※本記事は、株式会社カワチ薬品 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年3月16日 ~ 2026年3月15日、2026年6月10日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
カワチ薬品グループは、医薬品、化粧品、日用雑貨、食料品、酒類などを販売するドラッグストア事業を展開しています。処方箋調剤を行う調剤薬局併設型ドラッグストアも主要業務としています。主に郊外型の店舗を出店し、売場面積400坪~1,000坪のメガ・ドラッグストアを中心に展開しています。
単体従業員数は2,564名、連結従業員数は2,750名です。
主な国内グループ会社は、横浜ファーマシーなどです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
カワチ薬品は、地域に根ざしたドラッグストア事業を展開しており、従業員の長期的なキャリア形成と働きやすい環境づくりに力を入れています。多様な人材が活躍できるような育成方針や制度の整備を進め、安定した事業基盤の上で従業員の成長を支援する傾向が見られます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の定着を重視する姿勢がうかがえます。平均勤続年数と平均年齢から、比較的長く勤める従業員が多い傾向にあることが示されています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,560,435円 |
| 平均勤続年数 | 13.8年 |
| 平均年齢 | 37.0歳 |
| 単体従業員数 | 2,564人 |
| 連結従業員数 | 2,750人 |
| 単体のグループ内比率 | 93.2% |
同社グループは、給与や勤続年数に応じて給付額が決まる確定給付型制度として退職一時金制度を設けています。退職一時金制度はありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。同社グループの退職給付債務は85.5億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは「人は会社の大切な財産=人財である」という理念に基づき、優秀な社員の育成と定着、そして長期就労のできる環境づくりに努めています。国籍、性別、年齢、心身の障害の有無等によらず、能力と成果に基づく人選を基本方針としています。
具体的には、次世代育成支援に基づく行動計画を策定し、「子育てサポート企業」として厚生労働大臣の認定を複数回受けるなど、働きやすい環境づくりを推進しています。多様性の確保を目的とした環境づくりとして、男女ともに各種専門分野ごとの教育に加え、キャリアアップセミナーや管理職育成研修等の各種研修会を実施しています。
また、女性管理職の増加に向けた母集団形成として、係長級以上の役職者を2025年度末までに2020年度比2倍以上とする目標を設定し、取り組みを進めています。中途採用者についても、中長期的に欠かせない経験や専門性を有する人材を社内基準に基づき管理職での採用や登用を積極的に実施しています。高齢者雇用では、経験・技能活用の観点から再雇用制度を導入し、多様性の確保に努めています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 6.7% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 78.5% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 62.7% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 67.1% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 93.4% |
連結子会社の法定開示データ
主要事業会社1社の数値のみ掲載します。
▼ 株式会社横浜ファーマシー
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 22.7% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 0.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 71.6% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 74.3% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 115.0% |
人的資本に関する取組
人的資本に関する取組の指標及び目標について、現時点ではグループ共通の記載が困難なため、提出会社及び連結子会社の内容をそれぞれ記載しています。
提出会社
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 係長級以上の女性役職者の人数(2020年度比) | 1.67倍 |
連結子会社
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 課長補佐級に占める女性の割合 | 27.5% |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
カワチ薬品は、ドラッグストアおよび調剤薬局併設型ドラッグストアの運営を主要業務とする小売業です。顧客の健康で快適な生活をサポートする「ファーマシー・モア」をコンセプトに、幅広い商品とサービスを提供しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、医薬品、化粧品、日用雑貨、食料品、酒類などを販売するドラッグストア事業と、処方箋調剤を主要業務とする調剤薬局事業を展開しています。主に郊外型の店舗を出店しており、売場面積400坪以上をメガ・ドラッグストアと定義し、これを中心に展開しています。車社会に対応した広い駐車場や、段差がなく直接店内に入れるバリアフリー型の店舗設計が特徴です。店内は明るくクリンリネスを徹底し、シンプルなレイアウトと広い通路で商品を見つけやすく分かりやすいよう配慮されています。
収益は、医薬品、化粧品、雑貨、一般食品といった商品の販売から主に得ています。また、不動産賃貸収入も収益の一部を構成しています。商品別では一般食品の売上高が最も大きく、次いで雑貨、医薬品、化粧品が続きます。同社グループは単一セグメントであり、事業セグメント別の記載は省略されています。海外の外部顧客への売上高はなく、特定の顧客への収益集中もありません。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの売上高は、過去数期間で増加傾向にありましたが、直近の連結会計年度では減少に転じています。経常利益は増減を繰り返しながら推移し、直近では減少となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、直近の連結会計年度で減損損失を計上したことにより、大きく減少しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 2,795億円 | 2,819億円 | 2,860億円 | 2,878億円 | 2,845億円 |
| 経常利益 | 87.0億円 | 76.7億円 | 86.1億円 | 83.4億円 | 79.0億円 |
| 経常利益率 | 3.1% | 2.7% | 3.0% | 2.9% | 2.8% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 48.3億円 | 41.8億円 | 47.1億円 | 48.8億円 | 32.0億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 216.44 | 187.06 | 211.03 | 218.72 | 143.30 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高は前期から減少しています。従業員1人あたり営業利益も前期から減少する結果となりました。これらの指標は、直近の連結会計年度における売上高と営業利益の減少傾向を反映していると言えます。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 105.3百万円 | 103.5百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 2.7百万円 | 2.5百万円 |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループの財務状況は、事業の安定性や将来性を見極める上で重要な情報となります。ここでは、自己資本や手元資金の厚み、そして事業活動における資金の流れから、同社グループの現在地を見ていきます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤を見ると、自己資本比率はプライム市場の非製造業平均と比較して高い水準を維持しています。これは、安定した経営基盤を示す一つの指標となります。
ROE(自己資本利益率)はプライム市場平均を下回っていますが、手元資金である現金及び預金は増加傾向にあります。これらの状況は、事業を継続していく上での安定性に関わる要素となります。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 1,144億円 | 1,159億円 |
| 自己資本比率 | 57.3% | 58.0% |
| ROE(自己資本利益率) | 4.3% | 2.8% |
| 現金及び預金 | 367億円 | 381億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの当連結会計年度における営業活動によるキャッシュフローは88.7億円のプラスとなりました。これは主に法人税等の支払いが減少したことや、減価償却費があったことによるものです。
投資活動によるキャッシュフローは△51.6億円のマイナスとなっており、新規出店に係る有形固定資産の取得に資金を支出しています。財務活動によるキャッシュフローは△22.7億円のマイナスで、配当金の支払いなどがありました。
これらの結果、フリーキャッシュフローは37.1億円のプラスとなっており、本業で得た資金が投資を上回る状況を示しています。この資金の流れは、事業の安定的な継続や将来への再投資の余力があることを示唆しています。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 74.8億円 | 88.7億円 |
| 投資CF | △45.2億円 | △51.6億円 |
| 財務CF | △19.2億円 | △22.7億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 29.7億円 | 37.1億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、医薬品の販売規制緩和による異業種の参入やネット販売業者との競争激化が、店舗の営業に影響を及ぼす可能性があると認識しています。また、調剤報酬改定及び薬価改定が国民医療費抑制のために段階的に行われることで、業績に影響を及ぼす可能性も指摘されています。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、医薬品の販売や調剤薬局の運営に必要な薬剤師や登録販売者などの資格者の確保が、店舗の営業時間や出店計画に影響を及ぼす可能性があると認識しています。介護保険法上の事業所運営における人員基準の要件を満たせない場合も同様のリスクがあります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
カワチ薬品は、「ドラッグストア世界一」を目指し、お客様の健康で豊かな暮らしを支える「普段の生活の拠点」となることを経営理念に掲げています。地域社会に貢献しながら、常に革新と向上を追求する企業文化が特徴です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループの経営理念は、「ドラッグストア世界一へ向けて、日々革新し、向上しつづける経営をめざす。」と「お客様が健康で豊かな暮らしを実現するため、卓越したノウハウを生かした『普段の生活の拠点』を提供し、もって社会に貢献する。」です。この理念に基づき、売場面積400坪以上を「メガ・ドラッグストア」と定義し、主要生活道路沿いに展開しています。
その基本コンセプトは「Pharmacy・more(ファーマシー・モア)」であり、医薬品にとどまらない多種多様な商品を提供することで、お客様の健康で快適な生活を実現することを目指しています。顧客第一主義のもと、お客様の健康維持・増進、健康寿命延伸に向けた取り組みを進め、専門性と利便性を融合させた独自のメガ・ドラッグストア業態を基本とした店舗展開を図っています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、「人は会社の大切な財産=人財である」という理念を掲げ、優秀な社員の育成と定着、長期就労のできる環境づくりに努めています。国籍、性別、年齢、心身の障害の有無等によらず、能力と成果に基づく人選を基本方針としています。
具体的には、「子育てサポート企業」として厚生労働大臣の認定を複数回受けるなど、働きやすい環境づくりを推進しています。多様性の確保を目的とした環境づくりとして、男女ともに各種専門分野ごとの教育に加え、キャリアアップセミナーや管理職育成研修を実施し、人材の活躍促進に取り組んでいます。中途採用者についても経験や専門性を重視し、管理職での採用や登用を積極的に行い、高齢者雇用では再雇用制度を導入しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、ドラッグストア業界の競争激化が続く経営環境において、地域に欠かせない存在としてのインフラ機能を備え、他社との明確な差別化を図ることを重要課題としています。専門性と利便性を融合させた独自業態のメガ・ドラッグストアづくりを推進し、地域に根付いた強力な店舗となることを目指しています。
高齢化社会に対応した調剤薬局の併設を積極的に進め、美と健康の専門性を高めた「最も身近なヘルスケアセンター」の実現を方針としています。また、IT活用による全体効率化を喫緊の課題と捉え、速やかな導入と改善に努めています。店舗出店が進む中で、店長となるべき人材や各種専門家の育成も重要テーマであり、次代を担う人材の育成を図るべく教育カリキュラムの改善・実践に取り組んでいます。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
カワチ薬品では、取締役会と監査役会を設置し、コーポレート・ガバナンス体制を構築しています。また、指名委員会や報酬委員会といった任意の諮問機関を設置し、経営の透明性と客観性を確保しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
カワチ薬品の株主構成を見ると、公益財団法人河内奨学財団が筆頭株主となっています。また、代表取締役社長である河内伸二氏をはじめ、河内一真氏など、創業家と見られる個人株主が上位に複数名を占めています。これにより、特定の株主グループが同社の経営に一定の影響力を持つ資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 公益財団法人河内奨学財団 | 11.64% |
| 河内 伸二 | 10.92% |
| 河内 一真 | 10.24% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は8名(男性7名・女性1名)で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長は河内伸二氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 河内 伸二 | 代表取締役 社長 | 1983年5月に同社に入社後、取締役、専務取締役を経て、2002年6月より代表取締役社長を務めています。 |
| 大久保 勝之 | 取締役 (開発担当) | 1983年4月に同社に入社し、執行役員店舗運営部長、取締役営業統括部長などを歴任。2022年1月より株式会社横浜ファーマシー代表取締役社長、取締役開発担当を務めています。 |
社外取締役は、渡辺林治氏(リンジーアドバイス代表取締役社長)、江藤美帆氏(コアゾーン代表取締役)、澤田雄二氏(宇都宮中央法律事務所所長)、岡安俊幸氏(岡安俊幸税理士事務所所長)、大谷剛氏(実践コーポレートガバナンス研究会代表理事)です。
同社は監査役会設置会社であり、社外取締役2名と社外監査役3名を選任しています。独立社外取締役は、指名委員会および報酬委員会の委員長を務め、取締役等の選解任や報酬の透明性・客観性の確保に貢献しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
カワチ薬品の役員報酬は、基本報酬と業績連動報酬(賞与およびストックオプション)で構成されています。基本報酬は役員ごとの役割と責務に基づいて決定され、業績連動報酬は連結業績予想に対する達成率を主な指標としています。支給割合の目安は基本報酬が70%、業績連動報酬が30%とされており、社外取締役は固定報酬となっています。監査役の報酬は、業務の難易度や取締役報酬とのバランスを考慮し、監査役の協議により決定されます。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 2名 | 1.4億円 | 72.5百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 14百万円 | 14.0百万円 |
| 社外役員 | 5名 | 45百万円 | 9.0百万円 |
同社の役員報酬総額は2.04億円であり、対象役員数は8名です。
個人別報酬が開示されている役員は、河内伸二氏(1.22億円)です。
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