円谷フィールズホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

円谷フィールズホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所プライム市場に上場しており、コンテンツ&デジタル事業およびアミューズメント機器事業を主要事業としています。直近の業績は、売上高が1,406億円で減収、営業利益は153億円で増益となりました。


※本記事は、円谷フィールズホールディングス株式会社 の有価証券報告書(第37期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月17日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 円谷フィールズホールディングスってどんな会社?


「ウルトラマン」等のIPビジネスと、パチンコ・パチスロ機の企画開発・販売を中核とする企業グループです。

(1) 会社概要


1988年に遊技機の販売等を目的として設立され、2003年にJASDAQ市場へ上場しました。2010年に円谷プロダクションを子会社化し、IPビジネスへ本格参入しました。2022年には持株会社体制へ移行し、現商号へ変更しました。現在ではプライム市場に上場し、グローバルなコンテンツ展開を推進しています。

連結従業員数は1,664名、単体では117名です。筆頭株主は代表取締役社長グループCEOの山本英俊氏で、第2位は取締役の山本剛史氏、第3位は信託銀行です。創業家が主要株主として名を連ねるオーナー系企業の特徴を持っています。

氏名 持株比率
山本 英俊 24.51%
山本 剛史 11.61%
日本カストディ銀行(信託口) 9.14%

(2) 経営陣


同社の役員は男性15名、女性2名の計17名で構成され、女性役員比率は11.8%です。代表取締役社長グループCEOは山本英俊氏が務めています。社外取締役比率は35.7%です。

氏名 役職 主な経歴
山本 英俊 代表取締役社長グループCEO 1988年同社設立代表取締役社長。トータル・ワークアウトプレミアムマネジメント社長、フィールズ会長を兼務。2024年6月より現職。
塚越 隆行 専務取締役 ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパンゼネラル・マネージャー等を経て、2017年円谷プロダクション社長。2022年6月より現職。
吉 田  永 専務取締役 日拓エンタープライズ常務執行役員、ジー・アンド・イー社長等を経て、2016年同社入社。フィールズ社長を兼務。2024年6月より現職。
小  澤  謙  一 取締役グループCFOグループ事業経営戦略本部長 埼玉銀行、みずほ証券、楽天経理部長を経て、2010年同社入社。2024年6月より現職。
山 本 剛 史 取締役グループ経営企画担当グループ事業経営戦略本部副本部長 BOOOM入社を経て2017年同社入社。フィールズ専務等を兼務。2022年10月より現職。
永  竹  正  幸 取締役 ゴールドマン・サックス証券、ファーストリテイリング等を経て、2019年円谷プロダクション社長。2022年6月より現職。
豊  嶋  勇 作 取締役 ティー・ワイ・オーを経て、2000年デジタル・フロンティア入社。同社社長を兼務。2022年6月より現職。
山 中 裕 之 取締役管理本部長 1989年同社入社。ルーセント社長等を兼務。2020年4月より現職。
アールフット依子 取締役 ウォルト・ディズニー・インターナショナル・ジャパンバイスプレジデント等を経て、ボッテガ・ティグレ代表取締役。2022年6月より現職。


社外取締役は、糸井重里(ほぼ日代表取締役社長)、白井勝也(ヒーローズ代表取締役社長)、小森哲郎(ファイントゥデイ・ホールディングス代表取締役CEO)、前田圭一(学芸会代表取締役社長)、森下公江(アサヒ飲料社外取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「コンテンツ&デジタル事業」および「アミューズメント機器事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) コンテンツ&デジタル事業


「ウルトラマン」シリーズをはじめとする有力なIP(知的財産)を保有し、国内外でライセンスビジネスや映像制作を展開しています。中国を中心としたグローバル市場でのグッズ販売や、イベント興行、デジタルコンテンツの提供を行っています。

収益は、IPのライセンス許諾によるロイヤリティ収入、映像作品・イベントからの収入、物販収入等が柱です。運営は主に株式会社円谷プロダクションがライセンスビジネスを、株式会社デジタル・フロンティアがCG・VFX映像制作を担っています。

(2) アミューズメント機器事業


パチンコ・パチスロ遊技機の企画・開発・販売を行っています。保有するIPを活用し、提携メーカーと協力して商品化された遊技機を全国のパーラー(パチンコホール)へ販売するほか、プライベートブランド機の製造販売も手掛けています。

収益は、全国のパーラーへの遊技機販売代金および周辺設備機器の販売・工事代金等から得ています。運営は、フィールズ株式会社が遊技機の販売を、株式会社エース電研が設備機器の販売・工事等を担っています。

(3) その他


上記報告セグメントに含まれない事業として、フィットネスジムの運営等を行っています。

収益は、フィットネスクラブの会員からの会費収入等が主となります。運営はトータル・ワークアウトプレミアムマネジメント株式会社等が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


2021年3月期は赤字でしたが、その後はV字回復を果たし、売上・利益ともに拡大傾向にあります。直近の2025年3月期は売上が微減したものの、経常利益は増加し、高水準の利益率を維持しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上収益(または売上高) 388億円 949億円 1,171億円 1,419億円 1,406億円
経常利益 -20.3億円 36億円 112億円 129億円 165億円
利益率(%) -5.2% 3.8% 9.6% 9.1% 11.7%
当期利益(親会社所有者帰属) -41.2億円 16億円 55億円 63億円 54億円

(2) 損益計算書


前期と比較して売上高はほぼ横ばいですが、売上総利益率が大きく改善しています。これにより、営業利益および営業利益率が上昇し、収益性が向上していることが読み取れます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 1,419億円 1,406億円
売上総利益 265億円 353億円
売上総利益率(%) 18.6% 25.1%
営業利益 118億円 153億円
営業利益率(%) 8.3% 10.9%


販売費及び一般管理費のうち、その他が70億円(構成比35%)、給料が58億円(同29%)を占めています。売上原価については、商品及び製品の仕入等が主要な構成要素となっています。

(3) セグメント収益


アミューズメント機器事業が売上の大半を占めていますが、コンテンツ&デジタル事業も増収となり、利益面での貢献も確認できます。アミューズメント機器事業は減収ながらも大幅な増益を達成しており、収益構造の改善が見られます。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
コンテンツ&デジタル事業 150億円 160億円 38億円 28億円 17.7%
アミューズメント機器事業 1,253億円 1,229億円 104億円 153億円 12.4%
その他 16億円 17億円 0.2億円 0.1億円 0.3%
調整額 - - -24億円 -28億円 -
連結(合計) 1,419億円 1,406億円 118億円 153億円 10.9%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


本業の営業活動で得た資金に加え、資産売却等による投資活動からの収入もあり、それらを借入返済や株主還元等の財務活動に充てている「改善型」のキャッシュ・フロー状態です。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 56億円 78億円
投資CF -41億円 11億円
財務CF -31億円 -135億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は22.6%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は51.6%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「すべての人に最高の余暇を」を企業理念として掲げています。付加価値の高いIP(知的財産)を取得・保有・創出し、その多元展開によって商業的に価値の高いコンテンツを育成することを目指しています。さらに、IPを起点にエンタテインメント分野へ事業領域を拡大し、世の中の人々を豊かにする商品やサービスの提供に努めています。

(2) 企業文化


同社は「株主重視」を経営の基本方針の一つとして掲げており、企業価値の向上と株主への利益還元を図るために、経営資源の最適配分を目指す姿勢を持っています。また、「コンテンツ&デジタル事業」と「アミューズメント機器事業」の両輪でグループの成長と収益を支える体制を構築しています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、各事業において中期事業計画を策定し、その実現に向けて取り組んでいます。「コンテンツ&デジタル事業」では「5ヵ年中期経営計画」を策定し、グローバルコンテンツビジネスの確立を目指しています。

(4) 成長戦略と重点施策


同社は「グローバルコンテンツビジネスの確立」を経営課題とし、「コンテンツ&デジタル事業」および「アミューズメント機器事業」において“商品×流通”を共通の取り組みとして強化しています。具体的には、グローバルに通用するIPの創造・育成とデジタルビジネスへの投資、IPを活用した遊技機の企画開発・流通やパーラー向け設備機器事業の強化を推進しています。財務面では成長投資と株主還元への最適配分、ガバナンス面ではグローバルスタンダードに則った体制強化を進めています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社グループは、「すべての人に最高の余暇を」の実現に向け、社員一人ひとりが自己の目標を実現できる環境を目指しています。具体的には、戦略実現に必要な組織・機能の拡充、クリエイティブ人材やグローバル人材の確保・育成、そして高い意欲を持って働ける環境整備を重点事項としています。特に、グローバル展開や新商品開発を担うリーダー人材の配置や、成果に報いる報酬制度の導入等を推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 43.6歳 12.5年 7,280,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 7.1%
男性育児休業取得率 23.1%
男女賃金差異(全労働者) -%
男女賃金差異(正規雇用) -%
男女賃金差異(パート・有期) -%


※提出会社は持株会社であるため賃金差異の記載はありませんが、主要子会社フィールズでは全労働者62.9%、正規雇用65.8%、パート・有期42.4%です。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 法令遵守とコンプライアンス


役員・従業員が法令や規制を遵守できなかった場合、社会的信用やブランドイメージの毀損、損害賠償が生じる可能性があります。同社はハラスメント・コンプライアンス研修の実施や内部通報窓口の設置等を通じて、企業倫理の向上と法令遵守に努めています。

(2) アミューズメント機器事業の法的規制


遊技機の企画・開発・販売は風俗営業等の規制に関する法律等の厳正な運用が求められます。これら法的規制に重大な変更が生じた場合、遊技機販売や経営成績に影響を与える可能性があります。同社は法的規制・基準に則った運用を行い、業界の健全な発展に向けた取り組みを推進しています。

(3) コンテンツ事業の海外展開リスク


「ウルトラマン」等のIPによるグローバルビジネスにおいて、地政学リスクや言語・文化の相違、知的財産権侵害等のリスクがあります。これらが顕在化した場合は経営成績に影響を与える可能性があります。同社は海外拠点との情報共有や、模倣品対策等の知的財産権保護を強化しています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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