役会における社外取締役比率は54.5%です。

氏名 役職 主な経歴
井上 亮 取締役 代表執行役会長 グループCEO 1975年入社。投資銀行本部や海外事業統括本部長などを経て、2011年取締役兼代表執行役社長に就任。2014年よりグループCEOを務め、2025年1月より現職。
髙橋 英丈 取締役 代表執行役社長 グループCOO グループ戦略部門管掌 1993年入社。環境エネルギー本部副本部長、執行役環境エネルギー本部長などを経て、2025年1月より現職。
松﨑 悟 取締役 執行役副社長 1997年入社。経営企画部長、法人営業本部長などを歴任。オリックス自動車やオリックス・レンテックの会長も務める。2025年1月より現職。
スタン・コヤナギ 取締役 専務執行役 米国法律事務所パートナー等を経て2013年入社。グローバルジェネラルカウンセルとして法務・コンプライアンスを統括。2023年1月より現職。
三上 康章 取締役 専務執行役 1990年入社。秘書室長、グループ人事・総務本部長などを歴任し、コーポレート部門を統括。2023年6月より現職。


社外取締役は、マイケル・クスマノ(マサチューセッツ工科大学教授)、秋山咲恵(株式会社サキコーポレーションファウンダー)、渡辺博史(元株式会社国際協力銀行総裁)、関根愛子(元日本公認会計士協会会長)、程近智(元アクセンチュア株式会社相談役)、柳川範之(東京大学大学院教授)です。

2. 事業内容


同社グループは、「法人営業・メンテナンスリース」「不動産」「事業投資・コンセッション」「環境エネルギー」「保険」「銀行・クレジット」「輸送機器」「ORIX USA」「ORIX Europe」「アジア・豪州」の10の報告セグメントを展開しています。

(1) 法人営業・メンテナンスリース


金融・各種手数料ビジネス、自動車リース、レンテック事業を展開しています。法人顧客に対し、ファイナンスや生命保険、不動産仲介などのサービスを提供するほか、自動車のリースやレンタカー、電子計測器・ICT関連機器のレンタルを行っています。

収益は、顧客からのリース料、レンタル料、各種手数料等から得ています。運営は、主に同社、オリックス自動車、オリックス・レンテックなどが行っています。

(2) 不動産


不動産開発、賃貸、管理、施設運営、アセットマネジメントを行っています。オフィスビル、物流施設、商業施設、住宅の開発・賃貸に加え、ホテル・旅館等の施設運営、不動産投資法人等の資産運用などを手がけています。

収益は、テナントからの賃料、施設利用者からの利用料、不動産販売収入、アセットマネジメント報酬等から得ています。運営は、主に同社、オリックス不動産、大京などが行っています。

(3) 事業投資・コンセッション


企業投資およびコンセッション(公共施設等運営)事業を行っています。プライベートエクイティ投資として投資先の企業価値向上を図るほか、空港や下水道などの公共インフラの運営権を取得し事業を行っています。

収益は、投資先からの配当や売却益、コンセッション事業における施設運営収入等から得ています。運営は、主に同社が行っています。

(4) 環境エネルギー


国内外で再生可能エネルギー事業を展開しています。太陽光、風力、地熱などの発電事業、電力小売、省エネルギーサービス、ソーラーパネル販売、廃棄物処理、資源リサイクルなどを行っています。

収益は、売電収入、電力小売料金、処理委託料、商品販売収入等から得ています。運営は、主に同社、オリックス環境、Elawan Energy S.L.などが行っています。

(5) 保険


生命保険事業を展開しています。個人および法人顧客に対し、医療保険、がん保険、死亡保険などの生命保険商品を提供しており、代理店販売、通信販売、対面販売など多様なチャネルを持っています。

収益は、契約者からの保険料収入および資産運用収益から得ています。運営は、主にオリックス生命保険が行っています。

(6) 銀行・クレジット


銀行事業および消費性ローン事業を展開しています。信託銀行機能を持つ銀行として投資用不動産ローンなどを提供するほか、カードローンなどの個人向け金融サービスを行っています。

収益は、貸出金利息、各種手数料等から得ています。運営は、主にオリックス銀行が行っています。

(7) 輸送機器


航空機および船舶に関連する事業を展開しています。航空機のオペレーティング・リースやアセットマネジメント、船舶の投融資、保有、運航管理、仲介などを行っています。

収益は、航空機や船舶のリース料、売却益、アセットマネジメント手数料等から得ています。運営は、主に同社、ORIX Aviation Systems Limitedなどが行っています。

(8) ORIX USA


米州における金融、投資、アセットマネジメント事業を展開しています。法人向け融資、不動産ファイナンス、プライベートエクイティ投資、債券投資などを行っています。

収益は、貸出金利息、投資収益、アドバイザリー手数料、アセットマネジメント報酬等から得ています。運営は、主にORIX Corporation USAが行っています。

(9) ORIX Europe


グローバルでの株式・債券のアセットマネジメント事業を展開しています。欧州を中心に、サステナビリティ投資やクオンタメンタル運用など多様な戦略で資産運用サービスを提供しています。

収益は、運用資産残高に応じた管理報酬や成功報酬等から得ています。運営は、主にORIX Corporation Europe N.V.が行っています。

(10) アジア・豪州


アジアおよびオーストラリア地域における金融、投資事業を展開しています。現地法人を通じて、リース、融資、自動車リース、企業投資などを行っています。

収益は、リース料、貸出金利息、投資収益等から得ています。運営は、ORIX Asia Limited、ORIX Australia Corporation Limitedなど各国の現地法人が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上収益は緩やかな増加傾向にあります。税引前当期純利益は2023年3月期に一時減少しましたが、その後回復基調にあります。当期純利益も安定して推移しており、3,000億円前後の水準を維持しています。全体として、多角化された事業ポートフォリオにより底堅い業績を継続しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上収益(または売上高) 22,924億円 25,080億円 26,637億円 28,144億円 28,748億円
税引前利益 / 経常利益 / 営業利益 2,876億円 5,094億円 3,922億円 4,700億円 4,805億円
利益率(%) 12.5% 20.3% 14.7% 16.7% 16.7%
当期利益(親会社所有者帰属) 1,924億円 3,174億円 2,903億円 3,461億円 3,516億円

(2) 損益計算書


直近2期間を比較すると、売上収益は微増しました。営業利益は前年から大幅に増加しています。これは、前年の営業利益が低水準だった反動に加え、各利益段階での収益改善が見られたためです。売上総利益についてはデータがありませんが、税引前利益ベースでは安定的な利益率を維持しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 28,144億円 28,748億円
売上総利益 - -
売上総利益率(%) - -
営業利益 536億円 1,686億円
営業利益率(%) 1.9% 5.9%


販売費及び一般管理費のうち、人件費が3,667億円(構成比57%)、システム関連費が578億円(同9%)を占めています。

(3) セグメント収益


当期のセグメント業績は、事業投資・コンセッションや輸送機器が大幅な増益となりました。一方で、環境エネルギーは赤字転落、銀行・クレジットは大幅減益となりました。法人営業・メンテナンスリース、不動産、保険などは堅調に推移しました。海外ではORIX USAが増益、アジア・豪州が減益と地域により明暗が分かれました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
法人営業・メンテナンスリース 4,450億円 4,607億円 832億円 903億円 19.6%
不動産 4,717億円 4,978億円 671億円 705億円 14.2%
事業投資・コンセッション 3,792億円 3,779億円 440億円 989億円 26.2%
環境エネルギー 1,656億円 1,860億円 381億円 -49億円 -2.6%
保険 5,639億円 5,184億円 708億円 744億円 14.4%
銀行・クレジット 886億円 633億円 974億円 293億円 46.3%
輸送機器 652億円 1,196億円 444億円 674億円 56.4%
ORIX USA 1,734億円 1,542億円 279億円 399億円 25.9%
ORIX Europe 2,272億円 2,573億円 416億円 444億円 17.2%
アジア・豪州 2,253億円 2,362億円 471億円 345億円 14.6%
連結(合計) 28,144億円 28,748億円 4,700億円 4,805億円 16.7%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFはプラス、投資CFはマイナス、財務CFはプラスであり、営業で利益を出しつつ、借入等によって積極的な投資を行っている「積極型」といえます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 12,434億円 13,002億円
投資CF -13,728億円 -13,097億円
財務CF -855億円 1,493億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は8.8%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は24.2%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「ORIX Group Purpose & Culture」を定め、「Purpose(存在意義)」として「変化に挑み、柔軟な発想と知の融合で、未来をひらくインパクトを。」を掲げています。これがすべての活動の根幹となり、社会における存在意義を示しています。

(2) 企業文化


Purposeを実現するために共有する価値観として「Culture」を定めています。具体的には、「多様性を力に変える。」「挑戦をおもしろがる。」「変化にチャンスを見出す。」の3つを掲げ、世界中のグループ社員が大切にする共通の価値観としています。

(3) 経営計画・目標


同社は純利益成長に加え、ROEを最重要の経営指標と位置づけています。長期ビジョンとして、2035年3月期のROE15%、当期純利益1兆円を定量目標としており、その中間目標として2028年3月期のROE11%を目指しています。

(4) 成長戦略と重点施策


「ORIX Group Growth Strategy」において、3つの戦略的投資領域を定めています。テクノロジー進化に焦点を当てた「PATHWAYS」、人口増加・動態変化に着目した「GROWTH」、地球温暖化・資源問題に取り組む「IMPACT」です。これらに対し、「事業価値創造」と「顧客課題解決」のビジネスモデルを活かして社会にインパクトをもたらすことを目指しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「ORIX Group Purpose & Culture」に基づき、多様性を力に変え、挑戦を推奨する風土の醸成を進めています。人的資本経営として、コアバリューの浸透、コアケイパビリティの強化、多様な人材が活躍できる職場づくりを三位一体で推進。DE&Iを重視し、性別・国籍等によらない採用や女性活躍推進、柔軟な働き方の整備、自律的キャリア形成の支援などに取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 44.2歳 16.2年 9,761,606円


※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 33.2%
男性育児休業取得率 104.5%
男女賃金差異(全社員) 63.7%
男女賃金差異(正規) 63.4%
男女賃金差異(非正規) 69.2%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、キャリア採用比率(57.0%)、外国籍社員比率(2.0%)、平均研修時間(28.9時間/年)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 外部環境に関するリスク


世界経済の低迷、政治情勢の混乱、金利・為替の変動などのマクロ経済要因が事業に影響を与える可能性があります。地政学的リスクの高まりやインフレ、各国の金融政策などが業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。気候変動による物理的リスクや移行リスクも懸念されます。

(2) 信用リスク


国内外の経済環境や特定の業界・顧客の業績悪化により、信用損失引当金が不足し、追加の繰入が必要となる可能性があります。担保価値の下落などにより与信関係費用が増加する恐れもあります。これにより、財政状態や経営成績に悪影響が及ぶ可能性があります。

(3) ビジネスリスク


事業拡大やM&A、投資活動において、予期せぬリスクや損失が発生する可能性があります。投資先の事業失敗や価値下落、合弁パートナーとの関係悪化などが損失につながる恐れがあります。また、保有資産やリース物件の残存価額の変動、競争激化による収益性の低下などもリスク要因となります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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