サンドラッグ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

サンドラッグ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

サンドラッグは東京証券取引所プライム市場に上場しており、主に医薬品や化粧品、日用雑貨を販売するドラッグストア事業と食料品などを扱うディスカウントストア事業を展開しています。直近の業績トレンドは増収増益で推移しており、積極的な出店と既存店舗の改装に加え、調剤事業とEC事業の拡大に注力しています。


記事タイトル:サンドラッグ転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

※本記事は、株式会社サンドラッグの有価証券報告書(第63期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. サンドラッグってどんな会社?


医薬品や化粧品から日用雑貨までを扱うドラッグストアと、食料品などを販売するディスカウントストアを展開する企業です。

(1) 会社概要


同社は1957年に東京都世田谷区で創業し、1965年にチェーン展開を開始しました。1997年に東京証券取引所市場第二部へ上場し、2002年に市場第一部へ指定替えを行っています。2009年には九州・中四国地区でディスカウントストアを展開するダイレックスを子会社化し、現在の主要な事業体制を確立しました。

従業員数は連結で7,457名、単体で4,622名です。大株主の筆頭は事業会社であるイリュウ商事で、第2位および第3位は資産管理業務を行う信託銀行となっています。イリュウ商事は同社の親会社等ではありませんが、役員が議決権の過半数を所有する会社として不動産賃貸借等の取引関係があります。

氏名 持株比率
イリュウ商事 37.42%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 9.82%
日本カストディ銀行(信託口) 4.96%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性4名の計10名で構成され、女性役員比率は40.0%です。代表取締役社長 CEOは貞方宏司氏が務めています。取締役7名のうち3名が社外取締役であり、社外取締役比率は42.9%です。

氏名 役職 主な経歴
貞方宏司 代表取締役社長 CEO 1989年同社入社。営業第二部長などを経て2009年に取締役就任。ダイレックス代表取締役副社長等も歴任し、2022年4月より現職。
多田直樹 取締役チェアマン 1990年同社入社。イリュウ商事代表取締役社長やフォレストモール代表取締役会長等を務め、2022年4月より現職。
坂井義光 取締役 1983年同社入社。営業部課長や店舗開発部長などを歴任し、2022年6月に同社取締役就任。2022年7月より現職。
多田高志 取締役 イトーヨーカ堂を経て1996年同社入社。フォレストモールやダイレックスの代表取締役社長などを歴任し、2017年6月より現職。


社外取締役は、松本正人(元三菱UFJモルガン・スタンレー証券代表取締役副社長)、辻智子(元ファンケル取締役執行役員総合研究所長)、齋藤律子(元ADワークスグループディスクロージャー統括室室長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ドラッグストア事業」および「ディスカウントストア事業」を展開しています。

ドラッグストア事業


主に医薬品、化粧品、日用雑貨などの販売を行っており、一般消費者を主な顧客としています。立地特性に応じた業態による新規出店や調剤事業、EC事業を展開し、地域のヘルスケアステーションとしての役割を担っています。

顧客に対する商品販売を主な収益源としています。同事業の運営は同社を中心に、星光堂薬局、サンドラッグプラス、大屋などのグループ子会社が各地域で事業を展開しています。

ディスカウントストア事業


主に食料品、家庭雑貨、季節家電などを販売目的としており、日常生活に必要な幅広い商品を低価格で提供しています。地域に密着した店舗展開を行い、一般消費者をターゲットとしています。

店舗での商品販売から得られる対価を主な収益源としています。同事業の運営は、主に九州地区や中四国地区を中心に展開する子会社のダイレックスが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績は、売上高および経常利益ともに右肩上がりの成長を続けています。売上高は6,487億円から8,425億円へと順調に拡大しており、経常利益率も5.4%から5.6%の安定した水準を維持しています。親会社所有者帰属の当期利益も増益傾向にあり、堅調な業績推移が見られます。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 6,487億円 6,905億円 7,518億円 8,018億円 8,425億円
経常利益 347億円 381億円 417億円 438億円 462億円
利益率(%) 5.4% 5.5% 5.6% 5.5% 5.5%
当期利益(親会社所有者帰属) 149億円 157億円 178億円 176億円 275億円

(2) 損益計算書


売上高の増加に伴い、売上総利益と営業利益も順調に拡大しています。売上総利益率は約25%台、営業利益率は約5%台で推移しており、プライベートブランド商品の拡充やデジタル化による生産性向上の取り組みが利益率の安定に寄与しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 8,018億円 8,425億円
売上総利益 2,041億円 2,162億円
売上総利益率(%) 25.5% 25.7%
営業利益 445億円 468億円
営業利益率(%) 5.5% 5.6%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当及び賞与が627億円(構成比37%)、賃借料が349億円(同21%)を占めています。

(3) セグメント収益


ドラッグストア事業は、季節商材の販売減があったものの、既存店の改装や調剤事業・EC事業の好調により増収増益となりました。ディスカウントストア事業も、季節家電の低調を食品部門の堅調な推移でカバーし、取引条件の改善も寄与して増収増益を達成しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期) 利益(2025年3月期) 利益(2026年3月期) 利益率
ドラッグストア事業 4,596億円 4,784億円 266億円 275億円 5.1%
ディスカウントストア事業 3,423億円 3,641億円 179億円 194億円 5.3%
連結(合計) 8,018億円 8,425億円 445億円 468億円 5.2%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業で利益を出し、借入返済を行いながら投資も手元資金で賄う健全型のキャッシュ・フロー状況です。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 412億円 433億円
投資CF -354億円 -321億円
財務CF -106億円 -57億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は11.3%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は60.1%でこちらも市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「国民の『健康で豊かな暮らし』の実現を目指し、毎日が明るく楽しい生活の創造に貢献する」という企業理念を掲げています。地域のヘルスケアステーションおよびセルフメディケーションの拠点として、地域へ密着していくことを中長期的なビジョンとして事業を展開しています。

(2) 企業文化


同社は「安心・信頼・便利の提供」をキーワードに、顧客に対して専門性の高いサービスを提供することを重視しています。「一歩先を考え、半歩先に行動する」という人材育成に注力し、社会の変化やリスクに柔軟かつ迅速に対応できる、サステナブルでレジリエンスな企業を目指す文化が根付いています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、中期経営計画において多様な店舗フォーマット展開や事業領域の強化を通じた収益性の向上を目指し、以下の指標を目標として掲げて経営を行っています。

・連結売上高
・連結営業利益
・連結経常利益
・連結親会社株主に帰属する当期純利益

(4) 成長戦略と重点施策


同社は国内店舗網の強化に向け、立地特性に応じた業態での新規出店を推進するとともに、EC事業および調剤事業の拡大に取り組んでいます。さらに、プライベートブランド商品の拡充や新規カテゴリーの開発を進めています。また、デジタル化(省人化)による生産性の向上や環境経営にも積極的に取り組むことで事業基盤を強化しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は人的資本を持続的な成長を支える経営基盤の中核と位置付けています。「1店舗2ライン制」による職種別の専門性向上や、ジョブローテーションを通じて事業環境の変化に柔軟に対応できる人材を育成しています。また、多様な人材が能力を最大限発揮できる職場環境の整備を進めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 34.5歳 8.8年 5,895,373円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 21.7%
男性育児休業取得率 96.3%
男女賃金差異(全労働者) 42.8%
男女賃金差異(正規雇用) 84.6%
男女賃金差異(非正規雇用) 100.9%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、健康診断受検率(99.5%)、年次有給休暇取得率(71.1%)、障害者雇用率(3.38%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 薬局の経営並びに医薬品等の販売事業に関するリスク

調剤業務において、医薬分業の進展に伴う処方箋応需枚数の増加が見込まれますが、調剤ミス等により訴訟や行政処分を受けるリスクがあります。また、調剤報酬や薬価の改定、商品の仕入価格変動、さらには災害や感染症による店舗・物流網の被害が業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 出店及びM&Aや業務提携に関するリスク

ドラッグストア業界では同業他社や他業種との出店競争が激化しており、来店客数の減少や売上単価の低下が生じる可能性があります。また、物件の競合による賃料等の高騰が出店計画に影響を与えるほか、M&Aや業務提携が計画通りの収益を上げられずのれんの減損が生じるリスクも存在します。

(3) 法的規制や有資格者確保に関するリスク

医薬品等の販売は関連法令による許可・登録が必要であり、規制の緩和や法改正が事業環境に影響を与える可能性があります。また、店舗展開に不可欠な薬剤師や登録販売者の採用競争が激化しており、人材確保の遅れや人件費の高騰が同社グループの成長を阻害するリスクとなります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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