#記事タイトル:中京医薬品転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態
※本記事は、株式会社中京医薬品の有価証券報告書(第48期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月24日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 中京医薬品ってどんな会社?
家庭への配置薬販売を中心とした家庭医薬品事業と、ミネラルウォーターの売水事業を展開する企業です。
■(1) 会社概要
1978年5月に愛知県で設立され、医薬品の配置販売を開始しました。1985年にはフランチャイズ事業を開始し、1997年8月に株式を店頭上場しています。2000年6月に売水事業へ参入し、その後も電力媒介事業など事業の多角化を進め、地域に密着したサービスを全国へ広げています。
現在の単体従業員数は298名です。筆頭株主は法人株主のマサユキコーポレーションで、第2位は代表取締役会長の山田正行氏となっています。関連法人や創業者一族が上位株主として名を連ねており、安定した資本基盤のもとで「ふれあい業」を軸とした事業運営を継続しています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| マサユキコーポレーション | 14.94% |
| 山田正行 | 3.07% |
| 早乙女修司 | 2.66% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は米津秀二氏が務めています。社外取締役比率は22.2%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 山田正行 | 代表取締役会長 | 1969年三重中京医薬品代表取締役社長などを経て、2019年より現職。 |
| 米津秀二 | 代表取締役社長 | 1987年三重中京医薬品入社、1990年同社入社。事業統括本部長などを歴任し、2025年より現職。 |
| 飯田亨 | 取締役 | 1988年同社入社。管理統括本部長兼システム部長などを経て、2025年より現職。 |
| 岩崎雷凱 | 取締役海外事業担当兼アクアマジック事業部部長 | 2000年同社入社。事業統括副本部長兼商品部長などを経て、2025年より現職。 |
社外取締役は、渡邊明(埼玉大学名誉教授)、今枝なほみ(元半田税務署長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「家庭医薬品等販売事業(小売部門・卸売部門)」「売水事業部門」および「その他」事業を展開しています。
■家庭医薬品等販売事業(小売部門・卸売部門)
家庭への配置薬を中心に、保健品やドリンク、医療品、日用雑貨などの販売を手掛けています。小売部門では営業員が直接一般家庭を訪問して配置・小売販売を行い、卸売部門では同業他社やフランチャイズ加盟店、一般流通市場へ向けて商品を卸しています。
収益は、一般消費者からの配置薬利用料や商品代金、および加盟店や卸先企業からの商品卸売代金から得ています。事業の運営は主に中京医薬品が担っており、自社ブランドとして規格に基づいた外部への生産委託商品を幅広く展開しています。
■売水事業部門
ウォーターサーバーのレンタルとミネラルウォーターの製造販売を行っています。主に一般家庭や企業向けに、専用のウォーターサーバーを通じて安全な飲料水を定期的に提供するほか、水関連商品などのサイドメニューの拡充や新型サーバーの展開にも注力しています。
収益は、顧客からのミネラルウォーターの購入代金や関連商品の販売代金から得ています。ウォーターサーバーは無料でレンタルするモデルを採用しています。製造から販売までを中京医薬品が一貫して運営しており、自社工場での生産効率向上を図っています。
■その他
保険商品などの取り扱い事業を行っています。顧客の多様なニーズに応えるため、生命保険の募集や損害保険の代理店事業を通じて、健康と生活を多角的にサポートするサービスを提供しています。
収益は、保険契約に基づく手数料収入などから得ています。事業運営は中京医薬品が行っており、主力の健康関連事業とシナジーを生み出す「トータルライフ・ケア」の一環として付加価値サービスを展開しています。
3. 業績・財務状況
同社の単体業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
過去5期間の売上高は一貫して増加傾向にあり、順調な事業規模の拡大が伺えます。経常利益も安定的に推移しており、直近では増収増益を達成しました。2024年3月期に一時的な最終赤字を計上したものの、その後は黒字へ転換し、着実な収益の回復と成長を見せています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 54億円 | 57億円 | 61億円 | 63億円 | 66億円 |
| 経常利益 | 0.8億円 | 0.8億円 | 1.5億円 | 1.2億円 | 1.4億円 |
| 利益率(%) | 1.6% | 1.4% | 2.4% | 1.9% | 2.1% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 0.3億円 | 0.1億円 | -0.3億円 | 0.5億円 | 0.8億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の増加に伴い、売上総利益と営業利益も前年を上回る実績を残しています。価格改定などの取り組みにより利益水準が改善し、継続的な収益性の向上が確認できます。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 63億円 | 66億円 |
| 売上総利益 | 36億円 | 37億円 |
| 売上総利益率(%) | 57.8% | 56.6% |
| 営業利益 | 1.1億円 | 1.3億円 |
| 営業利益率(%) | 1.7% | 1.9% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が16億円(構成比44%)、福利厚生費が3億円(同9%)を占めています。
■(3) セグメント収益
小売部門は価格改定や販売効率の向上により増収増益を達成しました。卸売部門はプライベートブランド商品の販売拡大などで増収となったものの、コスト増等の影響で損失を計上しています。売水事業は水需要の増加や価格改定が寄与し増収となりました。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益(2026年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 小売部門 | 38億円 | 39億円 | 0.3億円 | 0.7億円 | 1.9% |
| 卸売部門 | 17億円 | 19億円 | -0.1億円 | -0.2億円 | -1.2% |
| 売水事業部門 | 7億円 | 8億円 | 0.8億円 | 0.8億円 | 9.9% |
| その他 | 0.0億円 | 0.0億円 | - | - | - |
| 連結(合計) | 63億円 | 66億円 | 1.1億円 | 1.3億円 | 1.9% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社は営業活動で得た資金を上回る積極的な投資を行い、その不足分を借入等の財務活動で賄う「積極型」のキャッシュ・フロー状況にあります。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 0.3億円 | 1.0億円 |
| 投資CF | 0.5億円 | -3.0億円 |
| 財務CF | 0.4億円 | 0.8億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は3.3%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は48.8%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「健康づくり、幸福づくり、人づくり」の企業理念を基に、「より愛され、より親しまれる企業を目指して」を長期ビジョンに掲げています。お客さまの健康と豊かな生活を支えるための商品や情報・サービスを多角的・多面に推進する「トータルライフ・ケア」を目指しています。
■(2) 企業文化
人と社会に寄り添う「ふれあい業」を重視し、常にお客さまの顔が見え、温もりが伝わるアナログなコミュニケーションに価値を置いています。「伝統と革新」をもとに挑戦し続ける「CHUKYO SPIRIT」を発揮し、心の通い合う信頼の絆を大切にする文化が特徴です。
■(3) 経営計画・目標
お客さまからの支援の度合を反映するものとして売上高を重視し、商品の開発力と競争力を示す売上総利益率、事業全体の収益性を示す営業利益率の向上を目指しています。また、効率性を示す販売費及び一般管理費対売上高や、資本効率を示すROE(自己資本利益率)の改善を経営上の目標としています。
■(4) 成長戦略と重点施策
ヘルス・ケア事業では組織風土の改革や販売プロセスの変革により生産性と収益性を向上させ、サテライトオフィスの開設で新規顧客の創造を図ります。ライフ・ケア事業では自社商品の企画・開発を推進し、EC事業を拡大します。アクアマジック事業では異業種チャネルを活用した新規開拓やプラントのリニューアルを進める方針です。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「人材の育成」のための自律的なキャリアを構築できる環境作りや、多様な視点を活かす組織風土の醸成に努めています。新人事制度の導入によりパフォーマンスに応じた適正な処遇を実現し、従業員への健康投資を行う「健康経営」を通じて、組織の活性化と生産性向上を図る方針です。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 43.7歳 | 14.2年 | 5,265,877円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 16.1% |
| 男性育児休業取得率 | 66.7% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 57.2% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 77.0% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | 44.5% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 小売部門(配置販売)への依存に関するリスク
同社は売上高の多くを小売部門に依存しています。新規顧客の開拓遅れや、顧客からのクレームによる信用の低下、商品の劣化や期限切れなどが発生した場合、事業基盤の弱体化につながり、全体の業績に大きな影響を与える可能性があります。
■(2) 卸売部門における債権回収リスク
卸売部門において、取引先に対する債権の回収リスクが存在します。与信及び債権管理規程の制定によりリスクの回避を図っていますが、取引先の財務状態が悪化し債務不履行が発生した場合には、同社の業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 品質管理に関するリスク
ウォーターサーバーのレンタルとミネラルウォーターの販売事業において、生産物の徹底的な管理や品質向上を図っています。しかし、万一その生産物や生産プラントに予測せぬ問題が生じた場合には、信用の低下を招き、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(4) 減損会計に関するリスク
事業の用に供する不動産をはじめとする様々な資産について、時価の下落や事業計画の未達により将来のキャッシュ・フローが減少し、投資額の回収が見込めなくなった場合、当該資産に減損損失を計上する必要が生じ、業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。



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