円谷フィールズホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

円谷フィールズホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

円谷フィールズホールディングスは東京証券取引所プライム市場に上場し、ウルトラマン等のIPを活用したコンテンツ事業と遊技機販売などのアミューズメント事業を展開しています。直近の業績は、有力IPを搭載した遊技機の販売好調などにより、売上高および各段階利益ともに増加し、増収増益のトレンドを維持しています。


※本記事は、円谷フィールズホールディングス株式会社の有価証券報告書(第38期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月16日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 円谷フィールズホールディングスってどんな会社?


同社は「ウルトラマン」等のIPビジネスと、パチンコ・パチスロ等のアミューズメント機器ビジネスを両輪として展開しています。

(1) 会社概要


1988年に東洋商事として設立され、遊技機等の販売を開始しました。2001年にフィールズへ商号を変更し、2003年のJASDAQ上場を経て、2010年に円谷プロダクション等を子会社化しました。2022年に持株会社体制へ移行し、現在の社名へと変更してコンテンツビジネスの展開を加速させています。

同社グループの従業員数は連結で1774名、単体で110名です。大株主の状況を見ると、筆頭株主は創業者の山本英俊氏で、第2位も同族の山本剛史氏、第3位は信託業務を行う信託銀行となっており、創業者とその関係者による安定した資本基盤を有しています。

氏名 持株比率
山本英俊 24.50%
山本剛史 11.61%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 7.51%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長グループCEOは山本英俊氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
山本英俊 代表取締役社長グループCEO 1988年設立代表取締役社長。2007年代表取締役会長などを経て、2024年より現職。
吉田永 専務取締役アミューズメント機器事業セグメント統括オフィサー 日拓エンタープライズ、総合メディア代表取締役などを経て2016年入社。2025年より現職。
永竹正幸 専務取締役コンテンツ&デジタル事業セグメント統括オフィサー 野村アセットマネジメント、ファーストリテイリング等を経て2019年円谷プロダクション社長。2025年より現職。
小澤謙一 取締役グループCFOグループ事業経営戦略本部長 埼玉銀行、みずほ証券、楽天などを経て2010年入社。2024年より現職。


社外取締役は、森下公江(元電通イノベーション・インテリジェンス部GM)、小森哲郎(元カネボウ代表執行役社長CEO)、前田圭一(元電通ライブ代表取締役社長)、池澤憲一(元ソニー経理部統括部長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「コンテンツ&デジタル事業」「アミューズメント機器事業」および「その他」事業を展開しています。

コンテンツ&デジタル事業


「ウルトラマン」をはじめとする多数のIPを保有し、グローバルにライセンスビジネスを展開するほか、国内最大規模のCG・VFXを用いた映像制作などを手掛けています。

国内外のパートナー企業へのライセンス供与や関連グッズの販売、映像作品の配給、イベント開催等から収益を得ています。運営は円谷プロダクションやデジタル・フロンティアなどが行っています。

アミューズメント機器事業


取得・保有するIPを基に、提携メーカーへの企画・開発提案を行い、商品化されたパチンコ・パチスロ等の遊技機を全国のパーラーに販売するほか、周辺設備機器の販売・工事も行っています。

提携メーカーが製造した遊技機の販売による代行手数料や、プライベートブランド遊技機の販売代金が主な収益源です。運営は主にフィールズやエース電研などが行っています。

その他事業


報告セグメントに含まれない事業として、フィットネスクラブの経営や運営などを行っています。運営はトータル・ワークアウトプレミアムマネジメントなどが担っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は一時的な増減を含みつつも順調に拡大しており、経常利益も高い水準へと成長しています。利益率も安定して推移しており、事業規模の拡大と収益性の向上が同時に進行していることが読み取れます。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 949億円 1171億円 1419億円 1406億円 1741億円
経常利益 36億円 112億円 129億円 165億円 178億円
利益率(%) 3.8% 9.6% 9.1% 11.7% 10.2%
当期利益(親会社所有者帰属) 16億円 55億円 63億円 54億円 59億円

(2) 損益計算書


売上高の拡大に伴い、売上総利益および営業利益が堅調に増加しています。利益率はわずかに低下したものの、安定した収益構造を維持しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 1406億円 1741億円
売上総利益 353億円 384億円
売上総利益率(%) 25.1% 22.0%
営業利益 153億円 175億円
営業利益率(%) 10.9% 10.0%


販売費及び一般管理費のうち、給料が62億円(構成比30%)、広告宣伝費が25億円(同12%)、業務委託費が17億円(同8%)を占めています。売上原価は1358億円で構成比78%となっています。

(3) セグメント収益


アミューズメント機器事業が売上の大半を占めており、当期の増収を力強く牽引しています。一方、コンテンツ&デジタル事業は減収となりました。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
コンテンツ&デジタル事業 160億円 135億円
アミューズメント機器事業 1229億円 1589億円
その他 17億円 18億円
連結(合計) 1406億円 1741億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業である「健全型」のキャッシュ・フロー・パターンを示しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 78億円 75億円
投資CF 11億円 -23億円
財務CF -135億円 -52億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は23.3%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は58.9%であり、いずれもプライム市場の平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「すべての人に最高の余暇を」を企業理念として掲げています。付加価値の高いIPを取得・保有・創出し、その多元展開によって商業的に価値の高いコンテンツを育成することで、人々の余暇を豊かにし、社会全体の幸せにつなげることを使命としています。

(2) 企業文化


多様な背景や価値観を持った人材が活躍し、能力を発揮できる環境づくりを重視しています。「多様な人材活躍に関する基本方針」を策定し、人種、宗教、性別、国籍などに関係なく、能力や実績を重視した人材の登用を推進しています。

(3) 経営計画・目標


市場環境の変化に対応するため、2027年3月期を初年度とする3ヵ年のグループ中期経営計画を策定しています。中国市場における過去10年で初の減収を厳粛に受け止め、現地パートナーとの連携を一段と強固にして事業基盤の盤石化を図る方針を掲げています。

(4) 成長戦略と重点施策


国内コンテンツ市場の開拓と新たなビジネスモデルの構築、中国市場における収益の維持拡大を推進します。さらに、自社IPの展開力を活かして他社IPの育成も支援する「IP成長プラットフォーマー」としての地位確立や、遊技機でのファン層拡大などを重点施策としています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


戦略を実現するための機能・組織の拡充と最適な人材配置、クリエイティブ人材やAI活用人材などの確保・育成、従業員が高い意欲を維持できる環境整備を3つの重点テーマとしています。AI技術を活用した抜本的な業務効率化や、次世代リーダーの育成にも注力しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 43.4歳 12.7年 7,764,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 10.6%
男性育児休業取得率 40.0%
男女賃金差異(全労働者) -%
男女賃金差異(正規雇用) -%
男女賃金差異(パート・有期) -%


※労働者の男女の賃金の差異は、女性労働基準規則の制限等による配置の難しさなどから、有報の提出会社単体データではハイフンとなっています。

また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、教育・研修費用(141百万円)、障がい者雇用率(2.2%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) IPビジネスに関する権利保護と契約リスク


主要IPの使用許諾契約の終了や条件変更、新規IPの獲得機会の逸失、第三者による知的財産権の侵害が生じた場合、ブランド価値の低下や訴訟対応費用の発生などにより、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 不祥事等によるブランド価値毀損のリスク


海外展開や自社企画・製造の拡大によりステークホルダーとの接点が増える中、関係者による不祥事や情報開示の不備が発生した場合、顧客からの信頼低下や資金調達環境の悪化を招くリスクがあります。

(3) 需要変動と商品開発の不確実性リスク


遊技機市場の需要変動や消費者嗜好の変化、商品企画の遅延などにより、ヒット機の創出や販売計画が未達となった場合、販売機会の逸失や在庫評価損の発生等を通じて収益性に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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