※本記事は、株式会社ケー・エフ・シー の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月18日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
ケー・エフ・シーグループは、建設資材の販売・設計・施工、および遮水シート・防水シートの輸入販売・設計・施工を主な事業としています。グループ各社とともに、建設業界の多様なニーズに応えるソリューションを提供しています。
単体従業員数は315名、連結従業員数は338名です。セグメントはファスナー事業、土木資材事業、建設事業の3つです。
主な国内グループ会社は、アールシーアイ(建設事業)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
ケー・エフ・シーは、ファスニング技術や道路・トンネルの維持補修技術を基盤とする事業を展開しており、専門性の高い分野で社会インフラを支えています。同社グループは、質の高い人材を長期的に確保することを重視しており、安定した環境でキャリアを築きたいと考える方にとって、働きがいのある職場づくりに注力していることがうかがえます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
ケー・エフ・シーでは、従業員が長期的に活躍できる環境が整っている傾向が見られます。平均勤続年数と平均年齢から、比較的安定した人材構成であることがうかがえ、従業員の定着を重視する同社の姿勢が反映されていると考えられます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,403,066円 |
| 平均勤続年数 | 14年6ヶ月 |
| 平均年齢 | 42.4歳 |
| 単体従業員数 | 315人 |
| 連結従業員数 | 338人 |
| 単体のグループ内比率 | 93.2% |
退職給付制度
同社及び国内連結子会社は、従業員の退職給付に充てるため、確定給付年金制度(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)及び確定拠出年金制度(会社が拠出した資金を従業員が運用する)を採用しています。
退職給付債務は8.6億円、年金資産は14.3億円となっています。なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、企業戦略を支える質の高い人材を長期的に確保することを経営課題と認識しています。人材戦略として、新卒採用の強化に加え、派遣社員から直接雇用への切り替えを含む中途採用やカムバック採用を進め、多様かつ必要な人材の安定的な確保に努めています。
また、各階層別教育、専門人材育成に向けた研修、コンプライアンス教育等を通じて、人材の継続的な育成を図っています。女性の管理職登用、シニア人材の活躍機会の拡大、その他多様な人材が能力を発揮できる環境整備を進めるほか、安全衛生への取り組み、健康経営宣言、有給休暇の取得推進、男性の育児休業取得促進などの両立支援制度の充実により、働きがいとワーク・ライフ・バランスの向上を図っています。
従業員の給与その他の給付は、同社グループの持続的な成長と従業員個人の成長や働きがいに資することを基本としています。給与は安定して給付する基本給と、事業年度の企業業績を踏まえ支給する賞与で構成されており、基本給は人材戦略を反映した人事評価制度に基づき、個人の成果、責任、役割により決定されます。賞与は、従業員が所属するセグメントや部門における同社グループの業績等に対する貢献度に基づき決定されます。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合は、女性活躍推進法に基づく公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。労働者の男女の賃金の額の差異がある理由は、正規雇用者については女性の管理職比率が低いためであり、パート・有期労働者については給与水準が高い施工管理職の男性が多いためです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 男性労働者の育児休業取得率 | 90.0% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 68.2% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(正規雇用労働者) | 75.7% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(パート・有期労働者) | 51.8% |
多様性・登用
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性労働者の割合 | 18.9% |
人材育成・エンゲージメント
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 新規雇用者の人数 | 26名 |
| 有給休暇の消化率 | 71.7% |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
ケー・エフ・シーは、建設資材の販売・設計・施工、および遮水シートや防水シートの輸入販売・設計・施工を主軸とする企業グループです。同社グループは、ファスナー、土木資材、建設の3つの事業セグメントを展開し、公共事業を中心とした政府建設投資に貢献しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、建設業界における多様なニーズに応える製品と工法を提供することで収益を上げています。特に、公共事業を中心とした政府建設投資に注力し、商品の拡販と建設工事の受注に努めています。収益は主に商品売上高と完成工事高から構成されています。
ファスナー事業
ファスナー事業では、主に「あと施工アンカー」に関連する建設資材の販売と耐震関連工事を手掛けています。収益は、金属拡張アンカーや接着系アンカーといった主力製品の販売、および上下水道施設や民間施設の耐震関連工事の受注と進捗から得ています。運営は、ケー・エフ・シーが行っています。
土木資材事業
土木資材事業は、主にトンネル掘削資材の販売を行っています。収益は、ロックボルトやトンネル補助工法資材、特殊ロックボルト、防水シートなどの商品販売、および道路のメンテナンス工事などから得ています。運営は、ケー・エフ・シーと、トンネル支保材の製造・販売を行う唐山日翔建材科技有限公司が行っています。
建設事業
建設事業では、主にトンネル内装・リニューアル工事を行っています。収益は、「フェイルセーフシステム」などの商品販売、およびコンクリート構造物補修工事、一面耐震補強工事、橋梁関係の耐震補強工事といった手持ち工事の進捗から得ています。運営は、ケー・エフ・シーとアールシーアイが行っています。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 建設 | 103億円 | 103億円 |
| ファスナー | 81.7億円 | 81.4億円 |
| 土木資材 | 76.5億円 | 70.8億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの直近5期間の業績を見ると、売上高は変動しながらも概ね横ばいから微減の傾向にあります。経常利益は直近で減少しており、親会社株主に帰属する当期純利益は前期から増加しています。
直近の売上高は、土木資材事業におけるロックボルトの売り上げ減少が影響し、前期から減少しました。営業利益および経常利益も、売上高の減少や資材・人件費の上昇による原価増加が影響し、前期から減少しています。一方で、親会社株主に帰属する当期純利益は、投資有価証券売却益や受取保険金の計上が寄与し、前期から増加となりました。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 260億円 | 226億円 | 251億円 | 261億円 | 255億円 |
| 経常利益 | 26.0億円 | 14.0億円 | 17.2億円 | 14.6億円 | 11.7億円 |
| 経常利益率 | 10.0% | 6.2% | 6.9% | 5.6% | 4.6% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 18.4億円 | 10.5億円 | 11.8億円 | 10.0億円 | 10.4億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 250.11 | 142.95 | 159.93 | 135.53 | 141.88 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高は、前期から減少しています。また、従業員1人あたりの営業利益も前期から減少する結果となりました。これらの指標の減少は、売上高の減少や原価の上昇が影響していることを示しています。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 79.7百万円 | 75.6百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 4.2百万円 | 3.2百万円 |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
ケー・エフ・シーは、強固な財務基盤と手元資金の厚みにより、安定した経営状況を維持していることがうかがえます。本業で着実に資金を生み出し、財務的な健全性を保ちながら事業を進めている状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
ケー・エフ・シーの財務基盤は、高い自己資本比率と潤沢な手元資金によって特徴づけられています。自己資本比率はプライム市場の平均と比較して非常に高い水準にあり、外部環境の変化に対する耐性が高いことを示しています。手元資金も増加傾向にあり、不測の事態への対応力を高め、長期的な事業運営の安定に寄与する要素です。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 212億円 | 222億円 |
| 自己資本比率 | 73.7% | 74.0% |
| ROE(自己資本利益率) | 4.8% | 4.8% |
| 現金及び預金 | 36.0億円 | 39.5億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは5.9億円の収入となりました。これは、税金等調整前当期純利益の計上や棚卸資産の減少が主な要因です。投資活動によるキャッシュ・フローは79百万円の収入であり、投資有価証券の取得による支出があったものの、売却及び償還による収入があったことによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは△1.2億円の支出となっています。長期借入れによる収入はあったものの、長期借入金の返済や配当金の支払いが主な要因です。フリー・キャッシュ・フローは6.7億円の収入であり、同社グループが本業で安定的に資金を生み出し、財務的な無理なく事業を運営していることを示しています。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | △85百万円 | 5.9億円 |
| 投資CF | △4.3億円 | 79百万円 |
| 財務CF | △4.5億円 | △1.2億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △5.1億円 | 6.7億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループの事業は建設市場の動向に影響を受けやすく、公共投資の削減や設備投資の動向によっては受注が減少する可能性があります。また、原材料価格の高騰や労務費の上昇が仕入調達価格や工事原価に影響を及ぼし、販売価格への転嫁が困難な場合には業績に影響を与えるリスクがあります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、事業運営上、質の高い人材を長期的に確保することが重要であると認識しています。少子高齢化による人手不足等により必要な人材が確保できない場合、サービスの品質低下や業務効率の悪化により、財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
ケー・エフ・シーは、社会インフラの整備・維持を担う企業として、ファスニング分野におけるエンジニアリングの専門家集団を目指しています。信用を重んじ、時代のニーズに対応しながら、技術力による新しい付加価値の提供を通じて社会の発展に貢献することを掲げています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
ケー・エフ・シーグループは、企業理念として「信用を重んじ、社会の発展と豊かな環境づくりに貢献すること」など4つの指針を掲げています。時代のニーズに対応し常に変貌する企業、社員相互の信頼のもと人材を育成し希望に満ちた企業、常に学ぶ姿勢を持ち自己と企業の進歩・改善を目指す企業となることを目指しています。
経営ビジョンでは、業界に先駆けて高付加価値の製品・工法を開発し、持続的成長を可能にする企業グループを目指しています。高度な社会インフラ整備の実現に向け、「オンリーワン」技術に挑戦し、豊かな社会資本・インフラ整備に貢献する専門家集団としての責務を果たす方針です。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、企業理念として「社員相互の信頼のもと、人材を育成し、希望に満ちた企業を創造すること」「常に学ぶ姿勢を持ち、自己と企業の進歩、改善を目指すこと」を掲げています。経営環境の変化に対応するため、同社グループの原点である「現場重視」に徹し、お客様のニーズや市場動向などの最先端情報をいち早く経営に反映できる体制づくりを行っています。
サステナビリティに関する考え方では、企業理念に基づき、事業を通じて環境・社会・経済の課題解決を図り、持続的成長と企業価値の向上、SDGsへの貢献を目指しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、優先的に対処すべき課題として「DXの推進」と「人材の活躍と成長」を挙げています。
DXの推進では、ビジネスモデルの再検証・スリム化、長年蓄積したナレッジの情報化(データドリブン)、社内情報システムの再構築に取り組んでいます。従業員のイノベーションマインド醸成や人材育成も進めています。
人材の活躍と成長においては、事業環境の変化に柔軟に対応できる組織風土の醸成と人材育成を図り、従業員が能力を最大限に発揮できる職場環境の整備を進めています。ダイバーシティ推進やDX専門人材育成に向けた研修にも取り組む方針です。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
株式会社ケー・エフ・シーは、監査役会設置会社として、取締役会、常務会、監査役会を基本構成とするガバナンス体制を整備しています。取締役会は、提出日現在、7名の取締役で構成されています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
ケー・エフ・シーの株主構成を見ると、筆頭株主は那須電機鉄工、次いで積水樹脂と、複数の事業会社が上位に名を連ねています。また、ケー・エフ・シー取引先持株会も主要株主の一つであり、同社グループの事業活動を支える企業や関係者によって資本が構成されていることが特徴です。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 那須電機鉄工 | 14.31% |
| 積水樹脂 | 10.56% |
| ケー・エフ・シー取引先持株会 | 6.61% |
| 髙田 俊太 | 5.45% |
| 三菱UFJ銀行 | 4.17% |
なお、髙田俊太氏は2026年1月10日に逝去されましたが、名義書換未了のため株主名簿上の名義で記載されています。
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は10名(男性8名・女性2名)で構成され、女性役員比率は20.0%です。代表取締役社長執行役員社長は田村知幸氏が務めています。社外取締役比率は14.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 田村 知幸 | 代表取締役社長 執行役員社長 | 1994年4月同社入社、2023年6月取締役兼執行役員ファスナー事業部長、2025年4月代表取締役社長兼執行役員社長より現職。 |
| 石田 裕宗 | 取締役副社長 執行役員副社長 営業管掌 | 1992年3月同社入社、2023年4月専務取締役兼専務執行役員営業管掌兼建設事業部長、2026年4月取締役副社長兼執行役員副社長営業管掌より現職。 |
| 稲葉 朗 | 専務取締役 専務執行役員 コンプライアンス委員会委員長 管理管掌 | 1991年12月同社入社、2025年4月専務取締役兼専務執行役員コンプライアンス委員会委員長管理管掌兼総務部長、2026年4月専務取締役兼専務執行役員コンプライアンス委員会委員長管理管掌より現職。 |
| 石原 淳 | 取締役 執行役員 土木資材事業部長 | 1984年3月同社入社、2020年6月取締役兼執行役員土木資材事業部長兼東京土木営業部長、2021年4月取締役兼執行役員土木資材事業部長より現職。 |
社外取締役は、佐野裕氏(佐野裕経営コンサルタント事務所代表)、中桐万里子氏(親子をつなぐ学びのスペースリレイト代表)、榎本麗美氏(フリーアナウンサー)です。
同社は監査役会設置会社であり、社外取締役3名および社外監査役2名を独立役員に指定しています。これにより、独立的かつ客観的な視点からの経営監督機能の強化を図っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
ケー・エフ・シーの役員報酬は、固定報酬である基本報酬と、業績連動報酬である賞与で構成されています。業績連動報酬の指標には連結営業利益が採用されており、同社グループの業績拡大と企業価値向上への貢献を促す設計となっています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 5名 | 1.6億円 | 32.9百万円 |
| 監査役(社外除く) | 2名 | 10百万円 | 4.9百万円 |
| 社外役員 | 5名 | 20百万円 | 4.0百万円 |
役員報酬の総額は1億9,438万円であり、対象となる役員の合計人数は12名です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。
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