サンドラッグ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

サンドラッグ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム上場のドラッグストアチェーン。「安心・信頼・便利の提供」を掲げ、ドラッグストア事業とディスカウントストア事業を全国で展開しています。直近の業績は、売上高8,018億円(前期比6.7%増)、経常利益438億円(同5.0%増)となり、増収増益を達成しました。


※本記事は、株式会社サンドラッグ の有価証券報告書(第62期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月19日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. サンドラッグってどんな会社?


ドラッグストアとディスカウントストアを中核に、全国で店舗展開を行う小売チェーン企業です。

(1) 会社概要


1957年に創業し、1980年にサンドラッグを設立しました。1997年に株式を店頭登録(後のジャスダック)、同年9月に東証二部へ上場し、2002年には東証一部へ指定替えを行いました。2009年にディスカウントストアを展開するダイレックスを子会社化し、事業を拡大。2024年にはキリン堂グループを持分法適用会社化するなど、M&Aや提携を通じた成長を続けています。

同グループの従業員数は連結で7,145名、単体で4,413名です。筆頭株主は同社役員が代表を務める資産管理会社のイリュウ商事で、第2位は資産管理業務を行う信託銀行です。安定した株主構成のもと、ドラッグストア事業とディスカウントストア事業の両輪で事業運営を行っています。

氏名 持株比率
イリュウ商事 37.43%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 12.57%
日本カストディ銀行(信託口) 7.87%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性4名の計10名で構成され、女性役員比率は40.0%です。代表取締役社長 CEOは貞方 宏司氏が務めています。社外取締役比率は30.0%です。

氏名 役職 主な経歴
貞方 宏司 代表取締役社長 CEO 1989年同社入社。営業第二部長、ダイレックス代表取締役社長などを経て、2022年4月より現職。キリン堂ホールディングス取締役も兼務。
多田 直樹 取締役チェアマン 1990年同社入社。経営企画室課長、フォレストモール代表取締役社長などを経て、2022年4月より現職。イリュウ商事代表取締役社長も兼務。
坂井 義光 取締役 1983年同社入社。店舗開発部長などを経て、2022年7月より取締役店舗開発本部長として現職。
多田 高志 取締役 1992年イトーヨーカ堂入社。1996年同社入社。フォレストモール代表取締役社長、ダイレックス代表取締役社長などを経て、2017年6月より現職。


社外取締役は、松本正人(元三菱UFJモルガン・スタンレー証券副社長)、辻智子(元ファンケル取締役執行役員)、齋藤律子(元ADワークスグループ部長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ドラッグストア事業」および「ディスカウントストア事業」を展開しています。

(1) ドラッグストア事業


主に医薬品、化粧品、日用雑貨を販売しています。地域密着型の店舗運営を行い、専門性を高めたサービスを提供することで、顧客の健康と美容のニーズに応えています。

収益は一般消費者への商品販売による代金です。運営は主にサンドラッグが行うほか、星光堂薬局、サンドラッグプラス、大屋、サンドラッグ・ドリームワークス、ピュマージ、サンドラッグエースなどの子会社が各地域や特定分野を担当しています。

(2) ディスカウントストア事業


主に食料品、家庭雑貨、家電製品などを幅広く取り扱い、低価格で販売しています。生活必需品を豊富に揃え、地域の生活インフラとしての役割を担っています。

収益は一般消費者への商品販売による代金です。運営は子会社のダイレックスが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


同社の直近5期間の業績は、売上高、利益ともに堅調な拡大基調にあります。売上高は毎期増加しており、事業規模が着実に成長していることがわかります。利益面でも、安定した利益率を維持しながら利益額を伸ばしており、増収増益のトレンドを維持しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 6,343億円 6,487億円 6,905億円 7,518億円 8,018億円
経常利益 382億円 347億円 381億円 417億円 438億円
利益率(%) 6.0% 5.4% 5.5% 5.6% 5.5%
当期利益(親会社所有者帰属) 187億円 149億円 157億円 178億円 176億円

(2) 損益計算書


売上高は増加し、それに伴い売上総利益も増加しています。売上総利益率は概ね横ばいで推移しており、安定した収益性を保っています。営業利益も増加しており、販管費のコントロールを含め、効率的な経営が行われていることがうかがえます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 7,518億円 8,018億円
売上総利益 1,893億円 2,041億円
売上総利益率(%) 25.2% 25.5%
営業利益 410億円 445億円
営業利益率(%) 5.5% 5.5%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当及び賞与が582億円(構成比36%)、賃借料が333億円(同21%)を占めています。

(3) セグメント収益


ドラッグストア事業、ディスカウントストア事業ともに増収増益となりました。ドラッグストア事業はインバウンド需要の回復等が寄与し、ディスカウントストア事業は食品部門が好調に推移しました。両事業ともに新規出店と既存店改装による活性化が進んでいます。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
ドラッグストア事業 4,380億円 4,596億円 257億円 266億円 5.8%
ディスカウントストア事業 3,138億円 3,423億円 153億円 179億円 5.2%
連結(合計) 7,518億円 8,018億円 410億円 445億円 5.5%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は「健全型」です。本業で稼いだ資金(営業CFプラス)の範囲内で投資(投資CFマイナス)や借入返済・株主還元(財務CFマイナス)を行っており、財務基盤は安定的です。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 412億円 412億円
投資CF -749億円 -354億円
財務CF 225億円 -106億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は11.8%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は60.7%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同グループは、「安心・信頼・便利の提供」をキーワードに、国民の「健康で豊かな暮らし」の実現を目指し、「毎日が明るく楽しい世の中創り」に貢献することを企業理念として掲げています。また、全てのステークホルダーにとって最善の判断をし、こころ配りを忘れずに行動することを重視しています。

(2) 企業文化


同社は、「一歩先を考え、半歩先に行動する」という理念のもと、変化に迅速に対応できる人材の育成を重視しています。また、自分たちで今できることからすぐ始め、世の中の一隅でも照らすことができればという考えを持ち、顧客や社員、地域社会などすべてに対して誠実に向き合う姿勢を大切にしています。

(3) 経営計画・目標


中期経営計画等の具体的な数値目標については有価証券報告書に記載がありませんが、引き続き「安心・信頼・便利の提供」をキーワードに、国内店舗網の更なる拡大、EC事業および調剤事業の拡大を図っていく方針を示しています。

(4) 成長戦略と重点施策


今後の成長に向けて、質の高い新規出店による全国カバー、EC基盤リニューアルによるEC事業強化、併設店舗を中心とした調剤事業強化を重点施策としています。また、プライベートブランドの開発強化や、店舗オペレーションのデジタル化による生産性向上、サステナビリティ経営の推進にも取り組み、競合他社との差別化を図る方針です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


グループ全体の機能強化のため、ジョブローテーションによる人材育成を重視しています。キャリア前半は独自の「1店舗2ライン制」で専門性を高め、その後は部門横断的なローテーションで適性発見と能力伸長を図ります。また、多様な人材が活躍できるダイバーシティ&インクルージョンの推進や、安全で健康的な職場環境の整備にも取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 34.4歳 8.9年 5,815,853円


※平均年間給与(税込)は、基準外賃金及び賞与を含んでおります。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 20.4%
男性育児休業取得率 85.6%
男女賃金差異(全労働者) 40.1%
男女賃金差異(正規雇用) 82.1%
男女賃金差異(非正規) 94.0%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、職種別研修習得度(90.4%)、階層別研修習得度(81.2%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 薬局の経営並びに商品販売リスク


調剤過誤による訴訟や行政処分の可能性があり、信頼低下や業績への影響が懸念されます。また、調剤報酬や薬価の改定、仕入価格の変動も業績に影響を与える可能性があります。これに対し、同社は監査システムの導入やローコストオペレーションの推進、PB商品開発等で対応しています。

(2) 出店及びM&Aや業務提携リスク


競合による来店客数減少や賃料高騰、出店計画の変更が業績に影響する可能性があります。また、M&Aや業務提携が計画通りに進まない場合ののれん減損リスクもあります。同社は人材育成やM&A戦略の強化、慎重な事前調査とモニタリングによりリスク低減を図っています。

(3) 法的規制に関するリスク


医薬品医療機器等法などの改正や、医薬品販売の規制緩和が進むことで競争が激化し、業績に影響を及ぼす可能性があります。同社は法改正への迅速な対応や人材育成の強化により対処しています。

(4) 有資格者の確保リスク


店舗運営には薬剤師や登録販売者の配置が義務付けられており、採用競争の激化や人件費高騰が出店計画や業績に影響する可能性があります。同社は働きやすい環境整備や資格取得支援により人材確保に努めています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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