※本記事は、株式会社 群馬銀行 の有価証券報告書(第140期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月13日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 群馬銀行ってどんな会社?
群馬県を主要な営業基盤とする地域金融機関として、銀行業務を中心にリース業務などの金融サービスを提供しています。
■(1) 会社概要
同社は1932年9月に群馬県金融として設立され、同年11月に群馬銀行および上州銀行を吸収して県是銀行として発足しました。1955年1月に現在の行名となり、1969年4月には東京証券取引所市場第二部に上場しました(翌年2月に市場第一部指定)。2016年2月には、ぐんぎん証券を設立し業務を拡大しています。
現在の従業員数は連結で2,927人、単体で2,705人です。筆頭株主は資産管理業務を行う信託銀行で、第2位も同様に資産管理を行う信託銀行、第3位は生命保険会社となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 13.98% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 6.55% |
| 住友生命保険相互会社 | 2.78% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性13名、女性2名の計15名で構成され、女性役員比率は13.0%です。代表取締役頭取は深井彰彦氏が務めています。社外取締役比率は40.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 深井 彰 彦 | 取締役頭取(代表取締役) | 1984年4月同行入行。リスク統括部長、総合企画部長、常務取締役、専務取締役などを経て2019年6月より現職。 |
| 入 澤 広 之 | 取締役副頭取(代表取締役) | 1984年4月同行入行。審査部審査業務室長、総務部長、常務執行役員、常務取締役、専務取締役などを経て2024年6月より現職。 |
| 後 藤 明 弘 | 専務取締役 | 1986年4月同行入行。人事部副部長、監査部長、執行役員、常務執行役員、常務取締役などを経て2024年6月より現職。 |
| 武 井 勉 | 専務取締役 | 1986年4月同行入行。人事部人材開発室長、営業統括部長、本店営業部長、常務執行役員、常務取締役などを経て2024年6月より現職。 |
| 内 堀 剛 夫 | 専務取締役 | 1987年4月同行入行。総合企画部副部長、審査部長、常務執行役員総合企画部長、常務取締役などを経て2024年6月より現職。 |
| 堀 江 明 彦 | 常務取締役 | 1985年4月同行入行。コンサルティング営業部長、営業統括部長、常務執行役員、専務執行役員などを経て2024年6月より現職。 |
社外取締役は、近藤潤(元SUBARU取締役会長)、西川久仁子(ファーストスター・ヘルスケア社長)、大杉和人(元日本銀行監事)、金井沢治(元あずさ監査法人副理事長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「銀行業」「リース業」の2つの報告セグメントおよび「その他」事業を展開しています。
■銀行業
群馬県を主要な営業基盤とし、地域のお客さまに対して預金業務、貸出業務、有価証券投資業務、内国為替業務、外国為替業務、信託業務など幅広い金融サービスを提供しています。また、投資信託や保険商品等の窓口販売業務も行っています。
主な収益源は、貸出金利息や有価証券利息配当金などの資金運用収益、および為替手数料や投資信託販売手数料などの役務取引等収益です。運営は主に群馬銀行が行っています。
■リース業
地域のお客さまを中心に、機械設備や車両などのリース業務をはじめとする金融サービスを提供しています。
収益源は、リース契約に基づく顧客からのリース料収入などが中心です。運営は連結子会社のぐんぎんリースが行っています。
■その他
上記セグメントに含まれない事業として、物品輸送、現金自動設備の保守、証券業務、経営コンサルティング、ファンドの組成・運営、信用保証業務などを行っています。
収益源は、各業務における手数料収入や業務委託料などです。運営は、群馬中央興業、ぐんぎん証券、ぐんぎんコンサルティング、ぐんま地域共創パートナーズ、群馬信用保証などの連結子会社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
当期は増収増益となりました。経常収益は、主に資金運用収益の増加により前連結会計年度比で増加しました。一方、経常費用は、資金調達費用の増加などにより増加しました。これらの要因により、経常利益は大幅な増加となりました。過去5年間の推移を見ると、経常収益、経常利益、当期純利益ともに増加傾向で推移しています。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 経常収益(億円) | 1,433 | 1,502 | 1,766 | 2,004 | 2,204 |
| 経常利益(億円) | 201 | 391 | 383 | 438 | 620 |
| 当期純利益(億円) | 135 | 264 | 279 | 311 | 439 |
■(2) セグメント収益
当期の経常収益は、前連結会計年度比で増加しました。これは、主に資金運用収益の増加によるものです。経常費用も増加しましたが、収益の伸びがそれを上回ったため、経常利益は大幅に増加しました。当期純利益も、経常利益の増加に伴い、前連結会計年度比で大きく伸長しました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 経常収益 | 1,669 | 1,851 |
| 経常費用 | 1,566 | 1,584 |
| 経常利益 | 438 | 620 |
| 当期純利益 | 311 | 439 |
■(3) 役務取引等収益の内訳
同行の役務取引等収益は、当期において前連結会計年度比で増加しました。これは、法人役務収入および預かり金融資産等収入の増加が主な要因です。役務取引等収益合計の内訳を見ると、預金・貸出業務が最も大きな割合を占めており、次いで法人役務収入が続いています。
| 区分 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 役務取引等収益 合計 | 242 | 256 |
| 預金・貸出業務 | 76 | 82 |
| 為替業務 | 7 | 7 |
| 証券関連業務 | 1 | 1 |
| 代理業務 | 7 | 9 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は7.7%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は5.3%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「企業理念」として、地域社会の発展を常に考え行動すること、顧客との創造的な関係を深めること、よき企業人であるためによき市民であることを掲げています。また、パーパスとして「私たちは『つなぐ』力で 地域の未来をつむぎます」を制定し、金融だけでなく地域・企業・人々をつなぎ、新たな価値を生み出す存在を目指しています。
■(2) 企業文化
同社は「一人ひとりの顔が見える表情豊かな組織であること」を大切にする企業風土としています。この風土のもと、パーパスの実現に向けて、社会的価値と経済的価値の両立を目指す「パーパス営業」や、自律的で活力ある組織への転換を目指した「ジョブ型」人事制度の導入など、変革に挑戦する文化を醸成しています。
■(3) 経営計画・目標
2025年4月からスタートした新中期経営計画「Growth with “Purpose”」では、最終年度である2028年3月期の経営目標として以下を掲げています。
* 親会社株主に帰属する当期純利益:600億円
* ROE:10.0%以上
* コア業務純益(除く投資信託解約損益):800億円
* 総自己資本比率:13.5%以上
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は「地域社会と当行グループの持続的な成長」を目指し、2つの基本方針を定めています。1つ目は「社会的価値・経済的価値の好循環の構築」で、パーパス営業の深化やサステナブルな地域経済圏の構築に取り組みます。2つ目は「持続的な成長を支える事業基盤の強化」で、DX・業務改革、人的資本の充実、ガバナンスの高度化などを推進します。
* 事業承継課題解決件数(3年間累積):1,500件
* ビジネスマッチング件数(3年間累積):4,000件
* サステナブルファイナンス実行額(3年間累計):1兆2,000億円
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は「人的資本の充実」を重要課題とし、経営戦略と連動した人材ポートフォリオの構築を進めています。2024年6月より「ジョブ型」人事制度を導入し、職務記述書の作成やジョブポスティング制度を通じて、社員の自律的なキャリア形成と専門性向上を支援しています。また、DE&Iの推進や健康経営により、Well-beingの向上にも取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均とほぼ同じ水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 41.3歳 | 18.1年 | 7,761,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 21.2% |
| 男性育児休業取得率 | 101.8% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 49.9% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 59.5% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 57.9% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性部店長比率(6.8%)、中途採用者の管理職登用率(47.8%)、有給休暇取得率(81.4%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 金利の上昇
主要国の金融政策変更や市場の混乱等により金利が上昇した場合、保有する債券の価格が低下し、業績や財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。同社は、償還バランスに配慮した投資によるリスク分散や、金利に影響を及ぼす各種指標のモニタリングを通じて、損失を最小限にとどめるよう努めています。
■(2) システム障害、サイバー攻撃被害
コンピュータシステムの停止・誤作動や、サイバー攻撃による情報の破壊・流出が発生した場合、決済機能の停止や社会的信用の失墜により、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。同社はFISC基準に基づく安全対策や、外部団体との情報共有、訓練などを通じて管理態勢の強化を図っています。
■(3) 気候変動による影響
異常気象に伴う大規模災害が発生した場合、店舗への被害による業務継続への支障や、取引先の財務状況悪化に伴う与信費用増加の可能性があります。また、脱炭素社会への移行に伴う規制強化等が取引先の業績に影響を与える移行リスクも想定されます。同社はTCFD提言に基づき、物理的リスク・移行リスクの分析を行っています。



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