※本記事は、株式会社中京医薬品 の有価証券報告書(第47期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 中京医薬品ってどんな会社?
同社は「置き薬」の配置販売を主力とし、医薬品や健康食品、ミネラルウォーター等を通じて健康生活を支援する企業です。
■(1) 会社概要
同社は1978年に設立され、配置医薬品の販売およびフランチャイズ事業を開始しました。1997年に株式を店頭上場し、2000年には売水事業へ参入して事業の多角化を図りました。その後、2013年に東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)へ上場し、2022年の市場区分見直しに伴い、現在は東京証券取引所スタンダード市場に上場しています。
同社(単体)の従業員数は310名です。筆頭株主は法人であるマサユキコーポレーションで、第2位は同社創業者の山田正行氏、第3位は個人の早乙女修司氏となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 株式会社マサユキコーポレーション | 14.95% |
| 山田 正行 | 3.07% |
| 早乙女 修司 | 2.72% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は米津秀二氏が務めています。社外取締役比率は22.2%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 米津 秀二 | 代表取締役社長兼事業統括本部長 | 1987年三重中京医薬品入社。商品企画部長、配置営業部長等を歴任し、2019年より現職。 |
| 山田 正行 | 代表取締役会長 | 1969年三重中京医薬品社長。1978年同社社長就任。2019年より現職。 |
| 飯田 亨 | 取締役コーポレート本部長兼システム部長 | 1988年同社入社。管理統括本部長等を経て、2013年より現職。 |
| 岩崎 雷凱 | 取締役海外事業担当兼アクアマジック事業部部長 | 2000年同社入社。商品企画部長、事業統括副本部長等を経て、2019年より現職。 |
社外取締役は、渡邊明(埼玉大学名誉教授)、今枝なほみ(元半田税務署長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「家庭医薬品等販売事業(小売部門)」「家庭医薬品等販売事業(卸売部門)」「売水事業部門」および「その他」事業を展開しています。
■(1) 家庭医薬品等販売事業(小売部門)
一般家庭を対象に、常備配置薬(置き薬)、保健品、ドリンク、医療品、日用雑貨などの商品を販売しています。顧客宅に救急箱を配置し、定期的に訪問して使用分を精算する配置販売を中心とした事業です。
収益は、顧客が使用した医薬品等の代金や商品の販売代金から得ています。運営は主に同社が行っています。
■(2) 家庭医薬品等販売事業(卸売部門)
フランチャイズ加盟店を中心とする同業他社や、一般流通市場に対して商品の卸販売を行っています。自社ブランド商品や生活流通商品などを供給しています。
収益は、取引先への商品販売代金から得ています。運営は主に同社が行っています。
■(3) 売水事業部門
「アクアマジック」ブランドのミネラルウォーターの製造および販売を行っています。ウォーターサーバーをレンタルし、ボトル水を宅配するサービスを展開しています。
収益は、ミネラルウォーターや関連商品の販売代金から得ています。運営は主に同社が行っています。
■(4) その他
家庭医薬品等販売事業や売水事業部門に含まれない事業として、主に保険商品の取り扱いなどを行っています。
収益は、保険商品の販売に伴う手数料等から得ています。運営は主に同社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は60億円前後で推移しており、直近では増加傾向にあります。経常利益は黒字を維持していますが、利益率は1〜2%台と低水準で推移しています。第46期には当期純損失を計上しましたが、第47期には黒字に回復しました。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 58億円 | 54億円 | 57億円 | 61億円 | 63億円 |
| 経常利益 | 2.4億円 | 0.8億円 | 0.8億円 | 1.5億円 | 1.2億円 |
| 利益率(%) | 4.1% | 1.6% | 1.4% | 2.4% | 1.9% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 0.9億円 | 0.3億円 | 0.1億円 | -0.3億円 | 0.5億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間の損益構成を見ると、売上高は増加しましたが、売上総利益は若干減少しました。販売費及び一般管理費は微減しましたが、売上総利益の減少により営業利益は減少しました。営業利益率は2%前後で推移しています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 61億円 | 63億円 |
| 売上総利益 | 37億円 | 36億円 |
| 売上総利益率(%) | 60.5% | 57.8% |
| 営業利益 | 1.3億円 | 1.1億円 |
| 営業利益率(%) | 2.1% | 1.7% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が15億円(構成比44%)、賃借料が3億円(同10%)を占めています。売上原価は売上高の約42%を占めており、その内訳としては商品仕入高が主要な要素となっています。
■(3) セグメント収益
主力の小売部門は売上が減少しましたが、黒字を確保しています。卸売部門は売上が増加したものの、赤字となりました。売水事業部門は増収増益となり、利益面で貢献しています。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) | 利益(2024年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 小売部門 | 40億円 | 38億円 | 0.5億円 | 0.3億円 | 0.8% |
| 卸売部門 | 14億円 | 17億円 | 0.1億円 | -0.1億円 | -0.4% |
| 売水事業部門 | 7.0億円 | 7.2億円 | 0.7億円 | 0.8億円 | 11.4% |
| その他 | 0.0億円 | 0.0億円 | 0.0億円 | 0.0億円 | 0.0% |
| 連結(合計) | 61億円 | 63億円 | 1.3億円 | 1.1億円 | 1.7% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
中京医薬品は、長期借入れによる収入を主な要因として財務活動によるキャッシュ・フローを増加させています。営業活動では、税引前当期純利益や売上債権の増加が資金増加に寄与しました。投資活動では、保険積立金の解約による収入が資金増加を牽引しました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 1.7億円 | 0.3億円 |
| 投資CF | -0.4億円 | 0.5億円 |
| 財務CF | -1.3億円 | 0.4億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「健康づくり、幸福づくり、人づくり」を企業理念として掲げています。「より愛され、より親しまれる企業を目指して」を長期ビジョンとし、顧客の健康と豊かな生活を支える商品・情報・サービスを多角的・多面的に推進する「トータルライフ・ケア」を目指しています。
■(2) 企業文化
同社は、顧客と直接接する「ふれあい業」を重視し、人と社会に寄り添う温かいサービスの進化を目指しています。「伝統と革新」をもとに挑戦し続ける「CHUKYO SPIRIT」を発揮し、顧客との信頼の絆を深めることを企業価値の源泉としています。また、従業員の健康管理を経営課題と捉える「健康経営」にも取り組んでいます。
■(3) 経営計画・目標
同社は、顧客からの支援度合いを示す売上高、商品開発力と競争力を示す売上総利益率、事業全体の収益性を示す営業利益率を重視する経営指標として掲げています。また、効率性を示す販管費対売上高比率や、資本効率を示すEPS、ROEの向上にも取り組む方針を示しています。具体的な数値目標については記載がありません。
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は「トータルライフ・ケア」戦略のもと、小売部門では組織風土改革や生産性向上、サテライトオフィスの開設等を進めています。卸売部門ではPB商品の開発やEC事業の拡大、売水事業では新規顧客開拓やOEM受注の拡充に注力しています。また、次なる成長に向けた投資として、営業エリアの拡大や本社屋等の建替を計画しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は人材を「人財」と位置づけ、新人事制度の導入によりパフォーマンスに応じた適正な処遇を実現する方針です。顧客満足につながる社員の育成、次世代リーダー教育、能動的な組織環境の構築を進めています。また、従業員への健康投資を行う「健康経営」を推進し、組織の活性化と業績向上を目指しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 44.2歳 | 14.4年 | 4,966,394円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 17.2% |
| 男性育児休業取得率 | 66.7% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 56.0% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 76.6% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 42.8% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 小売部門への依存について
同社の売上高に占める小売部門の割合は約6割と高く、同部門への依存度が高い状態にあります。卸売部門や売水事業部門の育成を進めていますが、依然として小売部門の業績動向が全社の経営成績に大きな影響を与える可能性があります。
■(2) 減損会計に関するリスク
同社は事業用不動産等の資産を保有しており、時価の下落や事業計画の未達により将来キャッシュ・フローが減少した場合、減損損失が発生する可能性があります。これにより、同社の業績や財務状況に悪影響が及ぶリスクがあります。
■(3) 法的規制等について
医薬品の配置販売や卸売販売を行うため、薬機法等の規制を受けており、各種許可の維持が必要です。また、訪問販売を行うため特定商取引法の規制も受けます。これらの規制遵守が困難になった場合や規制強化があった場合、業績に影響を与える可能性があります。



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