※本記事は、株式会社王将フードサービス の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
同社グループは、中華料理を主体とした直営レストランチェーンの運営、およびフランチャイズ加盟店等への中華食材等の販売を行う中華事業を展開しています。王将フードサービスと連結子会社で構成されています。
単体従業員数は2,439名、連結従業員数は2,501名です。
主な国内グループ会社は、王将ハートフル(食材の加工・クリーニング業務)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
王将フードサービスは、外食産業において「餃子の王将」を展開する企業です。ここでは、同社グループで働く上での給与水準や、従業員の働き方に関する具体的なデータと方針について詳しく見ていきます。人材育成や多様性への取り組みを通じて、どのような環境が提供されているのかを把握することができます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、平均勤続年数が10年を超えており、従業員が比較的長く在籍する傾向が見られます。平均年齢も30代後半であることから、経験豊富な人材が活躍していることがうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,620,000円 |
| 平均勤続年数 | 11.3年 |
| 平均年齢 | 37.1歳 |
| 単体従業員数 | 2,439人 |
| 連結従業員数 | 2,501人 |
| 単体のグループ内比率 | 97.5% |
同社は、従業員の退職給付に充てるため、積立型の確定給付制度(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)を採用しています。
退職一時金制度もありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
なお、退職給付債務は23.8億円、年金資産は54.1億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社は、持続的な付加価値の創造には従業員一人ひとりの成長と会社に対するワークエンゲージメントの向上が不可欠であると考えています。この認識のもと、優秀な人材の獲得・保持と貢献意欲の向上を目的として、積極的な処遇改善と人的資本への投資を推進しています。
具体的には、定期的な従業員満足度調査をエンゲージメントの可視化指標として経営に反映させ、処遇や労働環境の改善を機動的に実施しています。また、階層別の各種研修機会を幅広く提供し、能力開発を支援するとともに、アルバイト・パート等の非正規雇用社員に対しても「ランクアップシステム」を整備・運用しています。
報酬面では、近年、月例給の改定や新卒初任給の引き上げを実施し、業績に応じた賞与の加算や譲渡制限付株式(RS)の交付も行っています。多様性の確保にも注力しており、性別、年齢、国籍、採用区分に関わらず、それぞれの強みを活かして活躍できる環境整備を進めています。女性・障害者・外国籍人材の雇用推進、中途採用者向けの研修、実力主義に基づく管理職登用、パートタイマーの正社員登用、そして柔軟な働き方を可能にする「キャリアアップ転換制度」を運用しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データを示します。連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、記載を省略しています。正規雇用労働者における男女間の賃金差は、管理監督者に当たる等級以上の人数比率が男性に偏っていることが主要因です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 2.6% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 14.3% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 64.3% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(正規雇用労働者) | 74.7% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(パート・有期労働者) | 111.6% |
人的資本・多様性
同社が独自に開示している人的資本・多様性に関する指標です。障害者雇用率は提出会社と特例子会社を合算した数値です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 障害者雇用率 | 3.75% |
| 従業員満足度調査 | 実施 |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
王将フードサービスは、中華料理を主体としたレストランチェーンの運営と、フランチャイズ加盟店への食材販売を行う企業です。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
王将フードサービスは、中華料理を主体とした直営レストランチェーンの運営を主軸としています。直営店での料理提供に加え、フランチャイズ加盟店へ中華食材などを販売することで収益を上げています。
同社グループは、王將餐飲服務股份有限公司や株式会社王将ハートフルといった連結子会社とともに事業を展開しています。収益は主に国内の直営店での飲食提供と、フランチャイズ加盟店への食材販売から得ています。
海外事業も展開していますが、収益の大部分は国内市場から得られています。特定の顧客に収益が集中している状況は見られません。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの業績は、直近5年間で売上高が継続的に増加しています。特に、当連結会計年度の売上高は4年連続で過去最高を更新し、5年連続の増収を達成しました。
一方で、営業利益は減益となりましたが、過去最高を記録した前期の水準を概ね維持し、3年連続で100億円を突破しています。経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益は、前期と比較して減少する結果となりました。
これは、原材料価格の高騰や人件費の上昇といったコスト増が収益を圧迫したことが主な要因として挙げられています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 848億円 | 930億円 | 1,014億円 | 1,110億円 | 1,168億円 |
| 経常利益 | 130億円 | 91.4億円 | 105億円 | 113億円 | 107億円 |
| 経常利益率 | 15.4% | 9.8% | 10.4% | 10.2% | 9.2% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 88.1億円 | 62.1億円 | 79.1億円 | 80.7億円 | 74.7億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 156.34 | 110.17 | 140.15 | 142.88 | 140.84 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高は、前期からほぼ横ばいの水準で推移しています。従業員1人あたり営業利益は、前期と比較して減少しています。
これは、売上高の増加に対して、原材料費や人件費などのコスト上昇が影響し、利益が減少したことが背景にあると考えられます。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 46.8百万円 | 46.7百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 4.6百万円 | 4.2百万円 |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
株式会社王将フードサービスは、強固な財務基盤と安定したキャッシュフローを維持しており、事業活動を通じて着実に資金を創出しています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は安定しており、自己資本比率は非製造業のプライム市場平均を大きく上回っています。ROE(自己資本利益率)もプライム市場平均を上回る水準で推移しており、効率的な経営が行われていることを示しています。手元資金も潤沢であり、不測の事態にも対応できる体制が整っています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 742億円 | 651億円 |
| 自己資本比率 | 76.8% | 76.5% |
| ROE(自己資本利益率) | 11.3% | 10.7% |
| 現金及び預金 | 381億円 | 245億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの営業活動によるキャッシュフローは、当連結会計年度において107.1億円のプラスとなりました。これは、税金等調整前当期純利益の減少が主な要因となり、前期に比べて減少しています。
投資活動によるキャッシュフローは、有形固定資産の取得による支出の増加が主な要因となり、47.7億円のマイナスとなりました。財務活動によるキャッシュフローは、自己株式の取得による支出の増加が主な要因となり、195.4億円のマイナスとなっています。
これらの結果、フリーキャッシュフローは59.4億円のプラスを維持しており、本業で安定して稼ぎながら、事業拡大のための投資も行っている状況です。潤沢な営業キャッシュフローを創出しており、事業投資と人的資本への投資を積極的に行う方針が示されています。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 112.2億円 | 107.1億円 |
| 投資CF | △45.7億円 | △47.7億円 |
| 財務CF | △48.3億円 | △195.4億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 66.4億円 | 59.4億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、新規出店数が計画を下回る場合、計画通りの売上利益を確保できない可能性があると認識しています。また、食材の産地での事件・事故・災害や異常気象、地政学的リスクに伴うエネルギー・資材価格の高騰により、食材の安定的な確保に問題が生じ、業績に大きな影響を与える可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、人材確保・育成が順調に行かない場合、新規出店の鈍化や店舗のQSC(品質・サービス・清潔さ)レベルの低下、IT分野でのシステム開発停滞を招き、業績に多大な影響を及ぼす可能性があると認識しています。このため、採用チャネルの見直しや大卒初任給の引き上げ、社内研修機関「王将アカデミー」の設置など、人材への投資を強化しています。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
王将フードサービスは、「食」を通じて人々に幸せを提供することを社会的使命とし、お客様から褒められる店舗づくりを追求する企業です。従業員の主体性と成長を重視し、多様な人材が活躍できる環境を整備しながら、持続的な企業価値向上を目指しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
王将フードサービスは、「快適な食空間、心温まる接客、そして美味しい料理は人々を『幸せ』にします」という社会的使命を掲げています。高品質な料理を低価格で提供し、より多くの人に幸せを感じてもらうことを目指しています。その使命を全うするため、『お客様から褒められる店を創ろう!』という経営理念を掲げています。また、サステナビリティビジョンとして「食に困らない豊かな社会の実現」「全てのステークホルダーとの共栄」「地球環境の保全」を目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
王将フードサービスは、創業当時より「自奮自発の精神」を大切にし、従業員の自己成長をサポートする企業風土があります。従業員一人ひとりが「考える」「発言する」「行動する」「反省する」という主体性を持ち、ワークエンゲージメントを高めることを重視しています。多様な人材がそれぞれの強みを活かして活躍できる環境整備が、持続的な成長とイノベーション創出に不可欠であると考えています。管理職登用では属性を排除し、適性・実力・成果に基づいた評価を行っています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、従業員の価値創造力の向上を重要な課題としています。エンゲージメント向上、人材育成と採用の強化、ダイバーシティ推進(特例子会社王将ハートフル、女性の積極登用、外国人労働者の活用)に取り組んでいます。
また、食を通じてさまざまな社会課題に積極的に取り組むため、8つのマテリアリティ(重点課題)を特定しています。持続可能な社会形成の実現に向け、全社を挙げてこれらのマテリアリティの追求に取り組む方針です。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
王将フードサービスは監査役会設置会社として、取締役会と監査役会を主たる機関とするコーポレート・ガバナンス体制を構築しています。取締役会は社外取締役を含んで構成され、経営の監督機能を強化しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
王将フードサービスの筆頭株主はアサヒビールであり、事業会社が上位に名を連ねています。また、日本マスタートラスト信託銀行が信託口として主要株主の一角を占めています。上位株主には複数の個人株主や公益財団法人、同社グループの取引先持株会も含まれており、多様な株主によって支えられている資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| アサヒビール | 11.70% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 6.80% |
| アリアケジャパン | 6.30% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は12名(男性10名・女性2名)で構成され、女性役員比率は16.7%です。代表取締役社長は渡邊直人氏が務めています。社外取締役比率は37.5%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 渡邊 直人 | 代表取締役 社長 | 1979年3月同社入社、2004年6月同社取締役、2008年6月同社常務取締役、2013年12月同社代表取締役社長より現職。 |
| 門林 弘 | 専務取締役 執行役員 西日本営業本部長 西日本第1営業部長 西日本第2営業部長 西日本FC営業部長 西日本営業サポート部長 FC契約管理部長 | 1981年4月同社入社、2015年6月同社執行役員、2017年6月同社取締役、2021年6月同社専務取締役より現職。 |
| 稲垣 雅弘 | 専務取締役 執行役員 管理本部長 経理部長 広報IR部長 | 1981年4月株式会社日本債券信用銀行入行、2017年7月同社入社、2021年6月同社取締役、2025年6月同社専務取締役より現職。 |
| 池田 勇気 | 常務取締役 執行役員 営業企画本部長 東日本営業本部長 営業企画部長 東日本FC営業部長 | 2003年3月同社入社、2022年8月同社執行役員、2023年6月同社取締役、2025年6月同社常務取締役より現職。 |
| 今泉 暢智 | 取締役 執行役員 製造本部・製造管理本部統括本部長 | 1987年4月アサヒビール株式会社入社、2024年4月同社入社、2024年7月同社執行役員、2025年6月同社取締役より現職。 |
社外取締役は、岩本生氏(ナレッジウィング法律事務所代表社員・独立社外取締役会委員長・指名諮問委員会委員長・報酬諮問委員会委員長・IT有識者会議構成員)、津坂直子氏(TSUSAKAコンサルティング代表取締役・独立社外取締役会構成員・指名諮問委員会構成員・報酬諮問委員会構成員・サステナビリティ委員会構成員)、柿野成美氏(昭和女子大学大学院福祉社会・経営研究科特命教授・独立社外取締役会構成員・指名諮問委員会構成員・報酬諮問委員会構成員・サステナビリティ委員会構成員)です。
同社は監査役会設置会社であり、社外取締役3名を含む取締役会が経営の意思決定と監督を担っています。独立した立場の社外取締役が経営監視機能を強化する役割を担っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
王将フードサービスの役員報酬は、月額報酬、業績連動報酬、そして譲渡制限付株式報酬で構成されています。業績連動報酬は、売上高や営業利益、当期純利益といった財務指標と、個人の目標達成度を示す非財務指標を組み合わせて算定されています。監査役の報酬は、独立性を確保するため固定金額で決定されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 6名 | 4.2億円 | 70.5百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 8百万円 | 8.0百万円 |
| 社外役員 | 8名 | 76百万円 | 9.5百万円 |
なお、非金銭報酬等の額は、譲渡制限付株式報酬制度に基づき費用計上された額です。
個人別報酬が開示されている役員は、渡邊直人氏(1.97億円)です。
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