コロワイド 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

 コロワイド 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム上場。「牛角」「かっぱ寿司」「大戸屋ごはん処」等の外食チェーンを運営。直近決算では、インバウンド需要の増加や価格改定効果により売上収益は過去最高を更新し増収となりましたが、原材料価格や人件費の高騰、為替差損の影響等により、税引前利益および当期利益は減益となりました。


#コロワイド転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

※本記事は、株式会社コロワイド の有価証券報告書(第63期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は IFRS です。

1. コロワイドってどんな会社?

「牛角」「かっぱ寿司」「大戸屋」など多様なブランドを展開する大手外食チェーン企業です。M&Aによる事業拡大と、自社工場による製造・物流機能の内製化が特徴です。

(1) 会社概要

1963年に神奈川県逗子市で飲食業として設立され、1994年に現社名へ変更しました。2002年に東証一部(現プライム)へ指定替えとなり、2004年には持株会社制へ移行しています。積極的なM&Aにより、2012年にレインズインターナショナル(牛角等)、2014年にカッパ・クリエイト、2020年に大戸屋ホールディングスを相次いで子会社化し、事業規模を拡大しました。直近では2024年に菓子製造販売の日本銘菓総本舗(現N Baton Company)や給食事業のソシオフードサービスをグループに迎えています。

同グループの従業員数は連結で5,270名、単体で143名です。筆頭株主は資産管理業務を行う信託銀行で、第2位は横浜市に拠点を置くサンクロード、第3位は創業者の親族とみられる個人株主となっています。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 9.38%
サンクロード 5.43%
蔵人 良子 3.82%

(2) 経営陣

同社の役員は男性9名、女性2名の計11名で構成され、女性役員比率は18.2%です。代表取締役会長は蔵人金男氏、代表取締役社長は野尻公平氏が務めています。社外取締役比率は45.5%です。

氏名 役職 主な経歴
蔵人 金男 代表取締役会長 1966年入社。1983年社長、2007年会長兼社長を経て、2012年より現職。
野尻 公平 代表取締役社長 1993年入社。常務、専務等を経て2012年より現職。
磯野 健雄 取締役 ワタミ取締役MD本部長等を経て、2020年コロワイドMD入社。2021年より同社社長および現職。
松見 大輔 取締役 レックス・ホールディングス(現レインズインターナショナル)入社後、同社取締役等を経て2021年より現職。
植田 剛史 取締役 アトム社長、コロワイドMD社長、カッパ・クリエイト専務等を歴任し、2023年より現職。


社外取締役は、杢野純子(元ウォルト・ディズニー・ジャパン ディレクター)、福田守雄(元公安調査庁調査第一部長)、福崎真也(弁護士)、熊王斉子(弁護士)、樋口一成(元ユーシーカード社長)です。

2. 事業内容

同社グループは、「コロワイドMD」「アトム」「レインズインターナショナル」「カッパ・クリエイト」「大戸屋ホールディングス」の5つの報告セグメントおよび「その他」事業を展開しています。

(1) コロワイドMD

グループ全体のマーチャンダイジング機能を担い、各種食料品等の商品開発、調達、製造、物流を行っています。セントラルキッチンや食品工場を活用し、グループ店舗へ食材等を供給しています。

収益は、グループ内外の企業に対する商品の販売等から得ています。運営は主に株式会社コロワイドMDが行っています。

(2) アトム

東北・北関東・東海・北陸地区を中心に、「ステーキ宮」「にぎりの徳兵衛」「カルビ大将」等のレストランおよび居酒屋業態を展開しています。

収益は、直営店における一般顧客からの飲食代金およびフランチャイズ加盟店からのロイヤリティ等から得ています。運営は株式会社アトムが行っています。

(3) レインズインターナショナル

焼肉「牛角」、しゃぶしゃぶ「温野菜」、居酒屋「土間土間」、ハンバーガー「FRESHNESS BURGER」など、多岐にわたるブランドを国内外で展開しています。

収益は、直営店での飲食代金に加え、フランチャイズ本部として加盟店から受け取る加盟金やロイヤリティ、食材等の卸売による収入が柱となっています。運営は株式会社レインズインターナショナルが行っています。

(4) カッパ・クリエイト

回転寿司チェーン「かっぱ寿司」等の直営店運営のほか、寿司や調理パン等のデリカ事業も行っています。

収益は、店舗における一般顧客からの飲食代金や、デリカ商品の販売収入から得ています。運営はカッパ・クリエイト株式会社が行っています。

(5) 大戸屋ホールディングス

定食店「大戸屋ごはん処」を国内外で展開しており、店内調理にこだわった和定食を提供しています。

収益は、直営店での飲食代金およびフランチャイズ加盟店からのロイヤリティ収入等が主な源泉です。運営は株式会社大戸屋ホールディングスが行っています。

(6) その他

上記セグメントに含まれない事業として、給食事業、菓子製造販売、システム開発等を行っています。

収益は、ヘルスケア施設等からの給食受託料、菓子・チョコレートの販売収入、システム利用料等から構成されます。運営は株式会社ニフス、株式会社N Baton Company、ワールドピーコム株式会社などが担っています。

3. 業績・財務状況

同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移

直近5期間の業績を見ると、売上収益はM&Aや既存事業の回復により拡大傾向にあり、特に直近では過去最高を記録しています。一方、利益面では原材料高やコスト増の影響を受け変動が見られ、直近では増収ながらも減益となっています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上収益 1,682億円 1,756億円 2,208億円 2,413億円 2,692億円
税引前利益 -141億円 21億円 -84億円 65億円 48億円
利益率(%) -8.4% 1.2% -3.8% 2.7% 1.8%
当期利益(親会社所有者帰属) -101億円 14億円 -68億円 29億円 12億円

(2) 損益計算書

直近2期間の損益構成を見ると、売上収益の増加に伴い売上総利益も拡大しています。しかし、販売費及び一般管理費の増加等の影響により、営業利益の伸びは売上の伸びに比べて緩やかになっており、利益率は低下傾向にあります。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 2,413億円 2,692億円
売上総利益 1,394億円 1,568億円
売上総利益率(%) 57.8% 58.2%
営業利益 71億円 77億円
営業利益率(%) 2.9% 2.9%


販売費及び一般管理費のうち、人件費が752億円(構成比51%)、減価償却費及び償却費が241億円(同16%)を占めています。

(3) セグメント収益

各セグメントの状況を見ると、レインズインターナショナルが売上・利益ともにグループ最大規模を占めています。コロワイドMDは増収増益で利益貢献度が高まっています。一方、その他セグメントはM&Aの影響等で売上が急増していますが、営業損失を計上しています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
コロワイドMD 853億円 961億円 17億円 42億円 4.4%
アトム 370億円 355億円 -16億円 17億円 4.9%
レインズインターナショナル 997億円 924億円 62億円 43億円 4.7%
カッパ・クリエイト 722億円 732億円 18億円 13億円 1.7%
大戸屋ホールディングス 279億円 314億円 12億円 12億円 3.7%
その他 76億円 425億円 3億円 -7億円 -1.6%
調整額 -884億円 -1,019億円 -25億円 -43億円 -
連結(合計) 2,413億円 2,692億円 71億円 77億円 2.9%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

本業で得た資金に加え、財務活動(主に株式発行による収入)で得た資金を活用し、M&Aや設備投資などの投資活動を積極的に行っている「積極型」の状態です。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 299億円 288億円
投資CF -136億円 -216億円
財務CF -203億円 180億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は2.0%で市場平均を下回っており、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率(親会社所有者帰属持分比率)は24.8%で市場平均とほぼ同じ水準です。

4. 経営方針・戦略

同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念

同社グループは、「すべては、お客さまと社員のために」を企業理念として掲げています。お客様に楽しさと美味しさを提供し喜んでいただくことを通じ、社会の持続可能な発展と中長期的な企業価値の向上を目指しています。

(2) 企業文化

社名であるCOLOWIDEに込められた4つのファクター「CO:勇気(Courage)」「LO:愛(Love)」「WI:知恵(Wisdom)」「DE:決断(Decision)」を社員一人ひとりが心に刻み、日々の業務に邁進することを重視しています。これらを指針として、お客様への価値提供に取り組む文化があります。

(3) 経営計画・目標

中期経営計画「COLOWIDE Vision 2030」を策定し、2030年3月期までに連結売上収益5,000億円の達成を目指しています。国内外食事業を基盤としつつ、海外外食事業や給食事業の成長を通じて企業価値の向上を図る計画です。

(4) 成長戦略と重点施策

国内外食事業では、レストラン業態を中心とした新規出店やM&Aによるシェア拡大、マーチャンダイジング機能の強化による付加価値向上を進めます。海外では中東エリアでの出店加速やアジア・北米での事業強化を図り、給食事業では組織再編とヘルスケア施設での事業拡大を推進します。

* 中東エリア:2030年3月期までに55店舗体制を目標

5. 働く環境

同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針

「働く仲間の成長と多様性の尊重」をマテリアリティの一つとし、従業員が自律的に成長できる機会を提供することで、グループ全体の発展を目指しています。ライフステージに合わせた多様な働き方が選択できる制度や、JOB型人事制度の導入、女性活躍推進などを通じ、働きがいのある職場環境の整備を進めています。

(2) 給与水準・報酬設計

同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 44.0歳 14.2年 6,540,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示

同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 14.5%
男性育児休業取得率 83.3%
男女賃金差異(全労働者) 67.5%
男女賃金差異(正規) 74.5%
男女賃金差異(非正規) 41.5%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性社員比率(30.5%)、女性管理職比率(14.1%)などです。

6. 事業等のリスク

事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 食品に関するリスク

食の安全性や食品事故に関するリスクがあります。万一、食材の安全性に疑問が生じた場合や、産地表示の誤り、食中毒等の食品事故が発生した場合には、社会的信用の低下や損害賠償、営業停止処分等により、グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。

(2) 事業に関するリスク

外食業界の動向変化や原材料調達に関するリスクがあります。消費者の嗜好の変化や新たなトレンドへの対応が遅れた場合、あるいは疫病や天候不順、市場価格高騰等により原材料の確保が困難になったりコストが上昇したりした場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(3) 財務に関するリスク

経済事情の急変や店舗固定資産・のれんの減損リスクがあります。経済環境の悪化による消費低迷や、店舗収益の低下、M&Aにより取得したのれん対象資産の評価額下落等により減損損失が発生した場合、グループの財政状態および経営成績に影響を与える可能性があります。

(4) 人材の確保及び育成

継続的な成長には優秀な人材が不可欠ですが、採用環境の悪化により必要な人材が確保できない場合や、人件費が上昇した場合、また人材育成が順調に進まない場合には、店舗運営や事業展開に支障をきたし、経営成績に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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